セカンドさん

公認会計士二次試験<2005合格体験記>

by セカンド

Ⅰ.始めに

 はじめまして。2005年に公認会計士第2次試験に合格したセカンドです。私は4回の受験の末、合格に辿り着くことが出来ました。私の合格体験記を誰に見て欲しいのかといえば、もちろん多くの受験生の方々というのは当然ですが、受験期間が長くなってしまった方&答練の成績は良いがなかなか合格に辿り着くことが出来ない方に特に読んで頂きたいと思います。
 入門期の学習についても簡単に触れていきますので初年度の方も参考にして下さい(反面教師って視点が宜しいかと思います)。尚、私は旧試験制度の最終年度に合格しておりますので、表現上において古臭い言葉(?)を用いますがお許しください(管理会計論を原価計算と記す等々)。

また勉強方法というのは無数に存在するはずです。私の考え方が全てであるとはもちろん考えておりません。皆さんの勉強方法の模索や意思決定のお役に立てれば幸いであります。

プロフィール

 ・私立大学卒業、現在24歳(卒業2年目)
・予備校:TAC(1回~3回目の受験)、AXL(4回目の受験)
・受験回数:4回
       2002年:短答不合格(35問、ボーダー36問)
       2003年:短答不合格(35問、ボーダー36問)
       2004年:短答不合格(34問、ボーダー35問)
      2005年:短答合格 (43問、ボーダー34問)
            論文合格
・ 12月より大手監査法人勤務予定

Ⅱ.勉強法総論

<謙虚な姿勢と自らを追い込む>
 勉強当初は多くの方が一発合格を目指して勉強を開始すると思います。そして会計士試験を受験するまでに大学受験等々を経験するなど少なからず受験勉強を経験していると思います。勉強を始める段階&勉強を開始後でもいいですから受験時代の失敗点を考えることが有益だと思います。遊びの誘惑が多かったこと、暗記が苦手だった等々、様々あると思います。それを振り返ることはこれからの勉強において大きな指針になると思います。

 次に会計士試験を受験する方は多くの方が国公立大学や有名私立大学の方ではないでしょうか。ですから会計士試験についても何だかんだいって受かってしまうのではないかと甘い考えで始めてしまう方が多いのではないでしょうか。それは大きな間違いであり、常に謙虚な姿勢を忘れてはならないと思います。私自身も3年目以外は勉強の手を緩めたことはありませんが、心のどこかでは在学中に合格するのだろうと考えていました。そういった考えは見えないところで心の隙を作るのではないかと思います。ですから常に謙虚な姿勢を持ちましょう!!!

 さらに学業受験と異なり会社を退職して背水の陣で臨む方も多くいます。そういった方のモチベーションは素晴らしいものがあります。学生のうちは新卒就職という逃げ道もありますし、親のすねをかじることも出来ます。ですから学生の方は甘えたいと思えばいつでも甘えられる環境にあるはずです。こういった精神論は科学的根拠こそないのかもしれませんが、時として見えない力を発揮しますし、時として負の力となることもあります。ですから自らを追い込んで学習する必要があるはずです。
<専門学校の問題を完璧にする必要はない、過去問を見よ!>
 専門学校から提供される問題は膨大な量になります。それを完璧にこなせる方は氷山の一角ではないでしょうか。きっと公開模試でトップクラスの方でも完璧にこなしている人はまずいないでしょう。ですので専門学校の問題を完璧にこなしている人はまずいないという事実を知ることは大切なことです。では合格する人は何を完璧にしているかということですが、多くの専門学校で基礎期と呼ばれる時期に出題される問題でしょう(特に簿記・原価計算)。

 そして多くの方が専門学校で出題される問題で勉強の指針を惑わされていると思います。例えば特殊商品売買については専門学校で出題される複雑な原価率の問題は近年、出題されていません。ですから私は特殊商品売買の問題は基礎期に出題された問題しか復習しておらず、直前期に出題される問題は個別論点部分のみを復習していました。また試験委員論点も同様です。試験委員論点については後述していますが、試験委員論点に惑わされることなく学習する必要があると思います。

 それには過去問をしっかりと研究してみて下さい。学業受験では多くの方が過去問を解くと思いますが、会計士試験では過去問を解かない人のほうがむしろ多いのではないでしょうか。ですから過去問を制限時間内に解く必要はありませんから、どういった問題が出題されているかを研究してみて下さい。
<朝型、夜型ではなく規則正しい生活を!>
 専門学校では早朝答練などがありますから多くの方が朝方の生活をしているのかもしれません。しかし一番、重要なことは生活リズムを一定にすることです。私の場合は3月までは夜中の3~4時まで勉強して朝は9~10時に起きるという生活をしていました。そして本試験が近づいた4月からは朝の4時に起きて夜10時半に寝るという生活スタイルを4年目は貫き通しました。
<2年目以降の資料の整理>
 2年目以降になると資料が膨大になりどのように整理した良いか悩む方も多いと思います。私の方法としては論文式対策としては、計算問題は新しい問題を解いたら昔の同様論点の問題と比較してどちらがもう一度解く価値があるかを検討し必要ないと判断した問題については今年度の問題であっても捨てました。捨ててしまう答練についてどうしても気になる論点があった場合はその部分を捨てない問題の余白に書き込んだりして論点漏れを防いでいました。
 理論問題についても同様なスタンスで整理していきました。

  次に短答式対策の場合、計算科目は論文式対策の場合と同様に整理していきました。理論科目は少し厄介なところだと思います。なぜなら論文式と異なって5肢あるので取捨選択が難しいのです。TAC時代は同じ問題については問題の肢に×をつけていました。AXLに変更した4年目は、3月に短答式強化週間としてAXLとTACの同様論点を一気に解いてAXLで出題されていないがTACで出題されている問題を探しました。そしてその肢をPCのワードで打ち込みTAC論点をワードに集約することで資料を圧縮しました。

 資料が多いことは響きこそいいのですが、時間のない直前には大きな足かせになることを頭に入れて下さい。中には去年の答練まで手が回らず今年度の問題のみに集中する人もいますが、2年目以降の過去の答練を持っているというメリットを生かさないのはもったいないです。専門学校の問題は保険論点も多いですが、毎年多くの的中問題が出題されていることを忘れてはいけません。ですので過去の答練について取捨選択する必要がありますが、十分に生かす必要があると思います。ちなみに初年度の方は過去の答練をする余裕はないと思いますので、気になさらないで下さい。
<答練のための勉強はしない>
 初年度の方は答練の為の学習は十分に意義があると思います。それはまだ2時間答練に慣れていないこと、理論で記述するにはまだ知識が乏しいので答練のための学習をしないと壊滅的であり時間を無駄にしてしまうからです。

 2年目以降の方の場合は各専門学校の出題される問題が大方、予想できてしまうので答練の勉強をすると簡単に上位に食い込めてしまうと思います。ここでいう答練のための勉強というのは答練に出題される問題を予想して丸暗記するということです。これでは答練を受ける意味は全くありません。答練の範囲指定の論点を徹底的に学習するというスタンスは間違っていませんが、問題を予想して学習することはやめるべきだと思います。

 4年目の私の場合はそもそも答練を本試験と位置づけて範囲指定も全く見ないで答練に臨みました。もちろん本試験のように全ての論点に対応できるような準備をしているわけではないのですから、従来よりも平均点は下がりましたが私にとっては既存知識で如何に問題に対処できるかを確かめる場として有効だったと思います。

<答練と本試験の相関関係はあるか>
 公開模試で上位の方でも本試験に落ちる場合がありますが、それはいかなる理由でしょうか。もちろん当日の体調等々の理由もありますが、本試験と答練の成績に相関関係があるとは必ずしもいえないケースがあると思います。上述の答練の為の勉強をしないことにも関係があるのですが、2年目以降ですとどうしても専門学校の問題に慣れてしまいます。

 私自身も短答答練で名前を載せることもありましたし、論文式答練では普通に名前を載せていました。ですから本試験で不合格になったときには何で自分が不合格で周りが合格しているのかという気持ちなりました。でも合格した今、振り返ってみるとただ単に専門学校で名前を載せるテクニックはあってもいわゆる真の実力は全くなかったと感じました。

 そういった意味で他の専門学校の問題を解くことは有意義だと感じました。また専門学校の問題の特徴が分かっているし答練でも痛めつけられることが少ないために精神的にも常に落ち着いた状態で答練に臨んでいると思います。しかし本試験は極度の緊張とも戦わなければなりません。普段の答練で錯乱状態をあまり経験していないとどうしてもパニックに陥ってしまうことあるはずです(私の場合は短答式本試験で感じました)。

 私の場合の対応策は予備校を変更することでしたが、予備校を変更されていない方は他校の問題にも少し入手するのも大きな成果に結びつくのではないでしょうか。最後に成績上位者が本試験で足元をすくわれる可能性として目標を見失っていることがあげられると思います。最終目標は公開模試ではなく本試験です。特にピーキング(特に理論科目)の時期を間違えると修正することがなかなか難しいと思います。

 ですからあくまで本試験にピークを思ってくるのであってその間に実施される公開模試はあくまで実力の確認程度と位置づけ重視しないことが複数年受験者には重要だと思います。

Ⅲ.勉強法各論(論文式)その1

 科目ごとに勉強法を検討してみたいと思います。私の勉強法については時系列に沿ってお話したいと思います(上級期がメインになりますが)。
1.簿記
<入門期(簿記学習初期)は理解よりも慣れること&イメージすることが重要>
 公認会計士試験において簿記が重要科目であることは間違いないと思います。よく「簿記は習うより慣れろ」って言われます。

この考え方について私は積極的に賛成しませんが、殊に入門期、特に簿記学習初期については大変、意義深いものだと考えています。

 「借方に出てくる損益項目って会社にとってあんま良いことじゃないんだな~、逆に貸方は良いことなんだ」、こんな子供みたいなイメージで十分だと思います。正直に言って私は論文式試験合格までこのイメージを大切にしました。そして勘定科目の言葉に慣れたり、電卓に慣れる、仕訳をきることに慣れる、個別論点についての処理を覚える、これが簿記学習初期の目標にして下さい。
<入門期の総合問題に対する取り組みは今後の簿記を左右する>
 日商簿記2級レベルの個別論点が終了後は、総合問題にチャレンジしてみて下さい。TACでいえばトレーニング簿記を購入してチャレンジするのがいいと思います。どうでしょうか?初めて解く総合問題は壊滅的ではありませんか?私は正直、壊滅的でした。問題文を見て処理は分かるのですが、何が決算整理事項で何が期中に処理済なのかさっぱり分かりませんでした。その度に講師に質問をして一つ一つ解決していきましたね。

 次によく講師の方が

「総合問題をパターンで解くのはやめて下さい。」
と仰います。
もちろん上級に進んで少しひねられた時に大失点を喰らってしまうことを注意しているのでしょうが、

「入門期こそ総合問題はパターンで解くべき」
です。

  パターンで解くというのは実に解釈が別れるところではありますが、簿記のボの字を覚え始めた人間に考えながら解けってどういうこと?俺はそんな頭の良い人間じゃないって感じです。私の考えるパターンで解けとは典型問題を何回も何回も解き覚えてしまうという事です。同じ問題も何回も解いて覚えても意味ないのではないかと思う方も多いかと思います。まずは総合問題を解くということを体に染み込ませるのです。

何て体育会的発想かと思われるかと思いますが、これが私の簿記を得意にした絶対的要因だと信じて疑いません。私の場合はトレーニング簿記(確か総合問題が15問弱)を1日もしくは2日で1回転させていました。最終的には10回転以上させた記憶があり、最終的にどの総合問題も15分~30分で解けるようにしたと思います。1回転目などは模範解答を見ながら全部、仕訳を書いて集計していました。

3回転目ぐらいからはどの仕訳を書かなければ時間を削減できるか(減価償却はいらない等)を考え、5回転目からは下書きの工夫等を意識して、8回転目ぐらいからは満点狙いで体にどんどん簿記のDNAを注ぎ込んでいきました。


これだけ簿記を入門期で解いていれば基礎期の頃には簿記の要領がつかめますから、大きなアドバンテージになると思います。
<上級期、総合問題偏重の学習法が必ずしも実力向上(全体最適化)に向かわない>
 上級期に入ると多くの方が1日1題は総合問題を解いているのではないでしょうか。確かに本試験は総合問題で出題されるので、これは決して間違えた勉強方法ではないと思います。しかし7科目も受験しなければならないのに簿記の総合問題を解くということは復習を考慮すると1日に1時間半程は簿記に費やしていることになると思います。

 この時間を長いと感じるか短いと感じるかは人それぞれかもしれません。私は圧倒的にかけ過ぎだと考えています。総合問題を解く事は総合問題ならではのセンスが養われるというメリットもありますが、多くの無駄な時間を過ごしているはずです。

例えば簡単な有形固定資産の減価償却費、棚卸資産の仕入/繰越商品・・・・等々、わざわざ毎日、目を通さなくても解答精度は落ちないと思います。それなら退職給付会計や有価証券などの演習を個別に学習した方がよっぽど効率的で効果的だと思います。他人と異なる勉強法を採用するというのは勇気がいることだと思いますが、総合問題偏重の学習は危険が伴うと思います。

私の場合は2週間を学習スパンと考えて、個別3~4問、連結3~4問、連結以外の構造問題1問、残りを各論点の個別学習に充てました。ここで個別学習はテキストを用いることも有効ですが、短答答練を利用するのがかなり有効的だと思います。短答答練は網羅性が重視されていますし、テキストを見ながら学習するよりも実践的で勉強も捗ると思います。

また総合問題を解くことが勉強した気になってしまうという面も受験生を惑わす大きな罠となっていることも確かだと思います。
<間違いノートは作成すべきか?>
 実際のところ間違いノートはどのくらいの方が作成しているのでしょうか?私も間違いノートを作成していましたが、そのノートの記入形式は同じでも作成順序・時期は他の受験生とは少し異なったのではないかと思います。多くの方の間違いノートは総合問題を解いて間違えたものを各論点(個別、特商、連結等々)、もしくは各答練(基礎答練第1回等々)という目次でノートに記入しているのではないでしょうか?

 この作成方法ですと簿記にだけで1日に2時間程、費やす結果になってしまうと思います。さらに言えば情報が多すぎます。間違いノートというのはあくまである時点で間違えたものを記入するものであって、数ヵ月後には無駄(表現が乱暴かもしれませんが)な情報になっていることが多いと思います。すなわち数ヵ月後には間違えない可能性が多いわけですから以前のように間違いノートに記入する必要性は決して高くはないわけです。

 そこで私の場合は答練の解答に赤ペンで記入することが多かったです。そして特に強調したものについてだけノートに記入していました。この方法でもノートに記入する量というのは不思議と多くなってきてしまいます。そこで私は短答式本試験一ヶ月ほど前に必要な情報だけをノートに清書し直しました。少し面倒かもしれませんが、清書することで記憶を定着させることにもつながりますし、個人的には有効でした。ここまで読んでみて自分の間違いノートと変わらないんじゃないかと思う方が多いかもしれません。しかし絶対的に異なることは情報の集約度です。

 この試験は大学などの学内試験と異なって多すぎる情報は多くの場合は弊害につながると思います。例えば間違いノートは多くの場合、答練・本試験の直前や電車の中など短時間にチェックできる時ではないでしょうか。その時に無駄な情報、直前にあえて見る必要のない情報も含まれている間違いノートを見ることは時間のロスです。ただでさえ時間が足りない試験でロスをいかに少なくするかは重要なことだと思います。
<予備校の問題を完璧にすべきか?>
 個人的に大手専門学校の簿記はやりすぎだと思います。例えば今年に関して言えば、直前期に孫会社の連結や部分時価評価法から全面時価評価法への移行等々が大手専門学校で大流行(?)しました。孫会社の連結って別に最新の会計基準でもないですよね?随分と前から存在する会計基準ですし。まぁ予備校がやることがなくなって出題したのでしょうけど(多分)。つまり受験予備校は仮に出題されてしまった時に授業で扱っていないと問題があるために多くの保険論点を出題します。

 そりゃ~講師の方は本試験を受験するわけじゃないから保険論点を出題したって自分の首を絞めることはないですから。結局のところ予備校の問題を完璧に学習する必要はないのです。とにかく本質的、基本的な問題の学習に終始してください。予備校の答練に惑わされないで下さい。例えば今年の連結って量が多かったかもしれませんが、全く知らない論点が出題されたわけじゃないです。成果連結の原価率もちゃんと売価と原価を対応させれば、弾き出せます。特殊商品売買も専門学校で求められるような複雑な原価率も近年、出題されない傾向にあります。

 ですから過去問をしっかりと研究して、本試験に一番直結する勉強課題に力を注いでください。
<総合問題の解答方法>
 私の総合問題の解き方を紹介したいと思います。まず総合問題を2問、解答する場合は多くの方が構造問題から始めるのではないでしょうか?その根拠を個別論点は部分点が簡単に取れるからといったところでしょうか。

 私は原則として個別論点から解き始めました。まず一番、重要なのは本試験で良い点を取ることです。しかし本試験には大きな緊張が付きまといます。そのなかで構造問題の構造を理解して解答するというのはかなり危険があるのではないでしょうか。まずは精神安定剤として個別論点を解くことが私のお勧めです。

 次に今後とも出題の可能性が高い個別論点、連結財務諸表について記述します。

問題全体をみてデータの所在確認をすると同時に解答用紙を見て何が問われているかを確認する。
他の項目に影響を与えない論点から解答していく。
他の項目に影響を与える論点を解答していく。

 あまりに抽象的に記述していったので解説を加えていきたいと思います。

これは基本中の基本だと思いますが、多くの方が時間を十分にかけておらず、すぐに電卓をたたいているのではないでしょうか。特に予備校の問題はある程度、資料がまとまっていて解きやすいのですが、本試験は問題に作りなれていない試験委員の方が作成するので情報が問題用紙の中で飛んでいることも多々あります。あくまで目標は本試験の突破です。普段の答練では得点につながらないかもしれませんが、必ずやって欲しいと思います。

 また解答用紙のチェックも忘れないで下さい。例えば期首スタートの問題などで解答用紙に売掛金勘定が問われていなければ、売掛金のT勘定を作る必要はありませんよね。

これこそが本試験で勝ちか負けを決定する大きな要因になると思います。個別論点に関してはその選択はそこまで難しくないと思います。例えば減価償却費や退職給付等々から解答し現金などは後回しすればいいかと思いますし、判断に迷うところでないと思います。
 次に連結財務諸表についてはかなりセンスが要求されるところだと思います。例えば税効果会計を解くべきなのか。

成果連結で難しい論点があると判断すれば、税効果会計に着手することはあまり賢明ではないですよね。
増資手続が難しいのであれば連結調整勘定の正解確率が下がるわけですから、解答に着手することも賢明ではないですよね。
つまりの段階で問題文に簡単に目を通す中で、この問題文の処理はどの勘定項目に影響するのか、そして難易度を判断することがいかに重要かということが分かると思います。

 また連結財務諸表は多くの方が仕訳を書いてから集計すると思いますが、少数株主持分などの簡単な計算式で導出できるものは無理に仕訳を書く必要もありません。すなわち少数株主持分=期末子会社修正資本+期末評価差額(全面時価)-期末親会社株式(原価)-期末未実現利益(アップストリーム)×(1-税率)×持分比率で求めることが出来るわけですから、少数株主利益の按分の仕訳についても、借方・少数株主損益 ××と記入するだけで貸方は記入する必要はないわけです。これで大きな時間削減につながると思います。
時間がある限り残りの論点を説いていけばよいと思います。

Ⅲ.勉強法各論(論文式)その2

2.原価計算
<正解なんて必要ない!とにかく考えて取り組むこと!>
 原価計算については講師の方も受験生の多くもパターンで学習すると何の意味もないと考えていると思いますし、実際、その通りだと思います。理解を伴った勉強は全科目について必要なことでありますが、原価計算については計算の理論的背景が最も重要でしょう。まず計算科目であるということで1時間問題等を反復練習している方もいらっしゃるかもしれません。しかし反復練習が必要になってくるのは試験委員論点も関係ない、いわゆる基礎部分だけで十分です。

ですから原価計算の反復練習は入門期の問題集等で十分だと思います。上級期に入るとイレギュラーな問題が出題されたり試験委員論点が出題されたりと専門学校では皆さんの勉強の方向性を惑わす問題が多く出題されます。答練後は復習をし、次回はもっと点数が取れるように頑張ると思います。しかしその復習の多くが次回、計算箇所をしっかり正確に回答できるという復習方法をしている人が多いと思います。しかし本試験において答練と同じ問題(イレギュラーな問題&試験委員論点)は99%出題されません。重要なことはなぜこういう計算方法を採用するのかというロジックを理解することです。

 私の場合は復習のときに電卓はたたかずに模範解答を見ながら、

「ここの計算はこういう理由によりこういう計算をしているのだ」
という感じで頭のトレーニングをしていました。
これにより原価計算の勉強時間も削減できましたし、本試験に向けて方向性がしっかりした勉強方法だった気がします。ですから計算方法を覚えるという勉強法は絶対にしないで下さい。無意味です。原価計算は初見のときに全精力をぶつけて解いてください。2回目以降はどうしてもロジックを分かってしまうので。

<原価計算は全部解く必要はない>
 原価計算で一番、恐ろしいところは、最初の問題で間違えてしまうと(原価標準を間違える等々)、後ろの問題を一気に間違えるというリスクの高い科目です。ですから答練では全て解こうとせず慎重に慎重に解答していく姿勢が大事だと思います。間違っても原価計算は欲張ってはいけません。ただし問題文を全部、見ないということはやめてください。原価計算は問題の前半が実際発生額を計算する問題で、後半は予定配賦率を用いて計算できる問題ということもありますから問題1が解けなくても問題2が解けることがあります。
結局、これが取るべき問題と捨てるべき問題の判断!ということだと思います。
<試験委員論点って必要なの?>
 原価計算は試験委員論点が必要だという話を耳にすることがあると思います。実際、専門学校の答練などに出題されることも珍しくありません。個人的には試験委員論点は全く必要ないと思います。近年の過去問を見てみても試験委員論点を知らなければ解答することが出来ないという問題は出題されていません。EVAなどはもはや試験委員論点ではなく管理会計のトレンドですしね。直前期になると根拠のない噂で試験委員論点が出題されます(今年度だと鳥居先生対策でしょうか)。
 試験委員論点を学習するぐらいなら、基礎的な部分の精度をどんどん引き上げることがどれだけ本試験対策になるかを忘れないで下さい。
<理論対策って必要なの?>
 現在の試験傾向、そして2006年度の試験傾向を見る限りだと理論対策はかなり力を入れて対策すべきだと思います。理論対策については直前期までは総合問題に含まれている計算とリンクさせて勉強することでより理解が深まると思います。直前期に関しては理論対策しかしない日もありましたし、計算演習よりも理論対策をしっかりとしていたと思います。原価計算の理論は他の理論科目と違い、キーワードを挙げられれば十分だと思います。試験委員の方もキーワードに注目して採点されているというお話を聞いたことがあります。

Ⅲ.勉強法各論(論文式)その3

3.商法
<入門期こそ条文を引きまくる>
 入門期は理論科目をどれくらい勉強すればいいのかというのは入門生にとって大きな悩みの一つだと思います。では商法は何をしたらいいのでしょうか。

 私は1年目から商法については答練で名前を連ねることが出来るなど得意科目でしたが、入門期の商法は全く分からなかったのです。事後的に考えてみれば私は法学部の出身ではなかったので、そもそも法律という概念が頭にはなく全く受け付けませんでした。ですので授業を聞いてもどうもピンと来ない感じでした。しかし授業で配布されたレジュメを読みつつ出てきた条文を次の授業までに3~4回、条文で引いて一読するという単純作業を必ずやっていました。正直、何を言っているのか分からないけどもこの作業を黙々と続けていました。

そして上級の授業が始まるまでに一ヶ月弱ほどの自習期間に入門期の全復習をしてみたところ、今まで分からなかったものが一気に分かって頭に入ってくるのです。あれだけ辛かった条文作業も全く苦にならず、レジュメの言い回しにもすっかり慣れていました。その時、あの単純作業を諦めずに繰り返してよかったと強く感じました。商法に限らず理論科目というのは急激に伸びることが多いですから、単純作業に負けずに頑張ることが得意科目にする第一歩だと思います。
<答案構成の型を自分のものに!>
 商法は他の理論科目と異なって一問について1200文字を記述することになるので、最初はどうやって書いたらいいのか悩むところだと思います。初めて答練を受ける人はまずは丸暗記でもいいと思います。そして1時間に1200文字を書くということを体感することは決して無駄にならないはずです。しかし丸暗記は専門学校で通用しても本試験では通用しません。そこでまずは解答の型をしっかりと把握することが大事だと思います。

商法の場合、

論点問題
比較問題
一行問題
 に分けることが出来ると思います。

 上級に入れば問題集が提供されると思うので、提供された問題を3つに分けてみて、各問題がどういった答案構成で書かれているのかを調べてみましょう。

 論点問題であれば、まずは問題提起から始まるはずです。例えば、「条文に書かれている原則を記す→問題文の事例は条文上、明らかにされていない→いかに解釈すべきだろうか」って感じの流れがあったりするはずです。そして次に条文の趣旨を記すなど商法の解答にはパターンがあるはずです。ですから早い段階で答案構成の型をしっかりと自分のものにする必要があると思います。これは実に大切なことです。

 比較問題は慣れないと条文の箇条書きになってしまうかと思いますが、両者の違いが浮き彫りになるように条文をセレクトしていかなければなりません。例えば各種会社の比較であれば、「合名会社は無限責任だから権限も大きい、株式会社は有限責任だから権限も限定的」ということを常に頭に入れて私は答案を考えていました。商法はしっかりとして視点を持って論理的に書かなければ点数は来ないはずです。

 次に実際に答案を書かなければならないのですが、個人的に商法は自分の表現しやすい言い回しを見つけ出す必要があると思います。専門学校の模範解答などは判例を貼り付けたり試験委員の著書から持ってきたりとどこか難しい言い回しが多いと思います。受験生は商法のプロになる必要は全くないのですから、自分が使いやすい言い回しをセレクトしていきましょう。優秀答案の解答や講師に相談するのも良いと思います。
<論証例の丸暗記は本試験に通用しない>
 今回の本試験を実際に受けて強く感じたことは予備校の問題と本試験は多少のギャップがあるように感じました。特に問題2の新株発行については個人的にそう感じましたね。予備校の問題は採点上の事務負担を回避するために受講生の幅広い解答を制約するように限定的に出題するような気がします。多くの予備校では合格間もない方も採点スタッフとして参加しているわけですし、幾通りもある解答用紙を採点するのはかなり酷ですからね。
 一方で本試験はその道のプロが採点するわけですから、どんな解答をしようと簡単に受験生の力を見抜くことが出来るはずです。

実際、新株発行の問題についても予備校が提示した解答が全てでなく幾通りにも理論構成できると思います。これは受験生にとってはむしろ大変なことです。自らの理解度が露呈さてしまいますから。よって普段から丸暗記でなくなぜこういう論証になるのかを考えて学習する必要があると思います。そうしないと応用が利きません。また丸暗記は時として弊害になると思います。本試験の問題が問題集に似た問題の場合、専門学校的中と判断してしまうと的外れな回答になってしまうはずです。

 聞いた話だと今年の表権代表の問題で262条類推適用と書いた受験生も少なからずいたそうです。予備校では類推適用を問うことで類推するという論点も聞けるわけですから受験生の力を図る上で格好の材料になるはずです。しかし本試験ではその一歩手前の直接適用が聞かれたわけですから、丸暗記勉強をするとこういった落とし穴があるということを肝に銘じてください。

Ⅲ.勉強法各論(論文式)その4

4.財務諸表論
<イメージを大事にしよう>
 財務諸表論は暗記・暗記と走らずテキストをよく読んでイメージを大切にすることが大事だと思います。簿記で行っている処理の理論的背景がこんな感じになっているのだって感じで最初は漠然と勉強していけばいいと思います。特に財務諸表論はこの言い回しでないと点数が来ないという科目ではありませんから、自分の言葉で友達に丁寧に伝えられることを意識してください。直前期に入ってもこのスタンスは変わらないはずです。

5.監査論

<暗記しないとダメ?>
 監査論は一般的に暗記の要素が強いというのが実情ではないでしょうか。しかし一方で私は暗記が大の苦手です。専門学校では100個強の定義を覚えるように講師の方が言ったりもしますが、本当に必要なのでしょうか?確かに監査論は委員会報告書という公的文書があるので公的文書の通りに解答すれば点数が高くなると思います。しかし7科目も受験しなければならない受験生に一言一句も正確に覚えなければならないというのは酷な話です。

そこで私は、定義は内部統制などの超有名定義を10個程、覚えたぐらいでした。しかしこれでは専門学校の答練で点数は来ません。なぜなら専門学校では定義に配点が多くなる傾向が強く、問題自体も定義を書かすものが多いからです。しかし過去問を見てみると定義を正確に書かなければならない問題というのはむしろ稀で少ないはずです。それにいくら覚えていないとはいえ定義は何となくぐらいなら書けるはずです。ですから暗記が苦手な方は悲観せずニュアンスを外さない程度の学習でいいのだという少し軽い気持ちで学習することをお勧めします。また今年の報告論の問題も丸暗記している受験生なんていませんし、大きな失点を食らうこともないはずです。
<委員会報告書って読まないと受からないの?>
 よく委員会報告書は必ず読まなければならないという受験生もいるかと思いますが、私は4回の受験の中で委員会報告書を読んだこともありませんし読まなかったことが不合格につながったとも考えたこともありませんでした。委員会報告書は読まなければならない人というのはテキストも答練も完璧にこなしていて監査論で他に勉強することがないという人だと私は考えています。論文式試験に必要なエッセンスはテキストに十分に組み込まれています。委員会報告書を読むぐらいならテキストに対する理解を深めた方がよっぽど本試験に向けた対策としては有効だと思います。

Ⅳ.勉強法 (短答式総論)

 近年、短答式突破が受験生にとって大きな難関になってきていると思います。私自身、過去3年間は全てボーダーに1問足りないがために不合格になってしまいました。ここでは勉強総論と科目別勉強法に分けて記述したいと思います。
<短答式試験に重箱の隅の知識は必要か?>
 5月頃になると多くの方が普段は目を通さない細かい知識が気になりだすと思います。私自身もそういう傾向にありました。しかし知識の量で決まるのであれば一発合格なんて天才しか成し得ない神業になってしまいます。短答式は誰もが知っている知識を如何に正確に自分のものにしているかによって差が付くと思います。もう少し具体的な表現をすれば誰もが知っている知識を正確に理解し、その知識から色々な問題へと対応できる応用力が必要です。

 私のように一度、短答式試験で失敗してしまうと神経質になってしまい自分が知識不足だから不合格になってしまったのだという発想になってしまいます。例えばこの知識を知っていればこの問題は解けたから合格できたのだという風に敗戦分析が間違った方向に行ってしまいがちです。

 しかし本当に足りなかったのは誰もが知っている基礎知識がおぼつかない状態にあり、単なる基礎力不足だったのです。合格した今回は細かい知識などは一切、勉強しませんでした。04年の財務諸表論を受けて専門学校では多くの実務指針から出題していましたが、私は全て無視しました。それよりも誰もが知っている会計基準に対する理解の精度を限界までに高めていきました。

 ですからこれから受験する方も細かい知識に惑わされることなく基礎力の向上に努めてください。
<簡単な問題から解く!当たり前のことだがこれが一番、重要!>
 よく誰もが解ける簡単な問題から解きましょうと講師の方からいわれると思います。そんなことは言われなくても誰だって分かっています。しかし短答式に関して言えばこれほど基礎的で重要なことはありません。私が思うに短答式で最も重要なことは一問にはまらないこと、つまりリズムよく解くことが一番重要だと思います。

 これは私の経験談ですが、計算問題の一問目を解いたときに一発で答えが見つかりませんでした。相当、焦ったのを今でも記憶しています。短答式で頭が熱くなってしまってはアウトです。新試験では計算量も増えるそうですから、問題を解く順番に特に注意してください。さらに言うならば一番、最初に解く問題はゆっくりでいいですから一発で答を弾き出せる簡単な問題をセレクトしてください。一問目を無難に切り抜ければ精神的にかなり落ち着きます。ぜひ実行してみてください。
<短答式は果たしてスピード勝負なのか?>
 短答式はスピードがなければならないと考えている受験生は実は多いのではないかと思います。私は短答式こそ如何に正確に解くが重要なのであってスピードのプライオリティーは低いと考えています。まずスピード重視と考えてしまうのは予備校から提供される問題が大きく影響していると思います。予備校の計算問題は論点を網羅的に出題したいために本試験の問題に比べて量がかなり多いと思います。ですから一度、本試験の計算問題のボリュームを確認してみてください。

 そのギャップに気が付くと思います。私の場合、短答式の計算問題を解くときは論文式の総合問題を解くよりもかなりスピードを抑えて解きました。それは解き終わったときに自分の答が解答選択肢にない時の気持ちのダメージを考えるとゆっくりでいいから正確性を追求した方が合格に近いと考えたからです。また短答式では問われていることだけをストレートに求めるために特有のテクニックがあると思います。私自身はこういったテクニックは一切必要ないと思います。たとえ遠回りになったとしても小手先のテクニックを使うよりも普段からやり慣れている解法で向かったほうが間違いは少ないと思います。

 ですから私のテクニックといえば有価証券利息を問われているときに本来ならば、現金 ××/有価証券利息 ××と下書きするところを、/有価証券利息 ××と記入するぐらいでした。これでも本試験で時間が足りなくて追われることはありませんでした。本試験には必ず既存知識では解けない問題がありますから、実際のところ計算問題2問程度は解く必要がないのが実情ですから、変にテクニックに走る必要もないと思います。
<短答式は精神力の勝負>
 短答式は3時間(新試験は異なりますが)の勝負となり、判断ミスが大きな痛手となります。精神的に余裕を持って臨むくらいがいいとおもいます。私の場合は35問正解しなければならないのではなく15問も間違えていいという気持ちで臨みました。そして分からなくても20%の確率で正解できるのだからという割り切った気持ちも重要になると思います。
<一問一答の落とし穴>
 各専門学校には短答式問題集があると思います。いわゆる本試験のような5肢から正解を導くものから、1問1答形式のものまで様々だと思います。短答式は細かく見れば○とも取れるし×とも取れるもの多いと思います。そして5肢の中で○に近いもの×に近いものを選択する能力が求められているのです。特に05年の本試験ではこういったグレーな問題の中で判断する能力が特に問われていたという印象を受けました。

 ですので単純に一問一答形式で○×を判断していると、こうしたグレーな判断が求められる問題に対処する力が養われないので落とし穴があることを自覚して欲しいと思います。これに関連してもう一つ、皆さんにお伝えしようと思います。これは私が3年間、短答式で苦汁を飲まされた大きな原因だと思っています。予備校では去年と全く同じ問題(要するに問題のコピペ)を多く解くことになるので、「あっこの問題は○だった」みたいな取り組みをしていました。ですから答練の成績はかなり良かったのですが、本試験で結果を残すことは出来なかったです。

 ですから5肢を比較考量するトレーニングも一切、出来ませんでしたし、もはや答練を受けても何も得るものがありませんでした。
<短答式の不合格者は神経質になりすぎるな!>
 一度、短答式に不合格になるとかなり短答式に神経質になってしまうはずです。例えば重箱の隅の論点が気になりすぎたり、精神的に良い状態で勉強できなかったりと実に頭を悩ませることが多いと思います。まず細かい知識を知らなかったから不合格になった方は一人もいないと思います。多くの方はとらなければならない論点を落としているのです。ですから神経質にならずに基礎論点を徹底的に潰すことに力を注いで下さい。

Ⅳ.勉強法各論(短答式)

<簿記>
 簿記に関しては論文式と勉強スタイルと変える必要はないと思います。予備校の問題は論点を網羅した出題をしてくれますので、予備校の問題を用いて論点漏れを探しながら穴をなくすようにして下さい。ただし予備校ではリスクヘッジ的な問題が出題されますから、そういった問題は無視していいと思います。例えば消費税などの重箱の隅の問題ですよね。そういう問題は仮に出題された場合、予備校は的中したと喜ぶと思いますが、受験生の正答率はかなり低いと思いますので心配しないでいいと思います。

 また予備校では本社工場や本支店などの時間の掛かる構造問題も出題されますが、そういった問題は自らの穴をなくすという位置づけぐらいにとどめるのがいいと思います。ボリュームの多い問題は本試験では解かないのが得策ですし、実際、そこまでボリュームのある構造問題は出題されませんので(ぜひとも過去問を見てください)。またこれは本試験でよくあることですが、試験委員の方は問題を作り慣れていません。問題の出題ミス(指示不足等々)がありますから変なところで熱くならないことが得策です。

 論文式試験では毎年のように別解がでているのも事実ですし。そういう問題に対しては周りの受験生ならどうするだろうという視点で問題を対処するのがいいと思います。
<財務諸表論>
 近年の財務諸表論について8点ぐらいは確実に獲得した科目ではないでしょうか。ではまずは何をするべきでしょうか?まずは論文対策をしっかりとするべきだと思います。今年の問題に関しては単純に会計基準を知っているかいないかという問題に限らず、会計理論についても問われていますから単純に会計法規集を熟読する作業だけでは対応できないと思います。

 ですから短答式対策の第一歩は論文対策だと思います。次に本格的に短答式対策に移るのですが、まずは短答式答練の復習することが大事だと思います。特に初年度の方などは問題になれていない方が多いと思いますから、短答式の問題に触れてください。中には答練の復習と同時に会計法規集を読む方も多いと思いますが、まずは答練の復習のみをするほうが初学者には効率的だと思います。はじめから会計法規集を読むことはかなり苦痛だと思いますし、答練で会計基準に慣れてから法規集に触れる方が楽に法規集に親しむことができると思います。

 4月頃になると大半の方が短答式対策に取り掛かると思います。多くの方が会計法規集の素読をすると思いますが、毎回毎回、分かっている論点を読むのは時間の無駄です。特に意見書と会計基準では内容が全く同じものもありますから必要のない文章については×を付ける等して効率的学習を心がけてください。また法規集を何回転させたと休憩室などで自慢する受講生をたまに見かけますが、法規集は丁寧に読んでください。近年は細かい箇所で引っかけることは見掛けませんが、高速で何回転もさせると読んだ気になってしまうことがありますから、しっかりと理解しながら読むことをお勧めします。

 次に予備校の問題には04年の本試験のためか実務指針からの出題も珍しくありません。多くの受講生などは実務指針対策などもしなければいけないと考えるかもしれませんが、実務指針などは膨大にあり監査小六法などを紐解くことは時間の無駄以外のなんでもないと思います。短答式は5個のうち1個でも知っていれば正解にたどり着くわけですから、少し楽な気持ちで臨むのがいいと思います(合格したらこそ言えるのかもしれませんが・・・)。
<原価計算>
 原価計算のスタンスとしては簿記と全く同じですね。簿記と異なることといえば試験委員対策をどうするかだと思います。個人的には試験委員対策は一切、必要ないと思います。ここでいう試験委員対策とは試験委員の見解を知らなければ解くことが出来ない問題であって試験委員が興味のある分野というわけではないことには注意してください。私は基本的に試験委員対策問題は答練後に一度、簡単に復習したら捨ててしまいました。次に原価計算基準対策ですね。これは確実に出題されることが予想されますから万全の準備をすべきだと思います。

 原価計算基準対策としては答練の復習、予備校で出題された箇所を原価計算基準に印をつけて素読するのがいいと思います。原価計算基準は正直、問題を出し尽くした感がありますし、無駄に細かい論点を出題する意図もないでしょうから原価計算基準の素読にも強弱をすべきでしょう。
<監査論>
 監査論については論文式対策と短答式対策との間に財務諸表論ほどのギャップがないので基本的に論文式対策で十分だと思います。ですからまずは論文式対策をしっかりとする必要があると思います。では短答式対策として何をすればよいかといえば、基本的には答練の復習で十分だと思います。私の場合は答練の復習をすると同時に答練に出題されていないがテキストに記載されている論点をチェックして論点漏れを防ぎました。

 一方で多くの方が委員会報告書を熟読しているかと思いますが、個人的には全く必要ないと思います。結局のところ、予備校のテキストは委員会報告書を貼り付けた感じですのでテキストの復習をすれば自然と委員会報告書の重要部分を勉強できることになりますので効率的だと思います。最後に監査論特有の引っかけポイントで一番、難しいのは言葉足らずの肢です。要するに公的文書のある部分が欠落しているために×と判断するパターンですね。こういった部分は注意していただければ良い結果が出ると思います。
<商法>
 商法は短答式試験で最も安定した科目になると思います。商法は特別な短答式対策が必要になってきますが、基本的には答練の復習が重要になってきると思います。総則・商行為以外の論点については基本的に論文式対策が短答式対策につながるのでしっかりとした論文対策をすることが前提になると思います。

 総則・商行為については多くの人が論文対策をしていないと思いますから、短答式対策の時期には完全に頭に残っていない状態だと思います。総則・商行為については問題を解きながらテキスト等に戻って忘れている部分を補充するスタンスが最も効率的だと思います。ですからまず答練の復習を中心に行う必要があると思います。中には口語条文を読まれる方も多いと思いますが、個人的には有効だと思いますが時間がなければ必ずしも時間を割く必要はないと思います。

 最後に理論科目全般に通じることかと思いますが、短答式で分からない肢がある場合は原点に立ち返る必要があると思います。商法であれば株主保護を優先するのか取引安全を優先するのかなどの趣旨に戻って考えれば全てを覚えなくても問題に対応できると思います。こうしたセンスは論文式対策をしっかり行うことで磨かれますから、何よりも短答式対策特化の時期までに如何に論文式の力を向上させるかが重要だと思います。

Ⅴ.専門学校を変更することのメリット・デメリット

 現在、この体験記を読んでいる方は来年度の受験に邁進している最中だと思います。短答式、論文式試験の合格発表後は多くの方が今後の予備校や受講する講座について悩まれる方が多いと思います。私自身も合格年度はTACからAXLに変更しております。私の体験を踏まえながら専門学校を変更することのメリット・デメリットをお話したいと思います。
1.メリット
<新鮮な気持ちになれる>
 専門学校の変更に悩む方の多くは2回目以降の受験を終えた方ではないでしょうか。2回目の受験を終えると会計士試験がどういう試験なのかを身をもって経験しているために初年度と違った悩みが多く生まれてくると思います。依然通っている予備校では問題にも慣れてしまい答練を受講しても高得点を簡単に取れてしまう、講師の授業も毎年、同じだし聞いていても眠くなってしまうなど様々な悩みが生まれてくると思います。

 しかし一番の悩みはモチベーションの低下ではないでしょうか。人間はいくらなんでも走り続けることは出来ません。私自身、3回目の受験は正直、何て無駄なことをしたのだろうという気持ちでいっぱいです。TACの問題にもなれてしまい、短答式答練を受講しても40問を下回ることが珍しいぐらいで勉強するファイトも湧いてきません。本当に無駄な時間を過ごしたと思っています。こういった悩みは多くの受験生が抱えているはずです。そこで専門学校を変更したところ全てが新鮮であり新しい環境で頑張ろうという気持ちでいっぱいでした。

 皆さんも高校に入学したとき、大学に入学したとき、真新しいノートに始めて文字を書き加えるときに新鮮な気持ちで望めた記憶があるはずです。専門学校の変更にはこうした気持ちを呼び起こさせてくれるはずです。
<様々な角度からの問題を体感できる>
 専門学校の問題というのは直前のヤマ当てが異なるぐらいで基本的に出題される問題は変わりません。だってそうですね。重要な基本的な事項が各予備校で異なるはずがないのですから。では何が異なるのか。同じ問題だが出題する視点、切り口が違うのです。予備校を変更した当初はこうした出題される視点で悩まされることがありますが、それは本当にその論点を理解していないのです。様々な問題が出題されることで自分がその論点をどれだけ理解しているかを確かめることが出来ますし、新しい発見をもたらすことでしょう。私の場合は異なる問題を解くことで応用力が向上したと感じますし、基礎知識をより確固たるものにすることが出来たと思っています。
<情報の集約化が実力向上に向かう>
 今からの述べることは正直、デメリットと感じる方もいるかもしれませんが個人的にはメリットと感じましたので。ここに記述することにしました。これは複数年の方にも共通の課題だと思いますが、予備校通いをしていると資料があまりにも膨大になってしまうことです。そしてその資料を以下に整理して情報を集約化することが2年目以降の大きな課題になると思います。対策方法については総論部分を参考にしてください。そこで新しい資料と旧資料を整理することは実力向上に大きく役立つと思います。負担と感じる方もいるかもしれませんが、これをやり遂げた時は合格に大きく近づくと思います。
2.デメリット
<カリキュラムの把握不足>
 新しい環境に身を置くということは本試験から逆算して勉強する上でカリキュラムをどのようにこなすかが難しい面がると思います。特にAXLは設立初年度ということで全受講生がカリキュラムというものを把握していなかったために情報収集することが難しかったと思います。例えば私の場合は直前期に予想問題集が配布されるということは分かっていたのですが、どの程度の分量なのか、保険論点も含めての予想問題なのか等々、分からないことが多く予定の立て方には苦労しました。ただしこの問題については仲の良い友人がいれば対応できますし、TACや大原などではカリキュラムが大きく変わることもないでしょうから私、固有の問題であったかもしれませんが、予備校変更の際には直前期のカリキュラム等も検討して選択する必要があると思います。
<会計処理、講師の授業の進め方に馴染めない可能性がある>
 まず前者の会計処理についてですが、私の場合は少し慣れるのにあたふたしました。例えば勘定科目ですね。TACでは自己株式の手数料などを支払手数料勘定と表記していましたがAXLでは自己株式付随費用勘定と表記するなど、財規等で勘定科目が定まっていない勘定をいかなる名前で表記するかが少し悩みました。他にはデリバティブ関連の表記なども同様ですね。これは何が正解で何が間違っているという話ではないのですが、最初は戸惑うと思います。

 次に会計処理ですね。例えば為替予約の際の直先差額の配分等の処理はAXL&大原とTACでは異なっています。また割賦販売の対照勘定法の取り戻しの処理や帳簿組織の手形更改取引の処理も異なっています。AXLによればTACの処理が間違っているなどといっておりましたが・・・受験生にしてみれば何だか悩みますよね。結局のところはAXLの処理に全て修正しましたが。こういった点でも予備校を変更することによるデメリットは生まれてくると思います。
<講師との相性が合わない場合がある>
 次に講師の進め方ですが、これは詳しくお話しなくても予想が付くと思います。私の場合、AXLでは模擬授業等々がありましたのでそれに参加して自分なりに判断する場があったのでこの点で悩むことはありませんでしたが、商法に関しては最後まで馴染めなかったので実質、商法に関して4年目は独学でしたね。初年度の方でなければ改正点に注意すれば問題ないとは思います

Ⅵ.2005年本試験の感想

 本年度の受験感想も今後の受験に役立つと思い簡単ではありますが、触れたいと思います。尚、本試験直後に計算3科目については採点しましたが、残りの科目については厳密な採点はしていませんので、その点は差し引いて読んでください。正確な解答箇所等は本試験後にシュレッターにかけましたので分かりません。
<簿記>
 各空欄2点採点で個別論点は76点でした。本試験中は9割ぐらい獲得できたかなという印象でしたが、さすがは本試験ということもあってポロポロと落としていたようです。時間は55分ぐらいで解答したと記憶があります。ちなみに個別論点を先に解答しました。簿記では最初に構造問題を解く方が多いようですが、本試験の緊張感を加味すれば少しでも解答しやすい個別論点から解答する方が賢明ではないでしょうか。
 次に連結財務諸表論ですが、開始仕訳を3点、他の論点を2点計算で60点でした。印象としては問題文をみてボリュームが多いのがすぐに分かりましたので、開始仕訳以外の資本関連は基本的に切りました。ですから成果連結を中心に回答していった記憶があります。商品の原価率が一発で出たのが60点に結びついたのではないかと思っています。
<財務諸表論>
 第3問についてですが、問1(1)は各定義を無難に書いて、3者の簡単な相違点を書きました。(2)については戻し入れを行う国際会計基準の考え方は知っていたのですが、事務負担から戻し入れを行わない日本基準については知らなかったので戻し入れを行う考えを中心に嘘を書かない程度にまとめました。借金はしたと思います。(3)は予備校の答練のままだったのでほぼ完璧にかけました。リースの問題については全体に無難な解答が出来たと思います。ここで落とさなかったのは良かったと思います。

 第4問についてですが、正規の簿記の原則については全くの準備なしでした。ですが①②ともに無難にまとめられたと思います。ボーダーを割れることはなかったと思います。新株予約権については予備校が的中させたのでほぼ完璧にかけたと思います。長期請負工事についても費用収益対応の問題だとすぐに気が付きましたので無難にまとめられました。国庫補助金の問題については予備校が的中させたのでほぼ完璧にかけたと思います。
<原価計算>
 第5問についてですが、問題1については計算箇所については完答できました。理論については非累加法の製品原価計算の観点からの理論はかすった程度しか書けませんでしたが、原価管理の観点からは完璧にかけました。等級製品の特徴については書けたのですが、等価係数を原価係数と書いてしまうというミスをしました。ミスというか本試験場で等価係数という単語が出てこなかったです。ちょっと考えられないハプニングですが。最後の必要な情報についは等価係数が必要だとしか書けませんでした。

 問題2について計算箇所は能率差異しか解答できませんでした。理論も3分法の意義については勘違いしてしまい能率差異は固定配賦率も含めるか含めないかを記述してしまいました。必要な情報については8割ぐらい書けた感じでした。最後の理論問題については1点でもくれればという程度のことしか書けませんでした。

 第6問についてですが、問題1は時間がなかったので計算箇所も問2を正解できただけであとは白紙でした。理論もほぼ白紙に近かったです。問題2は売上高差異以外の計算箇所は完答できました。理論については問2の理論が5割ぐらいでしたが、残りの理論については完璧に書けました。第6問の問題2で大きなアドバンテージが出来たと思っています。
両問題とも量が多く大変でした。私はとりあえずざっと見て自分が解答できそうな第6問の問題2に集中したことが良かったと思っています。その代わり第6問の問題1は壊滅的でしたが。
<監査論>
 第7問についてですが、問題1の問1については限界についてはしっかりと書いて合理的な理由については無難な解答ができました。問2については5つのうち2つしか書けませんでした。問3については予備校が的中させたのでほぼ完璧な解答ができました。問題2の問1・問2については予備校が的中させたのでほぼ完璧にかけましたが、空欄を如何に埋めるかが悩みました。嘘を書かないように丁寧な説明を心がけました。講師の方からも空欄は基本的に作らないこと&嘘を書かないことをよく言われていたので素直に従いました。

 第8問については問1のうち(2)(7)以外は完答でき、(2)(7)は周りに差をつけられないように書けたと思います。実際のところ正確に書けた受験生はいないと思うので試験中も気にしませんでした。問2についても同様です。問3については(b)(c)以外は完答できました。(b)(c)については周りに差をつけられないように書けたと思います。
<商法>
 第9問については問題を見た瞬間に意外って感じでしたね。次にあまりに基本問題すぎたのでどうやって解答欄を埋めていこうか悩みました。総論については無難に解答できました。12条と262条の関係については趣旨を丁寧に書きながら行数を稼いだ感じでした。3要件について外観は条文上に明記してあることに加えて社会通念で判断する等の話を書いて行数を埋め、帰責性では「常日頃」をキーワードに記述し取締役のうち一人でも気が付けば帰責性が認められる点についても記述して行数を埋め、信頼についても重過失が含める点を丁寧に記述することで行数を稼ぎました。第9問は書こうと思えば解答用紙の半分も使わないで書けると思います。しかし講師の方が受験生の実力は解答用紙でしか判断されないということを授業で言っていたので、論点ズレにならないように丁寧に論じようとしました。

 第10問については問題を見た瞬間はライブドアで注目を集めたとはいえ本当に出題されたのだって感じでした。個人的に比較問題は比較する事項をしっかりと浮き彫りにして書くのが高得点につながると思っているので、問1について差止は資金調達の便宜を図ったために新株発行に関与できなくなった株主の保護、無効は取引安全を保護するために株主保護を可及的に制限する点を軸に書きました。比較問題は以下に条文をあげられたかでなく条文を使って両者の違いを如何に浮き彫りにできるかが重要だと思います。問2について差止事由は取引安全を保護する必要性がないから広く解する必要があり、無効原因についてはその反対だということを軸に書きました。
<経営>
 問題11についてですが、問1・2はブラックボックス以外、完答できました。問3については規模の経済と書く致命的なミスを犯しました。問4のホールドアップは知っていたので多少のアドバンテージがあったと思いますが、規模の経済と書いたことは問4にも悪影響があったと思います。問5については04年のTAC直前答練に出題されていたので完答できました。これは複数年受験のメリットではないでしょうか。問6については予備校の解答にかすっていましたが、実際の採点はどうなのでしょうか。全体的に少し借金をしたかなという感じでした。

 問題12についてですが、問題1の問1・2について結論は間違えていなかったので差をつけられることはなかったと思いました。問題2の穴埋めについては5個しか埋められませんでした。これは借金だと思います。さらに言えば情報の非対称性の漢字を間違えたのは痛かったです。06年度の方は漢字についても穴がないように対策してください。
<経済>
 経済学は来年の受験生が減少しますので結果だけ述べます。
 第13問についてですが問題1については2箇所、問題2については完答でした。
 第14問についてですが問題1については問7以降を間違えました。添削中に方程式の移項の際に±の変換を忘れていました。問題2については問1の(2)は正解し、問2・3は部分点をもらえたと思います。

Ⅶ.就職活動&あとがき

 就職活動については噂どおりの売り手市場で面接の場で採用通知を頂けました。私は法人説明会の際に名詞を頂いた方が面接官で、私の顔を覚えていたことはラッキーでした。ですので来年の受験生は法人説明会には必ず出席してみることをお勧めします(笑)。厳しい質問も最近気になるニュースは何ですか?ぐらいで他は簡単なことでした。就職活動をして感じたことは周りの多くの合格者が就職活動に何ら対策らしい対策をしていないことでした。

 今年は売り手市場という噂が面接前から流れていたからなのかもしれませんが、面接にも抜かりのない対策をすべきだと思います。私は一般企業に就職した友人から面接について細かく聞いてしっかりと対策をしていきました。しっかり対策していけば、あわてることもないと思います。

 最後に私は4回目の受験で合格することが出来ました。4回の受験の中で一番辛かったのは先が見えないことでした。いくら模試でいい成績を修めても合格する保証はありません。なぜ今回、合格できたのか。3回目の短答式試験の合格発表があった後、3日間ほど泣き続けました。自分の将来がどうなってしまうのか、絶望感でいっぱいでした。そして不合格の原因をノートに殴り書きしました。どんなに細かいことでも思いつくままにノートに書きました。そしてその事を指針に05年の学習課題にしました。

 何よりも書かなければならないのは失意の中で力になってくれたのは両親や学生時代の友達の存在です。24年間であれほど両親のありがたみを感じたことはありませんでした。在学中や一発合格することは素晴らしいことです。しかし4回目と少し時間が掛かったからこそ見えてくるものも必ずあるはずです。感謝や人の痛みや人間的にも少し成長できたと思います。今、苦しんでいる受験生の皆さんには是非とも諦めずに頑張って欲しいと思います。そして来年は一緒にお仕事をしましょう。

作者・セカンド

(不合格の原因を殴り書きしたノートの清書版をご提供いただきましたので、掲載します)

不合格の原因ノート

 不合格した際に殴り書きしたノートの内容について触れたいと思います。3回目の不合格の際にはその現実を受け止めることが出来ず、3日間ぐらいはほとんど飲まず食わずの状態だったと思います。しかしいつまでも泣いていても何も解決しないということでなぜ不合格になったのかを探るべき思いつくままにノートに原因を書きました。あまりに汚くなったのでPCのワードに打ち込んだファイルを保存しておきましたので、その内容を貼り付けてみました(構成等を一部変更しています)。
簿記
・ 基本的に方向性は間違っていなかった。
・ 少し専門学校の問題に慣れすぎたかもしれない。
・ 復習の際に満点を取らなければいけないなど完璧主義になったことで簿記の時間を多く取りすぎた。
・ 個別CFの短答式問題が苦手と分かっていながら、打開策を何ら講じていなかった。あの本試験問題は必ず取れたはずだった。
・ 専門学校の問題に慣れすぎて、問題を見て慌てふためく経験の少なさが精神的に図太くなれなかった。
財務諸表論
・ 会計法規集を雰囲気で表面的に読んでいた。
・ 論文対策は十分に出来た。自信の持てる科目であった。
・ 短答式は中途半端な知識が逆に足手まといになる。
・ 難しい問題は皆にとっても難しい問題。慌てる必要なんてない。
・ 資産を負債と読み間違えるなど信じられないミスがあった。気持ちに余裕がなさすぎるからだ。もっと丁寧に問題文を読まなければならない。
・ 自信を持ちすぎるのは間違っていた。自信があればあるほどその自信は一気に崩れていく。
・ 普段から謙虚にならないといけない。
・ 本試験直前期になぜ基本事項の整理でなく細かい論点の確認をしてしまったのか。
経営学
・ 未だに論文式試験が受けられない。
・ 答練ではしっかりと書けている。勉強は間違っていない。
・ 05年も経営学は暗記をあまりせずにイメージと言葉のフレーズを大切にしよう。
・ やりすぎは良くない。全答練がその証拠だ。
原価計算
・ 直前の専門学校の問題は何の意味もない。惑わされすぎた。
・ 原価計算基準対策は完璧だった。05年もこれを続けよう。
・ 理論を軽視しすぎた。難しい計算問題では理論で差が付くはずだ。
・ 計算の方法の暗記なんて意味がない。間違いノートへの記入も何ら役に立っていない。
・ 欲張っては駄目だ。冷静さのない頭では大失点する。
監査論
・ 短答式本試験で問題文の指示を読み間違えたのは痛すぎる。
・ 監査基準前文を重視したのは良かった。05年も重視しよう。
・ 委員会報告書を読まないことは間違っていない。
・ 監査論で落ちたことはない。
商法
・ 総則・商行為対策が遅すぎた。何でもっと早めに始めなかったのか。
・ 論文対策はどんどん実力がついている。早く論文式試験に参加したい。
・ 短答式では専門学校の問題が難しいのか本試験で当たり前のことを聞かれると戸惑ってしまう。専門学校偏重の学習は修正しないといけない。
・ 当たり前のことを聞かれても疑うことなく○を付けられる様にならなければならない。重箱の隅の肢で悩む必要なんてない。
・ 口語条文を一度くらいは眺めておいた方がいい結果が生まれるかもしれない。
勉強総論
・ TVを見ながらの勉強なんてしない方がましだ。
・ 卒業イベントに参加しすぎだ。身分をわきまえるべきだった。
・ 余計な事に神経を使いすぎるな。プライベートの悩みを勉強に影響させるな。
・ なぜ生活リズムを一定に出来ない。朝方じゃなくてもいいから一定にすべきだ。生活リズムの崩れは甘えを生む。
・ 1年目のような根性がない。俺はそんなに頭がいいのか。
・ 長電話をしすぎている。これは生活リズムを崩す原因の一つだ。
・ 最後は受かるだろうという考えは捨てるべきだ。
・ 授業がつまらなすぎる。予備校変更も視野に入れたほうがいいのか。
・ 友人たちはなぜ合格していくのか。友人たちに成績で勝っていても受かりたい気持ちでは絶対に勝っていなかったはずだ。
・ 3年目なのだから成績が良くて当然。うぬぼれるな。
・ 1年目のように講師に質問して食らいつく姿勢がない。そもそも学習意欲も低下しているのだ。
・ 友人になんて報告したらいいのか。
・ 根本的に読解力がない。この夏は本をたくさん読もう。
・ 授業にもギリギリで教室に入っていった。1年目は常に前の座席に座っていた。
・ 疲れたらすぐに帰宅していた。無理は良くないが気合が足りなすぎる。
・ 部屋にパソコン・TVを置くのが間違いだ。合格まで部屋から撤去してみせる。