kokoさん

2004公認会計士二次試験 合格体験記

by koko

「2級、3級ともにテキストで「何となくわかる」ところというその「何となく」を全て潰し、自信を持って解説できるレベルに達する事に専念しましたし、答練は最低でも9割を割らず、満点取れるまで答練を潰すことを徹底していました。」
  • (スポック注)
年齢24歳位
受験歴 1回
専門学校 メイン:大原  財表のみ:クレアール  全国?模試:TAC

私の勉強方法

  • 公認会計士受験生前夜

とあるきっかけで進路変更を余儀なくされた私は公認会計士二次試験を受ける事になりました
しかし、公認会計士は難関資格です。突然何もわからないまま飛びこむのは非常に危険です。第一、会計関係の仕事知らないし、適正があるかどうかもわからない。簿記も全く知りません。2004年に1発合格、と思っていましたが、まずは2002年11月の日商簿記2級に一回で合格したらチャレンジする事にしました。

2002年5月、大原日商簿記2級3級のコースからスタート。2級、3級ともにテキストで「何となくわかる」ところというその「何となく」を全て潰し、自信を持って解説できるレベルに達する事に専念しましたし、答練は最低でも9割を割らず、満点取れるまで答練を潰すことを徹底していました。

結果、2級は余裕の合格。採点するまでもないくらい自信を持って帰って来ることが出来ました。
たかが、2級、3級レベルでと鼻で笑われるかもしれませんが基礎の徹底は大切です。この時はそこまでは考えていませんが。
しかし、これが2年後に大きな威力を発揮する事になるのです。
  • 受験生になる
メインは大原の1.5年ロング入門コースで、財表のみクレアールでした。TACは模試以外受けていません。

日商2級が終わった時点ですぐ入れるのが1.5年ロングコースという理由で選びました。しかし、ステップ答練等の答練予定は入門2年コースを中心に組まれています。予定表ではどうも年内では終わりません。授業を受けながら答練も復習するスケジュールだと自分の性格上一発合格は厳しい。そう考えた私はビデオで授業は先取りして10月までに全ての授業は終了し、本来の日程通りの授業は受けない方法をとる事にしました。クレアールも2003年合格の通信を取って2004年の授業が始まるまでにはスピーチは全て頭に叩き込みました。しかし、これだけだとインプットのみになってしまいます。過去の答練を入手し、計算は直対答練も含めて3年分はほぼ満点叩き出せるくらいまでまわして、理論は大原のテキストは何度も読みこみ、ポケコンもガッチリ暗記していました。この状態で10月の答練を迎えていたので初見の問題で取れないところは理解不足と言うことになります。

この方法だと答練の予習復習に全力投球できるし、他の問題も回せますし短答対策も十分に出来ます。4月初めまでは論述対策中心の答練生活でした。
4月以降は短答対策に切り替え、大原の脚別を5回程回しました。脚別は非常に役立ったような気がします。
短答は微妙に失敗し大原で36TACで35でしたが、無事クリア。しかし、短答後は疲労と緊張であまり勉強ができないまま7月を向かえましたが、7月以降は非常に集中して勉強でき、そして論文本番へ。予備校の山当ては結局一度も目を通さないままでした。結局屋ヤマをはっても自分のやってきた事に自信がなければそれはただの無駄なことになると考えて山当てはないものとして基礎のテキストを中心にしっかり読みこんでいきました。
結果、合格。針路変更を余儀なくされてからちょうど3年。長かったトンネルから抜ける事ができました。
  • 教科別
    • 簿記
入門期
大原に入った段階で2級は合格していましたが、3級合格後コースからスタートしています。
私が最初から最後までこだわり通したのは下書きテンプレの作成です。(下書きテンプレのサンプルはこちらを参照)
本試験の時には問題によっては時間の都合上下書きを丁寧に作成する事など出来ない可能性もあると考えました。そこで、最初はどの勘定も下記だしT勘定(縦3.5cm横2cmを定規で)を作成し、BOXも解答に必要なものも不必要なものも全て下書きに起こしました。下書きを見るとちょっとした危ないヒトに思われるほど分解して書く事でどうしていけば最速且つ確実な解答を叩き出せるかを考えて下書きを作っていきました。

基礎期
問題集で満点を取ることそれにはどういった下書きを作成するか、その効率性に拘りました。
この時期には既にステップ入門と基礎も同時に回し始めています。そちらの方もエクセレントな下書きを目指して全部勘定を書き出してT勘定を書くという面倒臭いことを全部やっています。

応用期
この頃になると問題集で満点を常に取ることが目標になっていました。また、下書きが随分コンパクトになってきます。今まで色々書き出してテンプレが頭に定着してきた証拠ですが。

直対期
直対答練は力試し的に思っていました。実際に何をやっていたかというと、入門、基礎の答練を潰していました。入門、基礎期と違うのは以下にして頭に下書きテンプレができているかどうか、また「穴」がないかどうかをチェックする為でした。

簿記の成績は大原でただの一度もA判定以外取った事ありません。今考えると入門、基礎期の答練をあれだけしつこく分解してしっかりとした下書きテンプレを作成できていたからだと思います。
基礎を疎かにして応用や直対でいくらよい点数が取れていたとしてもそれは砂上の楼閣に過ぎません。本試験は本当にどんな形式で出てくるわからない、そこで差がつくのは基礎力だと思います。
短答簿記は満点、論文も指示が少なくて解き難い問題でしたが他の人よりできている自信は持って次の科目に進む事ができました。

    • 原価計算
入門期、基礎期
個別、総合、標準、直接それぞれ工程の流れ図をせっせと作成しました。
これもとても面倒臭い作業なのですが、問題集の初期の頃と言うのは簡単で何となくわかった気分にさせられてしまいます。でもそれでは後に続く問題が理解できない。何となく解答を出すだけでは最後まで行きつかないと考えてその作業に明け暮れました。

応用期
入門、基礎答練レベルは満点取るまで頑張りました。意思決定は最初なかなか馴染めなくて初見の問題でポカをやらかすこともしばしばでした。しかし、意思決定の場合だと本番で誰もができないような問題が出てもおかしくないけれどそこまでイマジネーションが働くとは自分では到底思えなかったので答練で出た意思決定は完璧にする事を心がけました。

直対期
直対期までは理論は全くやっていません。どういった計算が当てはまるかをじっくり考えて自分なりの解答を作ってそれまでは答練に臨んでいました。ですので、それまでは理論は点数が付くときと付かないときの落差が非常に激しかった様に思います。直対期は計算問題以上に理論の基本的な定義を暗記する事に重点をおきました。

原計も簿記同様計算問題だけは常に上位レベルにいましたが、理論は直対まで放っておいたのでさして点数がよかったわけではありません。今年の様に計算が全く差がつかない場合だと理論放置作戦では非常に危険です。直対期に理論をしっかりやっておいて良かったと思いますが、計算ができなかったあまり本試験では本当に次の科目に進めないくらい落ち込んでいました。しかし、どの問題ができてどの問題を切り捨てると言う判断力がついていれば今年は問題がなかったと思います。
    • 財務諸表論
 大原の財表はテキストが無駄に厚くて意味不明な抜粋の繋ぎあわせでとても読みにくい。これが大原で財表を受けたくないと思ったきっかけでした。そんな中「非常識合格法」と言う本をウッカリ立ち読みしてしまいそれが面白かったばっかりに申しこんだのがクレアール石井先生の財表でした。
石井先生の財表の授業は石井先生自体が非常に毒舌なので賛否両論もあるかと思いましたが、個人的には一番楽しい授業だったと思います。ただ、そのキモと言えるスピーチは念仏の様に暗記しなければならないと思って最初は本当に単純暗記に走ってしまいました。しかし、答練では暗記の繋ぎあわせでは石井先生は無情にも点数はくれません。スピーチの底流に流れる理解が伴わないと全く点数をつけないある意味非常識な採点のおかげというか、口惜しさ満載で頑張ったおかげで最初は全然点数が付かない財表も最後は本当に得点原になる事ができました。
尚、石井先生の授業はビデオのみで受講している為に生の石井先生にはとうとう会う事はありませんでした。

非常識合格法ではとにかくスピーチ丸暗記してその通りに書くこと、基礎を大事にすることとあります。しかし、スピーチをガンガンやったところで全く点数が伸びないのは理解が足りないからです。

どうしてこのスピーチに集約されるかをしっかり理解して自分の言葉でそのスピーチを解説できなれば明日はありません。

実際に2003年の通信を先に受講してスピーチ丸暗記して2004年の講座に臨んだ自分も答練では最初はパッとしませんでしたし。
そんなわけで、経験上石井先生の授業を受けるのであれば2年目以降の受験の時に使うとよいかと思います。だからといって大原の財表がよかったのかと言えばそんな事はないと思いますが

しかし、短答はともかく論文本試験では石井財表は大正解でした。1日目で一番本当に自信を持って解答を作成できて2日目以降に「財表が大丈夫だから」と本気で思って臨む事が出来たので。

    • 監査論
授業の前に予習して疑問点をつくる。授業中にその疑問点を解消して覚えるところを押さえる、授業でやったその日の内にやった事は全て覚える、ポケコンを徹底的に暗記するに徹していました。何故か監査論だけはこのペースが乱れる事もなく、苦労しませんでした。

本試験ははとても量が多かったです。
書くスピードが著しく速い訳ではなかったのですが、論点自体はそんなに難しくなかった様な気がしたのでとにかく脊髄反射で解答していました。

    • 商法
基礎のテキストを常に大事に大事に読みこんでいました。応用期の論点を扱うようになっても基礎のテキストに立ちかえり、常にその法的根拠を理解しつつ進めていきました。が、全然答練の点数は伸びません。自分の理解はともかくテンプレに法った論証が必要と言うのをあまり重視していなかったからです。以後論点のいい回しを暗記し切り張りするように答練を作成していきました。ここからE,D判定ばっかりだった商法はA判定ばかりになりました。
論文直対期は論点を押さえることはせず基礎のテキストとポケコンをしっかりやりこんでいきました。

本試験は結構書けたと思います。と言うより書き過ぎ多のではないかと思うくらいだったのでそこがどう判断されるが心配でした。


    • 経営学
テキストは読み物のとしても楽しい上にそれなりによくまとまっているのでとっつきやすかったのですが、これが答練となると一体どういった視点から問題提起されているのか、どこまでをどう書くのか、最初の頃は経営学の答練の書き方で躓いてしまい、なかなか点数が伸びてくれませんでした。その後、ポケコンをしっかりと暗記しましたが、イマイチだった時期が長く意外と苦労させられました。短答前に一通り、テキストと、ポケコンをしっかりやりこんで、答練の成績は短答後についてくれば良いと開き直る事が出来れば良かったのですが、五月の初めまでは勉強していました。経営学だけは試験委員対策はしっかりとやりました。
実際に、論文当日は1行問題だったとはいえ、どの試験委員が作問しているかを判断するが鍵になったと思います。
    • 民法
経済か民放か、それが問題でした。ハムレット並には悩みませんでしたが、民法を選択しました。私は中退したとはいえ理工学部でしたので、周囲からは経済を奨められていたのですが、経済は博打的な要素があるのと、理工学部とはいえ中学からの持ちあがり大学生では数学のレベルもタカが知れています。そんな謙虚な姿勢で民法を選択した訳です。

民法の授業は楽しかったと思います。大原の版書ノートは大変役に立ちました。ポケコンもしっかり暗記しました。しかし、じゃあ答練でどうするんだと言われてもどの道具を使って解答していけばよいかわからない。それが民法の難しさだったと思います。成績だけは入門期、基礎期はA判定だったのですが、その成績の根拠も全くわからないまま応用期を迎えてしまいました。
結果応用期では成績はあっという間に下降の一途を辿ります。自分の書いていることの矛盾に気が付かなければ民法は永久に成績は伸びないとわかったのは論文直前の事。
論文当日は全く意味不明な問題であったとしても論理矛盾がないように論証する事だけを考えました。


☆受験生活

生活スタイルとモチベーション

大原の近所に住んでいたので朝7時に8時に大原、夜9時まで毎日勉強していました。モチベーションに関しては、簿記3級からスタートして1日単位でダメな日はあったけれど、2年間通じて長期のスランプに陥ることはありませんでした。本当に自分では不思議なくらいにいつも本試験だけを見据えていたと思います。
自分の場合はとてもメリハリのないタイプなのでとにかく疲れるまで勉強しつづけるという誠にだらしないスタイルでしたが、この日休もうとか考えてモチベーションが上がる方ではなかったのでとにかく気力体力が続く限りは邁進するマグロのような生活でした。

答練

答練の為の勉強をしてはしてはいけないけれど、答練で最大限の力を発揮しなければならないと考えています。

答練は本試験までの練習に過ぎないけれど、その時点での力を客観的に判断されてしまいます。だからこそ範囲のわかるものは答練のためにゴリゴリに予習し、範囲のわからないものはこれまた全力でテキストをガッチリ読み込み、そして全力で本番だと思い、解きました。どれだけ集中して解けるかで後々の復習にも大きく影響してくると思います。自分の場合は教室で受けた答練の復習は基本的に1回のみ。それ以外はテキストを読み込むか、下書きテンプレの作成に全力を注いでしました。

☆就職活動
合格発表はネットで確認しつつ、一番予約受付が早いトーマツから携帯2台と固定電話1台で掛け捲りました。
運良く3社15分程度で予約を取り付ける事が出来ました。
来年もこのスタイルが続く様であれば、友人など協力してくれる人があれば人海戦術で臨んだ方が良いかもしれません。
就職活動にあたっては面接本とビジネス文書の本を一通り読みましたが、さして参考になりませんでした。社会経験のない自分にはこの最後の砦が一番大きかったと思います。
エントリーシートもあまり埋まらないし、面接対策もこれといった戦略が思い浮かばなかったのですが、自分の考える会計士像を一通りまとめて面接に挑みました。
結局初日の2社のみ面接を受け、その内1社内定を頂く事が出来ました。
もう1社の方が自信があったのですが、結局電話はかかってきませんでした。
面接の反省点としては、自分の考えを押し通しすぎたのではないかということ、仕事の内容はある程度把握しておいた方がよいということでしょうか。

その後
合格後、開業登録や補習所入所の手続などを終え、12月から法人で一通りの研修、現在実際に監査業務に携わるようになりました。実際に仕事をし始めると贅沢な話ですが、とてもやる事が多くなかなか自分の時間がとる事が出来ない毎日です。それでも、仕事を覚えなければならないのは当然ですが、英語、補習所の勉強、それと2006年の監査論と租税法の勉強、時間がいくらあっても足りませんが、受験時代に勉強してきた事は土台となって色々と役立つ事がとても多いです。これから、どういった仕事と触れ合っていくのかは始まったばかりの私にはまだわからないことばかりです。でもそれがなんであれ、公認会計士としての専門職を選択した事に誤りがなかったといえるような人生にしていきたいと思います。