たかかず-社会人経験受験者の勉強法

合格までの経緯(たかかず)

 2003年12月に勉強を開始し、2005年5月の短答式試験で失敗した後、2回目の2006年の公認会計士士試験で合格しました。
 2005年の短答式試験の成績は32/50問、合格ラインの34問には2問及ばない結果でした。その後、税理士試験で簿記論、財務諸表論に合格。2006年の短答式試験では財務会計論を免除されて3科目の受験で合格。その後の論文式試験で一括合格しました。

受験に至る経緯

 23歳で大学を卒業後、会計事務所系のコンサルティング会社に就職しました。3年後退職し福岡に帰郷。大原福岡校で受験生活に入りました。現在30歳になります。

はじめに

 私は受験生の間中、勉強法に関する本を読み漁り、試行錯誤を繰り返してきました。試行錯誤は最後の論文式試験の直前までやっていました。

 その経験から効果的な勉強法には共通点があることを発見しました。

 その共通点は、ちょっと面倒であるということです。

 同じ労力で他人より頭ひとつ抜けるためには人と同じことをしていてはダメなわけですが、効果的な勉強法が誰でも簡単にできてしまうのであればみんなやります。みんながやっている勉強法は効果的な勉強法ではなく普通の勉強法です。やれば確かに普通にやるより効果があるんだけどちょっと面倒なのでみんなやらない。そういう勉強法を採用したことが私が比較的少ない勉強時間で短期合格できた理由だと思います。

 比較的少ない勉強時間といいましたが、受験1回目のときは一日平均すると8時間は勉強していました。これはかなり長時間です。
 しかし短答式にすら合格できませんでした。そこで考え方を改め、勉強時間を少なくし、効率を上げる努力をしました。その結果、正確に測ったわけではないですが、受験2回目の勉強時間は一日平均5時間にも満たなかったと思います。

 論文式試験の直前まで効率的な勉強法を探すのは決して勧められません。自分なりの勉強法は初期のうちに固めておいて、あとは自分を信じて公認会計士試験に集中する、というのが正しいありかただと思います。私が言いたいのは、結局最後まで自分が完璧だと思うような効率的な勉強法が発見できなかったとしても、合格できるということです。

 難関試験とされる公認会計士試験ですが、決して最高の効率、最大の勉強時間なんてものは必要なく、それなりの効率と時間をかければボーダーラインを超えることができるはずです。この話は、完璧を目指しながらもそれが達成できず、極端に自己嫌悪に陥りがちな受験生の方に是非気付いていただきたい所です。

 それでは、今から受験生活の開始時から合格まで私がやってきたこと、考えたこと、気づいたことなどを順を追って説明していこうと思います。

受験生活開始時

 私はかなり悩んだ挙句、会社を辞め会計士への道を選びました。今振り返ると、この時の悩みの深さは受験期間と反比例したと思います。合格への思いの深さが日々の勉強の集中力を上げ、モチベーションを高めてくれました。

 受験生活に入る前に、公認会計士という資格や試験について色々調べました。資金的な問題から、実家の福岡での勉強は避けられなかったんですが、資格取得者の話などから東京で生講義を聴いた方がいいのではないかとも言われました。

 ですが結果的に、東京でやるか地方でやるかに大きな違いは無いように思います。さらに、最近は情報技術が発達してきた結果、再生速度の変更が可能など個別ブースでのVTRの講義のメリットが大きくなってきています。東京で学校に通ったことは無いのでどちらがいいとはいえませんが、地方受験生と都心の受験生との格差はほとんどなくなってきているように思います。

受験生活初期(開始時から10ヶ月ぐらいまで)

 最初は、とにかく勉強時間を多くとることを心掛けていました。12月から始めたのですが2年コースだったため、すでに講義も進んでおり毎日講義を受けていました。この時は今がんばっておかないと後々つらくなってくるという思いがあったのと、始めたばかりで気力も充分だったため一日平均10時間前後勉強していたと思います。

 このとき有効だったのは、

・毎朝必ず5時に起きるということ。
・その日にやったことを手帳の次の日、初めの日から1週間後、3週間後、7週間後にメモしておき、そのタイミングで復習するということ。

 以上の2つでした。こうすることで、一日の勉強を前倒しし、また今日やるべきことが朝起きた時には明確になっているため、勉強に向かう精神的負担が軽くなり、長時間の勉強もきちんとした目的意識をもって続けられました。

 しかし、この方法では1日の勉強時間が長くなりすぎ、大量の作業を消化しようとするあまり勉強の一つ一つが雑になります。こうして、開始当初の気力が失われていくにしたがって、次第に綻びが生じ始めました。

受験1回目まで

講義がいまだ全部終わっていなかった11月頃に簿記1級の試験を受けてみました。結果は不合格。
 実力的にも不足していると感じました。一発合格する人はこの時期簿記一級に合格できるぐらいの実力はあるはずなので、この時は現実の厳しさを実感しました。

 さらに受験生活初期に設定した5時起きと復習のルールもこの頃は次第に守ることが難しくなってきており、考え方を変える必要がありました。しかし、この時期に勉強法の再検討を行うなどという精神的余裕も時間的余裕も無く、なし崩し的に勉強時間の確保を重視した勉強法にすがっていました。

 勉強時間は次第に減っていってましたが、短答一ヶ月前には、勉強時間は4000時間を突破しました。大雑把な計算なので正味時間はもっと少ないと思いますが記録していた時間は4000時間以上でした。

しかし、結果は不合格でした。

 主な敗因は簿記でした。あとで見直すと自分の知識で解ける問題をいくつも落としており、勉強したことをきちんとアウトプットできていないと感じました。ここで、結局は勉強時間ではない、いくら勉強時間を確保できてもその密度が薄ければ合格に達することは難しいということに気づかされます。

受験2回目開始時

 短答の自己採点結果を見て、勉強するのを一旦止めました。1ヵ月はほどゲームやネットで遊んでいました。この間は勉強はしていませんでした。まだ直前対策答練とか、模試など受けられるものはあったんですが、新試験制度へ移行することから受けませんでした。

 この間、平静を装っていましたが内心とても悔しがっていました。

 勉強時間を記録して自己満足に浸っていたことを反省し、勉強時間を記録するのはやめました。

 そして、効率的な勉強法を確立するためにしばらく作戦を練ることになります。その試金石となったのが税理士試験の簿記論と財務諸表論です。私にとってはこの税理士試験が大きなターニングポイントになります。

税理士試験まで

 簿記論はともかく、財務諸表論は公認会計士試験の受験生にとってはなんら対策を取らずに合格するのは難しいものでした。しかし、短答不合格の直後だったので長時間勉強する気力はありませんでした。短答後から税理士試験までは約2ヵ月ですが、そのうち1ヵ月は遊んでしまっていたので実質1ヵ月しかない状態。

 そこで、かなり思い切った作戦を採用することにしました。税理士試験に特化した対策は過去問を解くことのみ。

 それ以外は会計士試験の簿記と財表のテキストの目次を暗記して、毎日目次を思い出しながらその項目にある論点を思い出していました。

 この時、暗記するために場所法という記憶術を採用しました。場所法というのは自分の身の回りのものに覚えたいものを結びつけるという方法です。通学途中、家の中、散歩コースなど、自分がよく目にするものを見たときにテキストの目次の項目を思い出します。また、公認会計士試験の勉強も兼ねて簿記の答練を一日一題解きなおしていました。この間の勉強時間は1日3時間も無かったと思います。

 結果は両方合格。両方合格した公認会計士受験生は福岡校で見ると2名しかいなかったと記憶していますし、短答不合格者だけで見ると私しかいませんでした。しかし、私は税理士試験の勉強を他の人に比べて全然やっていませんでした。この時、公認会計士試験突破のヒントを掴んだような気がしました。

 税理士試験自体は8月上旬でしたが、合格発表は12月中旬。次の短答式試験まではあと6ヵ月になっていました。

2回目短答式試験まで

 11月頃から、知人に誘われて大原のアルバイト生になりました。それまでの私はとにかく家で勉強していたのでほとんど知り合いができませんでしたが、アルバイトをすることで次第に人間関係が広がっていきました。

 この時、いろんなところで話題にのぼっていたのが、マインドマップでした。マインドマップというのは従来のノートの取り方ではなく、テーマを紙面の真ん中に書き、そこから放射状に大きなテーマから小さなテーマになるように書いていくノートの取り方です。

 この方法は、非常に少ないスペースに大量の情報を集約することができ、自分の理解の程度も反映されるため頭を整理するのに有効でした。ただし、作成に多少時間がかかるので、マインドマップ化できた論点は一部でした。マインドマップを知ってよかったと思うのは、頭の中で情報を整理するときも意識して中心テーマからより小さなテーマに向かってイメージできるようになったという点です。

 年が明けてから短答式試験までは、講義と答練を消化しながら、マインドマップ化できた論点はマインドマップを何度も見直し、それ以外は場所法によって目次を覚えながらテキストを何度も読みました。また、短答答練で間違えたところはテキストに蛍光ペンでチェックし、短答答練の何回目の第何問の何の肢かを書いて、答練とテキストを相互参照できるように加工していきました。

 1月の終わりには短答過去問集が発売されたので、早速購入し過去問の研究も始めました。一応時間を測りながら一通り過去問を解いたあと、今年度の試験でも通用する肢については、テキストにチェックしていきました。

 過去問をチェックすることで、自分があまり重要でないと感じていたところから意外とたくさん出題されていることに気づいたり、問題の難易度やクセなども感覚的にわかるようになりました。

 私にとっては、この過去問研究というのが合格に欠かせないキーポイントだと気づいたのは税理士試験です。ただ、他の合格者の方で過去問研究なんてしないで合格されている方もたくさんいらっしゃると思います。人によってキーポイントは違ってきます。

自分にとってのキーポイントに気づくというのも短期で合格する重要な要素かもしれません。

 この間の勉強時間は講義や答練があることによって1日平均6時間ぐらいは確保できていたのかもしれませんが、記録するのを止めてしまったため正確なところはわかりません。ただ、実感として去年に比べて全然勉強していないという感覚はありました。ゲームもそれなりにやっていて、ネットはほとんど毎日欠かさずやっていました。

 それでも、今年はいけると感じていました。過去問研究で大体の必要な実力がわかり、また勉強法が変わったことで各科目に対する理解が深まり、ボーダーライン上ではあるものの、合格への道筋が見えていたからだと思います。

 「こんなに遊んで大丈夫だろうか。でもこれで(理屈の上では)問題ないはずなんだよなぁ」などと考えながらネットをしたりしていたのを覚えています。

2回目短答式試験

 財務会計論が免除されたため、本番2週間前ぐらいまで租税法も勉強計画に組み込んでいました。反対に財務諸表論は2ヵ月ぐらいほったらかしていたように思います。しかし、場所法による目次記憶はものの数分で記憶を復活させることができるため、あまり気にしていませんでした。税理士試験時に財表の応用論点(連結や税効果など)を除く基礎論点は場所法によってかなり抑えられていました。

 短答直前はひたすらテキストとマインドマップの見直しでした。マインドマップはB5やB4の大原の余ったプリントの裏に書いていたので、それを水が入らないようにチャックできるビニール袋に入れて、風呂場で眺めたりもしました。

 直前1ヵ月は去年ほど自分を追い込んでおらず、ネットは前日までやってましたし、アルバイトもありましたし、勉強時間も去年に比べて多くはありませんでした。このため、蓋を開けてみるまでは自分の中のいけるという感覚と、やっていないという現状にギャップを感じ続けました。

 短答答練の成績は、たまに2次目標(合格可能性80%以上)を上回ることがあるぐらいで、1次目標(合格可能性60%以上)と2次目標の間で推移していました。

最後の短答模試も企業法で失敗し、39/60問(65%)で2次目標は超えませんでした。

しかし、本番の自己採点結果は自分の中のいけるという感覚どおり49/60問(81.6%)でボーダーを大きく上回ることができました。

論文式試験まで

 短答式試験直後に、早速論文式の過去問を買いに行きました。計算問題は一通り2時間測って解き、理論問題は問題を読みながら、テキストに出題された箇所を書き込んでいきました。この過去問研究は、一気にやったわけではなく、論文式試験までの間に少しづつやっていました。

 過去問研究以外にやったことといえば、ほとんど総まとめテキストを読んでいたことしか覚えていません。あと、計算問題は1時間問題を各科目1日1題を目標に解いていました。しかし、あくまで目標であって達成率にすると50%もいってなかったような気がします。ただ租税法は簿記・管理会計よりはちゃんとやっていました。

 この間の勉強時間も1日5時間かもっと少ないぐらいだったと思います。去年の秋頃に前年度合格者だった友人が「秋から1日6時間やれば余裕で受かる」と言っていたんですが、結局1日6時間もやれなかったな、と思っていました。

 しかし、目次を暗記し、暇さえあれば思い出すという作業はずっとやっていました。

 この時、目次を思い出しただけで満足せずに、内容まで思い出そうと努力しました。ちゃんと思い出すことはできませんが、目次のキーワードを頼りに内容を推測していくことで、机に向かっていない時間も各科目に対する理解が深まっていったように思います。

 論文答練の総合成績は一度も2次目標(合格可能性80%以上)を超えることはありませんでした。1次目標(合格可能性50%以上)も時折超えるぐらいでした。

 最終的に論文模試の成績は、468/1842位(上位25.4%)でCランクでしたが、なぜか監査論で35点しか取れず足切りになっていました。ですが、監査論はまだまだ追い上げる余地があったため特に気にならず、上位30%に入っておりそれ以外の科目で他の受験生に負けていなかったことからむしろ多少自信が出てきました。

論文式試験

 論文式試験は、とにかく前日から当日にかけて総まとめテキストを一通り1回読んで試験に臨みました。一通り全部読めなかった科目は経営学だけでした。経営学は総まとめテキストが普通のテキストぐらいの厚さだったため、全部は読めませんでした。試験中は解ける問題から解いていき、ぱっと見わからない問題はどんどん飛ばしていきました。

 今回の試験は特に会計学など、頭から律儀に解いてしまうと厳しかったと思います。試験当日にはどの問題はみんなができそうで、どの問題はできなくても影響がないかなどがかなり感覚的にわかるようになっていました。

 これは、答練をほぼサボらずに受けたことと、過去問を研究することで身に付いたものだと思います。

試験後の感触としては「やれるだけのことはやった」という感じでした。これは合格できるということではなく、できることは全部やったけど合格できるかというとわからない、という感じでした。

試験後

 大原の奨学生試験のとき以外は、発表まで一切勉強しませんでした。もう一度やることになっても、その方が来年また集中できる気がしたからです。遊びに行ったり、家の仕事を手伝ったりして過ごしていました。そして、3回目をやることなく無事合格することができました。

時系列順に受験生活を追っていきましたが、今度は科目別にそれぞれの勉強法を書いていきます。

科目別勉強法

簿記

 計算科目の中でも最も時間をとられる科目でした。まず最初にやったことは、問題集の個別問題を5回解くということでしたが、これはあまり費用対効果が高い方法ではありませんでした。

 まずは、全然できないとしても総合問題を何度も解くべきです。その後、苦手な問題だけ個別に戻るべきだと思います。個別問題を5回解く暇があったら、テキストの目次を見ながらそれぞれの項目で仕訳を頭の中で思い浮かべるというような作業の方が実際の試験には役に立つと思います。

 勉強開始当初は、個別問題に固執していましたが、受験2回目に入る頃にはステップ基礎と計算答練のみを1回目から順番に毎日1時間分やっていき、1時間問題を50分で100点取れたらその問題は外して、最後までいったらまた最初に戻るというのを繰り返していました。ただし、連結キャッシュフローや、連結税効果といった基礎答練では触れられない論点は応用答練からいくつか抜き出して加えていました。

 論文式試験直前には連結を重視し、一週間のうち半分は連結の問題になるように順番を並び替えて同じことをやりました。ただ、短答後から3ヵ月で1周するのがやっとでした。

短答は免除のため、短答対策は全くやっていません。

管理会計

 管理会計も計算科目なので簿記と同じです。ただし、管理会計には理論があります。私は比較的管理会計の理論が得意で、「どうやって勉強してるの?」と聴かれることがありましたが、特別な勉強をしていたわけではありません。

 ステップ基礎や計算答練を循環して解いていくにあたって、理論もちゃんと解いていたというだけです。他の理論科目同様、テキストを読みながら勉強するというのも効果があると思いますが、時間がかかりすぎます。管理会計の理論は重要ですが、そうはいっても他の理論科目に配分される点数からすれば少ないので最小限の労力に抑える方が得策だと思います。

 短答対策としては、財務会計論免除だったため管理会計論の解答時間が足りないという事態に陥るのを最も恐れていました。そこで、短答問題集を購入し時間を測りながら一通り解いてみました。過去問集も2年分を90分で解くようにし、かなりのスピードで問題を解けるようにしました。
しかし実際には理論問題も多く、時間的に余裕が無いということはありませんでした。

 論文式直前には、05受験の時にもらった原計理論総まとめというかなり薄いテキストを何度か読んでいました。循環は応用までやりましたが、これも3ヵ月で1周するのがやっとでした。

財務諸表論

 目次を自分の部屋-財務諸表の基礎概念、台所-一般原則、リビング-損益計算総論…という風に場所に結びつけ、目次を思い出しながらテキストの内容を思い出すようにしました。

 この場所法で目次学習という方法は、細部までは記憶できないという欠点がありますが、それを補うために時間が許す限り各章をマインドマップでまとめ、風呂場で眺めたり、トイレで眺めたりしました。

 論文式直前には、従来のテキストを読んでいました。総まとめテキストは問題集形式だったので、いまいち馴染めませんでした。
 ただし、会計学の試験前日は総まとめテキストを最後まで1回読みました。これは、総まとめテキストの問題が的中した場合に、自分だけ何も書けないという自体を避けるためです。ただ、ほとんどの問題はテキストにも書いてあるため、それほど大変ではありませんでした。

この科目も短答は免除のため、短答対策は全くやっていません。

企業法

 短答用に基礎テキスト(各論点を単純に羅列したテキスト。かなり細かいところも載っている)、論文用に応用テキスト(問題集形式のテキスト、始めに問題が提示されてその問題を解く解法を解説する形)と使い分けました。

 ただ、短答直前まではひたすら基礎テキストで勉強し、応用テキストは論文答練の直前に出題範囲のところをざっと見るぐらいでした。

 基礎テキストは、とにかく短答答練で問われて間違えたところをマーカーでチェックし、どういう問われ方をしたのか注意したほうがいいと思ったところはテキストに書き込むようにしました。過去問の出題箇所もテキストにマーカーでチェックしました。

 基礎テキストは表などがあまりなく、横断的な知識を身に付けるのが難しいため、友達と手分けして少数株主権があるケースや、企業再編ごとの違いなどを表にしてみんなで回しました。その表はマインドマップ同様風呂場などで眺めました。基礎テキストのマインドマップ化もある程度行いましたが、全体の3分の1もできなかったと思います。
一応場所法によって目次を頭に入れましたが、情報が細かすぎたためかあまりうまく結びつけることができませんでした。

 基礎テキストがかなりボロボロになるまで使い込んだ頃に短答の本番を迎えましたが、短答式試験に限っていえば、企業法は苦手科目でした。成績もかなりの割合で足を引っ張る形になっており、最終的に17/20(85点)でしたが、周りの人は19/20(95点)ぐらいが当たり前で、かなりがんばったわりにはあまり目覚しい結果は残せませんでした。基礎テキストを読み込みすぎるあまり、細かいところにこだわりすぎたのがあまりよくなかったのではないかと思います。

 こうして、短答直前までほとんど基礎テキストしか使っていなかったので、短答直後に応用テキストより使い勝手がいい総まとめテキスト(応用テキストと同じ問題集形式。ただし、解答のフローと模範解答のみで解説なし)をもらったことで、応用テキストはほとんどまともに利用しないままお蔵入りしました。

 論文直前はひたすら総まとめテキストを読んで各問題のフローを頭の中で再現できるよう試みました。ただ、そこまで完璧にはできず結局うろ覚えで試験に臨むことになりました。この時、マインドマップ化も可能な限り作りましたが、試験が迫っていたためほとんどまともには作れませんでした。

監査論

 2日おきにジョギングするように心がけていたのでそのジョギングコースに目次を結び付けていました。
短答に関してはテキストに短答答練や、過去問で間違った肢などをテキストにマークして答練や過去問に戻れるようにしていました。

短答に関しては後はひたすらテキストを読み、余裕があればマインドマップ化しました。テキストを開けないような環境ではマインドマップを眺めるようにしていました。

短答後、論文の勉強に特化するときには総まとめテキストが手に入るので、短答後の3ヵ月間は総まとめテキストを回していました。

監査論の勉強法は基本的には財務諸表論や企業法と同じようなやり方です。

経営学

 講義を聞いている間はレジュメをテキストに貼り付け、講師から指示された箇所にマーカーを引くなどしてテキストを加工しましたが、結局そのテキストは使わず、短答後に受け取った総まとめテキストを何度も読みました。

 マインドマップ化したのは、財務論に関する部分のみでした。総まとめテキストはただ読むだけでほとんど勉強らしい勉強をしていませんでしたが、財務論に関しては「他の箇所は直前に始めても間に合うが、財務論だけはちゃんとやっておけ」と講師が言っていたので本番の短答の前からマインドマップを眺めながらある程度勉強していました。

租税法

 租税法については時間が全く無かったので、とにかく総合問題を極力解くようにしていました。できれば毎日1問解きたかったですが、結局は3日に1問ぐらいのペースだったと思います。ただし、短答直前の頃は総合問題を解く余裕が無かったので、テキストを読みながらテキストに個別問題がでてきたらそれを解くというのを1回最後までやりました。

 また、租税法に関しては理論はほぼ完全に切り捨てました。今年の租税法に関しては、受験生のほとんどが理論をやっていないようだったので理論を切り捨てる作戦が成功しましたが、来年は今年の問題がかなり理論も重視していたことから理論を切り捨てる作戦は通用しないかもしれません。

 実際に問題を解いた時も、法人税法と消費税法の計算がある程度できた感触があったためかろうじて一括合格になったという気がします。

 簿記の場合は個別問題を最初に何度も解いたあと総合問題を回すようにして勉強しましたが、租税法は個別問題をあまり解かずに総合問題を解きながら計算力を向上させるようにしました。短期間にある程度の実力を身につけるにはどちらかというと租税法のやり方のほうが有効だったように思います。

まとめ

私が考えるに、勉強の成果というのは

   能力×効率×時間

という式で表されると思います。

 このうち、能力については生まれついてのものなのでいかんともしがたいかもしれませんが、実際、能力が与える影響というのは効率や時間に比べて少ないのではないかと思います。

 ただ、能力が高い人ほど効率も時間も稼げるため結果的に成果に大きな差が開いてしまいます。自分の能力が他人よりいいか悪いかは置いておいて、とにかく効率と時間という努力でどうにでも埋められる部分でどれだけ稼ぐかによって合否は別れているのではないでしょうか。

 私の場合は、1回目の受験の時は時間の部分ばかりに気をとられ、勉強の質をつかさどる効率についてはほとんど目を向けていませんでした。

 そこで全体の成果としては小さくなってしまっていたように思います。逆に2回目には効率と時間についてバランスよく目を向け、他の人があまりやらない勉強法を採用して時間当たりの成果を増大させていきました。それで結果的に勉強時間が少なくなっていたにもかかわらず合格できたような気がします。

 私より一年先に会社を辞め一年早く会計士になった友人がかつて「考えることを怠っている受験生が多い」と言っていました。

 もちろん、各科目の勉強について惰性でやらずに考えながらやっている人が少ないという意味もあります。

 しかし、さらに大きく考えると勉強するというのはどういうことか、効率とはなにか、合格レベルとはどういうレベルなのか、といった受験全体についての考えるという話も含まれています。

 私にとって勉強するとは、

・情報をインプットし、
・定着させ、
・適切にアウトプットすること

でした。

 そう考えると効率とは、

・より短い時間で情報をインプットし、
・より長期間定着させ、
・よりすばやく反射的にアウトプットできること

です。

 そういう状態に持っていくことが効率のいい勉強法ということになります。これは自分が、勉強とは、効率とは、と考えた結果です。そういった中で、場所法やマインドマップといった勉強法を採用するに至りました。

 場所法などの勉強法はあくまでツールです。

 私は、ツールの背景にある、そのツールを採用するに至った過程、考える過程が何より大事なのではないかと思います。