退職後専念での短期合格(LEC)、クロミちゃんの効果的勉強法

既卒専念で約1年半(短答1回*1(12月)、論文1回)の短期合格のくろみちゃんさんの合格体験記
勉強時間の問題ではなく、勉強をしている時間に、「どのように勉強しているか」これが大事であるというのが、よくわかります。
他責思考では受からない、というクロミちゃんさん。少数派のLECのメリット・デメリットも、本音で書いていただいています。
短期合格、論文でいくつかミスっても、中位順位で合格。効果的、効率的な勉強法が効いていると思います。
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*1 : お試し除く

はじめに

初めまして。クロミちゃんと申します!
退職専念で約1年半程勉強して合格できました。(20代後半)
以下長いですけれども、参考になれば幸いです。

略歴

地方国立(文系) → 一般企業に就職(3年弱) → 無職専念(2022年2月) → 2022年12月短答合格 → 2023年8月論文合格
 経理とか経営企画だとかコンサルだとか、そういう職種ではなく、全く公認会計士とは関係がない職種で働いていました。
 また、大学1年時に簿記3級を大学の単位取得のためだけにとっており、それ以来簿記に触れてすらいないという状態が勉強開始時の会計に関する知識量です。借方、貸方という名前が分かっていたり、固定資産とかには減価償却っていうものがあるんだなぁっていう事が分かっていたりするくらいだったので、全くのゼロではないけれども、ほとんどゼロからのスタートでした。

予備校について

 予備校は短答から論文までLECでした。
 通信で受講し自宅で勉強していました。答練や模試の際には最寄りの校舎でリアルタイム受験していました。

 LECを選んだ理由は、短答と論文でコースが分かれており、かつ、価格が安価であり、実際に合格者を毎年排出していることから、最もコストパフォーマンス良く受かりたいと思ったからです。

 結果的にLECで良かったです。少数派だと思うので、参考までに良かった点と、悪かった点を以下に。

良かった点

  • 財務、管理といった計算科目に関しては十分な演習量のある問題集、答練が付随しており、これをしっかりと回転すれば少なくとも短答、論文共に遅れをとることはあり得ないと感じました。(別売りの計算教材もありましたが、私の観測範囲ではそれを購入していない人達の方が合格していた気がします)
  • 論文で科目によっては学習内容が大きく変わるものがあるため(特に企業法)、それぞれ分けて学習した方が結果的に学習時間が少なくなると思います。短答に合格しなければ、論文に挑む権利すらないので、まず短答に特化した方が良いと考えました。(特に12月短答→8月論文でスケジュールを考えている方には。5月短答→8月論文の方にはあまりメリットはないかも)
  • スケジュール通りに短答に合格できれば、論文の講座(答練、模試含む)が5万円で受講できます。したがって私が予備校に払った金額は短答から論文までで35万円に満たないと思います。

悪かった点

  • 講師が選べないので、その講師と相性悪ければその科目を勉強するのが億劫になります。私の場合、監査論と租税法の講義をされる方と相性が悪かったと思うので、その2科目は最後まで好きになれませんでした笑
  • ただ、講師の力量は合格への影響にほとんど響かない(他責思考では受からない)とも思いますし、本当に力量がない講師の方は受験業界からいなくなるはずなので、これは他の予備校だと色々講師選べるんだなぁって羨ましかったくらいです。
  • 母集団が少ないため、自分の立ち位置がわかりづらいです。特に相対試験の色が濃く出る論文の勉強時、LECの答練では30人くらいの答案しかない時もあり、自分がどこら辺にいれば安心できるかが最後までわかりませんでした。なんとなく不安だったので、自分の立ち位置を把握するために、他の大手の論文模試は一通り2回ずつ受験しました。これは受けすぎだったなと思います笑
  • 私の受験時代はCPAが結構1強になりつつあったので、CPAの模試だけ受けておけば十分立ち位置がわかるはずです。(多分TACとか大原の方も、自分の予備校だけor自分の予備校+CPAみたいな人が多かったんじゃないかなぁと推測)
  • 経営学に関しては、他の予備校より遅れをとっていた気がします。自分の場合は他校の予備校の模試のレベルが高く、受験者の平均点も高かったので焦りました。
 2023年8月論文合格者の立場としては、私のようにお金がない受験生にとってはLECをお勧めします。一番安く済むと思います。とりあえず短答に特化!っていう勉強が一番経済的ダメージ少なくできるので、社会人受験生にとっても学生受験生にとっても、私のように撤退の線引きが容易かもしれません。

 実際に論文の合格率もLECでの答練の提出者(他の予備校性を含む)をおおよその分母とし、論文の合格者(LECをメインにしている方のみ)を分子にとっても、30〜40%以上はあるのではと感じたので、結局は予備校選びというより、自分次第な側面が強いじゃん、とは合格後にようやく確信できたところです。

総論

私が勉強して意識していた点を以下に記載します。

 範囲が膨大な試験のため、講義数も多く、教科書も多く1冊が厚くなりがちです。従って、まずインプットは早めに終えて、アウトプットの時間を最大化する(=手を動かす)ことが良いのではないかと思います。

 私の勉強時間を振り返ってみて、最も無駄だったと思う時間

①テキストを「ただ」読む
②目的もなく受講済みの講義を再視聴する
③暗記部分をまとめたノートを作る

でした。

 特に①や②について、勉強へのモチベーションが上がらない時にやってしまいがちでした。ただ、これで身になったことは多分ないです。しかも、勉強した気になって謎に満足してしまうという罠に陥ります。従っていかにモチベーションが上がらずとも、「ただ」読むのではなく、暗記部分を隠しながら自分で覚えているか誦じたり、仕訳の処理との整合性を考えることで理解を深めるようにすることが大事だと思います。

 ③について、テキスト等の加工は楽しくなってしまいがちですが、作成した後それらが活躍する機会はあまりなかったので、同じ時間を使うなら、白紙に暗記部分を書いてみて、それが合ってるかどうかを確認するみたいな風にした方が良かったです。

 一方で、効果的だったと思うのは「手を動かす時間」を多くとったことだと振り返ります。

 1度講義で勉強した範囲を全て分かった気になってしまうこと(インプットしただけでアウトプットできる気になってしまうこと)は避けなければなりません。分かったつもりになるのではなく、計算問題なら例題や問題集を解く。理論ならなぜこの選択肢が間違いなのかをテキストや条文、基準に則り理解する。

 まず「解く」。この時間をいかに増やすかが鍵になると思います。付随して、わからない問題はサクッと飛ばして次の問題に行く割り切りもある程度必要であると思います。他の分野の勉強をしつつ、1週間後に解いてみれば解けなかった問題が解けるようになっている時もありました。脳が時間をかけてインプットを整理してくれることもあると思います。

 私の場合、2月から本格的に講義の消化に入ったため、2月以前に配信されていた講義を全て消化することから始め、スケジュールに追いつくまでは講義をひたすら視聴しました。追いついてから例題や問題集を解きはじめ、新たな講義が視聴開始になるとすぐ視聴する、といったことを意識していました。自分で「手を動かす」のが私にとって一番の理解を確認できる方法でした。

 そして、教材を高速回転できるようになったら勝ちだと思い込むようにしました。「これだけ問題を解いて、理解している受験生が私の上に1,000人もいるはずがない」っていう気持ちに無理やり持っていきました。このメンタルは、勉強期間を通じて辛い時期に非常に効果的だったと思います。


 SNSでは、毎日10時間以上勉強する人で溢れかえっているような印象を受けますが、案外そうでなくとも(働きながら勉強されている方は特に尊敬いたします)十分合格でき、持続可能性のある勉強スタイルを各々確立できると思います。(もちろん、毎日10時間以上勉強できる方はその方が良いと思います)

 勉強時間に固執してしまうと、上記の①〜③みたいな事をやりかねないので(私はやってしまってましたが)、休む日は罪悪感なく休む事を強くお勧めします。

 ただし、2日以上だらけてしまうと勉強に切り替わるスイッチが押しにくくなってしまうので、休む!と決めた日以外で、勉強へのモチベーションがない日でも勉強時間を0にしないことは重要だと思います。机に座って例題1つ解くだけでもいいので、(案外1つ解けたら2つ目、3つ目といけることが多いと思います)勉強時間を0にしないことが、継続的にある程度の時間勉強する方法の1つとしてお勧めできます。

スケジュール

専門学校のカリキュラム

LECのカリキュラム的には

・2022年12月短答合格
・2023年8月論文合格

このスケジュールで講座が組まれていたので、短答、論文どちらか1つでも1回で合格できなかったら撤退しようというのは決めていました。

ただ、最悪の場合に1年くらい職歴が空くのが怖かったので、保険のために、退職してすぐ簿記2級を取得しておきました。

2022年2月〜2022年5月短答まで

 上述のように、ひたすら財務と管理の入門講義を消化しました。
LECの短答コースの講義には入門と上級とあり、入門では財務と管理の計算がほとんどで、上級になると理論科目が増えてくるイメージです。
3月くらいになると、上級講義(私は2022年12月目標のコースでしたが、2022年5月目標のコースの方向けの上級講義を後追いで受講するような形)を追加で申請し、ひとまず短答の全範囲の講義を受講することにしました。そのような形で企業法、監査論の講義の消化をはじめました。

2022年5月短答時点では、
財務:計算は問題集まで着手、理論は講義のみ
管理:計算は問題集まで着手、理論は講義のみ
企業:講義消化のみ
監査:講義消化のみ
のような状態で迎え、結果的に企業法で足切りで、合計200点くらいだった気がします。

 ただ、一足先に短答の全範囲のボリューム感が分かったことと、計算科目への手応えを得る事ができた点は12月に向けての大きな収穫でした。計算科目はこのままの学習方針で間違ってなく、残りは理論科目をバランス良く仕上げることに重点を置こうと決める事ができました。

2022年5月短答〜2022年12月まで

 5月目標の上級講座を視聴していましたが、改正点や5月短答を踏まえての講義内容の変更があったら不安だったため、再度12月目標の上級講座の視聴を始めました。原則配信日には講義を消化するようにしていました。

 10月くらいからは、教材の回転期間に入りました。何をいつまでに一周する、といった具合に目標を定めてその通りに回しました。この期間が短答までの中で最も辛かったかもしれないです。

 また、LECの短答ポイントアップ答練と呼ばれるものがあるわけですが、(他予備校でいう直前答練的なものです)あれで300点以上取れたことがありませんでした笑

 CPAの模試で300点を初めて超えることができて、少し手応えを感じたくらいです。
答練だけ予備校に行ってライブ受験をしていましたが、答練後の自己採点を終えた帰り道は「こんなんじゃ絶対受からないな」って思い詰めて電車を待っていた記憶しかありません。

勉強時間

結果として、12月までの勉強時間と短答の自己採点は以下の通りでした。

2022年2月〜12月まで
財務 900h
管理 550h
企業 350h
監査 200h
 
合計 約2,000h 

短答(自己採点)
2022年12月短答
財務 188
管理 78
企業 50
監査 65

合計 381 (76.2%)※ボーダーは71%

 点数見て分かってもらえたら嬉しいですが、2022年12月短答の企業は難しかったと思います。割と得意と思っていた科目でしたが、蓋を開けると半分しか取れていませんでした。自己採点をする際に、企業からやる方が多いと思いますが、私は1科目目の自己採点が終わった瞬間、落ちたと思いました。

 一方で、管理が近年の難化傾向から標準〜易しめくらいまで戻ったので、8割近く得点できました。
当日を振り返っても、企業が終わった後は本当に生きた心地がしませんでした。ただ、管理が過去問より大分易しかったため、心の安寧を取り戻せました。

 そして、本当に財務に救われました。短答での財務の重要性が私の得点構成でお分かりいただけるかもしれないです。最後まで諦めるな、というのは月並みな言葉ですが、それまでの科目が手応えがなくても諦めずに1問を取る意識を最後まで持ち続けるといいことあるんだなぁと思った記憶があります。

短答後〜論文まで

 自己採点でボーダーを超えているとは思えたので、短答後割とすぐに、論文コースの受講を開始しました。
 まず租税法、経営学の講義消化をメインにしていましたが、年末年始や実家への帰省も相まって、12月末から1月中旬くらいまではほとんど着手できませんでした。1月中旬以降からは講義を消化し、2月末からは各科目で答練が始まりました。

 基本的に土日は答練の予定があったので、平日に論証暗記や計算問題を解き、土日に答練受講し復習するサイクルでした。あっという間に8月になった印象です。

 租税や経営は論文から追加され、論文になると企業や監査は短答とは大きく異なるため、論文の学習当初はそれらに時間を割いていました。ただ、財務や管理の計算を疎かにしてしまった点は反省点としてあるので、論文初期でも財務と管理の計算も1日1問だけでも解くようにしておけばよかったなと思います。

 また、短答から論文にあたり、マークシートから論述に切り替わります。今までは選択肢に答えがある中で選ぶ形式だったものが、自分で答案を作成するようになるため、短答の時とは違い、「何が問われているのか」という観点から問題文をよく読むことや、「何を書けば点数がきそうか」という思考も必要になってきますし、何より計算問題では単位ミスにより失点することもあります。

 自由度が広がる点で私は論文の問題の方が好きでしたが、単位ミスや問題文の指示を読まなかったことによる失点も数多く経験したため、そのような事前に防げる失点をいかに減らすかがとても大事であることを、頭の片隅にでも入れていただければ幸いです。素点1点で偏差値が大きく変わることもありますので、そのようなミスをしないためにも答練や模試での経験から、自分がどのようなミスをしがちなのか、という傾向を把握し対策することも論文ではより有用になってくると思います。

論文勉強時間と本試験成績

2023年8月論文までの勉強時間と本試験での成績は以下の通りです。

論文

財務 430h
管理 220h
企業 250h
監査 200h
租税 350h
経営 250h

合計 1,700h くらい


   順位  得点率
財務 938位 54.23
監査 721位 56.80
企業 402位 59.80
租税 969位 55.76
経営 731位 56.45

合計 641位 55.92

 企業法が最も良かったわけですが、成績を見るまで企業法が最も悪いと思っていました。下手したら足切りなのではないかと思うくらいでした。当日も10分くらいずっと条文を探す時間があり、これまでになく焦りました。ただ、空白を作らないことは決めていたので、適当に当たりをつけた条文で、自分なりに思ったことを書いた結果、なんとかなったのだと思います。

 逆に経営学はもう少し良い手応えでした。論文は本当に自分の感覚は当てにならないなと思いました。

 また、例年会場がどこになるかは分かりませんが、私の場合自宅から1時間半ほどかかる会場でした。万全の状態で受験したかったので、開場の1時間以上前に最寄駅に着いて近くの喫茶店でテキストを読むくらいのゆとりを持ちました。お勧めしたいのは、模試はなるべく会場受験され、試験前に何を確認するかを大体決めておき、3日間の流れも含めて模擬体験しておく事です。とりわけ本試験は3日目にもなると結構辛かったので、模試で慣れておいた方が後悔がない3日間を過ごせるようになるのではないかと思います。

 本試験前に各大手予備校の模試を一通り受講しましたが、各予備校によって、配点が違うと感じることも多かったですし、特に企業法は肯定説か否定説の立場が異なることもありました。本試験では、試験委員の先生方が採点されるため、そこでもいろいろな見解があるはずです。

 やはり重要なのは「理解」であって「暗記」ではないのだろうと強く思います

  勉強するにしてもただ「暗記」をするのは苦痛ですが「理解」が伴うと少しは楽しくスムーズに勉強できるはずです。もちろん講師の方が示す「典型」は暗記しなければ他の受験生と差をつけられますが、その分野の重要な事がわかっていたら必ず書くであろう「キーワード」や「流れ」を理解していれば必ずしも1言1句テキスト通りでなくとも、対応可能です。(テキストの問題文通りに、本試験の問題が問うてくるわけではないため)繰り返しますが、「典型」の暗記は必要だと思います。テキスト通りの問題が出題された時に、必ず得点できるか部分点しかもらえないかは偏差値に差がつく原因の1つだと思うからです。

各科目の勉強

財務会計論

短答(計算)

 使用教材:LECのテキスト例題、入門問題集、上級問題集

 講師は影山先生です。非常に分かりやすかったです。得意と言えるようにはならなかったですが、本試験ではかなり助けられました。
 まずは講義の消化に集中し、消化が追いついたタイミングで例題、入門問題集を解いていく、という順番で学習していました。そこでつまずいた部分はまず

 1.テキストを見る
 2.自分でなぜそうなのかを考えてみる
 3.インターネットで検索するor講義を見返す

といった順番で解決していました。

 時間をかけすぎるのは問題ですが、特に2の時間(自分でなぜそうなのかを考えてみる)は学習初期には必要だったかなと思います。1度自分で理解できている状態に持っていければ、次からの学習負荷はかなり軽減されます。問題集の2周目は1周目の半分の時間くらいで解けるようになりました。また、入門期にしっかり計算のみに集中するカリキュラムだったのは非常に合っていました。計算が解けるようになれば忘れにくいので、直前は理論の暗記にウェイトをかける方が得点の最大化につながると思います。

 学習初期は例題と入門問題集をメインに行い、上級期は上級問題集、直前期は例題と上級問題集を回転させていました。結局、入門問題集は2周くらいしかせず、解いていたのは例題と上級問題集でした。また、回転の際にも期間をあけて、3度連続で正答できた場合は、次回から解き方の確認のみにとどめて、回転の速度をあげていました。

 また、私は、工場会計や帳簿組織も解けるように準備はしていました。人によると思いますが、私は専念だったのもあり時間もあったため、いざ出題された時に後悔したくなかったからです。

短答(理論)

 
 使用教材:講義レジュメ、一問一答(LECで販売されているもの)

 一問一答は別売りです。従って、LEC生でなくともアウトプット教材として検討の余地はあると思います。講義を消化し終わった後に一問一答に着手したと思います。

 本番直前はテキストを周回させたかったため、テキストに情報を集約させるようにしていました。私の回転の仕方は、1周目は間違えた箇所のテキスト部分を黒色のペンで波線を加え、2周目はオレンジ色の波線、3周目は赤色の波線、4周目は蛍光ペンのように書き加えていきました。(読みにくくならない程度に)

 また、別途答練や模試で出題され、テキストに乗っていない部分は都度書き加えていました。こうすることで、明らかに自分ができていないページや分野が派手にわかるので、どこが弱いかが一目瞭然になった点はよかったと思います。何度もそのページを見ることになりますし、記憶としてページ全体が思い浮かべられるようになりました。

 また、一問一答は分野ごとに分かれていますが、9割以上の正答ができた分野は次からの回転では解かず、テキストの該当分野に戻り、書き加えた部分を中心に想起学習していました。結果として、最初は1周に2週間ほどかかっていましたが、直前には3日で1回転くらいだったと思います。

論文

 使用教材:テキスト、プレ答練、グレードアップ答練

 主に第3問の個別論点はプレ答練と呼ばれるミニテストのようなものと、グレードアップ答練と呼ばれる実践形式の答練のみでカバーしており、短答時に使っていた問題集はほとんど使っていませんでした。ただ、2、3ヶ月放置してしまったため、結構忘れていたのに気付いたまま手が回らず本試験を迎えた気がします。一方、第5問のCF計算書や連結会計に関しては上記の答練でしっかり回せるので、これらを回転していました。
 
 理論は講義の中で多く触れられていた論点や答練で出題されたものを通して、強弱をつけて覚えられるようアナウンスがあったので、それ通りにこなしていました。2023年8月論文はとりわけ答練で出た問題が幾つもあったので、非常に助かりました。ただ、税効果の部分は一言も書ける気がしなかったので、多数の空白を作ったことを後悔しつつそのまま時間切れでした。

管理会計論

短答(計算)

 使用教材:入門問題集、上級問題集

 進め方は財務と一緒です。まず講義の消化、その後入門問題集1.5周くらい、その後は上級問題集をひたすら回転させていました。回転の方法も財務の計算とほとんど一緒です。管理の計算は特に原価計算の分野の習熟度を上げるといい気がしました。と言うのも管理会計分野は難易度が幅広く、ドツボにはまれば時間が溶けていきやすいからです。

 その点、原価計算の分野はそこまで幅が広くないことから、習熟度が上がれば上がるほど、簡単な問題が出た場合は素早く確実に正答でき、難しい問題が出た場合に、すぐに切れる判断ができるようになりやすい傾向にあると考えていました。そうすることで管理会計の計算や理論に時間を充てられるようになると思います。

 管理は一番読めない難易度でしたので、自分なりの最低限を決めていました。理論で6問以上、計算で3問を確実に取り切ることです。そして、残りの問題で1問以上の運を発揮することを祈ることで、実力で50点以上は取り、運が良ければ70点に近づけられる目論見でいました。と言うのも難易度が高くても50点を取れていれば少なくとも遅れは取らないと思いましたし、簡単な場合は計算で確実にプラス2問は取りたいので、70点以上を目指せるようになるにはこれくらいの水準が現実的な気がします。

 また、短答の場合、選択肢から逆算するというテクニックが使えるので、問題の作成者はどこで引っ掛けさせたいのか(つまりはその論点のどこが差がつくのか)を意識して学習することで、正攻法でなくとも得点できる機会があると思います。(不利差異分ずれていたり、仕損費が抜けていたり)そういうテクニックは答練や模試をリアルタイムで受験し、時間がない中で6分の1を3分の1や2分の1にしてなんとか得点確率を上げる準備はしてもいいと思います。

短答(理論)

 
 使用教材:テキスト、一問一答

 進め方は財務と一緒です。また、計算と同様に原価計算からは原価計算基準から出題されることが多いので、どちらかというと原価計算をメインに勉強し、4問取り切ることを目標にしていました。管理会計はテキストと一問一答以外の事が出題されたら、その場の対応力次第だと思ったので、テキストと一問一答は確実にやろうと思っていました。

 結果として、2022年12月短答は、難易度が標準〜優しめくらいでしたので、78点まで得点できました。内訳は理論5問(偉そうに言っておきながら6問取れず笑)、計算7問(1問運が発揮されました)。短答で唯一期待通りの点数が取れました。

論文

 使用教材:テキスト、プレ答練、グレードアップ答練

 計算は答練で確認するのみで、メンテナンスがメインでした。ただ、例えば割り切れない答えが出た場合等に拠り所となる数値がないのが短答と異なる所で、最悪の場合、最初の計算が間違っていれば総崩れしてしまいます。逆に最初の計算は簡単なところが多いので、しっかり簡単な部分を取り切ることだけでも遅れは取らないと実感しました。

 余程できる方でない限り、短答の管理と同様に時間がないので、確実な正答数を増やして、どの問題数を飛ばすかについての要領を得る経験は重要だと思います。単位ミスも本当に気をつけて欲しいです。問題文の四捨五入の指示も見落とさないで欲しいです。私は本試験で見落としてしまったので、20分くらい費やした計算問題を落としました。。。
 
 理論は典型の問題が必ず出るので、そのような問題は必ず精度高く書けるようにしておくことは必須だと思います。ただでさえ、計算で稼ぎにくいので典型の理論で落とすとかなり足を引っ張るはずです。また、問6くらいに典型の理論が紛れていることがあるので、計算を飛ばしたからといって理論も飛ばすのではなく、答えられそうな理論の問題がないかを確認する習慣をつけると良いと思います。

企業法

短答

 
 使用教材:テキスト、一問一答
 
 進め方は他科目の理論と同様です。答練や模試で出題された判例等、テキスト未掲載の部分はテキストに書き込むことで、テキストに情報を集約させていました。ポケット六法も買っていましたが、短答時にはほぼ使わなかったです。短答の時から条文を意識していれば論文の勉強も楽になったと思いますが、当時はそんな余裕はありませんでした。当たり前ですが、一問一答をゴリ押しで暗記でも合格水準に達すると思いますが、条文をもとにしてなぜ正解なのか、不正解なのかをもう少し突き詰める事ができていれば、本試験で50点を取ることは無かったように思います。

論文

 使用教材:テキスト、プレ答練、グレードアップ答練

 論文から大きく内容が変わり、事例をもとに自ら答案を作成しなければ無かったので、論文になったことで一番戸惑った科目でした。ただ、問題提起→規範定立→当てはめ、結論といった決まった答案の型を学べば、論ズレを起こさない限り点数がそれなりにくるようになるので、やはり手を動かして答案の型が染み付くようになることが大事だと思います。また、条文を引くことになるため、よく引く条文はすぐに引ける、もしくは目次からすぐに引ける状態にならないと本試験では時間が足らなくなる可能性が高いです。なお、本試験で配布される基準集は事前に購入できる基準集と若干レイアウトが異なるため、場所で覚えるのではなく、条文番号で大体を覚えるのが良いと思います。

 また、論証は精度高く暗記する必要があるのですが、予備校間でも若干文言が異なっていたので、キーワードを外さないことやその条文の趣旨をなるべく深く理解すると良いと思いました。私の失敗としては論証を暗記して、事例ごとに当てはめを書く際に、その当てはめの精度が低く思ったより点数が伸びない事があったので、最後まで丁寧に問題文に合わせて当てはめを書くという点は意識すると良かったなと反省しています。

 そして、企業の論文で好きだった点は、結論が模範解答と異なっても、その理由さえ筋道だっていたら点数がくるし、なんなら結論だけ合っているより高い点数になるということです。判例なんて数えきれないほどある上に、それらを暗記するなんて無理なので、様々な条文の趣旨を学ぶ過程で企業法というか法律の考え方をインプットする意識を持つことが楽しく勉強できる一つのコツかな、と思います。

 本試験では完全初見の問題がでたり、民法の問題が出たりするので、自分の記憶の引き出しにある論証を無理やり記載するより、手元にある法令集から関連しそうな条文を引っ張って、その趣旨を自分なりに書いて問題文に対応する回答を書く意識で模試や答練に臨むと焦らず答案に迎えるので、おすすめです。

監査論

短答

 使用教材:講義レジュメ、問題集(過去問)

 監査論は一問一答は使用しませんでした。代わりに、過去問がまとめられている問題集を周回していました。1肢ごとになぜ正解か不正解かを検討していくとよくわかるのですが、過去問の問題がそのまま使用されているのもあれば、少し変わって出るものもあるので、結果的に過去問を解いていれば、そこまで低い点数は取らないのではないかと思います。ただ、監基報などの原文にあたる作業をもう少し増やせたらより良かったのかなとは思います。

 

論文

 使用教材:プレ答練、グレードアップ答練、レジュメ

 LECの場合、短答と論文で講義の内容がほとんど変わらないので、論文になって改めて受講する必要はなかった気もします。とはいえ、論文になったことで基準集を使えるため、基準集のどこに何が書いてあるかをしっかりインプットするために、答練等を通じてすぐに引けるようになっておくことは1つの鍵であると思います。また、基準集に書いておらず、受験生が暗記する部分については結構な精度で覚えておかないとかなりのビハインドになるので、暗記部分は精度高く書けるようになるまで何度も書いたり、ぶつぶつ言ったりしてました。

 私の場合は、レジュメはほとんど見ず、各答練で出題された暗記部分を覚え、解説部分までをしっかり読み込み知識を深掘りしていき、事例問題では、どこを参照すれば点数がもらえるかを確認する作業を行なっていました。とはいえ、事例問題は受験生間で差がつかないので暗記部分の精度と、基準集の使い方の2点を意識することが特に重要だと思います。

租税法

 
 使用教材:テキスト、問題集、プレ答練、グレードアップ答練

計算

 
 一番配点の重い法人税でいかに点数を拾えるか、が鍵を握っています。会計だとOKだけど税務だとNGだから加算、逆だから減算みたいなイメージで考えていけば、理解しやすくなったと思います。12月合格にしろ、5月合格にしろ租税には時間充てようと思ってもなかなか時間取れないと思うので、とにかく手を動かして「習うより慣れろ」を意識して問題に取り掛かりつつ、脳筋で解くのに限界を迎えた頃にテキスト戻ったり、講義を見返してました。そこでようやく、合点がいくことが私は多々ありました。

 所得税、消費税は難易度が年によって結構異なりますが、よほど時間がない方以外は点数を取るつもりでいった方が良いと思います。特に消費税は1度理解してしまえば点を稼げるようになるので、満点を取れる回が巡ってきたときに大きなアドバンテージだと思います。所得税は、控除の部分はほとんどが基準集に記載があるので、覚えるのはスッパリ諦めて時間を使ってでも基準集引きながら集計してました。

 気をつけていただきたいのは、問題文を全部見ることです。私は本試験で消費税の最後の問題ページを飛ばしてしまいました。幸い2023年の消費税は難易度が低くなかったため、致命傷にならなかったのですが、難易度が低かった場合、かなりのディスアドバンテージでした。

 最後に、これは受け売りではありますが、租税法の素点は例年高くないので、「7割着手し、7割正答する」これで計算は約5割取ることになり、これだけ取れていれば偏差値52に近いはずなので、1つこれを参考にされても良いかもしれません。

 

理論

 
 よく引く条文が存在するので、それらはすぐ引けるようにならなければ時間が足りないと思います。答練や模試で出題された条文をしっかり覚えていけば十分に戦えるようになっていると思います。個人的に勉強時間は最小ですが、最も効率よく点数が取れたのが、租税の理論でした。

経営学

 使用教材:レジュメ、問題集、グレードアップ答練

計算

 
 個人的に大学時代に少しだけ金融系の講義をとっていたので、導入はすんなりいけましたが、一番「わかったつもり」になってしまって後々のリカバリーが必要な科目になってしまいました。特に私の時にはLECの答練が簡単過ぎてしまったので、他校の模試で散々な点数をとってしまった事でやっと気づけました。

 公式の暗記はしなければならないのですが、公式を覚えて当てはめるだけでは他の受験生に差をつけられてしまうので、「今どの数値を求めたいのか?」「そのためにどの公式のどの部分が分かれば良いのか?」といった点までの理解が必要だと感じました。

理論

 範囲が広過ぎるため、予備校のテキスト、レジュメでマーカーを引いたところは完全に覚えるくらいで良いと思います。そこまで覚えていたら、十分に戦えるはずです。案外問題文にヒントが隠されていることも多々あるので、問題文も隅々まで読んで、記憶の引っ掛かりを探す作業は、習慣づけておいて損はないと思います。

終わりに

 12月短答も8月論文も試験の1ヶ月前くらいから合格できるか不安になっていました。ただ、お試し的な時期に受けた5月短答は、全然緊張せず「運よく受からないかな〜」と訳のわからない楽観主義が発動していました。

 試験直前になって緊張したり、不安になったりする気持ちは痛いほどわかりますが、そのような状態になっている時点で合格者争いの土俵に乗っていると思って良いです。本試験の教室にいる人全員が本気で合格しに来ていませんから。直前期の詰め込みは本当に侮れないので、緊張したり不安になったりしても最後まで1点を取りに行く姿勢を貫けば良いことあるんじゃないかなと思います。

 長文にお付き合いいただき、ありがとうございました。読んでいただいた皆様の何かお役に立てたのであれば幸いです。