トロデさん

公認会計士二次試験<2005合格体験記>

by トロデ

1 はじめに

 はじめまして。私はこの度2005年度公認会計士第二次試験に合格することができました。私はこのサイトに体験記をかかれていた皆さんのようなしっかりとした勉強法を確立することが出来ないまま受験を終えることとなってしまいました。ただ、部分的には拘りをもって勉強していた部分もあったと思うので少しでも読んでいただく皆さんの参考になればいいなと思います。また私は不合格だった1回目もほぼ同じ勉強をしていたので特に1回目2回目区別せずに読んでください。
プロフィール

利用した専門学校 TAC圧縮本科生 
受験回数 2回

 1回目 短答式 38点 内訳 簿8財8原9監9商4
 2回目 短答式 38点 内訳 簿5財8原10監9商6

年齢 25歳 12月より監査法人勤務予定 

模試の成績
  1回目全答練 1000位前後<1 2回とも>
  2回目全答練  150位前後<1 2回とも> 

  一日の勉強時間  6時間 

2 勉強法 総論 必要な能力は?

 私は会計士試験に合格するために必要なのは、

最低限の知識(論証の暗記や計算パターンの暗記も含む)
それを運用して解答を作成する能力

 の二つであると考えていました。ところが私は人にくらべて記憶力が弱くまた暗記作業を非常に苦痛に感じる人間でした。そこで出来る限り必要な知識量を減らし、それでも対応出来るように答案作成能力を磨くことで対策することにしました。もちろん最低限の知識がなければさすがに対応はできないのですがそれについては、科目ごとの各論で述べさせて頂くのでここでは答案作成能力の訓練について述べさせていただきます。
答案作成能力の訓練について
 この点について私は答練が最高の教材ではないかと考えています。私は答練を答練に向けた勉強をいっさいしないということで答案作成能力の訓練として活用するようにしていました。これは何も知識がないまま答練をうけるという意味ではなく、きちんと講義を受けその週の間にかならずその週の講義については二回程度復習するようにしておいてそのかわり答練の直前にはあえて答練の範囲を総復習しないで受けると言うことです。このようにすると答練の時には、ところどころ知識が曖昧になっているはずです。そのように曖昧な知識しかない問題に出くわしたときにどれほど採点者をごまかせるかをかんがえながら問題を解くようにしていました。こうすることで計算科目は何となく解き方は見たことあるけど覚えていない問題については解き方を自分で考える訓練になるとおもっていましたし、理論科目については何とか知っている知識をつかってごまかす訓練になると思っていました。

 以上は私が、講義がある期間にとっていた勉強法ですが、講義がなくなってからもテキストなどを自習で読み返す時も特に答練範囲を意識せずにあくまで自分のペースを守って勉強するようにして答練は同じように活用するようにしていました。こうすることでTACの基礎答練の頃にはさんざんな点数だった私も初見の論点が増えてくる応用答練、直前答練の頃には人並みかそれ以上の点数を取れるようになっていったと思います。
 ただし会計士試験は相対試験である以上は誰もが出来るところは完璧にしておく必要もあると思います。このような論点については、答案作成能力を鍛えるだけでは対応出来ないと思っていたのでインプット作業を答練の日程とは関係なくやっていました。以下で科目別にそれぞれの科目のインプット作業について述べさせて頂きます。

3 勉強法各論 科目別 その1

簿記 
 簿記は演習量がすべてであると思っていたので、講義のある期間は講義を受けたらその範囲のTACのテキストを一回読み返したうえで例題をその週の内に数回解きその範囲の過年度のアクセスを入手してそれも数回解くようにしていました。

 また講義がなくなったあとは基本的には問題に優劣をつけることなくアクセスの20回目以降に限定して一日一問ずつ全ての問題を解くようにしていました。総合問題を毎日解くのは確かに非効率的ではあるとおもっていましたが、総合問題を解くほうが集中力を持続させやすくまたアクセスの論点をすべてマスターできれば必ず合格出来るはずであると考えていたため私はその非効率さには目をつぶって毎日総合問題を解くようにしていました。

 またアクセスを1周することで1定期間の内に必要最低限の全ての論点にふれることが出来るとも考えていました。ドクターについてはアクセスに比べて網羅性が劣ると考えていたため、受けた翌週あたりに復習がてら解きなおす位であまり何回も解くということはしませんでした。テキストについては講義の週に例題を解き直すのと短答前に解き直す以外は解らない論点を調べ直す辞書代わりとして使っていました。
財務諸表論
 財務諸表論はまず講義のあとテキストを読み返しながら覚えたい論点や定義を少し大きめのカードに書き込んで暗記カードを作りました。ここで定義についてはそのまま文章ごとカード化していましたが、論点ものについてはフローチャート化してカード化していました。論点のフローチャート化については川村先生が論点集を段落分けしていましたが、その程度の内容にキーワードを付け加えたものをカードに記載していました。

 この際カード化した部分については、印をつけておきました。そして2回目以降に読み込む際には印を付けてある部分はカードを頭の中で唱えられるようにしたら次に読み進むという感じで読み込んでいきました。また論点集はほとんど読まずフローチャート化の参考にするだけで、論点はテキストの本文を用いて勉強するようにしていました。出来る限り使う資料を減らしたかったからです。財務諸表論については直前期まで一切勉強法を変えることはせず同じことを何回もくりかえしていました。
経営学
 経営学については短答式試験が終わるまで講義と答練を受けるのみで一切復習などはしませんでした。ただし答練では嘘でもいいからスペースを埋める努力だけはしていました。短答式試験後はファイナンス理論を中心に藤沢先生のレジュメに絞ってそれだけをただ暗記出来るようにしていました。テキストはほとんど読み返したりしませんでしたし、カードをつくったりも一切していませんでした。藤沢先生のレジュメにチェックペンでマーキングして赤い下敷きで消して覚えるという大学受験のような勉強法をとっていました。
原価計算
 原価計算も簿記と同じようにアクセスの25回目以降に絞って何回も繰り返して解きました。原価計算に関しては大原の平沢先生の講義にでていました。TACの講師とどうしてもあわないとかんがえていたので原価計算だけは単科で平沢先生の講義をとっていました。原価計算は解き方を覚えるだけでは対応できないと考えていたのでアクセスの各問題に限ってノートに自分なりの解説を作っていました。解き直すたびに自分の解説を読み返しところどころ改良していきました。

 解説は自分の解らない問題に限って作りました。はじめの内は模範解答の解説をとりあえず写すだけになってしまうと思いますが、これでも解き方を最低限覚えるのにも役立つのではないかと考えていました。この際どうしてもわからないところは受験仲間や講師に質問したりもしていました。原価計算も基本的にはアクセスレベルの知識をきちんと理解してマスターできれば、十分に本試験で合格点をとれると思います。

4 勉強法各論 科目別 その2

監査論
 基本的には財務諸表論と同じように勉強していましたがカード化するのは南先生が暗記事項とおっしゃったところとそのほかにTACのテキストの章末問題の解答を自分で作成して財務諸表論と同じ程度に段落付けくらいのフローチャートをつくってカード化していました。また財務諸表論と監査論について答練は解説中に解答を読み返し間違えたところを解説中にチェックする以外は直前期以外ほとんど復習しませんでした。ただし直前期には、間違えたところに限って見直しを2科目まとめて本番3日前くらいでざっと見直しはしました。
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5 勉強法各論 科目別 その3

経済学
 経済学は講義にほとんどでないで独学で勉強しました。当初はTACの富永先生の講義にでていましたが先生がやめたあとは特に自分と合うと思える講師がいなかったのでテキストを自分で読んでアクセス30回分を数回解き直しました。また経済に関しては過年度の答練も数回<3回程度?>解きなおしました。経済学は簿記や原価計算よりも答練にも良問が多いと考えていたからです。この際苦手な問題については原価計算と同じように自分なりの解説をノートに記載しました。

 経済学については独学であったこともあり当初は大の苦手科目でかなり大量の解説をつくることになってしまいましたが最終的には予備校の模擬試験や本試験での点数や手応えを見るかぎりでは得意科目にすることが出来たのではないかと思います。
商法
 商法は他の科目にくらべて著しく点数が低かったです。そのため、最低でも平均点をとれればいいと考えて勉強していました。講師もTACではレジュメが少ない阿部先生を選びました。また商法で常に平均点をとるためには典型論点の暗記は欠かせないと思っていたので講義のある時はAレジュメを軽く読みBレジュメを答案構成だけ別紙に書いていました。

 ただ2回目の受験時の講義が終わる頃に過年度の大原の論文まとめを入手したのでそれ以降はAレジュメを読むとともに該当範囲の大原論文まとめだけを用いて勉強していました。大原の論文まとめはフローチャートがついてまたTACの答練も解答を大原のフローチャート程度の精度でフローチャート化して空で書けるようになるまで数回復習しました。
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6 短答式対策

 私は短答式対策についてはだいたい1ヶ月前くらいから完全に特化するかわりにそれ以外の時期には一切なにもしませんでした。短答式答練の点数も一切気にしませんでしたし復習も計算科目の間違えたところの解説を読む程度でした。短答直前期には簿記はテキストの例題の全問題を2回解き、短答答練も2回解きました。原価計算については、短答答練を3回解きました。

 また計算科目については答練のうち一度でも間違えた問題だけ選び出しておきそれを<だいたい20問程度>直前財務諸表論については会計法規集の内財規もの以外を2回、監査論については委員会報告書を2回、商法については条文を2回読みました。理論科目については1回目の読み込みが終わった科目については随時、短答答練を総復習しそれが終わると2回目の読み込みをし、またそれが終わると答練の総復習をしました。だいたい一日6時間強の勉強時間を確保すれば、1ヶ月程度でこれが終わるくらいではないかと思います。

7 終わりに

 以上で述べてきたように私はあまり深く考えず最低限の資料を何回も繰り返すだけというインプットの仕方をとってきました。また基本的には講義がなくなったというくらいで基礎期直前期通してほとんど勉強法は変えませんでした。私の場合はあまり勉強法に根拠がなくほとんど参考にならないかもしれません。また自分のやり方が優れているとも全く思っていませんから私の体験記を鵜呑みにするのではなく、こういうやり方もあるんだなあと言う程度の意識で読んでいただき皆さんなりのやり方を確立していただければと思います。それでは皆さんのご検討をお祈り致します。ぜひ一緒に働きましょう。

8 使用教材

簿記 TACテキスト アクセス ドクター
原価計算  アクセス 大原の平沢先生の講義録 大原のテキスト 
財務諸表論 TACのテキスト、論点集<参考程度> 答練 
監査論 TACテキスト 資料集
経済学 TACテキスト アクセス 答練
経営学 TAC藤沢先生のレジュメ
商法  TAC阿部先生のレジュメ 大原の04年論文まとめテキスト<2回目のみ>