mingoさん
それよりも受かるにはどうすべきかを考え、最大限の努力をしてください。
by mingo
目次
プロフィール
はじめに
会社を辞めずに受験するということ
なぜ会計士を目指すのか
仕事と勉強のどちらを優先すべきか?
試験に受かったら会社を辞めるのか?
結婚しているということ
結婚していることは受験勉強にマイナスか?
勉強方法
仕事をしながら勉強できるのか?
物理的に不可能であればどうするか?
メッセージ
仕事をしながら一発合格
by mingo
0.プロフィール
大原の通信教育(2年コース・但し、2004年目標)受験回数1回 年齢30代・既婚
1. はじめに
なぜ合格体験記を書くのか?-大げさかもしれませんが、私にとってこの会計士試験の勉強は非常に辛く、苦しいものでした。人間的にも大きく成長したように感じます。その経験を文章に残すことは、私にとってとても意義のあることだと思いました。そして、それが同じように社会人として仕事をしながら会計士を目指す方へのエールとなれば幸いです。あらかじめ断っておきますが、私の勉強方法は一般的なものでなく、試験テクニックとして役に立つものではありません。むしろ考え方やメンタル面で参考にしていただければよいと思います。
勉強方法は十人十色、百人百様だと思っています。大切なのは「工夫すること」です。「工夫すること」とは奇をてらうことではありません。冷静に現状を把握し、試行錯誤を繰り返すことです。最終的に自分の勉強スタイルを確立できたことが、合格につながったと思います。
2. 会社を辞めずに受験するということ
なぜ会計士を目指すのか?
- これを明確に持てなければ社会人受験生はやめたほうがいいと思います。会社を辞めずに受験勉強をしていると、様々な場面で葛藤が生じます。そしてその度に自分の信念が試されます。
仕事と勉強のどちらを優先すべきか?
- これもとても大きな問題です。事実、帰宅が毎日深夜2時を回り、当然のように土日出勤するようなプロジェクトに携わった頃は、9ヶ月程まったく勉強ができませんでした。しかし、会計士を目指すことを伝えてからは、比較的うまく勉強時間を確保することができました。「やるべき仕事はきっちりやること」が勉強時間の確保にも繋ったように思います。
試験に受かったら会社を辞めるのか?
- これは論文式試験後に大いに悩みました。社内でも知識を生かせることがわかりましたし、長い年月を過ごした会社に愛着もありました。なにより、会社を辞めることは、多大なる理解と協力を得、迷惑もかけてきた上司や仲間たちを裏切る行為に思えてなりませんでした。しかし、自分の真にやりたいことを考え、会社を離れることにしました。結局は自分のエゴを通したのですが、最終的には上司も応援してくれました。(同僚にはまだ辞めることを伝えていません。)
3. 結婚しているということ
結婚していることは受験勉強にマイナスか?- 私が会計士を志したのは結婚1年目のことでした。勉強していく上で、家族や親戚のことをないがしろにするわけにはいきません。それだけの責任があり、勉強に専念できる環境を望むわけにもいかないと思っていました。確かに、勉強時間確保の面では、結婚しているということはマイナスかもしれません。しかし、モチベーションの面では一人では得がたいものがありました。妻は一番の理解者であり、サポーターでありました。会社に会計士を目指すことを伝えるときも、背中を押してくれたのは妻でした。妻には本当に感謝をしています。
4. 勉強方法
仕事をしながら勉強できるのか?- 無理です。正確にいうと、私にとっては物理的に不可能だと思いました。そのため、途中から2年コースの教材を3年かけてやることに決めました。それでも9ヶ月程まったく勉強できない時期があり、結局は予備校のカリキュラムを完全にこなすことはできませんでした。
- 社会人受験生は圧倒的に少数です。私はそのことをメリットに変えられないかと考えました。予備校の教材は基本的に学生や無職の受験生をターゲットにしているはずです。であれば、社会人の経験を受験に生かせれば、予備校のカリキュラムをこなす必要はないはずです。私は、この根拠のない根拠をもとに、色々と工夫しました。
次に、私は決して読書家ではないのですがビジネス文書をたくさん作成してきましたので、文章能力は備わっているはず、と決めました(?)。そのため、理論科目の答練は直前模試の1回しか受けていません。そして、基本的内容を理解することと文章構成ができるようになることに絞って勉強しました。これにより、文章を書く練習を大幅に減らせました。結果的に合格答案を書くことができたのですが、自分の答案にどのくらいの点数が付くかまったく見当がつかず、自己採点ができませんでした。
さらに、経営学については、自分にビジネスの常識が備わっているはず、と決めていました(?)。そして、テキスト外の内容が出たら、自分の常識を駆使して作文しようと思い、テキストの内容だけに集中して勉強しました。また、理系だったため、経済学は直前期にひたすら練習すれば平均点以上とれるはず、と信じていました。その他、講義テープを1.3倍速で聞いたり(慣れてくれば1.8倍速くらいまでいけました)、通勤時間や出張の移動を有効活用したり、と細かな工夫を重ねました。
そうして迎えた直前模試は惨憺たる結果でした。とはいえ、理論科目も思ったより書けましたし、初の答練だったことを割り引けば、残り1ヶ月の伸び幅はだれよりも大きいはずだ!と信じ込み、会社を休んでひたすらラストスパートにかけました。直前模試の結果が論文式試験の10日前に返ってきたときはさすがにショックでしたが、論文式試験の最終日まで、睡眠・食事・入浴と試験時間以外はひたすらあきらめず勉強していました。
5. メッセージ
このように書いてしまえば、まるでシナリオでもあったかのようですが、実際には試行錯誤の連続であり浮沈を繰り返していました。間に合うのだろうか?落ちたらどうしよう?不安で仕方のない時期もありました。そんな時に偶然、カルロス・ゴーン氏の言葉に出会いました。彼が日産の無謀ともいえる経営計画を発表したとき、記者たちから「本当に達成できるのか?」、「これが達成できなければどのように責任を取るのか?」との質問を浴びせられました。そのとき彼はこのように言いました。(正確な表現ではありませんが、こんな内容だったと思います。)我々には「だめだったらどうするか」などと無駄なことを考えている時間はない。
ただひたすら「達成するためにどうするか」を考え、実行することに時間を使う。
後のことは結果が出てから考えればいい。
衝撃的でした。
試験に受かるか受からないかというのは、努力した結果でしかない。そんなことよりも「受かるためにどうするか」を考え、行動する。
「受かったら会社を辞めるか?」、「落ちたら会社になんと言おう?」などと考えていた自分が恥ずかしくてたまりませんでした。それからは「受かるためにできること」を必死にやりました。
今回、私が合格することができたのも、多くの人に支えられ、努力をした結果に過ぎません。一つ間違えれば落ちていたはずですし、実力が大きく違うとも思いません。ただ、自分が受かるためにできることは最大限やったため、試験が終わった後は不思議と穏やかな気持ちでした。
合格している自信はまったくありませんでしたが、これで落ちていたら仕方がない、と思えました。決して偉そうなことは言えませんが、私が同じように会計士を目指す社会人の方にメッセージを送るとすれば、このことです。
受かるか落ちるかは誰にも分かりません。
それよりも受かるにはどうすべきかを考え、最大限の努力をしてください。
最後に、私を支えてくださった多くの方々、両親、そして妻に、心から感謝します。そしてこれからも自分の夢に向かって最大限の努力をしていきたいと思います。