ミュー太郎さん、卒一合格!

1 基礎データー

・ハンドルネーム:ミュー太郎
・年齢:23歳
・専門学校:TAC
・職業:フリーター
・選択科目:経営
・受験回数:2回目(1回目はA判定落ち)
・模試の成績:全国模試、最高は上位1パーセント程度
・得意科目:租税、簿記、管理、企業法
・不得意科目:なし
・勉強時間:入門期 4~6時間
・上級期 8時間
・直前期 8時間

2 はじめに

 ミュー太郎と申します。今回、スポックさんの合格体験記に応募させてもらって書かせてもらっています。勉強法や本試験の出来について具体的に書いていきたいと思うので皆さんの参考になれば幸いです。はじめに合格までの流れを書きます。

・某大学に入学
・6月に簿記3級取得
・11月、簿記2級取得
・12月よりTAC日商簿記検定1級講座に入学
・翌年、8月に簿記1級合格。点数は73点とぎりぎり
・同年、9月より2年本科入学
・大学4年時、短答受験。点数は34点とボーダーで合格
・短答は不合格と思い、短答発表まで勉強せず。当然、論文では不合格。結果はA判定落ち
・翌年に卒業
・7月短答合格。点数は84点。内訳(財務会計35点、管理14点、監査16点、企業法19点)
・同年、11月公認会計士論文試験合格

3 1回目の反省点

 僕は運よく2回目の受験で合格しましたが、1回目の受験時は精神的に非常に弱かったです。答練のあるたびに一喜一憂しており、ストレスが溜まりました。案の定、勉強に対する意欲がなくなり、2月からの2ヶ月間、一切、勉強しませんでした。

 短答は34点とボーダーで突破できましたが、予備校採点で33点であり、不合格を確信しました。

 経済学や経営学の勉強は授業さえ受けておらず、本格的に勉強を始めたのは合格が分かった日からでした。当然、合格発表のあった翌週にある全答練では下から数えた方が早かったです。

 それでも論文は諦めず、頑張りました。結局、落ちましたが、A判定であり健闘はしたと思います。当時の出来を公表したいと思うので、参考にしてみてください。10段階評価にしてみました。

・簿記 評価8  120点程度
・財表 評価7  概ね外していないと思います。
・経営 評価6  組織・戦略論ともOK。VRIOは書けず。ファイナンス論は穴埋め確か8個程度。論述は少し、外れていると思われます。
・管理 評価3  緊張で工程別さえも間違えてました。理論も合ってません。
・監査 評価4  第1問目は概ね良好。第2問目の報告論は平均よりも大分、下だと思います。
・経済 評価7  120点程度。意外に出来ました。
・商法 評価2  ありえないミスをしました。おそらく全受験者の中で最下位ぐらいの成績だと思います。

上記から分かるように管理、監査、商法で大きな失敗をしてしまいました。A判定で留まったのが不思議なぐらいです。個人的には2科目までの失敗なら、合格に達するかと思います。

 1年目は精神的に非常に弱かったです。それが敗因でした。

 ですから2年目は出来るだけストレスは溜めないように意識しました。あくまで答練は下馬評に過ぎないと思い、一喜一憂しないことを心がけました。

 また、自分の趣味を行い、適度にストレスを抜くようにもしていました。会計士試験などの資格試験は他人との勝負というよりも自分との勝負の方が重要になります。ですから、まず自分に負けないように頑張って下さい。

 当時、入門生で、なおかつ試験前に休んだ僕でもある程度は勝負出来たと思うので、決して最後まで諦めないで下さい。直前期の集中力は半端なものではありません。

4 勉強を始めるにあたって

 勉強を始めるにあたって、有用な勉強法を公開したいと思います。

(1)ガムを噛んで勉強する

ガムを噛むことは脳の活性化に繋がります。集中力も上がりますし、なにより30%程度も記憶力が上昇するらしいです。実験で証明されてます。

(2) ストップウォッチで正確な時間を計る

 ストップウォッチで正確な時間を計ることはどの科目にどのぐらい時間を割り当てたか分かります。また集中していた時間は案外、短いもので勉強へのインセンティブになると思うので有用です。きちんと勉強した時間をノートに記録して下さい。

(3) 割り当てる時間は不得意科目に大きく

 会計士試験の短期合格法は不得意科目を失くすことです。一能突出型のように得意科目に偏重した勉強法はかなり危険ではないかと思います。成績優秀者に載ることは気持ちのよいものですが、あくまで全科目満遍なく取るように勉強した方が不合格へのリスクを大きく減らせることが出来ると思います。

(4) 出来るかぎり1日に7科目を勉強する

 会計士試験とは忘却曲線との戦いであると思います。ですからネッチリやるよりも回転を意識しました。本試験までに何回転できるかが、勝負だと思います。

(5) 必ずアクセス等の解説は受ける

 上級生になるとアクセス等の解説を受けない人が多いです。しかし解説は必ず受けた方がいいです。僕は簿記以外の解説は必ず受けてました。授業中に重要な事を言ってることは多々あります。今回、それによって得た幸運は「論文レビュー」で後述します。

5 短答対策

<総論>

■合格目標点
 短答は全答練が終わった3月下旬から始めました。個人的にはその頃から始めても十分に間に合うかと思いますが、不安な方は少しずつその前からでも始めていくのもいいかもしれません。

 来年は短答免除の方も多数いますし、出来る限り短答は最小限の力で受かって論文に備えるというのが理想かもしれませんが、短答をぎりぎりの点数で通過した場合には合格発表までの期間はあまり勉強できないと思います。

 ですから、あまりぎりぎりを狙うのではなく75~80の間を狙って合格出来るような実力をつけたほうがいいと思います。本試験では予備校の解答が間違っている時やマークシートの記入ミスが多々、あります。余裕をみて75以上であれば合格確実です。
■租税法対策 この時期の租税法に関しては余裕のある方はある程度はやっておいた方がいいです。僕は試験の1週間前まで毎日、1時間ぐらいはやるようにしてました。今年に限れば、新試験初年度ということもあり比較的、受験者全体のレベルは低かったため、周りには短答後から勉強を始めて受かった人もいましたが、来年は短答免除者もいるわけですから、ある程度余裕のある方は毎日30分でもいいのでやっておいたほうがいいです。
■経営対策
 さすがにこの時期に経営まで手の回る方は少ないと思います。基本的にこの時期はやる必要なないかなと思います。この時期は短答の細かい規定まで覚える必要があるため、経営の知識をつめるだけの時間はないと思いますので、短答に専念して下さい。 一度、構築した知識であれば短答後からでも十分、間に合いますし、あまり経営に力を入れてこなかった方であっても論文までにはある程度の実力にはもっていけると思います。事実、僕もそうでしたので。

<各論>

■全体的に
 まず初めに某専門学校で発売される肢別問題がありますが、基本的にはやる必要はないかと思います。

 知識の確認にはもってこいですが、やりすぎは事務的になってしまいますので、柔軟性が損なわれますし、文言に慣れてしまい本試験特有の言い回しに戸惑います。ただし後述しますが、会社法だけは他校の模試等は活用した方がいいです。

ここで短答を勉強する際の意識した点を箇条列挙します。

1. 問題は闇雲にしない。

 自分の専門学校の問題だけでは不安かもしれませんが、問題の文言をそのまま暗記せず、肢一つ一つの知識を得れば合格を勝ち取れます。

2. 監査小六法は読まない。

 会計法規集で十分です。短答では細かい実務指針は出ます。しかし、監査小六法を読んだとしても意味内容は難しく、逆に混乱しますし、既存の知識でも十分、解答可能です。

 事実、僕は会計法規集だけで財表は1問間違いで済みました。費用対効果を考えれば、読む時間もないと思いますし、会計法規集だけでも大量にあります。

 人それぞれ考えはあるかと思いますが、5科目中の1科目で簿記よりも問題量が少なくかつ、その効果も不明と考えれば読まない方が賢明かと思います。

3. 他校の模試は1回は受ける。

 他校の模試は一回は受けた方がいいと思います。本試験でいきなり自分の専門学校と異なるされ出され方がなされた場合、混乱する方もいるかもしれません。ですから、他校の模試で一回、免疫をつけてください。

4. 委員会報告書はすべて読もうとしない。

重要な箇所、模試で出てきた箇所、前文を読めば十分です。

5. 企業法の条文は必ず読むようにして下さい。

 そういった意味ではTACの短答パワーアップは有用だったと思います。企業法は条文の文言どおり出題されることが多いです。今年は異常に短答は簡単でしたが、条文を読んだおかげで論文の知識もまとまりました。
■ 簿記
主に教科書の例題を中心に勉強しました。短答は論文では問われにくい論点も多々、出題があります。ヤマは張らず満遍なく勉強して下さい。

 今年の短答の傾向を見ても予備校のような形式で出題されてはこないと思います。ですから、専門学校で配布される短答問題を淡々とこなすだけでは本試験で痛い目にあいます。僕の周りにも今年の出題形式に戸惑い、かなり苦戦している人もいました。

 ではどのように勉強したらいいかと問われたら、抽象的になるのですが、本質的な理解が必要だと思います。簿記の処理に限っても常に財表とリンクさせて関連づけるようにして下さい。

 たとえば今年は範囲外であるはすの企業結合から出題がありました。TACでは企業結合に関して対策はしましたが、のれんの存在する場合の企業結合にはふれていませんでした。当然、受験者皆が初めて見る問題だったと思います。僕も始めは答えが出なかったですが、会計的に考えて答えを出し、正解に導けました。

そのような見たことのない問題に関しては決して諦めず、会計的にまず考えて下さい。

その時に本質的な理解が問われると思います。
■財表
 財表はT先生のレジメを中心に会計法規集を読み込みました。T先生のレジメは実務指針の重要な部分もまとめてくれているため、非常に役に立ちました。

 会計法規集の読み込みは重要な箇所を中心に読み込みました。ここで注意なのですが、あまり多くの読み込みはご法度かと思います。なぜなら基準の文言に慣れてしますからです。本試験は教授本来の文言で書いてきますし、他の肢との兼ね合いで基準の文言の正誤も変化してきます。

正誤を判断する際は必ず他の肢も読んで下さい。監査と財表は解釈の仕方により正解が異なります。他の肢との兼ね合いで正誤を判断して下さい。
■管理
 管理に関しては予備校と専門学校の間で大きく差はないと思いますので、予備校の問題をやれば十分かと思います。理論部分がかなり少ないため、そこはテキストを読んで対応できるはずです。

お薦めは予備校の短答問題のみならず、アクセス等も活用した方がいいです。体系的に問題にも答えるようになると思うので。どうしても短答の問題ではピンポイントで問題に対して答えてしまいがちです。
■監査 監査は論文の勉強と大差はほぼないです。テキストをベースに専門学校で配布される短答問題をやって下さい。
 短答問題では細かい実務指針も出題されます。今年も案の定、出題され品質管理基準からも出題がありました。

 しかし上記にも書きましたが、委員会報告書のすべてを網羅的に読む必要はないと思います。あくまで核となる部分さえおさえておけば、他の肢で正解を導ける事も多々ありますし、今年、出題された品質管理基準にしても常識的に考えれば正解に導けるものばかりでした。入門生でも案外、点数は取れた方が多いようですがそのためです。ですから費用対効果を考えれば、委員会報告書のすべてを読むのはあまり得策ではないと思います。

 具体的にはM先生がランク付けされた重要部分、短答問題で出てきた箇所、前文で十分だと思います。特にM先生のレジメはすごい完成度が高く、短答の肢でも2~3個は出てました。ぜひお薦めです。

 後、今年の問題に限っても問題自体が難しく解答後はそれほど手ごたえはありませんが、あくまで監査論の核さえおさえておけば案外合っているものです。
■企業法
 今年は短答の企業法の難易度が大幅に易化しましたが、条文の読み込みは必須です。来年は試験委員の方々も会社法の勉強が進み、比較的グレーだった部分の出題も出来ると思いますし、条文の読み込みは会社法の理解を促進させます。ただ読み込むだけでは短答のどの部分を覚えたら、いいのか分からないため必ず短答問題をやりながら条文に戻るといった形で勉強するといいと思います。

 個人的には短答対策に限っては専門学校の問題で十分だと思いますが、論文式を見越した場合には条文の読み込みは大幅に実力を上げます。すごく単調な作業かもしれませんが、後々、その効果を実感できると思うのでぜひ実践してみて下さい。

 そういった意味ではTACの短答パワーアップはかなりお薦めだと思います。TACの短答パワーアップは条文の横に解説が書いてあるので、理解を促します。

 また今年の論文式では支配人の就任の問題点が問われましたが、TACの授業では扱っていませんでした。しかし、短答パワーアップでは若干、扱っていたため精力分散防止義務まで書けました。  

 TACの短答模試では若干、知識は少ないと思います。他の専門学校はかなり細かい部分まで企業法の対策をしており、TAC生は他校の模試でけっこう苦戦をしたのではないかと思います。ですから会社法は他校の模試や肢別問題を活用したほうがいいです。僕も会社法のみ他校の問題をやってました。今考えれば、無駄な知識かもしれませんが難易度が高くなった場合には有効だと思います。

 最後ですが、今回は旧公認会計士試験の会社法の形式を踏襲しましたが、今年は多くの受験生が制限時間前に退出したという情報は上の方に伝わっているはずです。もしかしたら、来年はTACで出題したような司法試験チックな形式もありえるかなと思います。

 また毎年、合格者に対して協会から本試験のアンケートをとるらしいのですが、今年合格した多くの受験生が会社法の難易度について「簡単だった」という意見を書くと思います。

 それを受けて来年は難しくする可能性も十分にあるので今年は簡単だったから、来年も簡単になるであろうとは考えないで下さい。前年が簡単だった年の次の年はけっこう難易度は高くなる時が多いです。
■最後に
 最後に短答を受ける際の注意点を書きます。

1. 諦めないで下さい。

 難しいと思われる問題は皆がそう思っているはずです。また、諦めなければきっと光明も見えると思います。

2. 必ず他の肢も読む。

 監査と財表は特に他の肢との兼ね合いで解釈によっては正解にも不正解にもなりえます。ですから他の肢はきちんと読んでください。また先入観により間違った答えを選択している場合もあるので頭を冷やすにはいい方法だと思います。

3. 分からない問題が出た場合にはあくまで会計的な視点から又は常識的な視点から解答して下さい。

 深読みは禁物です。答えが裏目に出ることが多いので。

4. 余程の事が無い限り、一度選択した番号は変えない。

 変えた番号が正解していることが多いです。確実に間違っている保証が無い限り、あまり変えない方がいいです。

5. バツの肢を基点に、あくまでこの肢は間違っている事を前提に肢の粗探しをするように解答して下さい。

 また間違ってる箇所を発見した場合にはその間違い箇所にアンダーライン等を引いて分かるようにします。後で他の肢との比較考量をする際に有用だからです。

6.少しでも分からないと思った問題は出来るだけ後回しにして下さい。

 本試験には魔物で住んでいます。普段の自分なら確実に後回しにする問題も解こうとしてしまいます。

 後回しにすることによって、頭を冷やす契機にもなります。また人間の脳は無意識の内に物事を考えているらしいです。最初は分からなかった問題も時間が経って、再度、解いてみると意外にすんなり出来た経験はないでしょうか?それは無意識の内に脳が考えているからです。

6 論文対策

<総論>

■計算面
 計算面(簿記、管理、租税法)で意識したことは

(1)ミスノートを作る

(2)必ず毎日、計算は行うということです。

 (1)に関しては一時期しかやっていませんでしたが、点数がかなり安定し有用な勉強法だったと思います。案外、間違っている箇所は同じなので定期的にミスノートを見直すことは計算科目の安定的な点数に貢献すると思います。

 (2)に関してですが、ある程度のレベルに達した場合に計算科目は放置されがちです。しかし計算は毎日やらなければ理論科目同様、計算力は低下すると思います。ですから、毎日、計算は行うようにして下さい。応用期や直前期になると理論に時間を回してしまいがちですが、必ず計算は毎日して下さい。
■理論面
 勉強を行う場合にキーワードを意識しました。会計士の膨大な量を丸暗記しようと思ったら無理ですし、応用にも欠けると思います。ですからキーワードを繋げていくような形で暗記して下さい。

 また理解重視で暗記しました。本試験では既存の知識で解答可能な問題が多々、出題されますが、ストレートに聞いてくるのではなく特有の言い回しで聞いてきます。ですから理解重視の勉強を行わなければ、その問題に答えることができません。

 今年は減損会計の1問目では時価評価と取得原価主義との関係について聞かれました。説得力に欠けると思いますが、僕はこの問題に答えられませんでした。本試験特有の言い回しでした。時価評価と取得原価主義の関係については皆さんが知っている知識だと思うのですが、そこで答えられるか答えられないかは理解重視で勉強を行っているかどうかによると思います。

<各論>

■簿記
 テキストを中心に初めは勉強しました。個人的にはある程度、本試験の合格点を取るレベルにもっていくにはテキストの例題の復習で十分かなと思います。なぜなら本試験で合否を分けるのはあくまで基本的な部分であるためです。

 テキストの例題を何の違和感なく解けるようになれば、アクセス等をやりました。しかし、必ず一定時期にはテキストに戻って例題を繰り返しました。今、考えれば、そのおかげで簿記の処理スピードと正確性が上がったと思います。

 また問題を解く際に個別に限っては必ず相手勘定を意識しました。そうすることによって取りこぼしが減ったと思います。

 後、簿記に関してもしんどいかもしれませんが全範囲をやるようにして下さい。今年はまさかの本社工場会計の出題でしたし、論文では問われにくい帳簿の出題もありうるかもしれません。そのような場合にまったくやってなければ他の受験者に大きな差がつくことになりますので。

 最後に税理士試験の過去問は少し見ておいた方がいいです。会社法の改正で使えない部分もありますが、今年の会計士試験の問題を見ると税理士試験を担当されてた試験委員が問題を作ったようです。今までの会計士試験とは少し様相が違ったので税理士試験の簿記論又は財務諸表論の計算問題は役に立つのではないかと思います。
■財務諸表論
財務諸表論はT先生のレジメを中心に勉強しました。T先生のレジメはテキストプラスアルファーでいろいろなことを書いてあるので、為になりました。

 財務諸表論は特に他の理論科目と比べて理解の度合いが要求される科目だと思います。ですから特に理解重視で勉強を行って下さい。

 具体的にはキーワードから論点を書けるようにして、出来る限り丸暗記は避けるようにして勉強しました。

 本試験ではテキストのようなストレートな問われ方はされませんし、全部、暗記することは不可能かと思いますので。
■ 管理会計
 アクセスを繰り返ししました。答練はほぼ繰り返しはしませんでした。なぜならアクセスは基本的な問題の集合で出来ており繰り返すにはもってこいだと思ったこと及び答練は使いまわしが多くあまり役に立たないことが挙げられます。

 ただアクセスを繰り返すのではなく背景を意識して繰り返しました。管理会計は計算科目の中では理解が特に要求される科目であるため、単純な繰り返しはパターン化するのみであまり有用ではないと思ったからです。

 また理論にも重視しました。確かに管理に限っては理論の対策はしにくいと思います。しかし、まったくするのとしない場合では大きく異なると思います。具体的にはテキストを中心に読み込み自分のレジメにまとめたり、アクセスの理論をまとめたりしました。

 テキストでは情報が氾濫しすぎているので自分なりにまとめるのはいいと思います。個人的にはLの先生がかなりいいらしいので、授業をとったら良かったかなと思います。
■ 監査論
 テキストをベースにM先生のレジメで体系を理解しました。M先生のレジメは体系的な流れが書いてあるので、すごく有用かと思います。おかげで串刺しにした勉強が出来ました。また委員会報告書の重要な部分もまとめてくれていたため、皆が出来ていないところである監査計画の具体的な内容も書けました。M先生のレジメは短答・論文ともかなりお薦めです。

 また監査論は報告論と実施論の関係などで関係する部分が非常に多いです。ですから横断的な論点を意識した上で勉強するようにして、常に他の論点とリンクさせるようにしました。

さらに監査論は特に委員会報告書の前文は重要になってくると思いますので、論文直前には前文は読み込む方がいいです。僕は読まずにいって失敗しました。前文は全体的な事を書いており理解に役立ちますし、前文から今年は直撃して出題されました。
■ 租税法
 テキストのみ繰り返ししました。アクセス等は知らない論点のみやり、一切、復習はしませんでした。なぜならアクセス等は網羅性と柔軟性に欠けること、及び租税法は会計士科目の中で膨大な量があるため、7科目のバランスを考えればテキストが一番、効率的な学習法だと思ったからです。

 テキストのみで毎回の答練はほぼトップに近い成績であったし、なおかつ効率的に勉強が出来たので有効な勉強法だったと思います。また今年の理論問題にしてもテキストをやっていたおかげでバイオリンの問題は満点を取れたと思います。
■経営
 T先生のレジメのみを繰り返しやりました。T先生のレジメはすごく細かい事も載っているので非常にためになりました。おかげで内部化理論も書けたと思います。またオプションの細かいところまでやっていたので、オプションもそれなりに出来ました。T先生は去年のVRIOも当てたのでかなりお薦めです。

 具体的な勉強方法は他の理論と変わりません。キーワードを中心に覚えていき、後は自分の文章で繋げるといった形です。経営は突き詰めれば範囲は膨大になるのであまり深入りしないように勉強しました。

 個人的に日経新聞を読むのも経営の勉強になると思いますが、ある程度余裕のある方が行う方がいいです。あくまで与えられたテキストを中心にやって下さい。

 ファイナンス論については理解重視で勉強を行って下さい。ファイナンス論は少ない時間で高得点を取れるのでぜひ得意分野にして下さい。管理や簿記などの計算科目と比べると得意分野にしやすいのであまり苦手意識は持たないで勉強できると思います。
■ 企業法
 K先生のレジメを中心にテキストは補足で使ってました。企業法は他の理論科目に比べて大きく差のつきやすい科目です。ですから苦手な方も最低でも合格点にもっていけるように勉強して下さい。企業法の成否は会計士試験の合否に関係するといっても過言ではありません。

 また勉強する際には必ず条文は開くようにして勉強しました。勉強をするにつれて条文を開くのが億劫になりがちですが、条文を頻繁に開くことは答案構成の際にかなり有用です。

 また出来る限り条文番号を覚えました。確かに条文番号は探せばいいかもしれませんが、それでは答案構成の時間が少なくなってしまいますし、なにより漏れが生じるおそれもあります。さらに見たことのない問題が出た場合には差し障りのない解答を書くことが重要です。

会社法は

・関係のないこと
・嘘を書くこと

は大幅な減点対象になります。

 そのような場合に条文から答えを導く方法が一番、無難な方法です。以上から条文は出来るかぎり開いてなおかつ覚えるようにしてください。
■ 論文を受けるにあたって考慮事項
(1) 1点でも多く取るような姿勢で試験に臨む

 今年から新たに偏差値採点の導入、試験委員の分担で採点が行われるようになりました。統計学の専門でないため、あまりつっこんだ事は言えませんが難易度の異なる問題においての1点は異なります。

 たとえば、ある科目で平均が10点で、15点取った場合にはその時点で他の平均的な受験者との差が5点ではありません。受験者がどの範囲に多く偏っているかによって、偏差値は大きく変化します。たとえ素点では5点の差であったとしても偏差値的には大きく引き離され、調整後の点数で大きく差がつく可能性もあります。

 回りくどい言い方でしたが、何を言わんとしてるかは必ず1点でも多く点数をとる気持ちで論文は受けて下さい。その1点が大きな差になることも十分ありうるからです。

 難問であっても皆はあまりできずに多くの受験者が低い点数に固まる事が予想されます。そんな中で1点でも多く捥ぎ取る場合とそうでない場合と比べて合否に大きく影響します。

(2) 空欄は絶対に作らない

 空欄は素点では0点です(注:偏差値の調整後の点数では点がつく可能性あり)。何かは必ず書きましょう!

 絶対に空欄は作らないように心がけていたのですが、今年の本試験はとても難しく会計学で空欄を作ってしまいました。論文後はすごく後悔しましたし、なにかしら書いていたほうが少しでも点数はついていたのかもしれません。

 どんなに難しい問題であっても必ずなにかしら書いて下さい。

(3) 少しでも分からないと思った問題は出来るだけ後回しに

 少しでも分からないと思った問題は出来るだけ後回しにして下さい。本試験には魔物で住んでいます。普段の自分なら確実に後回しにする問題も解こうとしてしまいます。

 後回しにすることによって、頭を冷やす契機にもなります。また人間の脳は無意識の内に物事を考えているらしいです。最初は分からなかった問題も時間が経って、再度、解いてみると意外にすんなり出来た経験はないでしょうか?それは無意識の内に脳が考えているからです。

(5) 傾斜配点

 今年から偏差値採点が導入され、傾斜配点が旧公認会計士試験と同様、採用されているかは不明ですが(偏差値採点の場合、あまり傾斜配点は意味がないからです)、あくまで皆が取れる問題はしっかり取るようにして下さい。 会計士試験はハーディングが重要であるため、皆が取れるところを取ることはかなりのリスクヘッジになります。また平均点が高いということはそこの問題は比較的取りやすかった問題だからです。

(5) 出願する場合には出来るだけ出願期間の中日で出願する

 これは合否との関係は不明ですが、あくまで気持ち的な問題です。根拠はやはり受験番号の早い順に比較的、優秀者が固まりやすい傾向にあるからです。短答合格率を見ても比較的早い順番の受験番号の方が受かってます。もし成績優秀者の母集団に入った場合には偏差値的に取りにくいですし、多少のミスも目立ってしまいます。やはり試験委員の方々も人間ですので、前の答案がすごく出来る又はすごく出来る答案が続いている場合にはどうしても点数は辛くつけてしまいがちです。

 また出願期間の最終日に出願しないのは最後の方に出願した場合には他の受験地の最初と連結されてしまうおそれがあるからです。

 以上から早く出願しすぎず、かつ遅くしすぎずというのが最もいいのではないかと思います。

(6) 字はできるだけ丁寧に

 字はできるだけ、丁寧に書くように心がけて下さい。僕は字がうまい方ではありませんが綺麗に書こうという意思があれば採点者に伝わります。

 試験委員の方々も人間です。たとえまったく同じ文章だったとしても見栄えは字が丁寧な人の方が良く見えるため、点数は高くつけてしまいがちだと思います。

また試験委員の中には字が汚い人の答案自体をかなり批判していらっしゃる試験委員もおられるらしいです。何千枚の答案を採点する試験委員となったら、字が丁寧である者とそうでない者との答案を見比べた場合、どっちの方が点数は高くつけたいかは明白ではないでしょうか。

予備校はどうしても答案を返却しなければならないため、きちんと採点されますが本試験は返却する必要はありません。採点は闇の中です。そうなった場合に少しでも合格確率を上げるためには字は丁寧に書くように心がけて下さい。

 また字が丁寧な場合には間違いは発見されにくいです。どうしても汚く書いてしまうとじっくり文章を読んでしまうからです。

 最後ですが、試験委員の講演会で好まれる字というのは読みやすい字であると言っておられました。あくまで達筆である必要はなく、楷書できっちり書くようにして下さい。試験委員がTACの優秀答案を採点してましたが、字の印象によって大きく点数は異なってました。

(7) 答案は出来るだけ簡潔に

 優秀な答案とはどのような答案でしょうか。試験委員に簡潔に言いたいことが伝わる答案だと思います。

 そのような答案を書くには簡潔に出来るだけ短く書くことだと思います。試験委員は何千枚も採点しています。自分がもし試験委員なら、ダラダラ書いている答案よりも言いたい事をピンポイントで簡潔に書く答案の方がストレスが溜まらず読めますし、見栄えのいい答案ではないでしょうか。

 どうしても自分の分からない問題が出た場合には出来るだけ多く文章を書いて不安を払拭しがちです。ですが文章を書きすぎることは自分が分かってないことを露呈するようなものです。ですから、分からない問題ほど分かっていることだけ書くように意識しました。

 短く文章を書く方がかなり難しいことだと思います。今年の会社法の問題が良い例です。まとめるのがすごく難しいので。

上記はあくまで主観も入っているので最善の方法ではありません。自分で取捨選択して、いい方法のみ取り入れて下さい。

7 論文レビュー

<財務会計(午前)>

 評価 6

 費目別

 労務費は合っていたのですが、計算はなぜか材料費のところが間違ってました。費目別の表は埋めましたが、6割程度の出来だと思います。 製品原価計算は時間の関係上とばしました。 理論はかなり出来たと思います。JITと繋げれましたし、最後の理論も品質原価計算に繋げて書けました。 資料にある条件は出来る限り使うようにして下さい。試験委員の意図的にはJITに繋げて書いてほしかったと思います。

 標準原価計算

 計算はすべて合ってました。理論は最初の理論は時間の関係上、あまり書けなかったです。他の理論は比較的書けたと思います。 最後の理論は予算スラッグと予算ゲームについても言及しましたが、実際、書いていいものかどうか不明です。

 標準原価計算

 計算は差異と利益の一番上まで出来ました。他の計算は全滅です。 理論はかなり出来たと思います。専門学校の解答とほぼ一致していたので。

 設備投資の現在価値計算

 計算は5問中3問正解。理論は始めの2つは出来ました。最後の理論は再投資の仮定は書けましたが、その後は書いたのは書いたのですがけっこう適応に書いたと思います。

 総括

 個人的には5割程度できたら、合格かなと思います。本試験は決して良い出来ではありませんでしたが負けない程度の点数は取れたと思います。 本試験は理論の配点がけっこう高いらしいので理論はしっかり書きましょう。

<財務会計(午後)>

 評価 4

 本社工場

 6割程度のできだったと思います。本試験では数字を書いてこなかったので正確な事は分かりません。

 融合問題

 一問目の理論から意味不明でした。一応は適当に埋めましたが、点数はかなり微妙かと思います。計算は全体で15問程度。未達の理論はそれなりに。 最後の理論はほぼ白紙です。

 財表

 減損の一問目から論点ずれ。情けで少しぐらいは点数はあったかもしれません。減損の二問目は少しかすった程度です。 繰延税金資産は回収可能性まで言及できたため書けました。年金資産は要件は挙げられず、差異の処理についても数理計算上の差異まで書けなかったです。 売掛金はそれなりに。リースはほぼ白紙です。

 総括

 会計学(午後)は全体的に失敗したと思います。平均より下なのではないでしょうか。

<監査論>

 評価 8

 一問目

 統制環境を選択。定義は旧基準で書き、理由はかなりできたと思います。着眼点を見ていますと今回、統制環境以外は点数はつかなかったみたいです。 ITは全般統制と業務処理統制の定義を書き、全般統制がかなり重要みたいな事を理由付きで書きました。解答のポイントでは全般統制を書くのは正解だったみたいです。 品質管理基準からの問題は差しさわりのないことを書けたと思います。 独立性は書けました。お互いの監査法人の留意点も書けました。最後の倫理の問題は(ア)を選択し、たとえ継続企業の重要な疑義が出ていたとしても、会計士たるもの適正性に対して意見を表明すべきという観点から書きました。

 二問目

 基本的には全部出来ました。詳細な監査計画もM先生のおかげで出来たと思います。唯一、特別検討のリスクは監査要点を挙げてしまい、できなかったです。TACでは扱ってなかった論点であったためTACの多くの受験生が出来てなかったと思います。

 総括

 監査論は全体的に良く出来たほうだと思います。合格におおいに貢献しました。

<租税法>

 評価 9

 理論

 22条はかする程度で出来たと思います。その下の問題は結論だけは合ってました。理由付けはかする程度です。

 事業所得と給与所得の違いは自分の言葉でそれなりに書けたと思います。バイオリンはほぼ満点の出来だと思います。必要経費が0までいけました。これはテキストのみをやっていたこと及びアクセスをの解説をきちんと受けていたためです。アクセスの解説で雑損控除と資産損失の違いはかなり重要であるため、しっかり解説されていたためです。周りにもバイオリンは資産損失まで書けた人はいました。TAC生にとってはバイオリンが唯一、取りやすかった問題かと思います。

 計算

 法人は6~7割手程度。消費は8割程度。消費は納税義務の判定以外は出来たと思います。仕入等の課税標準額では売上手数料の300万は含めませんでしたが、僕が思うにあの問題は出題ミスではないでしょうか。おそらく試験委員の意図的には資料の数字を使って欲しかったのですが、資料の数字が300万より少なかったのは0の一個付け忘れかと思います。 かなり悩みましたが結局資料の数字を使いました。本試験ではこのような出題ミスはあります。その時はあまり悩まず、出来るだけ資料の数字を使った方が無難かなと思います。たとえ間違ってたとしても資料の数字の方が絶対なので。

 総括

 租税法は理論がかなり出来ました。今年は新試験初年度もあり、租税全体のレベルが低いことを考えれば全体的にかなり出来たと思います。

<企業法>

 評価 6

 競業避止義務

 一問目は競業の要件を書いてあてはめただけです。包括承認やB社側からの手続きにも触れることができなかったのでかなり出来は悪いと思います。一応、競業認定しました。個人的には結論はどちらでもよく論理的な説明さえ出来れば合格かと思います。 支配人はけっこう書けたと思います。精力分散防止義務及びC社側からの手続きにも言及できました。

 委員会設置会社

 一問目は比較的書けたと思います。しかし二問目が監査・監督の視点から書きましたが、答案構成が悪かったと思うのであまりよくは書けなかったと思います。

 総括

 全体的に出来てない部分が出来た部分に中和されて出来は合格点程度だと思います。

<経営>

 評価 7

 組織・戦略論

 内部化理論は普通に出来ました。T先生のレジメで扱っていたので書くことが出来ました。グラフは日本が付加価値の高い製品を輸出で中国が標準的な製品を輸出と書いて出来は微妙かと思います。3問目のキーワードは意味が分からず繋げるだけでした。 選択するキーワードは予備校と一緒で構成的にも2つとも予備校とほぼ一緒でした。

 ファイナンス論

 設備投資は7問/9問、オプションは10問/16問で計17問でした。オプションはT先生のレジメでかなり細かいところまで扱っていたので出来ました。

 総括

 経営は内部化理論やオプションも出来たため、けっこう出来たと思います。

<全体的に>

 今回は会計学(午後)がかなり失敗したと思います。他は比較的、問題のないように思います。 上述したように2科目までの失敗は大丈夫なのかなと思います。特に会社法については会計士試験の科目の中で1番重要だと思います。

8 最後に・・・

 一能突出ではなく満遍なく勉強を

 会計士試験の短期合格に欠かせないのは満遍なく勉強をして、不得意科目を失くすことです。得意科目に偏った戦法は本試験の難易度及び体調によって大きく左右されます。合格者を見ていると比較的満遍なく出来る人が受かってると思います。

満遍なく出来るとはすべての科目が成績優秀者に載る程度のレベルではなく平均よりも若干上の点数を取れれば十分です。

 あくまで全答練を意識して勉強しました

 全答練は本試験の合否と相当程度、相関すると思います。中には上位者も落ちていますが、全答練で成績をとってる方の大半は受かっています。ですから当面の目標は全答練で成績をとれるように実力を上げて下さい。

 最後まで決して諦めない

 何度も言ってますが、最後まで決して諦めてはいけないと思います。それは本試験においてもそうですし、本試験までの勉強の道のりにおいてもです。1年目は経済・経営の授業さえまともに受けていない僕でさえA判定まで成績を伸ばす事が出来ました。

 それはたとえ全答練の成績が悪くても最後まで諦めなかったからです。最後まで諦めなければ、問題によっては合格することも可能かと思います。また直前期の集中力は通常、勉強するときとは大きく異なります。来年にも大いに繋がります。そのおかげで2年目は満足のいく成績をおさめれたと思います。

 ですから決して、最後の最後まで決して諦めないで下さい。僕自身も会計学の午後を受け終わった時点で不合格を確信しました。しかし最後まで諦めなかったおかげで合格を勝ち取れたと思います。