再現マン5号
公認会計士二次試験<2005合格体験記>
by 再現マン5号Ⅰ自己紹介
2005年度の再現答案に応募していた再現マン5号と申します。勉強期間は2年、受験回数は2回、25歳です。無事合格し、こうやって体験記を書けるのはまことにありがたい限りです。
以下、私の勉強方法をどんどん晒していきます。読んで下さる方の参考になれば幸いです。
Ⅱ専門学校・受講していたコースについて
専門学校は、1年目:TAC チャレンジ本科生
2年目:TAC 上級圧縮本科生
で勉強していました。
チャレンジ本科というコースは、会計士講座のスタンダードな1.5年本科や2年本科のカリキュラムを、1年で出来るように圧縮したコースです。また、2年目の上級圧縮本科も通常の夏上級や秋上級より授業回数が少なく、そのぶん授業のテンポが非常に速いコースです。なぜこれらを選んだかについても勉強法というか自分なりのスタンスがあります。
まず、授業の進むスピードが速いと授業中に寝ることが少ないこと、授業回数が少ないのでその分自習に充てる時間が増える、さらに頭の中にも圧縮されて入ってる気がする(気のせいかも(^^;))ので、授業回数の少ないコースを選びました。
もし、自分が短期集中型だと自覚している人は、同じ2年間勉強するとしたら、2年本科よりもチャレンジで1年+上級圧縮で1年の合計の2年で勉強するほうを強く薦めます。
Ⅲ受験生活について
1年目はチャレンジ本科で授業の進むスピードがとても速く、復習などとても追いつきませんでした。でも本気で1年で合格してやろうとは思っていました。短答式試験は論文式試験を受けるための足きり的な位置づけだと甘くみていたので短答対策はあまりせず案の定1年目は短答で落ちてしまいました。短答式の時点で約8割が落ちるということをもっと強く認識する必要があったと思います。そのあと去年の短答終了後の6月から10月はバイトしまくり遊びまくりの状態で勉強からは完全に遠ざかっていました。そして11月からは上級圧縮に進み、今年の本試験までただひたすら勉強していました。私は主にTACの自習室で勉強していました。友達とご飯を食べていたり休憩室においてある新聞を読んでたらついつい長い間休憩してしまいがちです。そこでご飯は30分以内でとか新聞は日経だけ読むとかルールを決めておくとメリハリがつきます。
Ⅳ勉強法総論
自分の勉強法で特徴的なものとして、1日で1科目全範囲をやることと、
自作の確認問題
があります。
1日で1科目全範囲
公認会計士試験は全部で7科目もあり、試験範囲は膨大です。なのでいかに「分からない論点」や「自分が一度もやってない論点」すなわち、穴や漏れをなくすかが問題です。(特に短答) これは出ない、やらなくていいという保証はありません。公認会計士試験全範囲でテキストや答練に載っていて本当にやらなくていい、出題されても埋没論点になる論点は原価計算(管理会計)のシンプレックス法ぐらいだと個人的には思います。もちろん基礎的な論点は必ずマスターしていることを前提でです。これは出ない、やらなくていいと自分で決め付けていては解けるところ自体が少なくなってしまいます。それに予備校のテキスト全範囲を網羅している自分が解けない問題は他の人も解けないはずだとの強い自信が出てきます。[*ただし↑のことは1年目でチャレンジコースなどの短期コースの人の場合は時間的な制約があったり、一度に頭に入る量も限られるので、
これは出ない、やらなくていいという取捨選択はある程度必要です。1発合格を目指して効率よく短期間で勉強する場合には、各論点の重要性を考慮して効率よく勉強することが1年目では最も合理的だと思います。]
そこで私は1日1科目だけを集中して全範囲を網羅する勉強方法をとっていました。1日で1科目全範囲を終わらすのは無理だろうと思われますが、慣れれば実際できます。詳しくは下のⅤ科目別勉強法に載せておきます。1日1科目だから、1週間で7科目全部仕上がります。3ヶ月あれば全試験範囲12回転できます。(実際には授業や答練があるのでそんなにできませんが) 10回転もすればテキストのどの位置に何が書いてあるかとか、大袈裟に言えば何も見ずにテキストを自分で執筆できるくらいのレベルになります。短期間で何回転もすると、公認会計士2次の試験範囲ってそんなに広くないよなあと錯覚します。
自作の確認問題
全範囲を網羅するにしても、テキストをただ見てるだけではなかなか頭に入りません。アウトプットを意識しながらインプットをする必要があります。そこで自作の確認問題です。予備校の答練を問題集としてやるのもいいですが、それでは「漏れ」が発生してしまいます。テキストには載ってるけど答練には出題されなかったところって結構あります。
そのためテキストの範囲を全部網羅するように自分で問題を作りました。
問題といっても予備校の答練のように表現をひねった問題でなく、ダイレクトに「減価償却の定義は?」とか「一取引基準の長所短所は?」とか「偶発債務と偶発損失の違い述べてみ?」など単純なものです。頭に解答を浮かべたら、答えはテキスト(レジメ)に載っているのでそれを確認です。ちょうどTAC監査論上級テキストの章末に載っているような確認問題みたいなものを作っていました。問題を作っていると、作問する側の気持ちも少し分かってきます。
Ⅴ科目別勉強法
簿記(財務会計論)
簿記はひたすらテキストに載っている例題を解きました。アクセス(早朝答練)をやり込むのもひとつの手ですが、テキストには載っているがアクセスでは出題されなかった部分もあったりします。なので、「漏れ」を防ぐ意味でテキストを中心とし、アクセスはあくまで確認程度にやるようにしていました。アクセスに出題されたが、テキストには載っていない部分があればそれをテキストのほうに書きこむようにしていました。さらに、間違いノートを作り、ケアレスミスしやすい点をリストアップしていました。簿記の勉強をする時間がないときはこの間違いノートをチェックして終わりです以下1日でやっていたスケジュールです
7時半~11時半 TAC上級マスターⅠのテキストに載っている例題を最初から解く(似たような問題が複数あり手間のかかるものは飛ばす)
12時~20時 上級マスターⅡのテキストに載っている例題を最初から解く
20時~22時 間違ったところをもう一度見なおす。または入門・基礎期のもので気になるところの確認
財務諸表論(財務会計論)
財表は関西TACのT先生のレジメをひたすらやっていました。T先生のレジメは300ページ近くもあり、実務指針も載っているのである意味テキストよりボリュームがあります。T先生のレジメでなくてもテキストをひたすらやり込むのもいいと思います。私はレジメを準拠に確認問題を作っていました。
以下1日でやっていたスケジュールです
7時半~11時半 レジメ前半(総論~資本会計)をやる
12時~18時 レジメ後半(金融商品~税効果)をやる
18時~22時 論点集の確認
原価計算(管理会計論)
TACの上級テキストは理論しか載っていなくイマイチだったので、関西TACのF先生のレジメをひたすらやりました。これもレジメに対応した理論の問題を自分で作っていました。以下1日でやっていたスケジュールです
7時半~11時半 レジメ標準原価計算あたりまでをやる
12時~17時 レジメのこりをやる
17時~22時 テキストを適当に見る
監査論
監査論もただひたすらテキストをやっていました。TACの上級テキストは章末に確認問題が載っているのでそれをやりましたが、他校のテキストを使っている場合は自分で確認問題を作ってみるのも良いと思います。以下1日でやっていたスケジュールです
7時半~9時半 テキストを総論・監査基準・主体論までを終える
9時半~11時半 実施論の途中(監査計画あたりまで)
12時~16時 実施論(試査~経営者確認書)
16時~19時 報告論
19時~22時 総合論点・証取監査・商法監査 時間があればITも
商法(企業法)
商法の論証の勉強は、暗記が先か理解が先か悩むところです。しかし、必ずしも明確に暗記と理解を別個に考える必要はなく、私は理解しながら暗記を心がけていました。論証パターンの暗記のためには理解が必要で、同時にある程度覚える部分も必要です。商法の短答対策は条文を読むぐらいで特に何もしていませんでした。条文の読みこみは短答だけでなく、条文の位置を把握するためにも論文の勉強にも役立つと思います。
以下1日でやっていたスケジュールです
Aパターン(短答用)
1日中条文とテキストの読みこみ
Bパターン(論文用)
1日中論文問題集の読みこみ
経営
経営も関西TACのT先生のレジメをひたすらやっていました。T先生のレジメに対応した確認問題を自分で作っていました。
本試験で出たホールドアップ問題も確認問題のおかげでレジメに書かれていることを適切に書けたと思います。
以下1日でやっていたスケジュールです
7時半~12時 入門レジメと上級のレジメ
13時~18時 試験委員対策のレジメ
経済
経済は大大大の苦手科目でした。各論点の計算パターンを慣れで覚え、理論的背景みたいなものを意識しつつ勉強しました。古典派ならこう、ケインズならこう、というふうに対立した考え方を比較しながら勉強していくと頭に入りやすいです。今年の経済の問題がやたら簡単で助かりました。経済はTACの鏡先生のレジメをひたすらやりました。
以下1日でやっていたスケジュールです
7時半~14時 ミクロ全範囲
15時~21時 マクロ全範囲
Ⅵ計算科目の強化について
計算科目の確認のためにはアクセス(早朝答練)が最適です。私はアクセス簿記全50回を5日で、アクセス原計全50回を5日で、アクセス経済30回を3日で回していました。だいたい1日で10回分は解いていました。慣れてくるとアクセス簿記と原計の入門基礎期1~20回は不要になるので、簿記3日、原計3日、経済3日の合計9日で計算を一通り回せます。基本はⅤの科目別勉強法をやっていましたが、計算科目強化期間を設けてこれらアクセスを回していました。アクセスは2005年度のを使っていては全てが揃うのが6月になるので過年度(2004年度)のを使っていました。
Ⅶ理論科目の定義について
本試験では見たこともないような問題も出てきます。かといって全く白紙で提出するわけにも行きません。そこで定義だけでも最低限かけるように私は定義を多めに用意していました。ただし、問われていることに全く答えておらず定義しかかかれていない答案は試験委員側にとってかなり印象が悪いです。いわゆる定義バカになってもいけません。定義はあくまで誰もできないような問題で部分点がくるのを期待するためや、解答欄の余白を埋めて見栄えを良くするために書くのであって、解答すべき肝心の論点が抜けていてはもとも子もありません。また、とりあえず定義を書いているうちに解答すべき論点を思い出すことや、定義自体が問題の解答になっていたりします。寝る前に定義を覚えると記憶が定着します。答練の成績
再現答案のページで全答練の成績がC判定とありましたが、実は、商法の13問目と14問目の解答用紙を逆にして書いてしまい、13問目と14問目の点数が0点になってしまいました。そこでC判定程度とぼかして載せてもらうようにスポックさんにお願いしました。おかげで同じような間違いをしないように本試験では細心の注意は払いましたが(^^;)なので成績があまり参考にならないので下に普段の答練の成績を載せておきます。上位2%から76%までかなりばらついています
簿記 直前ドクター 第1回 上位65%程度
第2回 未受験
第3回 上位34%程度
第4回 上位61%程度
原計 直前ドクター 第1回 上位10%程度
第2回 上位59%程度
第3回 上位12%程度
第4回 上位68%程度
財表 直前答練 第1回 上位21%程度
第2回 上位65%程度
第3回 上位7%程度
第4回 上位8%程度
監査論 直前答練 第1回 上位52%程度
第2回 上位51%程度
第3回 上位2%程度
第4回 上位49%程度
商法 直前答練 第1回 上位3%程度
第2回 上位56%程度
第3回 上位26%程度
第4回 上位63%程度
経営学 直前答練 第1回 上位41%程度
第2回 未受験
第3回 上位37%程度
第4回 上位15%程度
経済学 直前答練 第1回 上位76%程度
第2回 未受験
第3回 未受験
第4回 上位70%程度
おまけ-租税法について
実は学生時代の時に税理士試験の法人税法と消費税法の勉強をしたことがあるので、租税法についても少し書きます。まず、税理士試験と大きく異なるのは理論の比重が少ないことです。税理士試験の税法の理論は覚えることが膨大で大変ですが、会計士試験ではサンプル問題を見る限り、配点が1割くらいしかないので無視して良いと思います。それで計算ですが、これもやはり覚えることがかなり多いです。短答後から始めると到底無理です。来年の試験で一番租税の点差が激しいと思います。身についていれば簡単に解けるが、知らなかったら全く解けません。租税法という科目を1日で1回転するのは無理だと思います。最低でも法人税法で1日、所得税・消費税法で1日くらいかかりそうです。
・就活について
今年は監査法人側の求人の増加と、合格者数の減少により就職状況は超売り手市場だったと思います。私も第1希望の監査法人にすんなり内定をもらいました。ちなみに今年は関西では試験後すぐに就活があり、関東では合格発表後に就活があるようでした。面接でも変に飾る必要はなく、自分の価値観ややりたいことを素直に伝えれば良いと思います。聞かれたことは、自己PRと監査法人に入って何がやりたいか、趣味は何ですか?など普通の会話程度のことでした。終わりに
合格できるか否かを決定付ける要因は、モチベーション・受験勉強の環境・総勉強時間・集中力・試験当日のコンディション・運などいろいろあります。どんなに努力しても、本試験で出題された問題との相性など運による影響を全く排除することはできません。しかし、努力すればするほど自分の合格する確率があがることは確かです。
どんな問題がでるかどうかとかに関係なく、どんな問題が出ても合格できるように日々の勉強で準備していくことが7科目もある公認会計士2次試験で重要であると私は思います。