朕さん、暗記→理解重視で在学中合格
「振り返れば、暗記一辺倒の脳筋でたくさん回り道しました」という朕さん。
在学中で1015位での合格ですから、端から見れば回り道でもなく、見事な結果といえるでしょう。
「ゴッパチ失敗後は、基本の教材に立ち返り本質を理解すること、模試をすべて受け切り論文式試験に慣れることに重点を置いたことで、徐々に成績は向上していきました。」
「理解なしでの知識のもろさに気づかされました。」
何をやって失敗したと思ったか、素直な考えが綴られています。2年4ヶ月の軌跡をどうぞ。
脳筋勉強法
【はじめに】
はじめまして「朕」と申します。コロナの影響で12月短答がなくなったいわゆる強制ゴッパチ世代で、ゴッパチの厳しさに挫折、2回目の論文試験で無事合格しました。
ありのままを記しますので、少しでも参考になれば幸いです。
【総論】
プロフィール
勉強開始時期:2020.4(大学2年)~受験回数:2021.5〇 2021.8× 2022.8〇(大学4年)
年齢:22
性別:男
予備校:クレアール通信、ただし、使った教材はほぼ他校(メルカリで都度入手)
環境:ずっと家勉
高校:偏差値70男子校
大学:地方国立大学
得意科目:特になし(辛い)
苦手科目:管理会計
選択科目:経営学
推しメン:生田絵梨花、岩本蓮加
使用教材と総回転数()
種類は少なめ、同じものをとにかく回転させました。短答 | 論文 | |
財務計算 | CPAコントレ(4) | CPAコントレ(5) |
財務理論 | CPAコンサマ、LEC一問一答(3) | CPA論対集(14) |
管理計算 | CPA テキスト(2)、CPAコントレ(2) | CPAコントレ(2)、CPA論対集(3) |
管理理論 | LEC一問一答(4) | CPA論対集(12) |
監査論 | CPAテキスト(5)、LEC一問一答(3) | CPA論対レジュメ(17) |
企業法 | クレアールテキスト(3)、LEC一問一答(5) | クレアールテキスト(5)、LECグレードアップ答練(3) |
租税法 | CPAテキスト(2)、CPAコントレ(5) | |
経営学 | CPA速習レジュメ(2) |
勉強時間
財務計算 | 財務理論 | 管理計算 | 管理理論 | 監査論 | 企業法 | 租税法 | 経営学 | 総合 |
1003 | 464 | 494 | 340 | 623 | 791 | 673 | 270 | 4697 |
成績
- 2021.5短答(合格ボーダー62%)
財務 | 管理 | 監査 | 企業 | 総合 |
124 | 39 | 75 | 75 | 313(62.6%) |
- 2021.8論文(合格ボーダー51.5%)
会計学 | 監査論 | 企業法 | 租税法 | 経営学 | 総合 |
33.26 | 42.25 | 44.5 | 36.95 | 48.55 | 38.86 |
- 2022.8論文(合格ボーダー51.6%)
会計学 | 監査論 | 企業法 | 租税法 | 経営学 | 総合 | 順位 |
51.95 | 53.45 | 53.25 | 55.05 | 58.75 | 53.76 | 1015位 |
会計学 | 監査論 | 企業法 | 租税法 | 経営学 | 総合 |
54.52(B) | 47.08(D) | 51.63(C) | 53.51(B) | 50.84(C) | 52.37(B) |
会計学 | 監査論 | 企業法 | 租税法 | 経営学 | 総合 |
52.28(C) | 63.04(A) | 58.74(A) | 60.46(A) | 66.04(A) | 57.88(A) |
勉強法
私は、基本的に家にこもって勉強していました。理由は、周りに自習室のようなものがそもそもなかったから、特に場所を変えなくても家で十分に集中できたから、です。時々「家で勉強するコツは何ですか?」という質問をいただいていました。それは誘惑に勝つことであり、受験生共通の最大の敵は「スマホ」だと思います。
そこで私が実践していたのは、「タイムラプス勉強法」です。勉強風景を自身のスマホで録画することで意図的にスマホを操作不能にしていました。撮った映像を簡単に編集してYouTubeに投稿することを義務付けることでサボることを極力防止することができました。
勉強友達と映像を送りあうのも一つの手だと思います。地方出身など環境に恵まれない方は参考まで。
デジタルか、アナログか
予備校が積極的にPDF版を配るなど教材のデジタル化が進みつつあり、iPadなどを購入するか悩んでいる方がいるかもしれません。そこで短答期は紙の教材、論文期からiPadでの勉強に移行した私が個人的に感じたことを綴ります。デジタルのメリット
- 荷物軽量化(試験当日も楽)。
- マーカー・印が修正し放題。
- かっこいい。
- 直感的な検索ができない(一番不便)
- せっかくスマホを封印したのに、iPadが娯楽手段になりうる。
- 充電がめんどくさい。
正直、一長一短な部分があり、私自身もコントレは紙のまま使っていましたし、うまくハイブリットで運用していくのがいいと思います。また、デジタル化の流れに流されず、紙派の人はそれを貫くべきだと思っています。紙の教材の立場がないとはまだまだ言い難い状況だと感じています。
クレアールについて
どこの専門学校にも善し悪しがあります。クレアールは資金的な余裕がない方にとっては十分選択の余地はあると思いますが、大手ではない弱みもあると思いますし、その点は留意が必要であるように思いました。というのも、私のコースの場合は、受験料全額負担、分割手数料負担、合格祝い金、未受講料返金等、ほかの予備校にはない金銭面での制度が充実しており、一度論文を落とした私でも受講料の大半が返還される予定です。仮に一発合格した場合には、諸々含めると受講料以上の金額が返金される計算でした。
ただし財務計算、企業法、監査論以外の講義・教材内容は、他校の方が充実しているようには見えました。
自分の予備校の教材が不十分かも知れないという疑念を抱きながら勉強することはとてもつらく感じました。しかしそれは自分の弱さかも知れません。自分で情報を集め、足りないところは他校の教材で補っていくなどの能力がある方であればいいかも知れません。
予備校から送られてきた教材を100%信じて、ただがむしゃらにやるだけという環境は精神的にとても楽かなと思います。ただでさえ難しい試験でメンタル削られますから。
会計士を目指した動機
「試験さえ受かれば内定余裕」という噂に惹かれました。実際、ESも面接もてきとうだったけど、しっかりBIG4から内定いただけました。就活の面接やらインターンやらめんどくさそうな工程をパスしたかった、という単純でやや不純な動機です。【各論(時期別)】
入門期(~短答式試験)
基礎を固める一番大事な時期だと思います。私自身、特に計算科目では早い段階からろくに基本のテキストで学ぶことなくコントレに手を出してしまったため、全く成績が伸びず苦労しました。コントレは網羅性に優れており、コントレさえやっておけば大丈夫と思っていましたが、応用的な部分を学ぶことで基礎的な部分に演繹的に思考を巡らすことができない私のような凡人のやる勉強法ではなかったと後悔しています。(ただ、最終的に会計学の第5問では点数を稼げるようになっていることから、時間はかかりましたが、コントレが神教材であることうたがいはありません。)
理論科目は、最悪〇×の判断さえつけばいいと割り切ってしまっていたため、一問一答の回転をベースに勉強し、これまたテキストをおろそかにしていたことから失敗しました。運よく短答式試験は一発で突破したものの、本質を全く理解していなかったため、論述形式の論文式試験と大きな壁にぶつかってしまいました。
短期合格を目指すなら、この時期から論文式試験を視野に入れ、やはり基本となるテキストの理解に努めるべきです。
公認会計士試験は、計算ゲー、特に会計学ゲーと言われています。この時期は、理論科目よりも計算科目に力を入れ、圧倒的計算強者を目指しましょう。
上級期(短答式試験後~論文式試験)
短答式試験はマークシート形式、論文式試験は論述形式と突破しなければならない2つの試験には大きなギャップがあります。私はそのギャップに対応しきれず、ゴッパチに見事挫折しました。ゴッパチ失敗後は、基本の教材に立ち返り本質を理解すること、模試をすべて受け切り論文式試験に慣れることに重点を置いたことで、徐々に成績は向上していきました。
直前期(短答・論文共通)
共感していただける方がどれだけいるかわかりませんが、私は直前になればなるほどやる気がなくなり、勉強時間が減少していくタイプの人間でした。しかしながら、この時期は大多数の受験生が回転教材を駆使しラストスパートをかけ、急激に成績を伸ばします。そのため、だれるのはしょうがない反面、なんとか気持ちを奮い立たせ、大きく差が開かないように踏ん張るしかありません。この時期は、メンタル勝負です。辛いのは自分だけではありません。
私がよかったと思うのは、直前期にかかわらず日ごろからコンスタントに勉強時間を多く確保していた点です。
おかげで、直前期にかけて勉強時間を飛躍的に増やす他の受験生の追随を命からがら振り切り、ぎりぎりではありますが合格を手にすることができました。私と近い境遇の方は、直前期に限らず、やる気があるうちにできるだけ勉強時間を確保し、アドバンテージを取っておきましょう。
【各論(各科目)】
プロフィールにも書きましたが、私には得意科目がなく、本番でも全科目合格ボーダーを超えていましたが、逆に科目合格レベルは1科目だけでした。得意科目はあることに越したことはないです。ただ、得意科目がないことは、本番仮にその科目が難化して躓いてしまったときのダメージを考えると、全科目気負わずに試験に臨める分、楽、と考えることもできるかもしれません(負け犬の遠吠え)。
財務計算
財務計算を制する者は会計士試験を制する。成績優秀者は決まって財務計算の成績が良かったように思います。これを念頭に財務計算に多めに時間を費やすといいと思います。私の失敗は2つ。
1つ目は、仕訳の理解を怠っていたことです。前述のとおり、コントレベースで学習していたせいか、あとから仕訳の理解に取り掛かり、特に成果連結の仕訳の理解には苦労しました。基本的な簿記の知識も身についてなく、下手したら簿記一級は受かってても簿記三級は落ちるかもしれないです。
2つ目は、下書きを確立していなかったこと。私の学習全般に言えることですが、何となくこなしてしまうことが多く、下書きが確立していなかったため、ほかの人と比べて、解答スピードが遅かったと思います。下書きに頼りすぎるのもよくないですが、ある程度自分の型を持っておくといいと思います。
財務理論
とにかく暗記といった科目でしたが、やはりテキストベースで学習しなかったことに後悔しています。なぜなら、少しでも理解があれば暗記事項もすんなり頭に入ってくると思うからです。特に、論文期の論証暗記は地獄でしたし、あれだけやったのに本番典型問題をド忘れし、理解なしでの知識のもろさに気づかされました。管理会計論
なぜ管理会計が苦手だったかは、やはりコントレベースで学習してしまったためです。管理のコントレは、財務や租税のコントレと比べて評価されているとは言えないように感じました。そのせいか苦手意識が付いてしまい、テキストベースの学習に戻しても、無意識に管理会計から避け続け、苦手を解消できませんでした。そもそも管理会計は難化しやすく苦手意識を持つ受験生は少なくないので、差が付きづらいですし、論文試験では財務と合わさって会計学となるので、財務の出来でカバーすることで足きりは免れることができます。
苦手な方は、私の開示答案を見て少しでも気軽になってください。それでも最低限、基本的な論点をこぼさない程度に演習しておくべきだと思います。(私は、簿記程度の問題で苦戦するレベルでした。)
監査論
監査論は、森を見てから木を見ることが大切な科目です。監査一巡を常に意識して学習しましょう。実務を経験していないので、私自身理解にはとても苦労しましたし、論文試験前日にも新発見があったりしました。講師の方はだいたい実務経験をされている方だと思うので、機会がある方はガンガン質問してイメージを膨らましていきましょう。
企業法
法律科目なせいか私にはとっつきづらかったので、短答は一問一答の暗記一辺倒に逃げました。論文とのギャップはとにかく答練を回転させ、慣れることに尽力しました。問題提起、規範、条文、当てはめ、結論という風に書き方に慣れて覚えてしまえば、暗記した論証と趣旨を吐き出すだけです。
開示答案にもありますが、2-2全く分からず、足きりも覚悟しましたが、合格ボーダーを超えていました。論文試験は意外とレベルが高くないという点の意識も大事だと思います。
租税法
租税は計算科目に見えて、ごりごり暗記科目だと思います。×0.6やら×0.3やら計算方法をうまく整理してひたすらコントレを解きました。租税は時間を費やせば比例して力になりやすく安定して偏差値も出しやすいので、ぜひ得意科目にしてください。経営学
経営学の習得はあまり時間がかからない、経営学はデザートと聞いていた分、すごくだまされた気持ちになりました。確かに他科目と比べて勉強時間は少ないですが。経営計算は高校数学が出てきます。数学に苦手意識がなかった方は、あまり苦労することなく習得できると思います。私自身、経営計算にはあまり時間を割かれず済みました。
時間が溶けるのは経営理論です。デザートってもんじゃなかったです。ただ覚えることは膨大ですが、理解はあまりいらないので、語呂合わせ等で効率よく楽しく覚えましょう。
【結び】
振り返れば、暗記一辺倒の脳筋でたくさん回り道しました。ぜひ、入門期から講義をしっかり受けて理解を大事に取り組んでください。受験生活はつらいことが多いですが、自分を信じて戦いましょう。報われるまでが努力です。あきらめなければ、だれでも合格できる試験だと思います。
皆さんの合格を心から願っています。