yutaさん、一発合格者のエッセンス
1、序章
基礎データ受験回数:1回年齢:22歳予備校:TAC
公認会計士試験は難関資格といわれており、新試験制度になった今年度も結局、合格者は増加しませんでした。この現実を見て、会計士試験挑戦に二の足を踏んでいる方もいらっしゃることと思います。確かにこの試験は一般的に長期の受験勉強を強いられ、試験に合格しない限り前には進めない厳しいものです。
私も大学2年のとき、会計士に挑戦するか普通に就職するかで悩みました。会計士に挑戦することは自動的に3年生の就職活動を放棄することになるからです。
2007年は団塊の世代大量退職のため就職活動もそこまで厳しくないといわれていましたが、私の背中を押したのは会計士のキャリアの魅力です。
独占業務である監査だけでなく、財務の知識は一般企業でも重宝されるものです。苦労して取るだけの価値はあります。また、最短で大学4年生のうちに受かってしまえば、その年ではかなり高い給料を手にできるということも魅力でした。
よって、現在会計士試験挑戦を考えている方も資格という大きな武器を得られるということをもう一度考えてみてください。また現在勉強中の方も合格すれば無限の可能性が広がることをもう一度思い返し、今後の活力として欲しいと思います。
私の体験記が皆様の一助となれば幸いです。
2、受験生活について
私はTACの1,5L本科生というコースに大学2年の9月に入学しました。まず予備校選びですが、その当時は最大手であるということと、友人が通っていたということだけで選びました。
今になって思うのは、予備校はどこに行ってもそんなに変わらないということです。
よく、合格者占有率などが掲載されていますが、母数が違うし、結局は自分個人の問題なので関係ありません。
また、どこの予備校予想が当たったとかいう話も結果論に過ぎません。今年に関していえばTACはかなり外しましたが、受かるときは受かります。大切なのは各予備校で与えられるものをしっかりと消化することだと思います。
さて、TACに入学した私ですが、最初は簿記が週一回あるのみで有り余るやる気のはけ口がありませんでした。やる気の継続に不安のある方はあえてスケジュールのタイトなコースに申し込むこともありだと思います。
ここから具体的な受験生活について述べたいと思います。私は今年運よく一発合格することができましたが、その最大の要因は勉強の入門・基礎段階をサボらなかったことだと思います。
一発合格を目指す場合、前年の試験終了後過年度生と争わないといけません。
そこで入門・基礎段階をサボっていた人は絶対に勝てません。その場合、追いつくまで時間がかかりますし、下手すると追いつけないこともありえます。
よく言われることですが、基礎段階は予備校の上級講義が始まるまでに完璧にしておきましょう。
わかっていても意外とできないことだと思います。
また、受験生活に休息は必要かということがよく議論されますが、これはYESです。
いくらやる気があっても本番まで毎日勉強し続けることは不可能です。無理をすれば肉体的にも精神的にも支障をきたすおそれがあります。
私は上級期でも最低2週間に一回は勉強から離れていました。変に罪悪感を抱かず、思い切り遊んだり飲んだりすることが大事です。
1日のうちでも朝から晩まで予備校にこもるのではなく10時間くらいに勉強時間を抑えて質を高めることが大事です。10時間あればかなりのことができます。自習室に席だけとって友達としゃべっていたり、寝てばかりいたけど、一応朝から晩まで予備校にはいた、というのは論外です。私は夜の講義がないときは19時くらいには帰宅していました。
強い意志を持っていれば適度な休息を取りつつ勉強することは可能です。
最後にひとつ付け加えたいのは、答練などのテストは必ず教室で受けるべきだということです。過密スケジュールで準備ができずテストを避けたくなる気持ちもあるでしょうが、時間を計って答案を作成するという作業は実践でしか身につきません。答えだけもらって自分でやるのとは効果が必ず違うと思います。
3、科目別勉強法
①簿記
【簿記はスポーツだと思います。】いくらテキストでわかったつもりになっても実際に電卓をたたいて数字を出さなければ意味がありません。
野球やテニスの素振りのように繰り返すことで必ず得意になります。
TACでは入門・基礎期に簿記の7割くらいが終わっていたので、ここをしっかりやることで上級期にアドバンテージとなります。
上級期は1~2日に1問くらいのペースで問題を解いていました。連結は下書きで左右されるので自分なりの解法を早めに身につけましょう。
また本番は財務諸表論と一緒ですのでどちらから解くかも重要です。私は財表からでしたが、個人差があると思います。
②財務諸表論
私は得意でも不得意でもないという感じでしたが、簿記との相互理解を行うことでだいぶ違ってくると思います。TACはやたらテキストが分厚かったのですが、いいレジュメを作ってくれる先生を探して、情報の集約を図ったほうがよかったかなと思っています。定義などは余りカチカチに覚えなくても点数は来るのかなと思います。
③管理会計論
これは簿記以上に演習が大事です。むしろ問題を解きながら理解していくという感じです。TACのアクセス(早朝答練)はおおむね良問だったと思います。私はアクセスを繰り返して得意になりました。テキストは読む必要はないでしょう。④監査論
あまり得意ではありませんでした。TACの答練では採点が微妙で自分では合っているつもりなのに点がこなくてイライラしていました。監査論は自己流ではダメなようで杓子定規な解答が求められるようです。今年の出題意図を読んでも試験委員の考えに沿っていなければならないようでした。自分の考えは捨てて一般的に予備校で言われる考えを書くのが無難かと思います。また解答欄が狭いのでしっかり構成を練ることが大事でしょう。
⑤企業法
司法試験ではないのでそこまで難しい問題は聞かれません。あまり深入りせずに与えられたものをしっかりとこなすことを考えてください。おそらく試験委員も企業法で差をつけるつもりはないと思います。条文に沿って丁寧な論証を心がけてください。私は生講義を受けていましたが、採点が講師自らの手で行われるのでよかったと思います。VTRでは採点アルバイトがつけている可能性があるのでできれば避けたほうがいいでしょう。
⑥租税法
新試験で導入された科目で読めない部分が多く、苦労しました。TACでは理論はせいぜい1割と言われていたのに4割も出てしまいましたが致し方なかったのかなとも思います。本番の理論は計算を思い出しながらなんとか書いた感じでしたが、あきらめず書いたことがよかったと思います。計算はテキストを見ながらでもしっかり解いていけば次第に暗記が進んでいきます。受験生は後回しにしがちなので得意にすれば大きなアドバンテージになりますのでがんばってください。
⑦経済学
選択科目が1つになって大幅に受験生が減りました。もともと得意な人しか取らなくなったので、厳しいとは思いましたが、大学受験で数学をやっていたこともあって選択しました。経済学の考え方は一貫しているので一度その考え方が身につくと点が取りやすくなります。本番も適切な難易度だったので選択するのもありだと思います。
4、試験に臨むにあたって
さて、今まで偉そうに勉強法を語ってきましたが、私の短答式試験は薄氷の合格でした。ご存知とは思いますが、今年から科目別になり受験生全員がじっくり問題に取り組むことができたので全体的に点数が高い状況でした。私も企業法、監査論、管理会計論はそれなりに取れたのですが、最後の財務会計論で簿記の数字が合わないことに焦り、失敗してしまったのです。各予備校がボーダー予想を出す中、私の不安は日に日に増していきました。短答の発表まで1ヶ月もあり、論文に向けて勉強しなければならないので辛い状況でした。
よって来年短答を受けられる方にはあまり採点することをお勧めしません。ボーダー予想ほど不毛で時間の浪費になるものはないからです。どうしても気になってしまう方はその場で問題を捨ててしまいましょう。
私は結果的には短答に合格していましたが、もし論文に失敗していたらこの時間の浪費を悔やんだことでしょう。来年は短答免除者も出てくるので短答はさらに読めない状況です。十分すぎるほどの対策を練り、あらゆるパニックを想定して対策を考えておきましょう。
一方、論文ですが、私は短答の反省を生かして難しい問題にも落ち着いて対処できたことが合格につながったのだと思います。科目も多いのでちょっと位のミスは取り返せます。自信を持って全力を出すことに集中してください。当然採点はしませんでした。理論は採点できないですし、終わった後3ヶ月も不安を抱えるより忘れたほうが幸せです。
ちなみに私は合格発表までの3ヶ月間まったく勉強しませんでした。来年以降は短答を突破すれば、発表後でも約9ヶ月ありますので十分取り返せると思ったからです。むしろ早く始めすぎてガス欠になるかもしれません。試験が終わった後は解放感にしばし身を委ねてもいいのかなと思います。
最後まで読んでくださったみなさん、拙い文章でしたがお役に立てたでしょうか?みなさんが合格され、一緒に働ける日が来ることを楽しみにしています。ありがとうございました。