coolさん
公認会計士二次試験 <2005合格体験記>
by coolプロフィール
名前:cool(クール)
年齢:25才
得意科目:原価計算・商法・経済学
2004年 短答不合格
2005年 短答、論文合格 → 監査法人勤務
予備校:大原
Ⅰはじめに
私はこの合格体験記を通して真面目に勉強をしているはずだけれどいまいち成績が伸びないや、勉強慣れしていないため勉強のやり方がわからずなんとなく人に聞いたやり方で(スポックさんや他の人にやり方で)勉強をしている人へ特にアドバイスを送りたいと思って書かせてもらいます。よって、勉強法がある程度確定している人やある程度できる人にはいいアドバイスとならない可能性が高いのでその点ご了承ください。特にⅡは合格体験記というより勉強方を決める上でのアドバイスになってしまっています。
Ⅱはじめのはじめ、勉強法を決める上での注意
私が今まで見たところによると勉強をはじめた当初から自分なりの勉強法を持っている人というのは今までの大学受験、学校の試験などで自分なりの勉強法を確立してきている人なのです。暗記科目はこうするとか、計算科目はこうするとかそういうのを今までの経験からわかっているからそのまま会計士試験の勉強法もはじめからある程度確立させていけるのだと思います。(そのような人は以下読む必要はないです)しかしそれがない人はどうするか。今から勉強法を確立するしかありません。そして勉強法を確立させる手段としては色々な人から勉強法を聞くというのが一番メジャーな手段でしょう。しかしこの手段には大きな落とし穴が潜んでいると思います。以下では、代表例として合格体験記の勉強法を参考にする上での注意を書きたいと思います。それは
1.合格体験記の半分はウソだと思うべきである。
2.合格者のその勉強法はその年限定のものである可能性がある。
3.合格者といえどもたまたま合格したものである可能性がある。
の3点です。以下個別に説明していきます。
1.合格体験記の半分はウソだと思うべきである。
合格体験記にはその合格者の勉強に関する全ての記録が書かれているわけではなくその合格者が恣意的に拾い上げた事柄だけが書かれることになります。読み手にとっての事実とはその執筆者が合格したという事実だけであり、そこに書かれた文章は執筆者が恣意的に構成したものであるという事を強く意識しなければなりません。
例えば、「・・・をすることにより簿記ができるようになりました」という文章があったとしても、それは執筆者の勉強に対する評価であり、事実ではないでのです。本当のところは以前にやっていた勉強が実を結んで調度そのときに簿記ができるようになっただけかもしれません。つまり、この場合その執筆者がやった勉強法を忠実に再現したとしても意味がない可能性が高くなります。そういった場合、「人それぞれ勉強法は違うものだ」と納得してしまう人がいるかもしれませんがそれは全く意味のない納得だと思うわけです。だってそもそもその「ある勉強法でできるようになった」ということ自体がウソ(または非常に不完全な情報)であったわけですから。このようなことを書くと合格体験記等を読む意味がないと私が言っているように思う方がおられるかもしれませんがそうではないです。半分はウソであっても半分は本当であると考えているからです。私がここで言いたいのは、合格体験記の半分ほどはウソであると注意して読むべきであるということだけです。
2.合格者のその勉強法はその年限定のものである可能性がある。
これは例えば「・・・の問題集をやるだけで商法は大丈夫でした」などの文章があった場合、その年に限って「・・・の問題集」から本試験の問題が多く出ただけであり、次の年も「・・・の問題集」をやっただけでは本試験で合格点がとれない可能性がある、というようなことがあげられます。この例の場合はあからさまな例であってだれもひっかからないかもしれませんが、これはあらゆる勉強法に言える可能性があることではあると思うので、一度「これはその年限定の勉強法ではないか?」と疑ってみる必要はあると思います。
3.合格者といえどもたまたま合格したものである可能性がある。
合格者は合格点で合格したとしても合格者であり不合格者は合格点の1点下で不合格になったとしても不合格者です。両者の違いはほとんどないと言えますし、むしろ地力では不合格者の方が上の可能性もあります。そのようなたまたま合格した人(というか合格点付近の実力の人(私もこの部類))を全面的に信じて勉強するのはかなりリスキーでしょう。(もちろん部分的には信じていいと思います)さらに言いますと私の主観では合格者の3分の1以上はこの(偶然合格の)部類にはいると思います。よって単純計算で合格体験記の3分の1以上の方はこの部類であり、その点を留意した方がよいでしょう。(くり返しになりますが私もこの部類です。さらにくり返しになりますが「全面的に信じるのは危険だ」と言っているだけです。)
この3つには少なくとも留意して勉強法を吟味する必要があると思います。具体的なことは言えませんがこの3つの疑いをもって選びさせすれば変な方向に突き進んでいくことはないと思います。
Ⅲ勉強法.解法
ここからは私がいいと思った勉強法.解法を紹介したいと思います。ただし、私が上で注意したことに留意して読んでください。
科目個別の勉強方・解法を書く前にひとつ書きたいことがあるので書かせてもらいます。よく「理解が大事か暗記が大事か」という議論がありますがこれはなかなか難しい議論だと思います。なぜなら理解重視といってもその程度は人によって違いますし同様に暗記重視といってもその程度は人によってかなり違うからです。
たとえばAさんが「私は暗記重視で勉強した」と言って、Bさんが「私は理解重視で勉強した」と言ったとしても、第三者であるCさんがAさんBさんを比較して見ると実はAさんのほうがより理解を重視していたということもあると思うからです。
だからある成績優秀者(Bさんとします)から「理解重視」が良いとアドバイスをもらうにしても「理解重視」とはどの程度のなのかはっきりさせる必要があります。しかしこれはかなり難しいと思います。「理解重視」というのはⅡでも述べましたがBさんの勉強に対する評価であって事実ではありません。そして、一度その評価を下してしまい思いこんでしまったBさんがどの程度理解を重視していて暗記をあまりしなかったのかはうまく説明できない場合が多いと思います。よってこの議論は非常にデリケートであると言え、あまり気にしないほうがよいと私は思っています。ちなみに個人的な見解としてアドバイスを送るとしたら
「もしあなたが暗記派であるならもう少し理解を重視した方が良い、理解派ならもう少し暗記を重視した方が良い」
と言います。この程度の議論だと思っています。
では次に各科目ごとに気をつけていたことを書きます。
簿記
簿記はあまり得意ではなかったですが最終的にはそこそこのレベルにはなったと思います。簿記ができないときに考えたことは簿記が得意な人と同じように問題を解けるようになりたいということです。そこで簿記が得意な人はなぜ簿記が得意なのか考えてみました。簿記が得意な人が答えを出すときに迷いがあまりなくさらさらと解けるのはなぜか、それは英語を得意な人がいちいち文構造を考えなくても英語がさらさらと読めるのに似ていると思いました。大学受験のとき英語の先生が以下のようなことを言っていました。
「英語ができる人は文章を頭から読んでいる段階で次にどんなパターンが現れるか予測して読んでいてその結果、文章を振り返ることなく読み進めることができる。しかし、それを無意識にできるようになるには相当の量の英文を読まなければならない。しかし限られた時間の中で膨大な量の英文を読むことはできない。そこで文章のパターンを覚えることにより出きる人が無意識にやっていることを意識的に予測ができるようになればいい。」
私はこの言葉を思い出して簿記でもできる人が無意識にやっているだろうことを、パターンとして書き出しそれを覚えることにより短時間で意識的にできるようになろうと考えました。
その方法とは、
各勘定項目の増減原因となる仕訳を書き出して覚えてしまい、問題でその勘定が出てきたときにそれが思い出せるようにしようという方法
です。
支払利息が前T/Bにあったとしたら後T/Bにいくまでにどのような増減原因があるか、それさえわかれば残り3分となって支払利息だけ答えを埋めたいときも増減原因の予測はできているわけですから、積極的に問題文を読み答えを出すことが可能となります。連結における売上高とか売上原価も増減原因の仕訳さえ覚えていればミスなく部分点がとれます。この方法は簿記のC/Fの問題のとき講師の先生が売掛金・受取手形・買掛金・支払手形などの増減原因は頭にいれた方が言いといっていたことを参考にして、全項目に拡張した方法です。この方法も慣れてくると覚えた増減原因をわざわざ思い出さなくても集計ミスせずなんとなく解けてくるようになるのですが、この方法を使い無理やり覚えたことでより短時間で簿記のレベルが上がったと私自身は思っています。
この「できる人が無意識的にやっているであろうことを意識的にやろうとする」という方法は他の科目でもつかえると思います。問題は「何を無意識にやっているか」があまりよくわからないということなのですが、そこらへんはできる人をよく観察したり、勝手に自分で予測したりするしかないと思います。できる人に質問をしたとしても(私はセンスがある人とよんでいます)、多くは無意識になんとなくできてしまっている人が多いためいい解答が得られない可能性が高いと思いますので。その点ちからになれなくてすいません。
原価計算
原価計算は当初から比較的得意科目でありなんとなくできてしまっていたのであまりアドバイスはできませんが、理論について少し書きます。私は大原で勉強をしていたのですが大原の理論テキストでもし理論ができるようになったらすごいと思います。というか、無理でしょう。あのテキストは理論でなんとか落ちないくらいのレベルで書かれているのだと思いますが、はしょり過ぎていて体系だっておらずかえって覚えにくくなってしまっているように思います。岡本清の「原価計算」を読むのをお薦めします。この本を読むと原価計算の発展の歴史がわかり筋道立てて理解できだいたいのことは覚えられると思います。
財務諸表論
これは当初あまり得意ではなかったのですがいわゆる伝統的論点以外は意見書をノートのまとめることにより落ちないレベルにはなったと思います。伝統的論点に関しては桜井先生の「財務会計講義」と飯野先生の「財務会計論」を読んでノートにまとめました。まとめるにあたっては極力少量にまとめることをお薦めします。そしてそのページを見たらなんとなく文章が頭に浮かんでくるようにする必要があります。本番では典型問題に関しては考えなくてもさらさら書けるくらいでないと考える必要がある問題に時間をまわせなくなってしまうからです。
監査
委員会報告書と大原のテキストを読みまとめノートを作りました。あとはたまに答えが二通り浮かんでしまうことがあったので(理解不足のせいですが)、下のⅣで書いていたことを意識してなんとか落ちないようにごまかすことができたと思います。
商法
商法は得意科目でした。商法で大事なのは条文の趣旨をしっかり理解し書けるようにしておくことだと思います。大原のテキストはまとまっているという点ではいいと思うのですが逆に細かくないので趣旨を理解する上でいまいちピンと来ない場合が多いと思います。そういう場合、私は「リーガルマインド会社法」という本を読んで理解に勤めていました。おすすめです。また、論証力に自信がない人はともかく書いてみるといいと思います。答練だけ他の予備校の答練もとってみるのも良いかもしれません。予備校が違うとある程度視点も違ってくるため論証力のトレーニングになるだけでなく多面的にみることにより理解も深まりいいと思います。そこまでする必要はないとも思いますが。
経営
特に書くことはないです。
経済
経済学部だったせいもあり計算答練・応用答練を解くことだいたい解けるようになったためあまり参考になることは書けません。
Ⅳ直前期に気をつけていたこと
試験勉強で一番大切なのは直前期だと思います。なぜなら直前期にやったことが一番頭に残っていると思われるからです。だから、成績が悪い人でも直前期に挽回可能で逆に成績がいい人でも直前期に抜かされる可能性が十分にあると思います。
さて、具体的に直前期の勉強で気をつけていたことは大多数の部類に入れるように勉強することです。この「大多数」には二つに意味での「大多数」があります。一つ目の意味では「多くの人が解けるであろうところを解けるようにする」という「大多数」で二つ目の意味では「多くの人が選ぶであろう答えと同じ答えを選ぶ」という「大多数」です。
前者に関してはよくいわれると思うので割愛します。
後者の「大多数」は短答答練を解いているときにあるブロガ-の方がおっしゃっていたことで、具体的に説明しますと、ある問題にあたったとき答えが二通り考えられるときは素直に大多数の人が選ぶであろう答えを選ぶという方法です。(逆にいいますとこれが答えだったら正解者が少ないだろうという方の解を選ばないという方法です。)もちろんどちらかが答えであるという確信がある場合はそちらを選べばいいのですが、どちらともいえない(または片方に決める勇気がない)場合に致命傷を負わないようにするための方法です。この方法は短答だけでなく論文でもつかえると思います。本番でこの方法をつかうために普段から大多数の人が書くであろう方向をいくらか捉えておくと本番でも若干精神的に楽だと思います。
ただし、これは直前期に気をつけていたことでそれ以前は自分の興味にあわせて細かい分野の理解を深めるといった気まぐれな勉強をしてもいいと個人的には思います。その部分的な深い理解が役に立つことも多々あると思いますし、なにより興味があるので苦が少ないからです。大多数を意識するのは直前(短答前あたり)で十分だと思います。
Ⅴ最後に
偉そうにずらずらと文章を書いてしまいましたがここまで書いた中で一番私が主張したいのはⅡで書いた部分です。今回多くの方が合格体験記を書いて、多くの方が参考になさると思いますが、決してそのまま信じることなく疑いを持って参考にして下さい。
私も多くの合格者の方の勉強法・解法を参考にして自分なりに消化し合格することができました。この文章がどなたかの役に立ち、合格の一因となることがありましたら、非常に喜ばしく思います。最後の最後になりましたが私が勉強法・解法を決める上で特に参考にさせてもらったスポックさん、みーくん、ありがとうございました。そしてアドバイスを下さった方々、参考にさせてもらった方々、励ましてくださった多くの方々、ありがとうございました。