まさまささん

Ⅰ 自己紹介

1 はじめに

はじめまして、まさまさと申します。年齢は22歳です。今年2回目の試験で合格することができました。自分なりの勉強方法を確立できないまま合格してしまいましたが、そんな私の経験でも少しでもお役に立てると良いなと思って書いています。

 2回目の受験なので特別に早期合格でもなくベテランでもないのですが、そういう受験層の参考になるように書きたいと思っています。しかし受験勉強に対する考え方・感じ方は人それぞれなので、1つの考え方だと思っていただきたいと思います。

2 内容について

 基本的には2006年度の試験、つまり新公認会計士試験の1回目について書いていきたいと思いますが、2005年度の試験の経験についても対比させていきたいと思います。
 作成に当たっては2005年度の合格体験記を参考にさせていただきました。 流れとしては、「自己紹介→総論→各論(科目ごと)→最後に」という感じで書きたいと思います。

3 会計士試験等の受験暦

 簡単な受験暦を会計士試験の学習開始から説明しますと、

2003年 春 日商簿記検定3級学習開始
2004年 夏 日商簿記検定1級合格
2005年 短答式合格(37/50点)    論文式不合格(成績は通知してもらってないので不明)
2006年 短答式合格(78/100点 企18監17管理16財務27) 論文式全科目合格

 といった感じです。

Ⅱ 総論

1 受験生活

 この試験は基本的には受験一本に絞らないとかなり合格は厳しいと思います。
 特に仕事をしている社会人には厳しい試験だと思います。私は大学生でしたから大学の講義にはある程度出ていましたが、それでも使える時間がかなりありました。

 しかし基本的には受験仲間意外と付き合いがほとんどなくなりました。受験を始めるつもりの方はある程度のことを捨てて望む必要があると思います。やはり新試験制度になってもそれは変わらないように思います。初めから科目合格狙いでいくのにはリスクがかなりあると思います。(社会人で合格を目指そうとしている方、ごめんなさい。)
 ちなみに私の合格年度はある程度大学の単位が取れていたのでほとんど学校に行かずに、ライブの講義を専門学校に受けに行っていました。

2 勉強時期と合格について

 勉強時間は簿記を始めた1年目は講義以外の勉強、つまり自習をほとんどしていませんでした。
 しかし受験初期のこの時期には計算力(簿記・管理会計)をつけるべきです。この時期にまじめに計算を勉強した方だけが、受験1回目で合格することが可能になると私は思います。

 2年目から始めての短答式・論文式受験までは大学の講義に出るとき以外はほとんど勉強していました。そのため少なくても10時間弱、多いときは10数時間机に向かっていました。
 そして今年の勉強時間は大体毎日10時間弱でした。勉強の時間自体は不合格年度よりも少なくなったと思います。しかし集中してやっていたような気がします。

 私の経験から言えることは受験初期の勉強は、合格に直結すると思います。1年目にいかに勉強に取り組んだかが大事だということです。
私の周りで誰かが言っていた言葉を借りると「本試験受験1年前に合否はすでに決まっている」と言うことです。

 つまり本試験受験1年前までに計算の基礎をある程度完成させておくことが大切だと思います。私は勉強の時期が一年ずれてしまっていたのでその分合格するのが遅くなってしまいました。
 
 一言で言うと「試験が近くなってきたから勉強をまじめにやろう」と考えてはならない言うことです。初期の勉強が非常に大切です。 とはいえ本試験直前の時期が大切なことも確かだと思います。

3 計算科目(簿記・管理会計の計算部分・租税の計算部分)について

 計算科目は非常に重要です。新試験制度になってもそれは今年に関しては変わっていませんでした。むしろ短答式で財務会計の計算の比率が5割以上だったこと、会計学の午後(財務会計)の計算の比率が理論より多かったことからも結論付けることができると思います。

 また短答式の管理会計は理論問題の比率がやや多くなっているものの、会計学の午前(管理会計)では計算箇所がかなり多かったです。さらに今年は経営学の財務管理論では管理会計的な部分が出ていました。
 私の2回の本試験を受験した感想としては、問題自体の難易度にも影響されるとは思いますが、合格には計算箇所(全ての科目で)の出来が5割~7割はできる必要があると思います。そのため普段の専門学校の答練が常に平均を超えてプラス何点というような状態にするべきです。

 計算科目は1人でテクニックを学ぶのは難しいので、できる人に考え方・解き方・下書きの方法を聞くようにすることが大切です。

 租税法についてですが、この科目は計算部分も多くありますが、計算部分については簿記がどれだけできるかが重要になると思います。簿記が得意な人はかなりやりやすいと思います。

4 理論科目(財表・管理理論部分・監査・企業・租税理論部分・経営学)について

 理論は基本的には暗記することが非常に大切になると思います。人によっては理解することがより大切と思う方もいるとは思いますが、私は暗記がより大切だと思います。

 暗記と理解は結局、裏表の関係なのかなというのが私の感想です。

 今年の本試験の問題では論文式の会計学の午後(財務会計)の理論の箇所で減損会計が出題されましたが、日本の会計基準の会計処理と米国の会計基準の会計処理の考え方の相違が問われていました。このような問題は理解うんぬん以前に米国基準を知っていなければ解答できませんし、両者の相違のことが問われていることを理解できないと解答不能になります。

 つまり問題文を理解して、暗記していたことを吐き出さなければならないのです。ただ暗記するだけでは暗記を吐き出す箇所がわかりませんし、理解していても短い解答枠では決まった言葉で表現しないと解答できません。

 ただ丸暗記しろというわけではありませんが、解答表現時の言葉を覚えるために暗記を行うのです。理論科目の勉強のポイントは疑問に思った部分は友達と話し合うことが大切だと思います。この方法は本当にお勧めです。時間はかかりますが本試験に直結すると思います。

 ただし租税法の理論はほとんどやっていなかったのでよくわかりません。各専門学校の対策の程度に応じて勉強するしかないのかなと思います。

5 短答式試験と論文式試験の相違について

 大きな違いは租税法と選択科目がないことだと思います。そのため選択科目は後回しになりがちになってしまうと思います。
 短答式試験を合格して論文式試験の一括合格を目指す場合には短答式にない科目でもある程度の勉強を進めておくことが必須になると思います。私の場合は租税法をある程度やっておきましたが、経営学はそんなに苦手ではなく1回目の論文式で一通り勉強していたのであまりやりませんでしたが。

 各科目の相違は各論で述べます。

Ⅲ 各論(各科目の勉強方法)

1 簿記[簿記の学習方法]

 この科目はとにかくできるようになるまで時間がかかります。点数が伸びなくても根気よく勉強を続ける必要があります。この科目は問題に慣れることが大切です。ちなみに私はある程度できるようになるまで3年近くかかりました。

 具体的には基本的な個別の仕分け問題を数度こなす必要があります。その後は答練でスピードアップしていくという感じです。
 情報を集約するものとして、私は答練が良いと思います。個別問題集は見直し程度になるまで勉強しておいて、答練に間違いをメモするなどの工夫をすると良いと思います。そして最終的には実際に解いて復習する答練も減らしていく必要があります。確実な合格をするためには短答式後にこの科目を勉強していては合格が遠くなります。とにかく受験年度の3月までに合格する力をつけておくことが必要です。

[自己流短答式の解き方など]
 短答式と論文式の違いは短答式の方が問題の内容が難しいということだと思います。私の考え方では短答式の答練は1回受けたら早い段階で復習を何度かして、間違いやすい問題を復習するだけにとどめておいて、計算の強化は論文式の問題を利用して論点を復習すると良いと思います。そのため私は短答式の答練はあまり解きませんでした。ただし、1回目に解くときは時間を測って本試験のように解くことが大切です。

 私の短答式の解き方は、

 「開始と同時に一通り問題を見て計算用紙に解答にかかる時間を基準にランク付けをしていました。A(簡単)→B+(普通よりやや簡単)→B(普通)→C(難しい若しくは時間がかかる問題)です。

 ちなみに予備校のランクではなく自分のできる基準です。これをもとに解いていきます。解いた問題には○をつけ、解いていた途中で時間がかかると思った問題・できたけど後で見直そうと思ったら△、やろうと思ってよく見たら条件などが難しく後回しにした問題は□などちゃんとメモしておきます。
 ここで大切なことは問題用紙に直接書き込むのではなく、別の紙に書き込むことが大切です。最後15分になった時にもう一度解ける問題を一覧できるからです。
 また1問1問を解くときに大切なことはできない問題は捨てることです。ちなみに「できない問題」とは10分以上かかってもできない問題です。私はストップウォッチを二個(腕時計型と50m走を測るような形のタイプ)用意していました。腕時計型では一問一問を解く時間を測って、もう一つは全体の経過時間を測っていました。」

 この解き方は管理会計の短答式でも同じ解き方をしていましたし、理論でも同じ解き方をお勧めします。

2 管理会計[学習のポイント]

 この科目は何度も答練を解くことも大切ですが、計算方法の意味を理解することが簿記よりも大切です。
 1回理解した問題はあまり復習をする必要はなくなります。[今年度の本試験]解いた順番は名前を書いて問題を詳しくチェックする(10分)→問題4問2(15分)→問題5問1(15分・価格決定除く)→問題5問2(30分)→問題4問1(45分)→理論(5分・終わらず)です。

 今年の問題に関して言えば計算がしっかりできて、理論は専門学校でいう典型論点だけある程度できていれば十分だと思います。私は時間不足で典型論点も満足に書けず計算に多くの時間を費やしました。
 しかし管理会計(会計学午前)である程度点を取るつもりなら、3時間を好きに使える財務会計(会計学午後)よりも2時間しかない時間で計算を素早く正確に解くスピード、文字を早く書く能力、典型理論の暗記、そして熟考する理論問題の時間を確保することが必要だと思いました。
 今年のような問題が来年以降も続くとは限らないと思いますが、計算と理論の混合問題が続くかぎり計算問題を早く正確に解く訓練が必要になると思います。[来年以降しようと考えていた勉強法]今年落ちたら管理会計は答練ではなく基本問題集にポイントを書き込んで、それを見直すようにしようと思っていました。

 私は、簿記と異なり管理会計は繰り返し答練を解くことも大切だとは思いますが、先にも述べた通り簿記に比べ理解が大切と思うので、すでに体系化されている問題集にあてはめることで理解が深まるし、ある程度の理解に達すれば答練を解かなくても思い出すだけで十分な効果があると思ったからです。結局は実行できずじまいだったので検証はしていませんが。

3 財務諸表論[今年度の試験の学習法]

 テキストを中心に暗記しつつ答練も暗記しました。
 ずっとこの方法でやっていましたが、結局あまり暗記できませんでした。少なくとも定義はしっかり覚えようと思って定義はある程度覚えましたが、論点まで暗記するのには暗記の仕方をつかむまでに時間がかかって暗記自体をする時間が足りませんでした。

 これらの経験から財務諸表論は膨大な論点の数があるため、暗記中心の学習をする場合といえど直前期にまで先延ばしにしてはならないと思います。あまりに膨大すぎて一回転すら暗記の学習ができないからです。 ちなみに全てを暗記するのは不可能と思っていたので各範囲ごとに論点の暗記の強弱をつけました。

 暗記の仕方としては友達と論点を議論することをおすすめします。具体的にはまず一人で暗記してから、友達と確認し合う。この過程で色々な疑問をぶつけ合います。こうすることによって一言一句の暗記はできなくても論点自体の内容は頭に入ってきます。先に述べた減損などはこれで頭に入ったことを書きました。

[短答式]

短答式については特別な学習法はいらないと思います。論文式の学習法を貫いていくことが大切だと思います。もちろん短答式の問題集は解くべきですが。

[論文式]

 普段の答練では暗記しないと意味がありません。だから暗記した方が良いと思います。ただし本試験では暗記した知識をもとにして解答が求められるような気がします。[来年以降しようと思っていた学習法]暗記を極力早めに始めようと思っていました。あまりにも量が多いので直前期に全て暗記するのは無理だからです。

4 監査論[学習のポイント]

 基本的には財務諸表論と同じように学習していました。唯一異なるのは監査基準の本文を丸暗記してから本格的に始めたことです。
監査論の学習においては監査基準本文を丸暗記するのは非常に有用に感じました。監査というのは財表と異なり最初は理解しにくいと思います。私はそうでした。そのため監査論の骨格を理解するために本文の丸暗記をすると、体系的に理解できるような気がします。短答式にも監査の手続きの順番まで理解することは有効です。

 また監査報告書の一番簡単なものも一つ覚えておくと、短答式に有効で監査の最終目標である監査報告書が明確になりわかりやすくなると思います。 本文を暗記する効果はこれだけではなく、答えがわからないときに監査基準に基づいて解けば、完全に間違いということはないと思います。

[短答式]
短答式対策の特別な学習法はいらず、論文式の学習を貫くことが大切です。財表と同じく短答対策問題集は解くべきですが。

[論文式]
前に述べた通りです。監査基準本文の暗記→論点の暗記です。

5 企業法[今年度の試験の学習法]

 企業法には手こずらされました。しかし結局は基本論点の暗記に尽きると思います。具体的には論点集的なテキストの基本論点を選択してまず暗記し、その後に重要性の高いものからつぶして(暗記して)いきます。私はそうしていきました。 企業法が苦手な人はまず暗記することが大切だと思った方が良いと思います。

[短答式]

 唯一短答式と論文式の学習が異なるような気がします。その理由としては企業法は範囲が広く、短答式と論文式の学習する論点の範囲が違ってくるからだと思います。短答式の方が範囲がより広いです。したがって重なる範囲は論文式の学習法でも対応が可能と思いますが、高得点を取るために、異なる部分は別に学習が必要となると思います。つまり短答式対策問題集です。短答式はやり込むと理解だけで解答が導ける問題も増えてきます。

[論文式]

基本論点を暗記すると気づくのですが、企業法は同一のフレーズ(趣旨なども含めて)を他の論点でも用いていることがあります。さらに理解が進むときっと暗記せずに組み合わせで文章が作れるようになる部分がきっと多くなると思います。私はそこまで達しませんでしたが。

6 租税法[今年度の試験の学習]

 今年の一番のポイントとなる科目でした。しかし理論はほぼ何もやりませんでした...というか直前期のテキストの理論をやりましたが頭になじまず、まるで頭に入りませんでした。 計算は専門学校の講義に合わせて学習を進め4月半ばまでやりました。とはいっても最初は理解が進まず、TACの1回目の全答練では素点で23点くらいしかとれませんでした。

 本格的に学習を開始したのは短答式後です。短答式後に答練をたくさん解いて租税法を頭になじませました。
 具体的には法人税はテキストの例題を何回も解き、次に問題集を1、2回解いてテキストにメモを取って問題集を何度もやらないようにして、法人税が一巡できる論点の詰まった答練を何度か解くようにしていました。

 消費・所得はテキストしかなかったので、テキストの例題を何度も解いて、テキストに答練の情報のメモをして情報を集約していました。 この科目のせいで短答式後には他の科目をやる時間がかなり減りました。

 短答式後に租税法の学習を残すことが許されたのは今年だけで、来年以降は租税法を短答式後にまで残したら一括合格はありえないと思えます。[今年度の本試験]まずは問題をみた瞬間、理論は捨て問だと思って、消費の計算を埋めました。その後法人税の計算をやって、最後にある程度時間をかけて理論を埋めにかかりました。理論は講義でやったことを思い出したりして、できうるかぎりそれっぽいことを書くようにしました。それでも解答用紙のスペースはかなりあまりましたが。

7 経営学 [今年度の試験の学習] 

 経営学は比較的好きである程度点が取れ、短答式に必ず受かりたかったため、短答式前は講義だけ受けて答練をうけませんでした。そのため本格的に学習を開始したのは短答式後です。

 しかし今年度試験を受けての感想はこういう戦略はできうる限りやめた方が良いと感じました。短答式から一括合格を目指す限り経営学も重要な科目だからです。短答式直前に経営学をやりたくないのなら、他の科目ができていることを前提として、短答式前の専門学校の論文式公開模試までに専門学校の答練に応じて学習を進めるべきです。なぜなら短答式後にはなるべくゼロから頭に入れる作業は避けたいからです。

 経営学自体について言及すると、経営管理は基本的な部分をテキストと答練で暗記して応用的部分を読み込むようなイメージで学習していました。その方が覚える部分を少なくして、その上本試験に強くなると思ったからです。 財務管理は講師が直前期に重要と言ったところを中心に理解・暗記に努めました財務管理は全てを理解するのは無理と感じたのでそのような方法をとりました。

[今年度の本試験] 
 経営管理は何を書いていいかわからない問題とそうでない問題が私にとって分かれていたため、まずわかるところをテキストを思い出して埋めて、わからないところは雰囲気で書きました。 財務管理は管理会計と同じ計算部分を確実に合わせて、その他のわかるところだけ丁寧に埋めて、あとは勘で埋めました。

Ⅳ さいごに

 会計士試験は大変な試験ですが、学習を初めて興味を持った方は続けて欲しいと思います。学習を開始して、勉強がうまく行かないときは、きっと途中で挫折したくなるときがあるかと思いますが、とにかく 続けることがうまくいかせるためには大切です。この体験記が誰かの役に立つと幸いです。