為さん-高卒一発合格者の勉強法
1.はじめに
はじめまして。2006年公認会計士試験に一括合格しました為と申します。この度合格体験記を書かしていただくことになりました。今後受験される方々の少しでも役に立てば幸いと思います。まずは簡単に私のプロフィールを記します。
専門:大原
受験回数:1回
選択:経営
合格年齢:20歳
大学:行ってません
簡単に羅列してしまえばこんなところです。補足程度に説明しますと、高校3年生のときに大学受験に失敗し、そのまま専門学校(つまり大原の専門課程です)に行くというありがちな進路をとる。そして4月から勉強を始め、1年後に無事合格を果たしました。
そのため、一括&一発の高卒会計士とやや特殊な人間です。
今回の体験記はあくまで私の経験から書くものですので、再受験生の方や大原以外の専門学校に行っている方にはあまり参考にならないかもしれませんが、ご了承ください。
2.勉強方法の確立
これは皆さんも何となくイメージ付くかと思いますが、受かるための勉強方法は正直人それぞれだと思います。今年の一括合格者は1372人ですから、極端に言ってしまえば今年の試験に受かるための勉強方法は1372通りあるのではないかと思います。では、来年受かるための勉強方法とは?
上述したとおり、勉強方法なんて人それぞれです。そして、向き不向きが必ずあります。ということは自分にあった勉強方法は最終的に自分で発見(もしくは開発)しなければならないわけです。
時期別や科目別の私の勉強方法については後で細かくやりますので、ここでは割愛します。ここでは私が実際にやった「自分にあった勉強方法を探索した方法」をいくつか紹介したいと思います。
Ⅰ.まずはとにかく色々試す
CPA-LABさんに掲載されている他の合格者の方々や、答練で常に上位をとってくるような受験生仲間等々。そういった方々は大なり小なり自分なりの勉強方法を確立されていると思います。そういった人に色々聞いて、それを自分自身で試してみたり。他にもネット上である短期記憶法とか先生に教わるとかそういった勉強方法を調べるというのはさほど苦労しないと思います。もちろん以前高校や大学等を受験した際の自らの経験を活かすのも有りです。
最初から自分に合った勉強方法がわかれば誰も苦労しません。大事なのは数ある勉強方法から自分にとっての最適な方法を見つけることです。
Ⅱ.答練を指標にする
答練のために勉強するのはナンセンスですが、答練をペースメーカにするのは良い方法だと思います。つまり、答練の範囲にあわせて勉強する範囲等を決定していくという意味です。さて「自分に合った勉強方法」とは極端に言ってしまえば、自分が本試験で点数が取れるようになる(つまり受かる)勉強法のことでしょう。そして答練とはいわば本試験の練習であることは言うまでもないと思います。ということは、答練で安定的に点数が取れれば本試験でも点数が取れる可能性が相対的に高いということです(もちろんイコールにはなりませんが)。そこで答練を受けた結果を踏まえて、自分が実行した勉強方法が自分に合っているか否かを確かめる指標にすればいいわけです。
ただここでひとつ注意しなければならないのは、点数が取れたイコール自分に合った勉強方法ではないということと、点数が取れなかったイコール自分に合ってない勉強方法ではないということです。
大事なのは問題に対する適切な解答が作れたかということです。イメージとしては答練を受けた後に手ごたえがあったかというところでしょう。もちろん手ごたえと結果が一致しないことも多々あるので、その辺は自らで調整していくしかないのですが・・・。
■最後に私の実例を紹介します。
私は短答答練前は企業法が苦手で、いざ短答答練が始まる際にどう勉強するか迷いました。そこで私はまず「肢別チェックだけ解く(もちろん見直し等はしましたが)」という勉強方法とりました。--->第1回目の企業法短答答練の点数は13点でした。
私自身も結構分からなかった問題が多く、これだけじゃ勉強が足りないと実感しました。そこで、次に「まず基礎テキストを読んで知識を貯め、その後肢別チェックを解いて知識を確認」という勉強方法に切り替えました。
--->第2回目の企業法短答答練の点数も13点でした。
第1回目と同じ感想を抱きました。そこで今度は「肢別チェックを先に解いて、その後基礎テキストで知識の補完を行う」という勉強方法に切り替えました。
--->第3回目の企業法短答答練の点数は18点でした。
この答練はかなり出来た確信がありましたし、点数も飛躍的に向上しました。以降、私は「肢別チェックを先に解いて、その後基礎テキストで知識の補完を行う」という勉強方法を続け、企業法の短答答練では常に8割以上をキープし、、、
-->最終的な本試験では18点でした。
このように、「自分で色々試してみるといい」というのが私がもっとも伝えたいことです。私のはやや極端ですが(もちろん事実です)、このようにわずかな微調整でも成果が全然違うので、ぜひ試してみた下さい。
3.時期別の勉強方法
時期ごとに勉強方法を変えるのは言うまでもないですが、授業や勉強の進度で多少人によって異なると思います。ですので、ここでは私がやっていた方法及びその時期に意識していたことを書いていこうかと思います。Ⅰ入門期A(4~6月)
私はこの時期ひたすら計算(簿記と管理会計)だけをやっていました。「授業→問題演習→復習→答練→見直し→復習」
というサイクルを両科目ひたすら繰り返していました。
この時期まず気を使っていたのは数をこなすこと。
大半の合格者の方が言っていると思うのですが、計算科目は結局のところやった量だけ伸びます。とにかく答練等の総合問題や問題集の個別問題をがむしゃらと言ってもいいほどに解きまくる。これはこれ以上説明のしようもないのですが、とにかくこれに尽きました。
次に気を使っていたのは、単に数をこなすだけでなく「考えて」問題を解くこと。
ここで言う「考えて」というのは問題を解くために「考える」のではなく、その処理や計算を何故行うのか、何故こういう処理や計算になるのかというのを常に自分に問いかけていました。例えば連結の仕訳で、
「商品100/買掛金100」
という未着商品の仕分けがあります。知っている方は知っていると思うのですが、この仕訳は
「仕入100/買掛金100」(仕入の仕訳)「(繰越)商品100/仕入100」(売上原価算定の際の仕訳)
という2つの仕訳を複合した結果の仕訳なわけです。
このように全ての仕訳や処理には全て意味があります。根拠があります。理論があります。私はこの時期、こういったところまで理解するように努めていました。
ここまでやることにより、まず根本的なところがわかっているので忘れにくくなります。そして理屈として追えるのでいざ知らない問題が出てきても、その理屈を応用することによって、自ら答えを導き出せるようになれます。これが出来るようになると計算は相当強くなると思います。これ以上突っ込んだ話は各科目のところでお話します。
Ⅱ入門期B(7月~12月)
この時期がどこまでなのかは微妙なところですが、私は年明けまでは基本的に入門期だと思っていますのでそれに沿って書いていきます。まず計算科目についてはこの時期はほとんどやりませんでした。やったことといえば、ステップ等の答練を解いて、それを見直したぐらいです。それでもこの時期に実施されるステップ基礎については簿記と管理共にほぼ常に8割は安定して取っていました。その理由は上記のとおり根本の理屈をしっかり理解していたからだと思うのですが、細かい話は科目別のところに回します。
そのため、この時期重視したのは理論科目(財表・監査・企業)です。正直この時期はこの3科目しかやっていないんじゃないかというぐらいです。この3科目をこの時期勉強する上で気を使ったのは、とにかく復習をしっかりやることです。この時期はどんどん授業が進んでいき、少しでもサボればおいていかれる可能性すら十分にあります。
そこで私はとにかくその日の授業内容は絶対にその日に復習するということを必ず守っていました。ただ復習と言っても、それほど丁寧なことはしていません。せいぜいテキストとレジュメや板書の写しを読み直して、授業を思い返すことぐらいです。
基本的に次々と新しいことが入ってきますので、大抵は1回見ただけでしばらくは放置してしまっていたと思います。この時期にしっかり理解や暗記しようなんて思ったところで、恐らく出来ないでしょう。この時期は「何となく感覚を掴む」程度で十分だと思います。1度復習するだけでも、次の授業に対する理解や今後勉強をする際に全然違うと思いますので。
Ⅲ答練期(1~3月)
この時期は短答答練に応用答練のダブルパンチで恐らく一番ツライ時だと思います。私はこの時期特にこれに気をつけたというのはありません。ただただ次の答練の範囲に合わせた勉強をしているのに精一杯でした(もちろん答練のための勉強をしていたわけではありません)。今振り返ってみればそれが一番適切なことだったと思います。
つまり、
各科目答練をペースメーカーとしてひたすらテキストを回しまくる
というのがこの時期の勉強方法ではないかと思います。
強いて気をつけることをあげるとすれば、全てをこなそうと思わないことです。
この時期はやる量が多いので、全てを一通りこなすというのは物理的に不可能に近いと思います。そういう意味でこの時期大事なのは「取捨選択」だと思います。例え次の答練の範囲に入っていても、重要性が明らかに低いところ(Ex:財表の中間財務諸表)とかは当然あると思いますので、この時期にはそこを捨てる(というよりやらない)のも大切な選択だと思います。
Ⅳ短答直前期(4月~6月頭)
当たり前ですが短答対策に重きがおかれると思います。この時期までにしっかり勉強していれば、基本的な事項は結構頭に入っているのではと思います。ですので、この時期は短答にしか出ないような細かい部分をやりこむことになると思います。私がこの時期気を使っていたのは、
「短答のための勉強を短答のためだけの勉強にしない」
ということです。
つまり短答の勉強で得た知識をそのまま論文のための知識として活かそうとしたわけです。
短答の勉強する上での最大の利点は「各科目の全体を見渡せる」という点だと思っています。ここに来るまでの勉強というのは各項目ごとの勉強にどうしても集中しがちです。しかし、各科目の全体が見えるようにならなければ、より深い理解は得られません。この全体が見渡せるのがまさに短答直前期ではないかと思います。ここで各科目の全体を見渡せば、短答だけでなく論文にも強くなれるより深い理解が得られるでしょう。
Ⅴ論文直前期(6月頭~8月終)
まずは租税と選択(私は経営なのでそれに沿って話を進めます)の復帰が急務でしょう。短答直前期に租税と選択についてやれるのならば良いですが、現実問題としてそんな人はほとんどいないと思います。私は無理でした。目安としては7月の半ばぐらいまでに何とか復帰させれば大丈夫だと思います。他方、短答の対策で上記の「全体を見渡す」等を意識して、勉強していれば会計学・監査・企業についてはこの時点でかなりの理解があるのではないかと思います。ですので、この時期はひたすらテキストと答練を何度も見直すというのがベストだと思います。答練も大半が「範囲指定なし」になっていますので、あまり答練は気にせずひたすら全科目全範囲を回していくというのが一番でしょう。
私がこの時期気をつけていたのは、2点。
1 まずは「新しいものに手を出さないこと」
この時期は特に試験員の著書とかが気になるんですが、そこは無視しましょう。よく言われるように「人が出来るところだけ出来ればいい」というので十分です。試験員の著書にしか載ってない問題なんて9割以上の人ができないでしょうし。2 もう1点は「とにかく何度も回すこと」
この時期になるとかなりの知識が得られており、テキストや答練の見直しのスピードもかなり上がります。私の場合理論科目については2.3時間もあればテキスト1周出来ていました。計算については不安なところの答練の解き直しぐらいでした。とにかくこの時期は「出来るところの精度を上げていく!」の一言に尽きると思います。ただ精度を上げていくと言っても、決して細かい部分をやれとかそういう意味ではなく、ど忘れとか勘違いを本試験で起こさないようにするという意味での精度アップですので、その点はご注意ください。
4.科目別勉強方法
Ⅰ.簿記
恐らく大半の方が言っているでしょうが、簿記はとにかく問題を解いた人ほど強くなります。私もそれについて異論はないのですが、「問題解け。以上!」ではこの体験記の意味が無いので。まず少し科目の特性の話をさせてください。これは私の持論なのですが会計士試験は「簿記が出来れば受かる」と思っております。私自身は簿記が得意科目なのですが、「簿記が出来たから今年受かることができた」と言っても過言ではないでしょう。恐らく一番重要な科目です。
しかしこの科目は範囲も広く、難しい問題は本当に難しいのでかなりの人は苦手にしがちです。でも逆に言えば、簿記を得意にしてしまえばそれは大きな力になるでしょう。この試験は偏差値で合格判定が行われますから、簿記で他の受験生に差をつけられればかなりのアドバンテージになることに疑いはないと思います。
では、簿記が出来るようになるにはどうすればいいのか?
私がもっとも声を大にして言いたいのは時期別勉強方のところでも書いたとおり、
「各会計処理の根本を理解する」
という点です。全ての仕訳や処理には全て意味があります。根拠があります。理論があります。
ここまでやることにより、まず根本的なところがわかっているので忘れにくくなります。そして理屈として追えるのでいざ知らない問題が出てきても、その理屈を応用することによって、自ら答えを導き出せるようになれます。これが出来るようになると簿記は相当強くなると思います。
さて、簿記の根本を理解するうえで重要なのは簿記ではありません。財表です。
ご存知のとおり、財表は簿記の理論バージョンの科目です。
かなり面倒ですが、簿記の会計処理1つ1つにつき財表の理論を絡めて考えてみてください。
会計処理がわからなかったら、財表を思い出してください。もちろん答練等を解いているときにそんなことを考えている余裕はないでしょう。これは見直しのときにぜひ実行してみてください。特に、自分が苦手と思っている項目に使ってみてください。他にも実際に本試験や答練の時にわからない問題が出てきたときに、財表の理論を思い出しながら会計処理を考えると正しい会計処理を導きやすいです。
この方法には実は利点が3つあります。
1つはすでに述べたとおり、簿記に強くなります。
2つ目として会計処理と財表を絡めて考えますので、財表にも強くなります。
更に3つ目として、今年頻繁に出題された簿記と財表の融合問題に対応するための実力も身につきます。
簿記と財表は実は同じ科目。これをスローガンとしてやっていくといいのではないでしょうか。
Ⅱ管理会計
管理会計は計算と理論が混ざった科目ですが、どちらも平均的にこなすべきでしょう。今年の短答は予想以上の理論問題が出題されました。他方、それを踏襲すると思われた論文はもはや原価計算の領域でした。ということは、結局のところ理論と計算を共にしっかりやるべきという結論に達してしまいます。まずは計算について。簿記と同じで最終的には「問題解け、以上!」というのが結論なのですが、勉強する上でのいくつか私なりのコツをご紹介します。
第1のポイントとして、最初に総合原価計算(特に単純総合)をまずマスターすることをお勧めします。
管理は総合さえマスターすれば、計算については4割近くマスターしていると言っても過言ではありません。
例えば、標準原価計算。標準で難しいのは結局のところ減損・仕損の負担のところだと思うのですが、そこの負担については総合での減損等を完成品や月末仕掛品に負担させるのと理屈としては同じなわけです。つまり、総合のその点をマスターすれば標準の負担関係についてもかなりスムーズに理解できます。更に直接原価計算の固定費調整も結局のところ、やっていることは総合ですから。
ただCVP関連はちょっと例外です。CVP関連はもはや算数ですので、どうしてもセンスみたいなものがでてしまいますので、ちょっと何も言えません。私はこの辺大得意なのですが得意な人ほど何も考えなくても解けてしまいますので、説明のしようがないのですよね。申し訳ないです。
他の部門別個別や意思決定にハイテク管理会計はちょっと毛色が違いますので簡単にですが各分野のコツを。
部門別個別は部門別についてはまず直接配賦法等の配賦方法は計算方法なので覚えてとしか言いようがないです。複数基準配賦法とか理論が絡んでくるところは、計算については差異分析の図を使って考えていくと結構すんなり理解です。
あと、そこに理論をつけていくとモアベターです。例えば操業度差異は補助部門では管理不能だから製造部門に配賦するのが望ましいとか、そういった理論もセットでマスターすると理論も計算も分かりやすくなるので、ぜひ一緒にやってもらいたいと思います。
次に個別については一言。「集計頑張ってください」。これ以上はコツも何もありません・・・。
続いて意思決定。正味現在価値等の計算方法は覚えるだけです。それほど難しくないし、数も少ないのでこの辺は苦にせずやっていただきたいです。あと、意思決定は「国語」です。コツはいかに問題文をしっかり読んで出題者の意図を読むか。アドバイスとしては、問題文読むのに時間の6割使うぐらいのイメージでいいと思います。意思決定は計算自体は簡単ですので、時間かかりませんから。
最後にハイテク管理会計。これは理論色が強いですし、計算も実務先行なため他のところに比べれば簡単だとは思います。ただ忘れやすいという特性を持っていると思うので、定期的に見直すことをお勧めします。
続いて理論です。管理の理論の最大のコツは「いかにそれっぽく書くか」です。管理会計は原価計算基準を除けば、何ひとつ基準はありません。ですので、他の理論科目と異なり、言っていることさえ合っていればそこそこの点数はもらえると思います。
Ⅲ.財務諸表論
財表の最大のポイントは「こじつける」ことです。結局財表はどんな制度であろうと、色んな説明ができます(ex:棚卸資産の低価基準の原価配分と保守主義の説明とか)。
つまり、1つの制度を色んな角度で見られるようになるのが必要だと思います。色んな角度で見るといういことが「こじつける」ってことになるわけです。
勉強方法&答練と本試験解くときのポイントは「どの面(主軸)から見ているか」を意識することです。また低価基準の話ですが、低価基準が選択適用のときは「保守主義」というのが主軸、つまり保守主義をメインの柱として低価基準を説明するわけです。対して、強制適用のときは「原価配分」というのを主軸にして説明するわけです。
こういう風に制度を説明する際の「話の主軸」というのが見えれば、論証もかなりしやすくなると思います。 もう1個あります。
財表は今後「考える問題」が出る可能性が高いことが予想されます。
解き方としては上の「話の主軸」というのを参考にして欲しいのですが、それ以前の話として、テキストに書いてあるようなものは網羅的に一通りマスターすることが必要です。「考える」というのはあくまで前提知識があるから出来るお話ですし、その「考える」ための前提知識がなければどうしょうもないですし。ややダラダラになったけど、ポイントは2つです。
1.論証の際の「話の主軸」を常に意識すること。
2.テキスト等の知っていて当然レベルの話は一通りマスターすること。
Ⅳ.監査論
監査論のコツは「先に結論から考えること」です。ご存知かと思いますが、監査は実務から発展していく学問ですので、制度ごとの理由については結構後付が多かったりします。
そのため監査論は答案作るときに先に結論だけ書いてしまい、理由はそのあとに後付けすれば結構なんとかなります。もちろん、結論が合っていなければダメですが・・・。
あと、監査は(今後は減るかもしれませんが、たぶん少しは出ます)特徴やら長所短所やら例示を列挙しろというのが結構出やすいですし、その辺は覚えていれば書けるのである程度しっかり覚えとけば点数の底上げとしてはいいかもしれません。私は監査論全7科目中一番苦手だったので、これ以上は思いつきません・・・。
Ⅴ.企業法
制度の説明問題と事例問題に分けて説明します。1.説明問題
説明問題のポイントは取捨選択をいかにうまく出来るかという点だと思います。ご存知かと思いますけど、企業法は答案用紙が狭くなり制度の説明を全部書くのは物理的に不可能です。ですからどの制度を書いて、どの制度は書かないかという取捨選択できるかが最大のポイントです。さすがに変な問題でもない限り、まったく書けないって次元のお話じゃないと思いますので。では、その取捨選択についてですが。まず問題文から問題作成者が「何を論じて欲しいのか?」というのを考えること。企業法って問題文少ないからちょっと難しいんですが・・・。その際に見るべきポイントはその問題そのものじゃなく、その問題の前後の問題及び前提の問題です。例えばこれは今年の本試験なのですが。
第9問 大会社である公開会社において、会社法が定める機構に関する下記の問いに答えなさい |
問1:業務執行に関して、委員会設置会社とそれ以外の会社を比較しなさい問2:監督・監査に関して、委員会設置会社とそれ以外の会社を比較しなさい |
1.大会社2.公開会社3.委員会設置会社と他の会社の比較4.監督・監査と両方載っていること
細かいところは割愛しますけど、まず大会社&公開会社であることからこの2点は共通点としてあげるべきことがあるとわかります。委員会設置会社とそれ以外の会社の比較である以上、相違点はそこを観点とすべきです。監督・監査と両方載っている以上、監査役と監査委員会の比較だけじゃ不十分でしょう(これは今年こういう風に書いた方がいらっしゃったらしいのですが・・・)。
こんな感じで、大問全体を見たうえで、答案構成をすべきでしょう。最初に書きましたけど企業法って答案狭くなりますが、それは逆に言えば答案構成にかけられる時間が増えるってことですので、答案構成に気持ち多めに時間をとるべきでしょう。
ついでにもう1個。
制度を書く際にその制度の必要性とかの理由みたいなものを書くと思うのですが、わからなかったら「それっぽい」のを書くといいでしょう。会社法の理由付けは結構「それっぽい」の書くと正解の可能性が高い、というより理由が単純なものが多いので。
2.事例問題
まず当たり前ですが何を論じるべきなのかを問題文からしっかり読み取ることです。ここで「何を論じるべき」というは結局のところ規範定律になにを書くかってことですよね。で、規範定律は結構暗記的要素も強いですし、知っているか否かって次元のお話ですのでここはもう勉強してとしか言いようがありません。ですから事例問題で他の人と差をつけるポイントは、規範定律以外の部分です。まず第1のポイントは事例分析と問題提起。
まぁ、問題提起は何を論じるかわかれば大して難しくはないのですが。事例分析をうまく書くには「問題点を明確にすること」。つまるところ問題提起にうまくつなげられるように文章を作っていけば良い感じになります。いわゆる「オウム返し」は実際良い方法だと思います。 もう1つのポイントとしては説明問題と同じく、大問全体を見ることです。
基本的に事例問題でも小問形式で出てきた場合、問題の作成者はどこの小問でどの論点を論じて欲しいのかを考えて作っているでしょうから、それを読み取ることを意識して問題文読んでみると良いでしょう。
全体として、企業法のコツは「大問全体を見て答案構成をすること」。答案構成さえしっかり出来てれば、当然答案もうまい具合に書けるわけですし。
Ⅵ.租税法
私も租税法は御多分に漏れず、理論は今年ほとんどやりませんでしたので、ここでは計算についての説明にとどめます。これは法人・消費・所得全てに言えるのですが、常に「自分が何の数字を出そうとしているのか」を意識してください。
例えば自分は今「損金参入限度額」を出そうとしているのか、「損金参入限度の超過額」を出そうとしているのかetc・・・。租税は簿記や管理と異なり計算テクニックはほとんど要求されず、結局のところ制度を知っているか否かというお話になってしまいます。しかし、たとえ制度を知っていようとも「今自分が何をしているのか?」がわかっていないのと例えば別表4に何の数字を書いていいのかを迷ったりするでしょう。
あとはひたすら問題演習を繰り返して、制度を頭に叩き込んでください。租税は簿記や管理と違って、ある意味計算の中で一番努力が報われやすい科目なので、モチベーションアップの科目としてはお勧めです。
最後に、短答前も租税はしっかりやっておきましょう。理想は法人・消費・所得の全ての計算をマスターすることですが、それは短答免除等がないと難しいですが、可能な限りやっておきたいものです。私個人は、短答前は法人以外ほとんど出来ませんでした。来年以降は短答免除者等がいることを考えると、これだけでは少々厳しいかもしれませんが・・・。
Ⅶ.経営学
ファイナンスと組織論・戦略論に分けていきます。1.ファイナンス
重要なのは視野を多面的にすることです。特に投資論と企業財務論は同じ話でも色んな論じ方があるので、どの面からも論じられるようにしておくべきです。この辺は財表に近いですね。ただ財表と違って経営は「どの角度から論じろ」というのが結構問題文に明記されているので、そういう意味では答案は作りやすいかもしれません。あとは普段の勉強時に色んな面から論じられるか考えながらやると良いでしょう。特に企業価値云々の辺りはそういう話が多いです。例えば、「企業価値の算定方法について」FCFから論じてみたり、EVAから論じてみたり、配当割当モデルから論じてみたりMM理論から論じてみたりですね。
デリバティブはほぼ暗記としか言いようがありません。簿記をイメージしながらだと多少覚えやすいと思います。
配当政策は結構投資論と財務論と絡むから一緒に勉強した方が理解が深まるでしょう。最後に計算。これは噂なのでどこまで本当かわかりませんが、今後計算は出やすいらしいです。今年もNPV、期待収益率、標準偏差を出せという問題でましたし。ただ簿記や管理に比べたら簡単ですので、計算は絶対マスターすべきでしょう。
2.組織論・戦略論
組織論・戦略論は用語の定義を覚えるのに重点置くことをお勧めします。ご承知かと思いますけど、組織論・戦略論は何でもありの世界ですので、説明的な部分って覚えていてもあまり意味がないんですよね(もちろん、理解は必要ですが)。意味不明な問題とかいっぱい出ますし。ただ経営はわからない問題がでても、問題文の中に知っている用語が出てくれば、結構何論じれば良いのかわかります。
しかし、その何論じれば良いのかというのを分かるのためにはつまるところ用語の定義から判断しているので、そういう意味で用語の定義を覚えるのはお勧めです。しかも他の科目と違ってアバウトな覚え方で良いからその分楽ですし。
あと余談ですが、経営はファイナンスさえある程度できていれば短答終わったあとでも余裕で間に合います。短答前はファイナンス以外は完全に無視しても結構平気です。
5.モチベーション維持のために
これは私が実際にやっていた方法なのですが、参考程度にご覧下さい。私がモチベーションを維持するために掲げたスローガンは
「ナルシストになれ!」
というものでした。
自分で言うのもなんですが、私は答練等でも概ね上位をキープし、順位表には大抵名前が載っていました。そのときの私の思考回路はこういったものでした。
「いつも順位表に載ってる俺カッコイイ! これ繰り返したらもっとカッコイイ!! 更にそのペースで一発で受かったら俺めちゃめちゃカッコイイ!!!」
我ながら少々恥ずかしいのですが。男として生まれたい以上(女性の方すいません)、カッコイイ自分になりたいのは当然の欲求でしょう。答練で上位を常に維持するのは、まさにその欲求を満たすための行為として有効だったわけです。私はこれが相当モチベーション維持に役立ちました。受験仲間には誰にも言いませんでしたが。
もちろん、勉強したくないときもありました。その時は思い切って、勉強やめましょう。どうせやる気ないときに勉強してもあまり効果上がりませんし。それでいつまで経ってもやる気が出ないのは少々問題ですが、そんな時も再びナルシストな自分を登場させましょう。
「やる気ない俺カッコワルイ。いつものカッコイイ俺に戻ろう!」
という感じで。いや、しかしこれ書いていて恥ずかしいです(笑)
私は結局ほとんどこれだけで本試験乗り切りました。使えるかもと思った方はぜひ使ってみてください。ただ、くれぐれも他人には言わないように。
6.最後に
さて、簡単ではありますが私の合格体験記はこれで終わりです。皆様いかがだったでしょうか?今回これを書くにあたって、受験生時代を振り返ってみたり、他の方の体験記を参考にしてみたりと私自身もなかなか楽しい体験をさせていただきました。このような場を与えていただいたことに感謝すると同時に、受験生のためを思って多数の方から合格体験記を募っているスポック様を尊敬するばかりです。
それでは、こんなところで無駄な長文作って皆様の貴重な勉強時間を潰してしまうわけにもいかないので、これにて終了させていただきます。
最後になりましたが、皆様の合格を心よりお祈りしております。