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2004合格体験記 その3(勉強の軌跡) 

by purple


   ~目次~
第一章 はじめに
第二章 プロフィール
第三章 勉強法総論
第四章 科目別勉強法  

第五章 勉強の軌跡  ← 今回はこの章です。

(スポック注:以下は その4~5で、また後ほど)

第六章 本試験review
第七章 受験後~就職まで
 付録1 短答答練の成績
 付録2 論文答練の成績
第五章 勉強の軌跡

ここでは、本試験までの勉強をどのようにしていたかを時系列順に並べて書いてみたいと思います。


<2002年11月~2003年2月>(入門期)
勉強時間
簿記・・175時間 原計・・32時間 民法・・4時間  合計 211時間
授業時間
簿記・・75時間 原計・・17.5時間 民法・・7.5時間  合計 100時間

この時期はとりあえず簿記をしていました。
大学の単位もかなり残っていたので、そちらの勉強もかなりやりながらですが。TACでも9月入学の生徒に追いつくために週3で簿記があって駆け足でしたが、なんとか乗り切ることができました。

この時期は私は授業の予習を全てやっていました。

というか予習ではなく、自分で先先やっていた感じです。入門Ⅰの授業が始まる前に入門Ⅰのテキスト読んで例題も解いて、トレーニングも2回やり終えていました。当然授業はラクラクでした。そして入門Ⅰの授業があるときに入門Ⅱのテキストを読んでトレーニングをやっていました。同じように入門Ⅱの授業が始まるころには入門Ⅱも終わっていて入門Ⅲをやる・・といった感じでした。原計についても同様です。民法は一日前にテキストを読むくらいでしたが。おかげで計算科目がこの時はですが得意でした。前にも言ったように、入門期の実力テストはずっと満点付近をとる予定だったので、初めから手を抜かずにやろうと思っていました。

大学の授業にも結構出席していてそこそこ忙しかったのになぜ初めからTACの勉強を頑張っていたかというと一つは前年度の一発合格者が初めからいい点数を取っていたので私もそれに習おうとしたから。
まぁでも一発合格者がだいたい初めからいい点を取っているというのはTACに入って入門Ⅱ~Ⅲくらいになった時に知ったことでしたし、入門Ⅰ開始前にテキスト類を全部やっていたのでこれは直接の理由にはなりませんね。
もう一つの理由が、初めにいい点を取ることが重要だと思ったからです。これだけではわかりにくい理由ですが、経営学でフレーム効果ってありましたよね?プロスペクト理論でやったやつです。人間は最終的な富の値よりも基準値からの損得、特に損について大きな反応を示すというものです。
例えば、初めに500万円渡されて、そのあと①クジを引いて2分の1の確率でゼロになるが2分の1の確率で1000万になる②クジを引かない という選択肢が与えられれば期待値は同じでも②を選ぶ人の方が多いようです。要するに、期待値は同じでも人間は損をするのがいやなので、基準点(この場合は500万円)から損をしない方を選ぶということです。
アメリカではクジを引く方が多いのかもしれませんがともかく日本人はとりわけ損を嫌うのでこのような結果になるのではないでしょうか。

これを踏まえて考えてもらうとして、点数も初めに20点を取ってそこから60点にあがっていく(前者)のと、初めに100点取っていてそこから60点になるの(後者)はどのように違うのでしょうか。
最終的には同じ60点ですが、前者の場合は点数が伸びたことにより満足する気持ちが含まれてしまいます。後者の場合は100点から下がったのですから不満な気持ちしかないでしょう。点数が下がったことからくる焦りがあるので、一生懸命手を抜かずに勉強しようとするでしょうし、100点近くに戻ってようやく満足するのではないでしょうか。
もちろん前者の場合も点数が上がって自信がついてより勉強をがんばる気になるのかもしれません。ですが、総じて後者の方が有利だと思います。また、後者が有利な理由は他にもあります。今は同じ60点でも後者は以前は満点近く取っていたのですから、基礎は固まっています。それに比べて前者は以前は20点だったのですから、基礎は全然固まっていません。
ですので、前者が60点に点数が上がったといっても単なる暗記で点数を取っているだけで、そのうちまた点数が下がるのではないでしょうか。今の勉強をして、さらに以前の基礎も埋め合わせる時間は1回で合格しようとするとなかなかありません。よって、やはり後者有利なのです。
だから私は初めから頑張って勉強していました。
結局この戦術が功を奏したのだと思います。短答試験後の直前期はずいぶん楽に勉強できましたし。


<2003年3月>
勉強時間
簿記・・99.5時間 原計・・18.5時間 財表・・5時間 商法・・10時間 民法・・5.5時間  合計138.5時間

授業時間
簿記・・20時間 原計・・10時間 商法・・10時間 民法・・10時間  合計50時間

ひとつ言っておきますが、この勉強時間と授業時間は予想とかではなく、実際に勉強していた記録を集計したものです。

勉強時間には授業時間は含まれていません。また、答練の解説時間とかも入れていません。逆に答練やアクセスを解いている時間は含んでいます。勉強の間の休憩時間やボーっとしている時間も省いています。集中していない時は2時間机に座っていても1~1.5時間に減殺して計算しています。

さて、3月ですが、簿記が基礎マスターⅠに入った頃です。簿記は基マスⅠの例題とトレーニング問題の他にトレボを始めました。トレボの1と2と3を3月に一回ずつ回しました。下旬には基礎マスターⅡのテキスト予習が終わった頃です。この時期も簿原は予習はバッチリでした。ただ、基礎マスターⅠの特商で授業を聞かずに予習時にテキストだけ読んで解き方が固まっていましたので、授業を聞いて手許と仕入方式の2つの解き方のどちらかを選ぶようにと言われたのですが、選ぶ余地はありませんでした。しかも私は仕入と手許の混合方式でやっていました。なので、授業で仕入で解くのと手許で解くのと2通りの解答方式が示されるのですが、私はどちらにも当てはまらないため、自分でいちいち解説の図の構成を変えないといけませんでした。これが初めのころはめんどくさかったのですが、ノートに公式のようなかたちで特商をまとめたので、それ以降はそこまで苦労はしませんでしたが。

商法については毎回授業の予習をしていました。また、リーガルマインドを少しずつ読み始めました。TACの入門テキストは本当に入門の内容だったので、どうせ上級でまた知識を入れないといけないのなら今から上級で入れる知識ごと入れてしまおうと思って読んでいました。さすがにいきなり読んでもスラスラ読めず、読むのに結構時間がかかっていましたが。
民法は軽く復習とミニテストの勉強をやるだけでした。本当は民法もしっかり勉強しないといけなかったのですが、TACのテキストの構成が形式的に整っていなかったので読む気が薄れていました。商法の入門テキストはまだ見やすかったのですが。まぁこれば単なる言い訳なのであまり気にしないで下さい。民法は正直サボっていました。論証例をカードにしてまとめておくようにと講師に言われましたがしていませんでした。論証例をまとめなくてもテキストに載っているんだからそれを見れば同じことなので。論証の暗記もしていませんでした。唯一毎回のミニテストの論証だけは暗記していましたが。ミニテストは50点満点でだいたい毎回45~50点でした。これだけが唯一民法で頑張っていた部分でした。


<2003年4月>
勉強時間
簿記59.5時間 原計39.5時間 財表14.5時間 監査2時間 商法15.5時間 民法4.5時間 合計125.5時間

授業時間
簿記17.5時間 原計10時間 財表2.5時間 監査0時間 商法8時間 民法10時間 合計 48時間

簿記は基礎マスターⅡの上巻の授業してる時期に下巻のテキストとトレーニングを2回するという感じで進めていました。トレボは4が終わりました。あと、この時期に試し受験の願書を出しました。どうせ受けるんだから少しは対策をして受けようと思いました。でもインプットが全然終わっていないのに問題演習もできないなぁ。上級テキストもないしなぁと思ってどうしようか迷っていた時期でした。とりあえず入門の範囲は全て終えてから短答を受けようと思いました。4月は簿記は上に書いた以外にTACの短答100問問題集をやり始めました。この問題集は上級論点はあまり載っていない問題集なので、基礎マスターⅡまでの知識でも半分以上は解ける問題でした。
原計も簿記と同じく予習とトレーニングはしっかりやっていました。授業は4月で入門Ⅱが終わるくらいでしたが原計基礎マスターⅠのテキスト、トレーニングが終わっていました。トレ原1も終わりました。
財表も授業始まる前にテキストを全部読みました。
監査は手元にテキストがないのでいきなりTACの100問問題集をしようかと思いましたが、少しやって断念しました。やはりいきなり問題にアタックするのはしんどかったです。
商法は授業の予習とリーガルマインド読みをしていました。リーガルマインドは280ページくらいまで読んでいました。
民法は相変わらずです(´Д‘;)短答科目にもないですし、どんどん重要性が低く思えてきていました(笑)


<2003年5月>
勉強時間
簿記65時間 原計21.5時間 財表12.5時間 監査6.5時間 商法42.5時間 民法2.5時間 短答問題16時間  合計166.5時間

授業時間
簿記19.5時間 原計10時間 財表7.5時間 監査0時間 商法7.5時間 民法7.5時間  合計52.5時間 

(上の勉強時間の短答問題の時間とは、3時間で解く短答問題を解いた分とその復習の時間です。各科目別に振り分けるのが手間なので、短答問題の時間として別枠で書いています。)

いよいよ短答試験の月がきました。TACでは上級生の雰囲気が変わってきていました。
簿記は基礎マスターⅢの連結をいつものように先に予習してテキスト&トレーニングを2周ずつしてました。TACの短答簿記100問も終わりました。100問中正答は67問でした。まずまずでしょうか。習ったことのある内容ではほとんど間違わなかったですし。50問実力で残りの17問はテキトー正解という感じではないでしょうか。
原計については授業がBMⅠに入ったところでまだ原計基礎マスターⅡのテキストをもらえなかったので、上級生の友達に貸してもらってやっていました。基礎マスターⅡのテキスト&トレーニング×2をやりました。
財表は短答100問のうち、60問程度しました。何も知らずに退職給付会計とか金融商品会計はしんどくて、途中で断念しました。
監査の入門テキストもまだもらえなかったので上級生の友達に貸してもらってやりました。
商法は講義は入門テキストでしたが基礎マスターのテキストを全部読んでいました。そのあとTACの肢別問題集と100問問
題集をやりました。これも66問くらいが正答でした。個数問題と総則商行為がかなり間違えました。
民法はほとんど手付かずでした。軽く復習する程度でした。
短答の過去問を3年分やりました。結果は00年30点 01年30点 02年33点 でした。これをやったのが、短答試験3日前からでした。案外取れるものだなぁと思いました。こんなに取れるのならもっと早くから短答に照準を合わせてやっていればもっと点数取れたのに~と思いましたが時既に遅しでした。合格可能性10%くらいの力で本試験到来。結果はもちろん不合格でした。点数は簿記6財表6原計7監査7商法7の計33点で合格には3点足りませんでした。商法でつまらないミスを2問もしてしまい、悔しかったです。まぁでもこの出来なら来年の短答試験はとりあえずは安心だなと思えたので受けておいてよかったです。




<2003年6月>
勉強時間
簿記10時間 原計96時間 財表12時間 商法6.5時間 民法9時間 経営0.5時間 合計134時間 

授業時間
簿記15時間 原計7.5時間 財表10時間 商法10時間 民法10時間 合計52.5時間

この月は原計強化月間として原計ばかりやっていました。
それまではテキストとトレーニングはやっていましたが、トレーニング原価計算は1巻以外やっていませんでしたので、ちょうど基礎マスターⅡの予習も終わったことですし、トレ原の2、3、4をやりました。また、基礎マスターⅠとⅡのテキストとトレーニングを再度回しました。

簿記に比べて原価計算は全体像を把握することが大切だと思ったので、入門基礎マスターまでの範囲を短時間でまとめてやりました。簿記は問題の出し方が単調なので原計に比べて理解は不要ですが、原計は知識は単純でも、問題の出し方によって難しくもなる科目であり、理解することが重要だと思いました。そこで一回原計をまとめてやって知識を定着させておこうと思ったのです。
こうやってまとめてやったおかげで原計の全体像が見えてきて、それまで敬遠気味だった原計の苦手意識を克服できたと思います。逆に簿記はほとんどやっていません。というのも、授業はまだ基礎マスターⅢに入ったばかりでしたが、もう8月分まで予習が終わっていて、余裕があったからです。もちろん、実力テスト前には再度復習しますが。
財表商法民法は予復習でテキストを読むくらいでした。民法以外は短答前に入門テキストは全て読んでいたので、授業もラクラクでした。


<2003年7月>
勉強時間
簿記66.5時間 原計19時間 財表29時間 商法4.5時間 民法5時間 経営4.5時間 合計128.5時間

授業時間
簿記10時間 原計12.5時間 財表12.5時間 商法8時間 民法5.5時間 合計48.5時間

さすがに先月簿記をサボりすぎたので、ちゃんと2日に一回くらいは簿記をしようと思いました。
トレボをまたⅠから順に回していました。トレボの1、2、3、と5の途中までをこの月でやっていました。トレボについてですが、周りの友達では割と何回も回す人が多かったです。私は結局試験までに3回しか回していませんでした。というのも、期間を置いてしないと答えや解き方を覚えた状態で解くことになるからです。答えを覚えていれば問題を解く意味が半減すると思ってわざと解く間隔を空けていました。2ヶ月空けるくらいでやりました。これくらい空けると、以前の問題もどこかで見たことがある問題だというくらいの印象しか持たず、問題の解き方などは忘れてしまっていたので、もう一度考えながら問題を解くことができると思いました。
2回目に解く時は時間に注意して解いていました。とはいえ、1回目も2回目も基本的に時間は無制限でやっていました。全部の問題を解けるまでやっていました。トレボ2以降は平均55~60分くらいでギリギリでしたが、2回目は平均45分くらいになったので、一安心しました。点数は1回目と2回目では大して変わらず9割程度でした。この時期はトレボを間隔を空けてする方が効率的だと思っていましたが、後になって考えると、連続してトレボをするのもいいのかもしれません。というのも、簿記は余り考えて解く科目ではないからです。問題を解く時にいかに考えることなく半ば反射的に電卓を叩けるかが簿記を解く上で重要だと後々思ったからです。逆にいうと、その場で考えて解く簿記の問題が少ないので、わざわざ考えて解くためにトレボを解く間隔を空ける必要がないからです。あまり簿記が単純な科目だといっても失礼かもしれませんが、相対的にみて簿記は思考力が必要とされる科目ではないと思いますので。

原計はトレ原をたまにやったり、テキスト・トレーニングを復習したりしていました。前月がんばった知識が抜けないようにする感じでやっていました。
財表は7月の終わりに入門の実力テスト(論述式のやつ)がありましたので、それに向けて勉強していました。財表の授業の論述などもちろんこの時期にかいたこともなく、どのように書いていいのかわかりませんでした。そこで、財表のテキストの章末に載っている章末問題を暗記することにしました。本当は理解してから暗記するというのがいいのですが、1章1章理解していくと実力テストまで時間が足りないように感じたので、とりあえず暗記をしていました。入門テキストが試験範囲だったので、入門テキストの章末の論述問題をほとんと全て覚えました。文章の半分程度は理解できたのですが、もう残り半分は説明する上でなぜその文章が必要なのかなどの細かい部分があまりわからなかったので、とりあえず暗記していました。しかも無駄に一言一句暗記していました(笑)。一度入門期の論述を覚えていたので、上級期の財表基礎答練は結構楽でした。


<2003年8月>
勉強時間
簿記73時間 原計32時間 財表7時間 監査5.5時間 商法55時間 民法7時間 経営5.5時間 合計 185時間

授業時間
簿記10.5時間 原計5.5時間 財表7.5時間 監査2.5時間 商法5.5時間 民法3時間 合計36.5時間

この月はTACのお盆休みなどもあり、いつもよりも授業時間が短かったので、たくさん勉強時間を確保できたように思います。ただ、大学の前期試験(9月)の勉強もしないといけなかったので、そこまで勉強時間は増えませんでしたが。。9月になるとアクセスも始まり、忙しくなります。この8月がゆっくり勉強ができる最後の月だと思って勉強していました。時間をたっぷり使って勉強していました。簿記はトレボ4,5に短答100問や上級アプローチの予習などをしていました。入門期の総復習ができるのも今の時期だと思ってやっていました。

原計はトレ原3、4を1回ずつやっていました。

財表監査民法経営は授業の予復習をちょっとするくらいでした。

この月は商法に力を入れていました。リーガルマインド会社法を読んだのと、テキストを入門基礎マスターと復習して、さらにノートにまとめようとしてみました。ノートは入門テキストの範囲はまとめました。合計で50ページくらいはあったと思います。まとめノートにはテキストの内容をまとめて書いたものと定義と論述問題の答案例の論証の流れを書いていました。見るだけではなく、ノートにまとめるとなると、どこが大事かを考えながらテキストを読むことになりますし、大事な部分をノートに書くわけですから、その書く過程で内容を覚えやすくなるなど、いいことはたくさんあります。しかし、いかんせん時間がかかります。私はこのノートまとめはやや失敗だったと思っています。理解が深まったのはもちろんよかったでしたが、やはり時間がかかりすぎていたからです。この8月は時間がたっぷりあったので、まだよかったですが、上級期になってノートを作るというのは他の科目の勉強時間を削るということで悪影響が出てくるおそれもあり、とてもリスクが高いと思います。
でもノートを作りたいという方はどうすればいいのでしょうか。参考までに一つ例を挙げるとこれは私の友人がやっていた方法なのですが、あまり入門期や上級期の初めからノートは作らず、試験前に薄いノートを作るというものです。というのも、初めのうちは理解が乏しいので、ノートを作るといろいろ書いてしまって量が多くなってしまうからです。あとになって見てみると不要な記述が目立ったりして、無駄が多いものです。早くからつくるノートは試験直前でも使うものであればいいのですが(例えば監査の定義など)そうでないものもあるので(テキストの内容のまとめなど)試験前(4月以降)に1科目あたり多くても5ページ以内くらいでノートを作るのがいいのではないでしょうか。その友人は最後は論文本試験1日前に見る用のノートを作っていました。試験迎えるにあたって、苦手な部分や直前に見ておきたい部分だけをまとめたノートを作っていました。これをすると、試験に対して自信が持てると言っていました。不安なところを試験直前にもう一回ざっとまとめて見ることができるからです。
私はというと、これ以来ノートはほとんど作っていないので、あまりアドバイスはできません。ノート作る時間があれば読んだ方がいいと思っていたからです。簿原のミスノートは作っていましたが、4ページずつ程度の簡素なのものでしたし。


<2003年9月>
勉強時間
簿記66.5時間 原計24時間 財表7.5時間 監査8.5時間 商法32.5時間 民法19時間 経営7.5時間 合計164.5時間

授業時間
簿記10.5時間 原計5.5時間 財表2.5時間 監査10時間 商法12.5時間 民法2時間 経営5時間  合計48時間

この月からアクセスが始まりました。
TACまで片道1.5時間かかっていたので、朝一のアクセスを受ける時には朝5時半に起きていました。簿記はトレボの2、3,4、5をやっていました。これで解くのが3回転目に入っていました。この時期になると入門期の簿記はだいたいほとんどわかってくるようになりました。あと、まだ上級期のテキストをもらえなかったのですが、TACの受付でテキストを借りることはできるので、借りて簿記のマスターⅠの予習をしていました。

原計はトレ原の3、と4をやりました。これも3回転目です。簿原ともにアクセスの過去問もやっていました。9月はアクセスの第1回~第5回くらいをやっていました。とにかく計算科目は毎日問題を解くようにしていました。

財表監査経営はあいかわらず復習をちょこちょこやる程度でした。商法は先月の続きでノートまとめと答案構成シート(論文の問題と解答例が載っているレジュメ)を読んでいました。民法は入門期にサボっていたツケがやってきました。アクセスの民法の答案が全然書けなかったのです。民法は入門でやっていない論点がアクセスに出ることもあるということで、民法の上級講義は10月末からだったのですが、今月からアクセスが始まるので、民法も簿記と同じく上級のテキストを借りて勉強していました。上級テキストには初めに問題と解答があって、その後にテキストとしての内容が書かれているという構成なのですが、その問題を見て、解答が全然浮かばなかったのです。書く内容や方向性は少しは分かっても、その書き方、特に論証例を覚えていなかったので、文章として書くことがあまりできなかったのです。国語の論述問題みたいに、その場で適当に考えて書くことしかできなかったのです。それで、さすがにマズイと思い、上級テキストの総則の部分の問題と解答は大体再現できるようにしました。それで1回目のアクセスを受けると、65点くらい取れたので、ホッとしたのを覚えています。何もせずに受けると30点くらいしか取れていなかったでしょうし。そんなこんなで、民法の論証の暗記の必要性を感じ始めた月でした。


<2003年10月>
勉強時間
簿記81.5時間 原計16時間 財表20.5時間 監査17.5時間 商法19.5時間 民法11.5時間 経営1.5時間 短答3.5時間  合計171.5時間

授業時間
簿記11.5時間 原計8時間 財表7時間 監査8時間 商法17時間 民法10.5時間 経営5.5時間 合計67.5時間 

いよいよこの月の下旬から上級講義が始まります。
簿記は9月の続きでトレボ2,3,4,5をやっていました。他にはマスターⅠのテキストと問題集とマスターⅡのテキストを予習していました。私は講座は秋上級だったので、10月下旬から簿記のマスターⅠが始まる時期でした。で、夏上級では10月下旬から簿記のマスターⅡが始まる時期でした。あまり堂々とは言えないのですが、私は簿記と財表は夏上級の授業と秋上級の授業の双方に出席していました。簿記で言えば秋上級では年明けの1月下旬~3月下旬までマスターⅡの授業があるのですが、早めに終わらせておいた方がいいと思い、この10月下旬~1月上旬の時期に受けることにしました。
こうすれば年内は忙しいですが、年明けからが楽になるのでいいと思いました。年内の1時間と年明けの1時間では年明けの1時間の方が重要性は高いですから。また、年明けだと他の科目の授業もかなり進んでいるでしょうし、復習の時間を多く取ることができていいと思いました。財表や商法などの上級の授業の始めの方は入門期の授業の復習ですので、あまり10月に復習時間多く確保しても効率悪いですし。

原計はトレ原3,4の続きと授業の復習でした。原計も簿記と同じように上級の内容も予習しようと思っていたのですが、いざ上級のテキストをもらうと、とても読みにくいものでした。というか、今までの入門期のテキストと打って変わった構成になってまして、慣れないので、テキスト使うのを諦めていました。講師配布のレジュメは授業が始まらないともらえないので、事後的に復習するだけでいいやと思って予習はしませんでした。

財表監査商法経営については今月から入門期のクラスで仲のいいメンバーが週1回集まって定義を覚えたりする勉強会をしていました。定義とかはいつかは必ず覚えないといけないのですが、一人でするとついつい後回しになってしまうので、それならみんなでやろうということで。で、周りの人に声をかけたら10人も集まりました。あまり人が多すぎても身動き取りにくいと思ったのでそれ以上は声をかけませんでしたが。一応毎朝朝一でアクセスを受けに来ている人に声をかけました。欠席は認めない方針だったので、続かなさそうな人には始めから声をかけませんでした。結局この勉強会は4月の全答練のあたりまで続きました。毎回持ち回りで暗記すべき素材を作ってきてそれを人数分コピーしてその場で覚えて帰るというものでした。これをやっていたので、答練前などの定義の暗記が楽になりました。

あと、財表監査商法民法について、上級の講義が始まる10月下旬までに上級のテキストを一回読もうとしていたのですが、時間がなく、途中までしか読めませんでした。入門期は民法以外は全て予習をまとめてやっていたのですが、上級期のテキスト全てを授業前に3週間程度で読むのは無理でした。10月の授業分の予習はとりあえず終わっていましたが。この4科目はこの月にはテキスト読みを中心とした勉強をしていました。あとは、今月に短答答練の1回目があったので、TACの短答100問問題集を財監商の3科目だけやりました。


<2003年11月>
勉強時間
簿記39.5時間 原計27.5時間 財表20時間 監査12.5時間 商法17.5時間 民法29.5時間 経営12時間 短答4時間 合計162.5時間

授業時間
簿記26時間 原計12時間 財表19.5時間 監査10時間 商法12時間 民法19時間 経営7時間  合計105.5時間

いよいよ上級の授業が7科目とも本格的に始まり、簿記財表はダブルヘッダーなので、週9コマ授業でさらにアクセス毎日あって、勉強会もして、カテキョも週4でやっているという大忙しの月でした。しかもTACまで片道1時間半かかりますし。
大学の勉強の負担がなかったのが唯一の救いでした。簿記はアクセスの過去問を5日分くらいと、ドクターの過去問、マスター問題集などをやっていました。簿記の夏秋上級両方出席はなかなかしんどかったです。結構授業中寝てしまっていましたし。

原計もアクセスの過去問を5日分くらいと、ドクターの過去問、上級期の問題集をやっていました。

財表はテキストを読むのを中心に授業の予復習をやっていました。上巻と下巻が同時並行で進むのでこれまたきつかったです。ですが、上巻と下巻といっても上巻は入門のテキストと重複する部分が多いですから、実質下巻だけの授業のようなもので、なんとか乗り切っていました。

監査商法民法は普段は授業の復習くらいでした。あと、11月には各科目初めての答練があったのでその前にはかなり勉強はしましたが。前にも書きましたが、答練の点数とか初めのうちにいい点数を取るのはかなり大事なことだと思っていたので、がんばりました。初めの点数が自分の点数の基準になるので、初めにいい点を取っていればその点を取って普通という 価値観になると思うので。で、がんばった甲斐があって、一回目の答練は経営学以外は校舎内での成績優秀者として名前が載りました。とはいえ、答練の対策に時間がかかり過ぎていたので、答練が頻繁になってくる年明けにはこういう量的勉強作戦は出来ないと思いました。答練を受ける前に答練の範囲を3回くらい回す感じで勉強していましたので、答練の範囲のテキストはほぼ忠実に再現できるくらいになっていましたから。でも答練の範囲を1科目完成させるのに10時間くらいかかるという非効率振りでした。次からは徐々に勉強量を減らして同じ点数を取れるようにしたいと思いました。

勉強方法は書いて覚えるというよりも読んで理解するのが中心でした。書くのではなく、何度も頭の中で反芻するという感じでした。TACと家との行き帰りでも頭の中で問題と解答を思い浮かべる練習などもしました。とにかく時間がない中、どのように勉強するかを考えながら過ごしたひと月でした。




<2003年12月>
勉強時間
簿記35時間 原計25.5時間 財表17.5時間 監査19時間 商法27.5時間 民法25時間 経営11時間 短答6時間  合計166.5時間

授業時間
簿記14.5時間 原計8時間 財表18時間 監査12時間 商法11時間 民法15.5時間 経営4時間 合計 83時間

簿記は相変わらず過年度アクセスと過年度ドクターをやるくらいでした。あとはこれまでキャッシュフロー計算書がイマイチよく理解できてなかったのですが、12月に簿記のドクターがあり、個別CF計算書がテスト範囲だったので、いやでも理解しなければいけない状況になっていました。
ドクター一週間前からようやくCFの勉強を始めようと思いました。そこで私が選んだ方法はマスターⅠ問題集の第10問(今年はもう問題番号変わっているかもしれませんが、とりあえず個別CFの問題で一番難しいやつです)をドクター一週間前から4回ほど解きました。初めは何も分からず答えを見ながら解いていました。3回目くらいからようやく少し理解しながら解くことができました。4回目でようやく問題の流れも分かり、理解しながら解くことができました。分からないときには突貫工事的に苦手分野を勉強することで一気に克服してしまうのが有効だと思います。このおかげで、ドクターのCFの問題では92点も取ることができました。

原計はドクター対策として、テキスト、レジュメ、問題集を潰していました。

理論科目は商法民法が苦労していました。論述をある程度覚えないと答練で時間内に問題を解けないからです。このときは民法はまだ公文先生のレジュメで覚えていました。問題の所在という欄があり、論点の発生原因を分かりやすく書いてくれているのが入門上がりの私には役に立ちました。商法はテキストと答案構成シートでやっていました。財表監査はずっとテキストに論点集、報告書読みでした。監査については受験までずっとテキストと報告書読みでした。読む速さは1時間に平均して20ページくらいでしょうか。友達が1時間に40ページ読むと言っていて、「それ俺の倍やんー」って言っていた記憶があるので。
経営は相変わらずあまり勉強していませんでした。答練前に慌ててテキストとレジュメを読むくらいで。でもあまり理解せずに暗記しているだけのような感じだったので、時間が経つと内容をすぐに忘れてしまっていました。

年末は12月31日までちゃんと勉強しました。31日は夜8時で勉強を切り上げましたが。周りの人が休んでる間に差をつけるべし、と思いながらこつこつやっていました。あと、年末に勉強を止めて休んでしまうと、ただでさえ睡眠不足で体調を壊しやすい状態でさらに気が抜けるので、風邪を引きやすくなってしまうと思います。だから私は勉強の手をほとんど止めずに冬休み中も緊張感を持って過ごして、風邪をひくことなく乗り切れました。事実、周りの友達でも正月に風邪をひいた人の割合が多かったですし。


<2004年1月>
勉強時間
簿記44時間 原計34時間 財表27時間 監査26.5時間 商法19時間 民法34時間 経営10.5時間 短答3.5時間 合計198.5時間

授業時間
簿記3.5時間 原計11.5時間 財表7.5時間 監査6.5時間 商法9.5時間 民法12.5時間 経営2.5時間  合計53.5時間 

先月もそうでしたが、こうこのあたりの時期になると理論科目と計算科目の勉強時間数の違いが少なくなってきます。計算科目はとりあえず維持戦略で、理論科目に重点を置いて勉強していました。正月は元旦だけ休んで2日から勉強していました。

TACは年末年始は開いていないので、家の近くのモスバーガーやミスドで勉強していました。これらの店には本当にお世話になりました。店が混んでくるともちろんすぐに出ますが、店がすいている時は5時間くらいいることもありましたし。休みの日は3件の店を4時間ずつで回して勉強していました。TACの方が静かで勉強の環境はいいのですが、知り合いが増えると廊下で会って話してしまったり、いちいち喫煙所まで行って喫煙しないといけないなどのめんどくささがあります。
その点、喫茶店とかでは基本的に誰も知り合いがいないですし、席を離れるのはトイレに行く時くらいですので、店を出ない限りいやでもずっと勉強することになります。しかもTACの自習室では寝ることができますが、外の店では周りの目を気にしてあまり寝ることができません。これでより一層勉強することになります。私は人の声が気になるときはウォークマンをして勉強していました。始めは音を聞きながらの勉強は慣れなかったのですが、次第に慣れてきました。

この月は簿原は過年度アクセスを6回分くらいと過年度ドクターを2回分をするくらいでした。あと、簿記はマスターⅡ問題集もやっていました。とりあえず簿記の授業が1月で終わりなので嬉しかったです。その分復習はたまっていましたが。簿記は結局マスターⅡの途中までは予習してから授業を受けることができたのですが、マスターⅡの後半とマスターⅢは授業を予習なしで受けました。すると、授業が全然わからなかったです。いえ、正確には授業で聞く話は部分部分の処理の意味などはわかるのですが、問題で少しヒネられても解けるかといえば完全に無理という感じでした。そのあと結局復習をする段階でようやく問題が解ける程度に分かってくるという感じでした。予習の大切さが改めて思い返された瞬間でした。

財表も夏上級の授業に出ていたので、1月で上級講義が終わりになります。しかし、財表は上級期の授業は予習をあまりしていなかったため、入門期の内容とだいたい重複している上巻の内容は分かったのですが、下巻の新基準の範囲の内容はあまりよく分からなかったでした。あとで復習しても1回テキストを読んだだけではよく分からないところも多くありました。こういうときは地道に何度も読むのがいいと思います。何度も読んで理解できるのが先か読むのがしんどくなって諦めるのが先かという我慢比べのようなものだと思います。
どうしても答練前には暗記中心の勉強になってしまいますが、もしそれで点数がそこそこ取れたとしても奢らず理解できるまでテキストを何度も読むようにしていました。実際この時期では財表の下巻の内容はほとんど理解できていなかったように思います。そこそこちゃんと理解できるようになったのは5月以降だと思います。監査もようやく実施論が終わるくらいになり、要復習の部分が増えてきたので、テキストを延々読んでいました。民法は公文さんのレジュメとテキスト読みをしていました。まだこの頃は宮内先生のレジュメは手に入っていませんでしたので。


<2004年2月>
勉強時間
簿記61時間 原計39時間 財表19.5時間 監査22.5時間 商法27時間 民法38.5時間 経営3時間 短答3.5時間 合計214時間
授業時間 
簿記3時間 原計9.5時間 財表0.5時間 監査7時間 商法4.5時間 民法19.5時間 経営12時間 合計56時間

この月もしている勉強方法は1月とあまり変わらなかったでした。
簿原は過年度アクセスとドクターを中心にやっていましたし、それ以外の科目はテキストを読んで、答練前には集中して覚えて、という感じです。

1月と変わったことといえば本試験の過去問を始めたことでしょうか。

簿原の講義がだいたい終わったので、簿原だけですが、本試験の過去問を友人と時間を計って週一回程度解いていました。TACでやっていない問題をどのように考えるかなどを話し合ったりしながら復習していたので、楽しく復習が出来ていたように思います。過去問の出来自体は全体的にあまりよくはありませんでした。というか点数は年によって大きく変わっていました。170点くらい取れるときもたまにあれば100点も取れない年もありましたし。どちらかというと本試験の雰囲気を掴むために問題を解いていました。

あと、2月になると今までよりだんだんと答練が多くなってきますので、答練に割く勉強時間が少なくなってきます。しかも少しずつ答練の内容が難しくなってきますので、答練の点数は下がってきていました。短答答練も例外ではなく、どんどん点数が下がってくる有様でした。2月の短答答練では簿原両方とも4問しか正解できないということもありました。
短答の簿記はまだケアレスミスがいくつかあったのですが、短答答練の原計は本当に分からない問題も何問かあり、マズイ状態でした。短答答練の3回目くらいまでは入門・基礎マスター期の知識でだいたい解けたのですが、短答答練4回目くらいになると上級期の内容が分かっていないと解けない問題になってきていて、上級期の原計の復習が足りていないことが分かりました。

また、3月は今までとは比べ物にならないくらい答練が多いので、2月のうちに上級の範囲の復習を終わらせておこうと思っていましたが、結果的には全て復習済みというわけにはいかず、全範囲の半分程度の復習が2月に終わっているという感じでした。残り半分の復習は3月の答練前にやっていかざるを得ませんでした。とにかく寒い中、がむしゃらに毎日勉強という感じでした。週に一回、白い巨塔を見ることが唯一の娯楽時間でした(笑)


<2004年3月>
勉強時間
簿記58時間 原計30時間 財表28.5時間 監査43.5時間 商法34時間 民法40時間 経営22.5時間 短答4時間 合計260.5時間
授業時間
簿記3時間 原計10時間 財表2時間 監査9時間 商法10.5時間 民法8時間 経営9時間 合計51.5時間

とうとう勉強時間と授業時間を合わせて300時間を越えました。これはカテキョが2月で3人が終わって残り一人だけになったので勉強時間が増えたためです。この答練ラッシュの3月に今までより勉強時間を確保できるようになったことは大きかったです。

3月は合計で答練が22回あったので、ほとんど答練の勉強しかしていません。応用答練なので、監査や財表は範囲がかなり広くなるので、大変でした。というより十分に勉強できないまま答練を受けることも多かったです。この時期は入門上がりの人はみんなしんどい時期だとは思いますが、頑張ってください。辛いときほどこれを乗り越えたら楽になれると思いながら勉強していました。実際、1日で監査全体の半分の内容を答練に向けて復習しないといけないなど、なかなか厳しい状況でしたが、よくよく考えてみれば、4月にある全答練では、たった3日間で7科目の全範囲の答練を受けるわけで、それに比べたらまだ3月の範囲が決まっている答練の方が楽なのです。
3月に応用答練を通して7科目の全範囲を復習することで、4月の全答練に立ち向かうことができるのです。夏上級の人は1月で授業が終わるので、まだ復習の時間が多くありますが、秋上級の方は3月末まで授業があるので、授業と答練を並行してこなしていかなくてはならない3月は本当に大変でした。

監査と民法の勉強時間が多いのはそれだけこれらの科目が暗記を多く必要とするからです。民法は入門期でサボっていた分、上級期で論証を新たに全部覚えないといけないので、しんどかったです。論証は全て覚えることは量が多くて出来ませんが、できるだけ覚えました。おそらく全ての論証のうち半分はこの時期には再現できる程度に覚えていたと思います。あと、監査論についてですが、私はこの時期に南先生が講義中に指示した覚えるべき監査の定義をカードにして覚え始めていました。私はカードを作ったり、ノートにまとめたりするのが苦手なのですが、このカードは作ってよかったなと思いました。

財表もカードを作ったのですが、監査よりも定義の量が少ないですし、そこまで頻繁に覚える作業をしなくてもテキストを読みながらその都度覚えることで対応できましたので、結果的にはカードは不要でした。
監査のカードは授業の休憩時間や電車の中などでこまめに目を通していました。監査は財表とは違い、定義を答案に書く頻度が高い科目なので、民法の論証と同じように監査の定義も覚えるべきだと思いました。主に論述対策として定義を覚えたのですが、これは短答試験の時にも大いに役に立ちました。04年の短答試験で証券取引法の条文穴埋めなどがありましたが、この定義カードの中にあったので、下の語群を見るまでもなく答えがわかりましたし。あとで短答試験の解説を見ると、「穴埋めを全てしないと解答できない問題なので時間がかかる問題である」というように書かれていましたが、私はすぐできましたし。他にも、定義を覚えているだけで間違った選択肢を消去できることもあるので、定義暗記は短答対策としても有効でした。余裕がある方は短答前からどんどん暗記していった方がいいと思います。


<2004年4月>
勉強時間
簿記35時間 原計58.5時間 財表39.5時間 監査50.5時間 商法23時間 民法24.5時間 経営9時間 短答23時間 合計263時間
授業時間
簿記2時間 原計2.5時間 財表3時間 監査2時間 商法3時間 民法5時間 経営2時間 合計19.5時間

この4月はなんと言っても全答練が最大のイベントでした。万全の対策をしようと思っていたのですが、4月の5日あたりまで答練があり、4月13日から全答練だったので、答練ラッシュが終わってから全科目を一通り全部復習することなく全答練がやってきてしまいました。
4月5日の答練ラッシュ終了後1週間で何を復習したかというと、商法と民法を中心とした理論科目です。計算科目(特に簿記)はいまさら少しだけ勉強してもそこまで点数が伸びないと思っていましたので理論科目を中心に勉強しました。理論科目は直前の詰め込みがある程度は効きますので。法律科目は基礎答練、応用答練ともに全範囲を5分割して答練の範囲を設定していたので、5分の1ずつの暗記でよかったのですが、今度の全答練は初めて全範囲がテスト範囲となり、今までの答練の5倍の出題範囲になるので、かなり焦りました。しかも、法律科目は量が多い割に出題数が少なく、覚えていない問題が出たり、論点を勘違いしたりすると失点がとても大きくなってしまう科目なので、頑張って論証を詰め込みました。結局民法は一通り論証を確認できたのですが、商法は全範囲の復習は終わらなかったです。

監査と財表はテキストを一回ずつ読みました。原計はレジュメを読もうとしたのですが、半分くらいしか読めませんでした。経営も時間がなく、余り復習はできていませんでした。昨年全答練を受けた人に聞くと、経営学は平均が30点くらいになるかもと言っていたので、それくらいならそこまでしなくても取れるだろうと思ってついつい復習が後回しになっているうちに全答練を迎えたという感じでした。

で、全答練の結果ですが、惨敗でした。300位以内を取りたいなと思っていたのですが、取れるはずもなく、という感じでした。力不足を感じた試験でした。でも、全答練は本試験と同じ時間で同じ範囲で行われますので、いい経験ができました。普段の答練では味わえない緊張感も味わえましたし。

全答練が終わってからは論文の勉強はやめて短答対策に集中しました。逆にいうとそれまで短答対策はあまりやってきませんでした。TACの短答100問問題集を短答答練の前に少しずつ解くというだけでした。短答試験は基礎的な力がついていれば全答練後から対策を始めても十分間に合うと思っていたからです。全答練が終わってから具体的にどのような勉強をしたかといえば、いきなり短答答練の復習や大原の肢別問題集をするのではなく、4月中はもう一度テキストを読んだりしてインプットを完成させようとしました。というのも、大原の肢別問題集やTAC、大原の短答答練をするにしても、1ヶ月もかからないだろうと思ったからです。

ここで、短答本試験までに

1 インプットを先にやってから5月にアウトプットをまとめてやる方法と、
2 先にアウトプットをやって、その後に足りない部分をインプットしていくという方法

の2つの方法が大別してあると思うのですが、私はそこでは前者(1)の方法を選びました。その理由は、インプットをまとめてすることで、より理解が深まるだろうと思ったからです。
アウトプットでカバーできる範囲は断片的な範囲に過ぎませんから、そこでミスをした部分をインプットし直してもそれだけでは足りないと思ったからです。
また、先にアウトプットをすると、問題に間違えることが多くなり、短答試験に対して自信がなくなります(私だけですかね(笑))。その点、先にインプットをしてからアウトプットをすると、問題を解く際に間違えることも少なく、短答本試験に自信を持って臨むことができると思ったからです。
そういうわけで、4月の後半はインプットを中心にやっていました。原計はレジュメを読み、財表はテキストと法規集読み、監査はテキストと委員会報告書読み、商法はTACの肢別問題集を解いていました。簿記はアクセスをするくらいでした。


<2004年5月>
勉強時間
簿記58時間 原計34時間 財表41.5時間 監査33.5時間 商法53時間 民法1時間 経営0時間 短答問題43.5時間 合計264.5
時間
授業時間
簿記3.5時間 原計4時間 財表3時間 監査3時間 商法2.5時間 民法0.5時間 合計16.5時間

5月にもなると、アクセスも少なくなってきます。今までは私は朝5時半に起きて朝一のアクセスに行っていたのですが、5月くらいからはアクセスがあってもなくても起きるのが平均で7時過ぎになりました。早く起きて6時、遅いと8時半起床の時もありました。というのも、もう短答試験1ヶ月前なので、あまり無理をして体調を壊してもいけないと思ったからです。まぁ朝早く起きるのがしんどくなってきたのも理由の一つですが。でもそのおかげで体調はずっとよかったです。やはり睡眠時間を多く取れば疲れも残りませんし、短答試験のような3時間の集中力ももつようになりました。この頃は2時に寝て7時に起きるという生活でした。これまでの3時間半ほどしか睡眠をとっていなかった頃に比べるととても楽でした。

で、5月にやった勉強ですが、まず、TACの短答答練を今まで受けてきた分と一年前の短答答練を科目別にまとめてやっていました。TACの短答答練は1年前のそれとほとんど同じだということがその時初めて分かりました。上級生が短答答練でいい点数を取るのはこのためだと思いました。それまで短答答練の点数が悪かったので落ち込んだりもしていましたが、杞憂だったのだろうと思えるようになりました。他には大原とレックの短答答練も受けました。さらに会計人コースという雑誌の短答問題を友達何人かで集まって2回分解きました。

科目ごとの勉強としてはは簿記はほぼ短答答練だけで、1回だけ上級テキストを全部サラッと読んだくらいです。原計は短答答練の他にレジュメと基準を読みました。基準の問題は点数が取れる部分なので、せひ法規集を読んで点を取れるようにしておいた方がいいと思います。あと、TACの100問問題集もやりました。この問題集は簡単でした。短答答練の方が難しく、こちらを2回やりました。

財表はテキスト読みと法規集読みと短答答練、大原肢別問題集をやりました。法規集は合計で2回しか読めませんでした。テキストは5月に2回は読みました。大原肢別問題集も2回しました。

監査も財表と同じような感じでテキスト2回読んで、報告書は1回だけ読んで、短答答練と肢別問題集を2回ずつしました。
商法は初めはTACの肢別問題集と短答答練と大原肢別問題集だけでいいかなと思っていたのですが、やはりインプットが不十分であることが分かったので、TACの短答パワーアップテキストを読みました。これが量が多くかなり読むのが辛かったのですが、本試験までになんとか1回読めました。商法はTAC肢別問題集が2回、短答答練と大原肢別を1回ずつ解きました。総則商行為が今まで勉強が手薄だったこともありしんどかったでした。

 あと、理論3科目については友人とよく喫茶店に行って問題を出し合ったり、イマイチ納得のいかない部分について話し合ったりしていました。これがなかなかいい勉強になりました。問題を出して相手が間違えると今度は相手が出題者になり私が答えることができるというような感じで。気分転換にもなりますし、間違って理解していることに気付かない文言に気付かされるなど、得るものは数多くありました。

短答本試験の結果は簿記9 財表7 原計8 監査7 商法7 合計38点 でした。短答試験の解いた順番は商法→財表→監査→簿記→原計 の順でした。一通り解き終わって20分余ったので、残りで簿原を見直していました。いつもより早く試験を解くことができたのですが、試験中は答えが分からない問題が多かったです。こういうときにはひとまずどれかにマークをして、さっさと次の問題に行くことが大事です。ぐずぐず考えていると時間が足りなくなってしまうので。理論科目でさっと問題を一読して分からない問題はそこから2分考えてもわからないことが多いと思います。ここで、時間をかけてしまうと、点数だけでなく時間も失ってしまい、二重の損失になるので、もう少し考えたい気持ちを押さえて次の問題に取り掛かりました。
計算科目は時間をかければ分かることが理論科目に比べると多いでしょうが、それでも1問につき6分くらいまでが限度かなと思います。それ以上かかりそうであれば最後に余った時間でやるのがいいでしょう。時間がかかりそうな問題か否かを判別する訓練も大事ですね。


<2004年6月>
勉強時間
簿記38.5時間 原計35.5時間 財表25時間 監査24.5時間 商法30時間 民法29.5時間 経営16時間 合計199時間 
授業時間
簿記2.5時間 原計4時間 財表3時間 監査1.5時間 商法2.5時間 民法4.5時間 経営7時間 合計25時間 

6月は短答後と全答練後に少しだらけてしまって勉強時間が少なくなってしまいました。
短答のボーダー談義に花を咲かせるのではなく、しっかりと勉強していくことが大事でした。
とはいえ、周りの友人を見ていると、ボーダー前後の点数を取っている人はやはり予備校などが流すボーダー情報に一喜一憂していました。短答試験は受かれば何点でもいいのですが、やはり短答合格を確信できる点数を取った方が論文の勉強にスムーズに移行できると思います。

6月の勉強は簿原はアクセスの応用期の問題の中から自分の弱そうな問題を解きなおしていました。財表監査はそれぞれテキストを一回読みました。商法は答案構成シートをして、民法は宮内先生のレジュメの論証部分だけを抜き出してコピーした論証集を友人がコピーさせてくれたので、それをやっていました。宮内先生の論証は理由付けが簡略なので、書く時間も短縮できますし、実践的な論証だと思いました。経営学は、1回目の全答練で平均を割る成績だったので、今度はリベンジしようと思って塚本先生の論文マトメレジュメを3回読みました。初めて経営学をしっかりと勉強したと思います。

で、全答練の結果ですが、目標だった300位以内に入ることができました。私の通っていた校舎では前年の全答練では受験1回目で名前が載ると全員合格していましたので、合格が近づいてきたなという実感を持つことができました。ですが、この全答練を受けて課題もたくさん判明しました。簿原が弱いということです。年明け以降は理論科目を中心に勉強しており、簿原の計算訓練が満足にできていなかったことと、簿原の復習をあまりしなかったために部分部分で内容を忘れかかっていました。全答練の後は計算科目を今一度復習しようと思いました。
全答練後1週間くらいは簿原を集中的にやっていました。アクセスあるいはドクターを1日に簿原それぞれ3~4問ずつくら
いやって他の時間で経営民法をやるという感じでした。アクセスは応用期の分(20回目以降)をやっていました。

purpleさん2

はてブ数

2004合格体験記 その2 

by purple


   ~目次~
第一章 はじめに
第二章 プロフィール
第三章 勉強法総論


第四章 科目別勉強法   ← 今回はこの章です。


(スポック注:以下はその3~5で、また後ほど)

第五章 勉強の軌跡
第六章 本試験review
第七章 受験後~就職まで
 付録1 短答答練の成績
 付録2 論文答練の成績
第四章 科目別勉強法


・簿記

これはあまり勉強法とか関係ないのではないでしょうか。ひたすら量をこなすことが第一だと思います。私は上級期に入る9月に過年度アクセスを入手して、それをやっていました。過年度アクセスまで入手してやる必要があるのかないのかは人により意見が分かれますが、周りの簿記の得意は入門生はやっていましたね。やっていたからといって得意になれるかというとこれはまた別問題なのですが。過年度アクセスをやることの利点は、早くから総合問題を解くことが出来る点です。
トレボが入門生には課題としてありますが、実際にやっていくと、そこまで難しくなく、しかも何回も回すと飽きてくるので、そういう方は時間に余裕があれば過年度アクセスを手に入れて早め早めに解いていけばいいと思います。1日に1問はやったほうが簿記の感覚が鈍らないのでいいと思います。

あと、私の簿記の勉強は、総合問題を解いて、間違ったところをノートに書いてまとめていました。まとめるといっても、連結・個別キャッシュフローの営業利益周りの金額の求め方や、連結の仕訳など、典型的な論点の中で区別がややこしいものを取り出しただけなのですが。一つの論点を復習するのに総合問題1問を解くのは結構時間を取ります。しかもこれは簿記の総合問題を解く感覚を鍛えるのにはいいと思いますが、知識面では知っている論点の処理が大半を占めるため大した進歩はないので、費用対効果を考えて解けばいいと思います。

簿記を解く際の注意点ですが、出来る問題から解くこと。それと、一度でもやったことのある個々の処理で考えていたらダメということ。

例えば、外貨建有価証券の期末時の換算レートや評価などや、連結の評価差額の実現の前面と部分の違いとか、持分法適用会社と非連子の処理の違いとかの処理をいちいち考えているようでは早く解くことができないので、問題の文章を読むとすぐに電卓を叩いてるとか仕訳書いているというくらいになるまでインプットを鍛えてください。
もちろん、実際に解くときには、全体の流れを掴むために5分くらい使ってから解くのでいいのですが。全体の流れが分かって個々の処理に取りかかる段階ではスラスラできないときついということです。
簿記は問題解くのも重要ですが、インプットもとても大事です。問題を解くのが遅い人はインプット不足であることもよくありますし。
また、簡単な処理でもケアレスミスをして間違ってしまう人は集中力が足りないのもありますが、問題を見直す訓練をあまりしていないのではないでしょうか。見直す訓練をしていれば次第に自分のミスパターンが分かってきて、ケアレスミスを減らすことができるようになるでしょう。


・原価計算

これも私を非常に悩ませた科目でした。
TACの上級期のテキストが使いづらくてかなり困っていました。最終的には生講義の講師(藤木さん)のレジュメをやることにしたのですが、これはこれで最小限のことしか書いてなくて、短答試験前くらいまでどれをベースにやるか迷っていました。

原計は事前準備も必要ですが、問題を見てからの思考力も結構試される科目です。

私の場合は事前準備してもテキストやレジュメと違う問題がドクターに出たりして、いい点が取れず、ヘコんでいたりしたこともありました。
私の勉強法はレジュメを見ることと、アクセス、ドクターをやることだけでした。問題を解く時に、数字や資料が多くなると思いますが、その数字の意味を押さえることが重要だと思います。私は4月の全答練1回目が終わるまでは原計の勉強をあまりちゃんとしていなかったので、(特にABCや事業部制)一回目の全答練では63点しか取れませんでした。原計はこれくらい苦手だったのですが、直前ではそこそこ点数が取れるようになりました。

どうやって克服したのかといえば、集中戦略とでもいいましょうか、まとまった時間をとって集中的に原計の勉強をしたことです。5月に入ってTACの短答答練の原計を一回しして、原計の全体像が掴めました。
コツは、違いを意識して問題を解くことですかね。仕損と減損、副産物の取扱いや、全部と直接原計の違いやEVAとROAとROEとROIの違いなど、集中的にやれば自ずと各制度の違いなどが鮮明に分かるようになってきますので、頭がこんがらがらなくなりました。
その時の勉強の方法はレジュメを延々と読んで、レジュメに載っている練習問題なども全てやりました。300ページを越えるレジュメを4~5日でやりました。それを2回ほど繰り返すと、大抵の問題を見てもだいたい方向性はわかるようになりました。
原計の理論については基準を読んでいれば短答はOKだと思います。5月に入って3回くらい読めばいいのではないでしょうか。本試験の理論については、今年は難しかったので、半分くらいできれば上々だったのではないでしょうか。本試験用の勉強はレジュメや答練で出ていたところを押さえていただけでした。あまり財表や監査と違って原計の理論は皆さんあまり真剣にやらないので趣旨や方向性がずれない答案が書ければ十分だと思います。


・財務諸表論

これはTACのテキストを何度も読んで勉強していました。
TACの論点集だけでは心許ないので、テキスト全部を論述で聞かれても大丈夫なように読んでいました。

論文用の最低限レベルとしてはそれだけでもいいと思います。

短答対策としては基準を読んでいました。2~3回くらい読みました。今年は短答試験が傾向が違ったので、基準そのままの問題は2問くらいしかなかったのですが・・。で、テキスト全部を論述できるようにということでしたが、どれくらいの精度で覚えればいいのかといえば、

例えば理由付けが3つあればその3つを大体言えるようにするという感じです。

つまり、論述問題には採点対象となる要素があって、その要素が例えば4つあれば4×5点で計20点という感じになりますが、とりあえずその要素の4つは全てわかるようにしました。で、一つの要素に付き5点あるとすれば一言一句覚えて5点とるのはしんどいので、3~4点を取るという感じでした。それで20点中15点くらい取る感じでした。

論点集覚えるときもまず要素に分けて理由づけがいくつあるかを押さえて、それから各理由を詳しく理解して暗記するという方法でやっていました。
あと、答練前に丸暗記的な勉強方法になるのは仕方ないかもしれませんが、できるだけ理解してから暗記するようにしていました。暗記だけでは少しひねられたら分からなくなりますし、すぐに忘れてしまいますので危険なのです。理解してから覚えたら、一回忘れても次に思い出す時に比較的楽に思い出せます。まぁ理解が無理ならとりあえず暗記しておくしかないのですが。

個人的に理解するので苦労したのは企業結合会計や比例連結がらみのところや退職給付会計でした。これらの分野は何度もテキストや法規集を読んで理解に努めました。財表は監査論に比べて定義の数が少ないと思いますので、暗記よりも理解中心で勉強するのがいいと思います。
あと、短答後にはレックの財表問題集をやっていました。レックの問題集はTACのとは違い、国際会計基準や米国会計基準と日本の会計基準との比較などの考えがよく出てきますが、それ自体は試験に出ないでしょうが、国際会計基準などと比較をすることにより日本の会計基準の理解がより深まるという効果は得られたと思います。


・監査論

これは暗記量が結構ある科目だと思います。
理論的に難しい部分は少ないですが、定義や項目列挙の問題が出ますので、やはり暗記は避けられない科目だと思います。
私は監査論も基本的に財表と同じようにテキストを何度も読んでいました。委員会報告書は短答試験用に読んでいました。委員会報告書は量が多いので、暗記対象として読むのではなく、知識の整理のために読む程度でした。短答前後で2回ずつくらい読んだだけです。テキストは巻末の練習問題を全て解答できるようにするのはもちろん、練習問題以外の文章も問われれば答えられるようにしていました。つまり、テキストを全部押さえるという感じで勉強していました。全部押さえるといっても全部暗記するのではなく、8割方テキストの論証を再現できるような感じでやっていました。
財表と似たような方法ですが、要素は全て押さえて、論証の文章はだいたい再現するという感じで勉強していました。
具体的にはテキストを何度も読んでいました。あと、南先生が覚えるべき定義を言ってくれるのですが、その定義はほとんど覚えていました。友達と一緒に定義を覚えていました。一人で定義を覚える気になかなかならなかったので、友達と一緒にやっていました。今年の短答試験の監査論の穴埋め問題ありましたよね?あの穴埋め問題は南先生の定義を覚えていれば楽勝で埋めることができる問題でした。短答対策としても定義の暗記はした方がいいと思います。4月の全答練前に定義を一回は全て覚えるという感じでいいのではないでしょうか。
監査論の暗記も意味を考えながら暗記していった方がいいと思うのですが、大して深い意味もないことが多いですからそこは割り切って暗記しましょう。実施論は理解も必要でしょうが、それ以外はあまり理解はいらないと思うので。


・商法

これは受験生が勉強法が分からない科目は何かと聞かれて一番先にくる科目だと思います。
実際に私の周りでも商法の勉強方法が分からないといっていた受験生がたくさんいましたし。友達から質問を受けるので一番多かったのも商法でした。
ではなぜ商法が勉強しにくいのでしょうか。
まず、他の科目と違って、勉強する範囲と出題される量が違いすぎるということです。あれだけ広く勉強しておいて問題として出るのはたったの2問だけです。
財表や監査論は問題数がもう少し多いので、勉強のしがいがあるのですが、商法は勉強量の割に問題数が少ないので、何か割に合わない気持ちになるのではないでしょうか。漫然と商法が嫌になる要素がありそうですよね。
あと、商法は他の科目に比べて問題の出し方が色々あって、テキストを押さえればそれでOKというわけではなく、似たような問題でも問い方に応じて解答の仕方が様々変わることも商法が勉強しにくい原因だと思います。
TACの論点集だけでは頼りないですし。私の商法の勉強方法はテキストやリーガルマインド会社法を読んで理解したあとはひたすら講師(渡部先生)の配布してくれた答案構成シートを延々回していました。このシートは関西の受講生であれば半分以上の人が持っているというすぐれものでした。私の通っていた校舎では8割以上の人が持っていたのではないでしょうか。どんなものかといえば、商法の論点集のグレードアップ版のようなもので、だいたい主な論点の問題と解答例が書かれているレジュメでした。問題数が総則商行為をいれずに140問ほどありました。問題を見て、書くべき要素を覚えていました。
直前期はレックの商法問題集をやっていました。
商法では監査論とは違い、文章表現が一言一句決まっているわけではなく、内容がだいたい同じであればどう表現してもいいので、書くべき要素さえ押さえていればそれで十分です。
制度説明問題であれば、制度がきちんと挙げられていることが大切で、各制度の説明はそこまで詳しく書かなくてもウソさえ書かなければOKという世界です。
事例問題ですと定義書いて問題提起して、理由付けして規範定立してあてはめ結論という流れで書かれていれば、だいたいOKです。
要は商法は解答の仕方にあまりこだわらず、書くべき内容が押さえられていればいいんです。ですが、そのためには理解することが大事です。
監査論はある程度暗記だけでもなんとかなる部分もありますが、商法の場合は問題の出し方が多様であるため、暗記だけで乗り切るのはしんどいです。
典型問題は暗記するくらい覚えないといけませんが、応用問題では暗記では歯が立ちませんので、理解が必要です。商法の理解とは、事例問題の場合、条文に戻ってどこが問題になっているのかを押さえて、その不都合をどのように利益衡量して解決していくのかを押さえることです。論点の発生事由を理解することです。
制度説明問題の場合はある程度暗記で乗り切れますが、これも各制度のつながりを意識していれば暗記していなくても問題を見て書かないといけない内容が思いつくようになります。3月くらいまでは理解を中心に勉強していけばいいのではないでしょうか。理解していないのに問題と解答例を丸暗記してなんとか答練を乗り切っていくという感じでは後々しんどくなりますので。
あと、注意しておきたいのは、商法は範囲が広いので、ある程度のところで勉強を打ち切らないと、商法ばかり勉強して他の勉強が疎かになってしまうということです。基本的なところを理解して、典型的な問題はしっかり書けるようにすれば、それで本試験で平均点以上は取れるようになると思いますし。難しい問題は条文に戻ってその場で考えて、ウソを書かない程度に解答用紙を埋めていればOKだと思います。


・経営学

これは私はあまり勉強していないので、いい勉強方法は思いつきません。。。
TACのテキストと講師(塚本先生)の配布したレジュメを何度も読んでいただけでした。経営学も範囲が広く、勉強しだすと止まらないので、ある程度でとどめておいたほうがいいのではないでしょうか。
幸い、TAC生は経営学はみんなあまり勉強していませんので、そこまで勉強しなくてもなんとかなるといえばなると思います。ただ、大原生はTAC生に比べて経営学を多く勉強していますから(カリキュラムやテキスト的に)TAC内で経営学は上位にいる必要はありますが。
経営学は制度の説明とその長所短所を押さえることがまず基本だと思います。それさえ合っていれば、説明の仕方が変わってもOKです。経営学は一番柔軟に採点される科目だと思います。解答の流れを暗記しないといけない問題とかがあまりないので。対策は立てにくいですが、対策なしでもなんとかなる科目のような気がします。組織論戦略論などは実際に仕事をしていないとなかなかイメージが湧かないとは思いますが、なんとかイメージしながら勉強していくとまだ勉強しやすいのかなという気がします。
今年の本試験の経営学の問題は試験委員の色が濃く反映されていたので、来年の試験を迎えるにあたっては、試験委員の著書は読んでおいたほうがいいのかもしれませんね。


・民法

これは一応私の得意科目でした。民法は選択科目ということや範囲が広いということもあり、あまり力をいれて勉強している受験生が少なかったような気がします。ですので、すこし頑張れば上位にいきやすかった科目だったと思います。
民法を勉強する上での課題は範囲が広く、数多い論点をどうやって覚えるか、また、TACの答練では論点が分かりやすいからいいのですが、本試験のような問題文から論点を把握するのが難しい問題に対してどのように対処するかということだろうと思います。
まず、前者の問題に対しては宮内先生のレジュメ(900ページ以上ありますが)の論証例の部分を何度も読んで覚えていました。TACでは宮内先生のレジュメが一番幅広く内容を押さえていると思いますので、これを中心にやっていました。しかも論証例の理由付けが簡潔なので、暗記量を減らしたい受験生にはありがたかったです。
あと、論証例を暗記するのもただ暗記するのではなく、理解しながら覚えると暗記量が減って楽になります。
論点が発生するということは条文をそのままあてはめると何か不都合が発生するのであり、その不都合を解決するように条文を解釈していくのが基本的な流れですので、その不都合とは何か、そして、どういう結論が妥当なのか、その結論を導くためにはどのように理論構成していけばいいのか、などを一つ一つ考えて理解してから暗記するのがいいと思います。

後者の問題に対しては、本試験の過去問に当たってみることや、司法試験の過去問をさらっとでもいいので見てみることなど、数多くの問題を見てみることです。実際に書いたりしていると時間がないので、問題文を読んで論点を書き出して解答を見て論点があっているかを確認するという感じでやっていけばいいと思います。実際、民法は見たことのない問題をその場で考えて解答するのはとてもしんどいです。一度見たことがあるかないかで解答の出来はかなり変わってきます。なので、数多くの問題をこなすのがいいと思います。
あとはやはり論点の発生原因を考えながら勉強していけば、問題を読んだ時にどのような論点が発生するかが見えてきやすくなります。とりあえず民法の場合は論点さえ見つけたら、あとはスラスラとその論証ができるようになるまで論証を読み込んで覚えておくことが大事です。その場で理由付けをいちいち考えている時間はないですので。論証を覚えていれば時間節約になるので、答案構成に時間をかけることができ、論点欠落を防ぎやすくなります。あと、重複しますが、先に理解をしておくと後で暗記をする時にかなり楽になりますので、暗記だけにならないようにした方がいいと思います。


・短答

私は短答対策を4月中ごろの全答練が終わってからしました。
短答対策といえば、大原の肢別問題集やTACの短答100問、短答答練をしましたが、注意して欲しいのは、問題演習ばかりしていてもだめだということです。
インプットをしっかりやったあとにその確認として問題演習をするようにしてほしいということです。いきなり問題演習をして間違えた部分を理解していくという方法では、網羅的なインプットができないからです。2年目以降の方でもう大抵は理解している方であればまだそれでもいいと思いますが、1年目の方などは問題演習をする前にインプットをやってください。私の場合は4月中はインプットだけしていました。
具体的には、簿記はテキストをもう一回やって、原計はレジュメと基準をもう一回やりました。財表はテキストを見たのと法規集で基準を読みました。監査論はテキストと委員会報告書を読んで、商法は短答パワーアップをやりました。
問題演習は主に5月に入ってからやりました。やはり問題演習で押さえることができるのは部分部分ですので、それだけでは穴ができてしまいます。問題演習だけでは見たことのない問題に対して対応しにくいですし。本試験では初見の問題が必ずありますので、その問題を解くためにも全体のインプットが大事だと思います。

あと、特に簿記の問題でそういえるのですが、選択肢から解答を推測していくことも大事だと思います。
例えば、今年の問題ですと問題2の営業活動のCFの金額について答える問題ですが、役員賞与が200とあります。営業活動のCFでは役員賞与を考慮しないといけないですが、それを考慮し忘れる人がいるはずですので、この200を引かない間違いの選択肢があるはずです。そして正解は200を引いた金額です。そこで選択肢で200ずれのものを探していくと、3.3000と4.2800が見つかります。だから答えは4.の2800だと分かります。

もちろん全てがこのようなかたちで問題が解けるわけではないのですが、何問かはあります。簿記で時間がないという方にはこういう解き方も考えながら問題を解いていってほしいと思います。現に今年私はこの問題2をこういう解き方をしました。まぁあとで時間が余ったのできちんと普通の解き方でも解きましたが。こうした差額で考えて解答しても慣れてくれば半分以上正解できますし。
また、この解き方のいいところは、一つの問題で複数の処理がある場合で分からない処理があっても正解にたどり着けるという点です。例えば、1つの問題で4つの処理をして答えを出す問題の場合、通常ですと4つ全ての処理をして答えを出さないといけないのですが、この方法では一つの処理をするだけで解けます。問題の作成者は、正解の選択肢がAという数だとすると、他の選択肢はA-B、A-C、A+D、A+Eなどというように、一つの処理を間違っても選択肢に数字があるように作ります。とすれば、一つの処理で正しい処理と間違った処理で答えがCだけずれる場合で正しい処理がCだけ数が多いという場合は差額がCになっている選択肢を探してAとA-Cという選択肢に突き当たります。そして、正しいのはCだけ多い選択肢なのですからAという選択肢が答えになるのです。時間に余裕がある人でもこの考え方で解いていった選択肢と、普通に解いていった選択肢とが一致するかどうかを確かめることで間違っていないかのチェックをすることもできますし。
他にも、端数は答えになりにくいとか、正解の選択肢で1と5は少ないとかそういった傾向を掴むのもいいかもしれませんね。

公認会計士試験 合格"後"体験記

はてブ数
このコーナーは、公認会計士兼に合格後、監査法人に就職した場合、どんな仕事をすることになるのか、


SunshineのJ1日記 2004年合格。合格体験記執筆者Sunshineさんの会計士補日記
中村忠先生インタビュー大正8年生まれ。計理士を経験した大ベテラン会計士のインタビュー。簿記の学び方、の中村先生とは違うようです。昭和20年代、公認会計士の数は500名ほどだったそうで・・・。
フェムトパートナーズ かつてのisolog作者
山田真哉工房Ⅱ さおだけやで一世を風靡された会計士
会計ニュースコレクター 会計人必読です
監査法人を捨て、荒野に旅立った女性会計士のアタシ流のブログ。

kokoさん

2004公認会計士二次試験 合格体験記

by koko

「2級、3級ともにテキストで「何となくわかる」ところというその「何となく」を全て潰し、自信を持って解説できるレベルに達する事に専念しましたし、答練は最低でも9割を割らず、満点取れるまで答練を潰すことを徹底していました。」
  • (スポック注)
年齢24歳位
受験歴 1回
専門学校 メイン:大原  財表のみ:クレアール  全国?模試:TAC

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jackportさん

公認会計士二次試験 <2004年度合格体験記>

by jackport
執筆者 :jackport
年齢  :23歳
受験回数:1回
予備校 :LEC

1.合格体験記の利用方法
 今回、spokさんのもとで合格体験記を書かせていただくことになりました、jackportと申します。
 この体験記をお読みになる方は、これから、あるいはすでに会計士受験への勉強を始めておられる方々だと思いますが、特に初受験の方は私や、他の方の合格体験記を鵜呑みにしないようにしてください。

 人にはそれぞれの環境や能力がある以上、万人向けの体験記は無いのですから。

 実際、私の勉強方法を以下に述べますが、真似してほしくない部分がほとんどです。 しかし、何が皆様の合格へのヒントになるかわかりませんので、ありのままを書きたいと思います。

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アモットさん

公認会計士二次試験 2004合格体験記

by アモット

Ⅰ 自己紹介
 はじめまして。私は2004年に公認会計士第2次試験に合格したアモットと申します。私は現在大学4年で22歳、予備校はTACで1,5年本科、受験回数は1回です。以下、私が行った勉強法を述べます。

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2004年度

はてブ数
2004年度の合格体験記です。

Yさん第2部

公認会計士二次試験
<2003合格体験記>
by Y
その2
目次

第1 部 全体事項についてはその1を参照。
第2部各論

第1章 簿記
第1節 実際の取引を意識すること
第2節 基本は仕訳
第3節 せめて一日一問はやること
第4節 過去のミスは繰り返さないこと
第5節 中級レベルの問題であれば満点が取れること
第6節 電卓について
第7節 下書きについて
第2章 原価計算


第1節 問題構造を把握する能力を向上させる
第2節 毎日やるのが理想だが無理する必要もなし
第3節 電卓および下書きについて
第4節 致命的なミスを未然に防ぐには
第5節 理論について
第3章 財務諸表論
第1節 とにかく論理的に素人でも分かるように
第2節 アウトプット重視
第3節 法規集について
第4章 監査論
第1節 ある程度の暗記はやむをえないもの
第2節 監査基準は真っ先に暗記すること
第3節 修正テープを活用してレジュメを空欄補充問題に
第4節 委員会報告書等の読み方
第5章 商法
第1節 条文重視
第2節 問題に素直になること
第3節 制度説明は知識をしっかりと
第4節 実務に触れる努力を
第6章 経済学
第1節 モデルの必要性を意識すること
第2節 公式に惑わされないように
第3節 基礎を大事に
第4節 数学力について
第5節 図や言葉で説明できるように
第7章 経営学
第1節 基本書
第2節 財務論について
第3節 論理的であることが求められているわけではない
第8章 民法

第3部 おわりに

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第2部 各論
第1章 簿記
 簿記は極めて重要な科目です。どう重要か?それは一度実力さえつけてしまえば、大崩れすることはなく点数がそれなりに計算できるという点です。つまりある程度のメンテナンスさえしていれば、他の科目に時間を割くことができるというように会計士の試験勉強そのものに影響を与えるものです。しかし、実力をつけるには時間がかかります。私は当初会計士の勉強を始めたときは一日の半分くらいは簿記に費やしていました。始めは苦手でして、本当に得意になるものなのだろうか?という疑問を抱きつつ毎日やったものでした。結果的には得意科目となり、安心して得点を計算できる科目となったわけですが、それなりに工夫はしました。

実務でも当然簿記は重要です。改めて述べる必要もないでしょう。

第1節 実際の取引を意識すること
 簿記は基本的には単なるツールでしかありません。こういう取引のときはこういう仕訳をきって、 などといった感じに企業の行った取引を一つ一つ記録として残していくのです。簿記が強くなるために必要なものとしては基本となる仕訳をきちんとやることと、仕訳をきるそもそもの原因である取引自体をしっかりと理解すること、この2 点ではないかと思います。前者は後述するとしてここでは後者について説明したいと思います。

 他の科目においてもそうですが簿記においても見たことのない問題が出てくることは多々あります。良く「初見の問題は解けなくても良い」という言葉をよく見かけますが、本当にそうでしょうか?確かに全く習っていないのに解けというのは酷でしょう。連結を習ってない人に連結の問題を解かせても時間がもったいないだけです。ここでの初見の問題とはいわゆる応用問題を指します。では応用問題とはどんなことでしょうか。特殊な勘定科目を使うことでしょうか。それよりもむしろ何をやっているのかという内容が分かりにくい、もしくは分からないものでしょう。ここで問題を考えるのに役立つのはいかに常日頃さまざまな取引を実際のものとして捉えているかではないでしょうか。具体的にどのような目的でこの取引が行われ、どういう結果がそれによりもたらされるのか。そういったものを理解しているのと理解していないのとでは、応用問題になったところで大きく差が出るものだと思います。例えば、なぜそういう取引が行われており、実際にはどう取り扱われているのかなど調べてみるなどしてみてください。確かに二次試験には直結しない知識も多いかもしれませんが、時間がもったいないなどといっていないで調べてみるのをお勧めします。あくまでも取引があるからこそ仕訳があり、仕訳をきちんと理解しようとするならばやはり実際の取引を想定すべきではないでしょうか。

第2節 基本は仕訳
 簿記は時間との戦いです。ですから下書きも効率的に書かねばならないと思いますし、その結果、ボックス図など様々な方法がなされているのだと思います。ただし、勘違いしてほしくないのはあくまでも「きちんと理解をして仕訳ができる」からこそ、「時間を効率的に使う」という発想が出てくるということです。極端な言い方をすれば、あまりに分かりきっていて仕訳をきるのがもうホントにめんどくさいから下書きを効率化するということです。順番が逆になってはいけません。あくまでも仕訳が当たり前のように切れるということが大前提なのです。新しく学習した分野について講師がこういう図を書くと便利といって勧めることがありますが、あくまでもそれは仕訳がきちんと切れるから意味があるのであって、そうでなければちょっと問題をひねっただけでもろくも崩れ去る実力のままです。

 ちなみに私は昔、全くボックス図やT 勘定を使わずに仕訳のみで総合問題を解いていました。実際には単にそういったものがあることを知らなかっただけなのですが、ひたすら仕訳をきることにより安定した実力がついたことは実感しました。むしろその後仕訳を軽視してテクニックに走った時期もありましたが、そんな時期はあまり成績的には安定せず、結局テキストに戻って一から仕訳をきり直したものでした。
第3節 せめて一日一問はやること
 確かに簿記は応用的な問題もありますが、多くは基本的なものでいかに効率よく正確に解いていくかが、重要になります。しかし、この「効率よくかつ正確に」というのは本当に難しい。毎日ある程度は解いていないとすぐにできなくなってしまいます。くだらないミスを連発したりするのは誰しもでしょう。簿記の実力を維持していたいのであればやはり最低でも一日一問はやるべきだと思います。簿記の実力を伸ばしていきたいのであれば、一日二問でしょうか。

 ただここで注意すべきは他の科目との兼ね合いです。あくまでも二次試験は他の科目も含めた総合得点で競うものですから、簿記ばかりに時間を割いてはいられません。一日簿記をやらねば、簿記の点数を取る能力は落ちていきますが、ここで問題なのは単にミスが増えるだけなのか、それとも問題の解き方が分からなくなるのかということです。単にミスが増えるだけでしたらむしろずっと簿記の実力を維持する必要性もありません。つまり毎日一問やる必要もないと思います。そういったいわゆる「簿記の勘」が鈍るものは集中的にある期間やれば戻ってくるものです。それに対して問題の解き方が分からなくなるなんてことは問題です。これはそもそもきちんと理解できていないことが原因です。きちんと理解し問題が解けるようになるまでは最低でも一日一問はやらないとまずいのではないでしょうか。
第4節 過去のミスは繰り返さないこと
 前節では確かにできるだけ簿記は毎日やれといいましたが、とはいえどもなかなかミスは減るものではありません。引っかけとかもたくさんあり、本当に困ったものです。なかなか抜本的な解決策はないのですが、参考程度に私のやり方を紹介します。

 基本的にミスは無くならないのですが、結構似たようなミスをするものです。そこで私が取った方法は、ミスファイルを作成するというものでした。よくミスノートとして自分が間違えた箇所をノートにメモする人もいます。ミスファイルというのは少々それとは異なっていまして、基本的にはミスした箇所の問題もしくは解答ごとコピーをして、そこにコメントを記入した上でTAC ファイルにはさんでいくというものです。そしてそのミスファイルを何度も何度も見返すことによって自分のミスを完全に覚えてしまうというものでした。これをしっかりとやりこんでいると問題に接したときに起こりうるミスが頭にいくつも浮かんでくるようになるので、当然ミスも少なくなります。問題もしくは解答ごとコピーをするのは、どんな場面でミスしたかをしっかりと自分に印象付けるためです。単にミスをメモするだけではどんな形式の問題で、どんなシチュエーションでミスしたのかが分かりにくく、当然印象も薄いと考えられるのです。

 またミスファイルは時間の節約にもつながります。総合問題を解いていても間違える箇所はいつも同じところであることが多くあります。何度もミスファイルを見るようにすれば、さすがに何度も解く必要はなくなるでしょう。

 さて、ここで注意すべきなのはミスファイルを作る以上は二度とそのパターンの問題は間違えないという気持ちでいる必要があるということです。そうでなければそもそもミスファイルをつくる動機が薄くなり、三日坊主で終わるのが関の山です。ミスをしたことによる悔しい気持ちを忘れず、「もうこれっきりにしよう」という気持ちでミスファイルを作成してもらいたいと思います。さらにミスファイルを作成することの副次的な効果として挙げられるのは、そういった心構えでコピーにコメントする場合にはミスファイルを次に見てすぐにミスが分かるようにする必要があるため、そのようにミスファイルを作成することは結果としてその分野に対する理解が深まるということがあります。誤解していただきたくないのはミスファイルを作成することは、決して解答を覚えるということとは異なり、なぜ間違えたのかをきちんと理解し、二度と同じ過ちを繰り返さないことが目的にあります。これを実践するようになってから成績が上がったように思いますので、ぜひ試していただきたいものです。

第5節 中級レベルの問題であれば満点が取れること
 簿記は中級レベルの問題であれば満点が取れるようになることが必要不可欠であると思います。ここで中級レベルとはアクセス25 回以内の問題レベルでしょうか。「満点じゃなくても一問位ミスしたくらいならいいじゃないか」と思う人も多いと思いますが、実際にはそこに大きな差があると思います。ただでさえ簿記は時間との戦いです。みんながとってくる問題でさえミスするようでは、上級レベルの問題であれば時間もさらに足りなくなるのでその差は一問どころか二問三問と広がっていくものなのです。取るべき問題をきちんと取れるようになる、これはとても大切なことです。

 満点というのは狙わないとなかなか取れるものではありません。細心の注意を払ってミスしないように問題を解いていっても間違えることが良くあります。つまらないミスを繰り返してイライラすることもあるかと思います。それでもめげずに満点を狙って、きちんと解いていくその姿勢が上級レベルの問題のときに効果を発するものだと思います。地道な作業で大変かと思いますが、必要なことですのでしっかりとやったほうが良いと思います。
第6節 電卓について
 電卓についてよく聞かれるのが右手で打つか左手で打つかということです。結論としてはどちらでも電卓を打ちやすい方で構わないと私は考えていますが、一般に左で電卓を打つ方が早いということを理由にして左手で打つべきと考えている人が多いと思いますので、これに対して右手で電卓を打つことの利点を述べていきたいと思います(ここでは右利きを前提としています)。

 当初会計士試験の勉強を始めたとき、私は単に「問題を解くのが早そうだから」という理由のみで左手で電卓を打っていました。しかし、私は不器用なのか一向に電卓技術が向上することはありませんでした。貸借対照表の合計を出そうと加算していっても、合計が合わないことばかりで、思うように動かない左手にいらだったりしていました。困った私は、たまたま本屋で電卓についての本を発見しまして、その本に書かれていることを実践してみました。さまざまなトレーニング方法がその本には記載されていたのですが、最も納得したのは「利き手で電卓はうつべき」というものでした。実際、自分の利き手である右手で電卓を打つようになってから簿記の成績も上がったように思います。若干内容をアレンジした部分もありますがその理屈はこのようなものでした

 そもそも人は日常を利き手中心で生活しています。箸をもつこともそうですし、ドアを開けるとき、モノをとろうとするとき、そして何かを書くとき、これらのときに活躍するのは利き手だと思います。確かに電卓を利き手でないほうの手で打っていても慣れてくれば大丈夫なのでしょうが、所詮1 日のうち利き手でない方の手で何かをするという時間は多くはありません。逆に言えば、ほとんどの時間は利き手を中心にして生活していて、電卓だけが利き手でないという状態になるわけです。これではなかなか上達するとは思えませんし、それよりは正確にそして確実に電卓を打つことができる利き手の方がよいのではないでしょうか。

 これに対し、利き手で答案を書く以上問題を解くスピードが落ちるという反論があろうかと思いますが、私は正直大してスピードが落ちるとは思えません。ペンを持ち替えるのと持ち替えないのでコンマ何秒違うのでしょうか。そんな細かい単位にこだわったところで、問題が解けずに悩んでいる時間で何分と費やされてしまうわけです。本来問題を解くスピードを上げるのはそういった悩んでいる時間をどれだけ短縮するかであってコンマ何秒の世界での短縮を試みようとするのは、チャッチャと問題が解けるようになってから考えればよいでしょう。まあ、それだけ解けるときにはもう問題を解くスピードについて悩むことはないことはご承知のとおりですが。

 もちろん利き手でない方の手で電卓を打つことを否定するわけではありません。別にそれで慣れてしまっているのであれば無理に修正する必要はないと思います。ただ勉強を始めたばかりの人たちがたいした根拠にも基づかずに左手で電卓をうとうとして四苦八苦するのはバカバカしいなと思い偉そうにコメントしてみました。
第7節 下書きについて
 簿記においては時間との戦いであることが否めない以上、効率的な下書きを作ることは絶対に必要なこととなります。とはいえ、間違っていたら何の意味もないので正確かつ効率的な下書きが必要になるでしょう。人それぞれ自分の下書きがいいとか思うものですので、あくまでも参考として自分の下書きの書き方を述べてみたいと思います。

 まず人と大きく私の下書きが違っていたのは、定規を使って下書きを書くということでした。よく時間がもったいないという意見を言われましたが、そうやっていうほど時間がかかるとは思えません。慣れてくると大差はないと思います。実際もし遅いのであれば私の解答時間は人よりも長くなりえたと思いますが、実際にはそうでもない。時間がもったいないという人ほど、何も書かずに思考が止まっていたりして時間を費やしているものです。ただ大差はないとはいえ、若干遅くなることは否めませんが、ではなぜそれでも定規を使って下書きを書くのか?まず、きれいに下書きを書くことによって、考えるときに頭の中がずいぶん整理されやすくなります。大体汚い下書きを見ながら考えていても単にイライラするだけではないでしょうか。さらに見やすいということは、それだけケアレスミスが減る可能性があります。無駄に時間をかけて綺麗な下書きを書く必要はないと思いますが、見た目すっきりとした下書きである必要はあると思います。

 次に問題を解く際に無理に頭だけで処理しないで、下書きにその過程を残すというのも大事なことだと思います。私が思うに、みんな自分の頭を過信しすぎです。人の頭はそんなに出来がよくないですよ。頭の中で処理できたほうがいいに決まっていますが、よっぽど簡単な問題でない限りはしっかりと下書きに書いたほうが無難です。むしろそんなところで見栄を張らないでほしいですね。私は少しでも頭の中で処理するのに不安を感じたら、情けなくても一つ一つ書いて正確に答えるようにしていました。できる問題を落とすほどバカバカしいものはなく、自分がその問題を落とす可能性を限りなくゼロにするように努力すべきではないでしょうか。これに対し、「そんなことではいつになっても効率的に問題が解けないではないか」という反論もあるかとは思いますが、効率的に解くということを考えるのは自分の中で「簡単だ」と思える段階でよいと思います。

 あと下書きの書き方は定型化してください。どんな問題でも同じようにやること。これがミスを防ぐためには大事なことになります。例えば私は未処理の事項については必ず仕訳をきっていました。売上の返品といった簡単な仕訳であってもです。前回はやったり今回はやらなかったりでは、ミスの可能性は格段に増えます。いろいろ例はあると思いますが、自分がどうしてミスするのかを考えればその解決策は自ずと出てくるはずです。

第2章 原価計算
 原価計算はもともと得意な科目でしたが、それでもいつミスするだろうかと毎回ヒヤヒヤしながら解いていました。原価計算は処理能力よりもしっかりと考えることが大事な科目だと思います。一見難しそうでも、ひるまずにゆっくりと一つ一つ解きほぐしていって下さい。

 さて実務では当然ですが製品原価を算定する製造業等でなければあまり原価計算に触れることはありません。しかし、製造業等では、まさにこの原価計算がその企業の肝になる部分ですから、理解していなければ何もできないといってよいでしょう。ただ、この原価計算という科目は2次試験レベルで十分なレベルに達することができる唯一の科目ではないでしょうか(その次は商法かな)。実際にある企業の原価計算の構築作業をしましたが、自分の原価計算の知識で十分に議論可能です。そして、まさにあの答練でよく目にする経理部長と経営者の会話が行われるのです。また管理会計論は一般企業の内部で働く場合にはとても大切になるでしょう。予算、意思決定などですね。まさに経営者が利用したい情報だと思います。
第1節 問題構造を把握する能力を向上させる
 原価計算は問題量が多いだけではなく、ミスが命取りとなる恐れのある科目であり、一般に怖い科目であるといえます。時間がなくなったり、ミスが多いということの一つの要因としては問題構造を把握できていないまま、問題を解いてしまっているということがあげられます。つまり、問題構造を把握できていないため、何度も解答には直接関係のない無駄な作業を繰り返すことが多くて時間がなくなってしまったりとか、その問題においては出るはずのない解答に満足してしまい、実は自分がミスをしているのに気づかなかったりすることがあるわけです。

 さて、原価計算では問題を解く際にまず問題構造を把握するため、電卓を叩かずに問題をしっかりと読み込むことが大切だ、といわれることが多いです。私もそう思います。1 時間答練であれば開始後5 分、2 時間答練であれば開始後10 分は電卓を叩かずにとにかく問題構造の把握に努めるべきです。たとえ他の人が問題を解いていようとも自分は電卓を叩かず問題をじっくりと読む、そんな勇気を持つべきです。特に2 時間答練の場合、どの問題から取り組むかが、最終的な得点に大きな影響を与えます。当然簡単に得点できる問題からやるべきで、よく分からない問題は後回しです。こういったことは頭では皆分かっているもののなかなか実践できるものではありません。1 時間答錬も含めて開始後すぐに電卓を叩かない癖をつけなければなりません。

 では、実際にそれをやってみるとどうなるか?始めは問題を読んだだけではなかなか問題構造が把握できないものです。実は皆さんかなりの部分を電卓で出てくる数値を頼りに問題を解いているのです。ある意味、行き当たりばったりです。出てきた数値がよさそうだから、とか、解いているうちに次にやるべきことが見えてくるというのは往々にしてありがちです。しかし、そんな解き方ではいつミスをしてもおかしくないことは一目瞭然でしょう。問題を読むことで解答の道筋を理解し、あとはそれに従って電卓を叩いて実際に数値を出していく、そんな解答方法が理想的であるといえます。

 しかし、やはり1 時間のうち5 分間何もしないで問題を読むというのは不安に感じるものでしょう。私も実際のところ最初は時間に間に合わないこともままありました。それは単に電卓を叩かないで問題を読んでいるだけであって、問題構造を把握するには至っていなかったため、電卓を叩く段階に至って再び問題を読むということをやらざるを得なかったためです。つまり結局は電卓に頼らないと問題構造が把握できなかったのです。もちろん徐々に慣れてきて、問題を読むことで問題構造を把握できるようになります。ただそれには随分訓練が必要になります。だからこそしっかり答練において5 分間は問題構造把握に努めるということを何度もする必要があるのです。しっかり問題構造が把握できたときは結果的に点数が良かったのが私の経験です。原価計算ができる人たちは皆同じことをいいます。「まず問題構造の把握に時間をかける」と。

第2節 毎日やるのが理想だが無理する必要もなし
 簿記においては毎日1 時間は問題を解くのが原則ですが、同じことが原価計算に当てはまるわけでは決してありません。もちろん毎日やれるにこしたことはありません。しかし、実際問題としてなかなか時間はとれないものです。原価計算は問題をいかに解くか、すなわち問題構造の把握が命であり、計算はそのための手段でしかありません。そのため問題構造の把握ができるのであれば必ずしも毎日やる必要はなく、2 日に1 時間でも問題はないかと思います。

 しかし、一日全く原価計算に触れないと言うのも不安が残ると言う人もいるでしょう。そんな人は15 分間だけやるというのはいかがでしょうか。これは問題構造把握だけしかやらず実際に電卓を使った計算はしないというものです。まず問題を読み、問題を解いていく手順を考える。自分の中で「こうやって解いていこう」というのが固まったら、解答を見る。考えた手順が正しければそれで終わり。これで15 分ほどになると思います。この際、理論のように答案構成を行うように矢印を使ったりして問題構造把握をやると良いと思います。電卓を使わずに問題を解くということの難しさを痛感するでしょうし、結果として自分がまだ良く理解しきれていない部分というのも浮き彫りになるものだと思います。結構頭を使うので大変ですが、こういった練習がきっと本番で力を発揮してくれるものだと思います。
第3節 電卓および下書きについて
基本的に簿記と心がける点は同じだと思うのでここでは省略したいと思います。
第4節 致命的なミスを未然に防ぐには
 原価計算で怖いと言われることは、やはり問題の始めでいきなり間違えてしまいその後が全て間違えてしまうような状態でしょう。標準原価を間違えてしまったり、部門費の配賦率が間違っていたり、、こういったミスは何度もミスすることによって徐々に少なくなっていくものですが、とはいえ完全に無くなるわけでもなくいつになっても怖いものです。こういったものはひたすら注意をするしかないものもありますが、原価計算の実力が上がってくるにつれ予め予防線を張れるようになるものもあります。

 こういった予防線の張り方の基本的な考え方は、問題文そのものに記載されている数値と自分の下書きに記載した数値とを照合することです。例えば部門別計算でいうと、各部門費の金額が問題に変動費・固定費別に掲載されていたりします。部門別計算では補助部門費を製造部門費へと集計していくわけですが、その過程ごとに問題文に記載されている金額の合計が各集計段階(共通費配賦後、補助部門費配賦後、配賦率算定後)における金額の合計と一致しているかを検証していくわけです。この方法は実際配賦の場合にしか使えませんが、確実に転記ミスは発見できます。この考え方は他の問題でも応用できると思います。問題文の数値は正しいわけですから常にその数値と照合する癖をつけると幾分かは大怪我をする可能性は減るのではないかと思います。
第5節 理論について
 原価計算の理論と言えば、大きくは短答用の原価計算基準と論文用の理論に分けられるかと思います。ともに得点を稼ぐチャンスですので、計算ばかりに目を向けないでしっかりと対策をするべきだと思います。

 原価計算基準については基本的には短答対策といえますが、たまに論文でもその内容を問う問題が出るのでやはり正誤が判断できるだけではなくどういう内容のことを言っているのかを説明できるようにしておくとよいでしょう。しかし、基準は読んでいてもどこのことを言っているのかわからないことが往々にしてあります。そこで役に立つのが上級の基本テキストです。上級の基本テキストなんてあまりしっかり読んだことがない人がほとんどだと思いますが、基準を理解する際には意外に役立つものです。原価計算基準は随分昔に制定されたものではありますが、とはいえその昔の人たちがその当時一生懸命考えて一語一語丁寧に作っていたものであることには変わりがありません。おそらく基準の文言一つを取ってもかなりの議論が行われたことでしょう(これは別に原価計算に限ったことではなく、財表でも監査でも同じことでしょうが)。ですから読み手としてもその苦労に配慮しつつ読む必要があり、その解説書として上級の基本テキストが役に立つのです。上級の基本テキストにおいては基準の一文一文に解説が加えられています。別にそれを覚える必要はないと思いますが、内容を読んで「ああこういうことを言っているんだな」ということが分かると随分と基準も読みやすくなると思います。

 論文式の理論の内容としては講義の範囲内で十分かと思います。それでもそれなりにボリュームがあるのでその範囲内で自分の言葉で説明できるようにしておけばよいかと思います。さて、よく問題になるのは論文の答案作成においてどの段階で理論に取り掛かるかです。よく知ってる問題・よく知らない問題によっても違うと思いますし、その人の性格によっても最初の段階で解く人、最後に回す人それぞれだと思います。最初に理論を解くと、簡単な問題にも丁寧に解答するため時間をかけすぎてしまい、最終的に時間が足らないという事態に陥る可能性があります。かといって計算の後で最後に理論を解くと言うのも、結局計算に時間を費やしすぎて理論が書ききれないという恐れもあります。私の場合は両方試していたのですが、どちらもうまくいかず結果的に時間が足りないということがあったので、最終的には大体中間くらいで理論をやるようにしていました。2 時間問題であれば、計算を2 問分ほどやった後で理論をざっと埋めて再び残り2 問の計算をやるという感じでしょうか。さすがに計算も2 問やるとどういう時間配分で残りをやっていかねばならないかが分かってきますので、その余裕度合いに応じて理論にどれだけ時間を割くかを考えていました。個人的には最後にやるというのはお勧めできません。せっかく点が取れるのに焦ったために汚い稚拙な文章でみすみす点数を逃してしまうというのは、やはり問題でしょう。

第3章 財務諸表論
 得意でも不得意でもなかった、財務諸表論はそんな科目でした。いかに論理的に書くかがかなり重視される科目です。しかし、最近は会計基準からそのまま出るのもあるので論理性及び深い知識が要求される科目でしょうか。

 会計士が指導的機能を発揮できるのはまさにこの財務諸表論がきちんと理解できているからだと思います。相手を納得させるのにきちんと論理を踏んで説明することが求められます。
第1節 とにかく論理的に素人でも分かるように
 財務諸表論は商法以上に論理が求められる科目かもしれません。商法のように長く文章を書くのであれば多少気の抜けた文章を書いても大差はありませんが、財務諸表論では解答欄もそれほど多くないため限られたスペースの中に簡潔かつ論理的に答案を作成する必要があるのです。

 論理と言うのは一つの文章でも抜けてしまえばたとえ結論が合っていたとしても全く意味を成さないものとなってしまいます。「~だから~、それゆえ~」というように前の文章を受けて後の文章が作られていくのです。この関係の極端な形が数学でしょうか。数学が得意な人は基本的に論理的な考え方をするので比較的、財務諸表論や商法に強い気がします。「A=B かつ B=C それゆえA=C」というのは、見た目当たり前のようなのですが、多くの人はこの関係式が文章に変わった途端、「A=B それゆえA=C」と書いてみたり、「A=B かつ C=D それゆえA=D」などというように論理的におかしい文章を書くようになってしまいます。

 では、どのようにしたら論理的な文章となるのでしょうか。なかなか難しいことですが、よく何も知らない人に説明するように書くと良い、と言われます。何も予備知識がない人に対して丁寧に順序だてて説明をしていく・・・そうすれば自然と論理的な文章になっていきます。私は金融機関に勤めていた頃、案件について何も事情を知らない上司に書類を提出し、承認を得ねばなりませんでした。論理的でなく分かりにくい文章で書類を提出しても、「これどういうこと?説明して?」と言われ結局は書き直しを何度もさせられる羽目に。それではなかなか仕事も進みません。するとそのうち書類を作成する時点で上司を意識するようになります。つまり、読み手を意識し後で説明を求められ書き直しを命じられないように順序だてて説明を展開していくようになるのです。答案を作成する際は、常に読み手を意識してください。そして常に、「本当にこのように書いていいのだろうか?根拠は?これで分かるだろうか?」ということを頭に置きながら書いてみてください。自然と何度も読み返し、より論理的で分かりやすい言葉で答案を作成することができるようになるはずです。

 もちろん解答欄が狭くて入りきらないと言うこともあるでしょう。それは仕方ありません。論理的な力がつくまで諦めてください。力がついた上で、文章を取捨選択するようにすべきでしょう。中途半端に答案に収めようとすると、論理的な力はいつまでもつきません。

 お手本のひとつとしては論点集がよいのではないでしょうか。論点集はかなり論理的に簡潔に書いてあります。一文が抜けたら全体がおかしくなるくらいです。一文一文、この文章が全体に対しどのような役割を担い、これが抜けるとどうおかしくなるのかを考えながら、答案構成を真似してみると良いと思います。

第2節 アウトプット重視
 財務諸表論においてだけではなく理論全体にいえることではあるのですが、日々の勉強においてもインプット以上にアウトプットを重視して勉強をしていくのが良いかと思います。確かに理論はインプットをしないことには何も始まらないのも確かです。しかし、インプットするためにレジュメやテキストを読んでいても、そのうち眠くなってさっき読んだところをまた読んで、、、といったように無駄に時間ばかりが過ぎてしまい、あまり頭を使った勉強ができないことが多いのではないでしょうか。私はそんな状態が嫌だったのでできる限りアウトプットを重視した勉強をしていました。

 具体的には次のようにしていました。まず財表の授業が終わったあとにまず行うことは自分で問題を作ることです。例えば保守主義の原則でいうと、「保守主義の原則とは?」「保守主義の原則と真実性の原則との関係は?」「過度の保守主義とは?」というように授業で習いレジュメに記載されている論点を余すことなく全て問題にしていくわけです。次に一通りインプットをしてみたうえで、早速その問題を解いてみます。その際、実際に書いて解答するなり、答案構成をするのです。当然一通りインプットをしてみただけなのでスラスラと解答できるわけもなく頭の中で一生懸命思い出そうともがくわけです。一通り解答し終わった後はレジュメやテキストで採点をします。習ってすぐのときは当然間違えてばかりなのですが、それはそれでよいと思います。読んでいるだけのときよりは随分マシであると思います。そして最終的には次の授業までにそれが完璧にできるまでやることになるわけです。

 さて、そもそもこのやり方をするようになったのは必ずしもアウトプットをするためというわけではありませんでした。それは答錬を受けていたりすると、「あれ、こんなのレジュメにあったかな?」と思うような問題がたまに出てきます。さて答練が終わってレジュメを見てみると確かに書いてある、、、いかに自分が読んだ気になっているだけかということに気づかされたわけです。そこでレジュメに書いてある論点はすべて問題にして、自分の知識の上で漏れをなくすということを目的としたわけです。こういった効果もあるので、問題を作ってアウトプットすると言う方法はなかなか良いかと思います。

第3節 法規集について
 最近の本試験において法規集の果たす役割と言うのは大変大きなものがあると思います。新会計基準が次々と制定される中で、その中からの問題が本試験においてかなりのウエイトをもっているためです。短答対策としても法規集は読み込むことになると思いますが、気をつけたいのは単に字面を追っていくと言うだけではなく、瑣末な部分でもきちんと理解をするということです。短答であれば、「ああそういえば書いてあった」と言う程度の理解でも十分かもしれませんが、論文ではそれをしっかりと説明する能力が必要になります。金融商品や退職給付などでは細かい部分というのは、なじみも薄い部分も多くなかなか理解しづらいところがあるかとは思いますが、本試験の解答のネタ本ともいうべきものが法規集ですので、できる限り理解して自分で説明できるようになっていてほしいものです。まずは短答用にしっかりと読み込んで、正誤を判断できるようにした上で、短答後には自分の言葉でそれが説明できるようにしておくのが良いかと思います。

 しかし、法規集は必ずしも分かりやすく書いてあるわけではないため、なかなかその内容が身につかないのが現実です。そういう場合には、例えば表示であれば実際に有価証券報告書にどのように書いてあるのかを見たりすると随分イメージが湧いて身につきやすくなります。あくまでも会計基準は現実に適用されるためにあるのですから、それを理解するのには現実にどのように適用されているかを見るのが一番近道であるのは当然のことといえるのではないでしょうか。

第4章 監査論
 はじめは暗記ばかりで嫌いな科目でした。ただ監査論を学び理解が進むにつれなかなか面白い科目だなと思うようになりました。本試験直前になって監査基準の暗記をし、そこで初めてその効用に気づきました。「ああ、なんでもっと早くやらなかったのか」そう思いました。

 さて監査論の知識は実務で当然使います。ただ、受験生時代にはさほど重要視していなかった分野(品質管理や監査調書など)が実は実務の中で大きなウエイトを占めていることに気づきました。監査論は当然理解していなければならないものですが、最後は職業的懐疑心とやらをきちんと持っているということが何よりも大事なのかなと最近はよく思います。

第1節 ある程度の暗記はやむをえないもの
 私は基本的には暗記に頼るような勉強は嫌いです。そんなものは知的なものではなく応用の利かないつまらないものだと考えるからです。ところが、監査論においては、ある程度割り切ってしっかりと暗記をすべきだと思います。暗記すべき項目としては定義と監査基準でしょうか。確かにこんなの暗記している必要が監査の現場であるのかと言えばおそらく否でしょう。しかし、試験には暗記をしていればできてしまう問題が出てきます。本来であれば暗記などせずとも理解さえしていればそこそこ書けるはずであり、無理して暗記をする必要もないのかもしれません。しかし、実際にはそうはいかないのです。ここでは監査論で暗記をすることのメリットを述べます。

 まず暗記をすることによるメリットの一つはもちろん確実に点を取りにいくことができると言う点です。監査論は他の科目と異なり暗記していれば簡単にできてしまう問題が出ます。やはり一点でも惜しい本試験においてそのような問題を落としてしまうのはかなり痛いです。実際多くの受験生が暗記をしてくる以上、かなりの差がつくことが予想されます。他の受験生にハンデをつけてやろうとか思わない限りは多少時間をかけてでもしっかりと暗記することが大切かと思います。

そしてもう一つメリットがあります。監査論の問題量はかなり多く、テキパキと答案を作成していかないと間に合わない恐れがあります。とくに何問かはどうやって書いたらいいか迷うものがあり、そういったものに時間を費やすことも多いです。監査論が暗記で対応できる問題が多い一方で、応用的な問題も数多く見受けられるのです。ある程度の受験生であれば暗記で対応可能な問題では差がつかないとすると、差がつく可能性があるのは応用的な問題であることになります。ここで応用問題を解く際に最も必要なのは、心の余裕です。ゆっくりと考える余裕があるかが応用問題を解く際のポイントになります。暗記をあまりせず、暗記をしていればあっさりと終わる問題に時間をかけた挙句に応用問題を解く人と、さっさと暗記で対応できる問題は終わらせてからじっくりと腰をすえて応用問題を解く人、結果は言うまでもありません。

 監査論であってもしっかりとした理解が応用問題を解くには大事です。しかしその理解をしっかりと答案に反映させるために暗記が必要なのも確かです。少し嫌かもしれませんが、暗記くらいはしっかりとしておきましょう。最低限の心構えではないでしょうか。

第2節 監査基準は真っ先に暗記すること
 そこそこの量はあるとは思いますが、監査基準を暗記することをお勧めします。暗記はしなければしないほうがよいには決まっていますが、とはいえ暗記していれば素早く解ける問題が出題されるのも確かです。実際、試験委員は当然受験生は監査基準程度は暗記しているものとして出題するようなので、彼らの問題の大前提くらいはクリアしておいたほうが良いでしょう。

 さて、私が監査基準の暗記を進めるのは単に試験に出題されるからと言うわけではありません。監査基準の暗記は様々な効用をもたらすと言えます。例えば、監査基準を暗記することで論文問題を記述する際に、文章をうまく書けるようになります。つまり、自分が暗記している監査基準の一部を使うことによってより公式的見解に近い答案が書けるようになります。これはかなり答案作成に際し楽になります。実際に監査の答練の解答を良く見ると、大体が監査基準の文章を用いて解答が作られていることに気づきます。

 さらに、監査基準を暗記することで今まで曖昧であった部分が随分頭の中で整理できるようになります。今まで明確に区別できていなかった概念について、監査基準と言う練りに練られた文章を暗記することによりその違いが把握できるようになるのです。監査基準は設定者が考えに考えた上で作られた文章です。それなりに監査のエッセンスが詰まっているものですので暗記して損はないと思います。なお、暗記の際には八田進二・高田敏文対談「新監査基準を学ぶ」などを読めば、より理解も深まり暗記もスムーズに行くのではないでしょうか。

第3節 修正テープを活用してレジュメを空欄補充問題に
 私は監査論は南先生の講義を受講していました。そして南先生の講義では委員会報告書などの補助レジュメとしてコンパクトにまとまったものを使っています。さて、私はこのレジュメを加工して空欄補充問題にしていました。具体的には

覚えたい部分を修正テープで消してしまいその部分を空欄にしていき、別にコピーしたものを解答として参照していく
というものです。この方法は随分私の監査論の実力を上げるのに貢献してくれたと思います。単に空欄補充するだけでなく、そうやってレジュメを読む際にアクセントをつけることにより、レジュメ全体を印象付けることができ結果として一つの委員会報告書の体系が頭の中にインプットできるのです。

 別に空欄補充にするのだったら色ペンと下敷き(らしきもの)を使う方法があります。この方法の欠点は下敷き(らしきもの)を常に持ち歩き、またそれをかぶせた上で見ないといけないと言うように面倒なところです。私も以前はその方法を用いていたのですが、面倒であっさりと止めてしまいました。一方、修正テープを使う方法は本当に空欄になっていますのでその後何かを用意する必要はありません(もちろん解答用のコピーを同時にファイルしておく必要はありますが)。今まですぐに止めてしまっていましたが、この方法だけは長く続いたのでなかなか良い方法なのでは、と思い紹介させていただきました。もちろんお気づきかとは思いますが、別にこの方法は監査論だけしか使えない方法ではありません。私は主に監査論でこの方法を利用していましたが、他の科目でも試してみてください。

第4節 委員会報告書等の読み方
委員会報告書を読むことは主に短答用の勉強において必要になるかとは思いますが、これがなかなか内容的に細かくて頭に残りにくいものです。ではどのようにして読んでいけば頭に入りやすいか?

私は委員会報告書を読む際はいつも自分が監査の現場にいることを想定して読んでいました。「こういうことを知ってないと監査の現場で間違えて怒られそうだな」とか、「こういうことを知っていたら監査の現場で不正を発見できて褒められそうだな」とかそういう感じにです。委員会報告書は実務的であるがゆえに、監査の現場を想像するのに向いています。合格後にやることになる監査の現場で失敗しないようにしようという気持ちでよいと思うので、実感を持って読むとその内容についてもスムーズに入っていくのではないでしょうか。

第5章 商法
 商法は非常に大好きな科目でした。しかし、実力が伴っていたかはなんとも言えず、実際にも本試験では自分が納得できるような答案は書けませんでした。それでも勉強をする中でいろいろと試行錯誤し、それなりの考えを持つに至ったので以下に述べたいと思います。

 商法もかなりの部分が2 次試験レベルで実務上カバーできると思います。カバーしきれない分野は、計算書類規定や組織再編のあたりでしょうか。

(なお、以下は旧商法を前提として説明をしています。)

第1節 条文重視
 とにかく条文を重視してください。商法とは法律のことなのですから当然法律の条文に慣れる必要があります。私は商法の勉強がある程度進んできた段階で六法の条文を何度も読み返しました。それによりどこにどんな内容が書いてあるのかと言うことをしっかり把握してください。それが商法の力を伸ばすための大前提です。

 そして論文の答案にはしっかりと条文を示してください。条文で書かれていることは絶対でありそれを前提とした上で論証は行われていくのです。さて、法律とは説得の学問とよくいわれます。つまり自分の答案で相手を納得させる必要があるのです。例えば「株主は間接有限責任を負う。」とだけ書いたとしましょう。確かにそのとおりです。しかし説得されるほうはどう思うでしょうか。もし読み手が素人だったら「えっ、そうなの?」となるでしょう(まあそもそも間接有限責任の意味自体が分からない可能性が高いので本来もう少し詳しく説明すべきですが)。これでは相手は納得してくれません。しっかりと「法律にこうやって書いてあるんだ。だからこれは正しいんだ。」ということをアピールするために(200 条1 項)というのを文章の最後につけてあげる必要があるのです。根拠条文が書いてない文章など何の価値もないと思っておいたほうが良いです。単に書いてあるだけで、説得力がありません。根拠条文を示すことによりその文章に命が吹き込まれる、そういった認識を持っておくべきだと思います。

 では、条文に書いてない場合はどうするか?これこそが商法の力の見せ所です。根拠条文と言う圧倒的な力を使うことができない以上、制度趣旨による拡大解釈、類推解釈といったものを駆使することにより読み手を納得させてみてください。答案の読み手に「なんで?」と思わせたらそこで終わりです。もう答案は提出しているのですから追加の説明をする機会は与えられません。読み手に説明する機会は答案を作成する一度しかないことを肝に銘じて答練を受けていただきたいと思います。

第2節 問題に素直になること
 論文を解答する際にはとにかく問題に対して素直に解答してください。「名義書換未了の株主に対する株主総会の召集通知が行われた場合に、株主総会決議の効力について説明せよ」といった問題があったとします。問題を素直に読めば「株主総会決議の効力」について答えることが求められていると分かります。そしてそれに対して解答するのですから当然に答案上、株主総会決議の効力からスタートしていかないと問題に素直に解答しているとはいえません。すなわち、決議の効力→瑕疵はあれば効力に影響→名義書換未了の株主に召集通知→瑕疵といえるか?→会社側から権利行使を許容できるか?と進んでいくことになります。自然に問題提起もできるはずですし、このような流れを論理的であるというのではないでしょうか。ところがいきなり名義書換未了の話から入っていったりすると読み手としては「あれ?効力の問題じゃなかったかな?」となっていまいます。読み手に優しい論理の流れを心がけてほしいものです。問題を読んだ際に一部分に飛びつかないで、ゆっくりと素直に問題に答えていってほしいと思います。

第3節 制度説明は知識をしっかりと
 制度説明の問題については定義→総論・制度趣旨→各論という流れで論理を展開していくのが普通だと思いますが、差がつくのは各論つまり個別の制度をどれだけ書けるかにあります。短答の勉強をするようになると、どんどん知識が増えていくので制度説明型の問題に取り組みやすくなっていきます。往々にしてみんな知識不足ですので、短答レベルの知識をしっかりと定着させれば自ずと制度説明型問題の点数は上がっていくのではないでしょうか。もちろんそれぞれの制度の内容・趣旨を軽く述べるのは最低限のことですが。昔、小飯塚先生が「溢れ出してくる知識をいかに整理するか迷う」という表現を使っていたことがありますが、これが商法の上級者の感覚なのだと思います。知識は溢れ出てくるものであって捻り出すものではないようです。制度説明の答案構成に悩む人がいたとしたらその大きな原因は各論の知識不足にあります。溢れ出してくる知識をいかに整理するかと言う贅沢な悩みを持った上で答案構成をしたいものですね。

第4節 実務に触れる努力を
 商法という法律が特殊であるのは、民法など他の法律とは異なり、毎年のように改正がなされるという性質があるためです(ついには会社法になってしまいましたが)。そのため、昔から改正されずに残っている部分は少なくなってきており、なんらかの形で改正されている条文がかなりあります。さて、ここで何が言いたいのかというとそれだけ改正されることには理由があるということです。そう、時代の変化による実務からの要請により改正が促されるという法律が商法なのです。どんな法律であれ、その法律の趣旨は大事なものですが、特に商法においては実務からの要請により改正されることが多いことからその趣旨というものが重要になってくると思います。なぜ前の条文では不都合が生じ、実務からの要請により今の条文に改正されたのか、そのことをできるだけ念頭に置きながら勉強すると商法がより身近に感じることができると思います。

 一例を挙げれば、株主の帳簿閲覧謄写請求権です。なぜこれは発行済株式総数の100 分の3 以上の株式を保有している株主に与えられているのでしょうか。確か、昔の商法は10 分の1 という規定だったそうです。ところがアメリカの会社乗っ取り屋が日本の会社を乗っ取ろうとしたところ、株主の帳簿閲覧謄写請求権の行使権者がアメリカよりも制限されているのに腹を立て日米の協議により10 分の1 から100 分の3 へと要件が緩和されたそうです。別に細かいオタク的な知識を仕入れろ、と言っているわけではありません。たったこれだけ知るだけで、今まで自分の中では大した機能とも思っていなかった(それゆえ、答案に書き忘れることも多かった)株主の帳簿閲覧謄写請求権が意外に実務では必要にされるんだな、だからこそ株主の権利として強調されるべきなんだなということを感じることができるのです。

 何度も言いますが、商法は実務に大きく影響を受けます。毎日新聞には商法上の規定にもとづいて様々な公告がなされています。そういった実務にも思いをめぐらしつつ、効果的な勉強をしていただければと思います。

第6章 経済学
 経済学は得意・不得意が大きく分かれる科目です。ただ得意と言っている人のうちでも本当に理解している人というのは少ないと思います。つまりほとんどの人がよくわかっていないのです。よくあるパターンに乗せて計算していくと正解が出る、こんなのは理解しているとはいえません。経済学は言葉でもしくは図で説明できて初めて理解しているといえるのです。

 さて、経済学は実務で役に立つのでしょうか。よほど高度に勉強した方でない限り、直接的には役に立つ場面は少ないと思います。ただ、以下に述べるモデルの必要性を理解するということは会計士という業務においてだけでなく、その考え方自体が重要なのではないかと思います。

第1節 モデルの必要性を意識すること
 よく経済学を学ぶ人から、「実際の経済はこんなのじゃないから、こんな学問は無意味だ」と言う趣旨の言葉を聞くことがあります。確かに一見そのようです。ミクロ経済学で言えば企業が一つ、消費者も一つなんていう世界は現実にはありえません。実際私も昔はそういう考えでいたこともありました。しかし、実はこのモデル化という技術こそ経済学の要であり、だからこそ現実の問題を考えることができるのです。どういうことでしょうか?

 では実際に現実の経済と言うものを説明してみましょう。どう説明しましょうか?これは極めて難しいことです。現実の経済には本当に様々な要素が絡んでくるため、どうにもこうにもこのままでは説明することができません。「~とは、~ということだ」という何か結論を打ち立てようにもにっちもさっちもいかなくなっていまします。そう、あまりに現実の経済は複雑すぎるのです。

 しかし、なんとかして現実の経済と言うものを説明してみたい。そこで用いられるようになったのがモデル化という技術です。現実は複雑なのだから一つ一つ仮定をおいてみる。徐々に単純化することにより、こういう仮定であればこうなる、もしこういう仮定であればこのようになる、ということが分かってくるようになります。モデル化を行うことによって初めて、経済の性質の一部が浮かび上がってくるのです。それでは、様々な経済現象の性質の一部が分かってきたとします。では、現実をどう説明するか。それが経済学を学ぶものの腕の見せ所ではないでしょうか。モデル化により判明した様々な経済現象の性質をもとにそれぞれが味付けをして自分なりの見解を作っていくのです。「現実にはこの要素が大きいからこうなるな」とかいうふうにね。

 少しでもモデル化の必要性が分かると、経済学が苦手な人も興味が湧くのではと思って説明をしてみました。

第2節 公式に惑わされないように
 よく経済学が苦手な人の多くが、テキストに書いてある公式(例えばMRS=Px/Py)に妙に縛られてしまっていることだと思います。全体事項の第4 節でも述べましたが、経済学のテキストに太字で載っているこういった公式は、あくまでもその考え方を理解していることがそれを使うことの大前提にあるものです。しかし、実際には多くの人がこの公式に縛られすぎて逆に経済学を難しいものと考えてしまっているように思います。

 仮に利潤最大化問題を考えてみましょう。上にも書きましたがよくMRS=Px/Py を条件式として問題を解くと思います。しかし、個人的にはほとんどこの条件式を使って問題を解くということは私はありませんでした。極端なことを言えば、こんな条件式を使う必要なんて問題を解く上では必要ないのです。この条件式は楽に問題を解こうと思ったときにだけ利用すべきものだと思っています。利潤最大化問題は企業行動に関する問題ですから、Max 収入-費用(=利益)を解けばよいだけです。このことは、独占であろうと寡占であろうと同じことです。ここにMRS=Px/Py といった条件式を使う必要は何もありません。なぜならMRS=Px/Py という条件式はMax 収入-費用(=利益)を解く際に自然と登場してくるものだからです。機械的に条件式を使えば、間違える可能性も高いですが、毎回Max 収入-費用(=利益)を定式化して解く分には、あっても計算ミスくらいでしょう。それゆえ一番重要なのはこの定式化の作業になるわけです。
 このことは経済学のほかの条件式でも同じことで、実際のところ自分は公式というものをほとんど覚えたことはありません。MRS=Px/Py すらあやしいくらいです。ただ、答練の解答はいきなり条件式を用いて解説しているケースが多く、経済学が余計に難しく感じてしまう理由になってしまっているとは思います。条件式そのものよりもその背景にある理屈をきちんと理解していけば、自然と条件式に頼る解法はしないですむと思います。

第3節 基礎を大事に
 「基礎を大事に」とよく言います。第4 節でも述べたことですがなかなかそれができないものです。これは経済学においても同じでしょう。私はよく入門・基礎マスターのテキストを読むことを薦めています。経済で行き詰る人、結構得意な人、ともにです。入門・基礎マスターのテキストはかなりよくできていると思います。しかし、皆さん一旦上級コースに入ってしまうとなかなか入門・基礎マスターのテキストには戻らないようです。しかし、そこには極めて重要なことがいろんなところに散りばめられているのです。

 特によくマクロが苦手という人が多いようですが、私はその一つの原因としてマクロ基礎マスターの始めに出てくる三面等価、45 度線分析をしっかりと分かっていないことがあると思います。この辺りは学習が進んでくるとほとんど出てこない分野なのでみんな疎かにしがちではありますが、マクロを理解をする上で最も基本的で重要な部分だと個人的には思っています。三面等価が45 度線分析にどのように取り入れられているのか、貯蓄と投資がバランスするということはどういうことか?きちんと説明できる人はそう多くはないと思います。結局はそういったものへの理解が足りないことがその後のマクロに対する理解に影響しているのではないかと思います。

 入門期のテキストには結構経済学が分かっている人も戻って読んでみると意外に新しい発見があると思います。苦手な人はなおさら何度も読むべきです。

第4節 数学力について
 経済学は数学を前提として成立している部分が多いのが事実です。それゆえ、会計士試験においてもある程度の数学の実力は必要になりますが、ただ問題なのはどの程度まで数学の実力が必要になるのか?ということです。

 個人的には会計士試験レベルの経済学ではそんなに高度な(大学レベル)数学は使わないので数学に不安を感じたことはないのですが、やはり本当に数学が苦手な人は大いに不安を感じる、もしくは実際に分からないということがあるんだと思います。しかし、よく考えてほしいのはあくまでも経済学の試験であって数学の試験ではないということです。経済学においては数学はあくまでも問題を解く際のツールにしか過ぎません。本来であればツールである数学に対しても「なぜこうなるのか?」という疑問をもち理解をしていくことが大切なのですが、数学の試験ではない以上あまり深入りする必要もないですし、本質的に理解をしていないとしても致命的な状況にはならないと思います。幸いにして会計士試験で必要とされる数学は中学レベルの数学と微分です。これらであれば理解をしていなくても最悪は公式で対応してしまっても仕方ないと思います。数学の問題であればそんなやり方では点も伸びませんが、経済学は数学をあくまでもツールとして用いているに過ぎずそれ自体は学問の対象としていないので経済の応用問題を解く際もそれほど問題にはならないはずです。経済学ができないのは数学ができないからでは決してなく経済学が分かってないからであるだけです。

 数学が苦手な人は反復練習して、理解はできなくてもとりあえず「どのような時にどの式を使うか」「どうやって式を変形するか」は押さえておく必要があるでしょう。

第5節 図や言葉で説明できるように
 経済学というのは計算でカタがつくことが多いために、実際によい点が取れたからと言ってもそれが経済学を良く分かっているということには繋がりません。なんとなくいつもやっているようにやってみたら答えが出てしまう、そういう人が多いと思います。それが経済学の怖いところです。正解の意味するところが分からなくても点がついてしまう、それゆえ自分の真の理解が分からない。もちろん答えが出ないことにはお話にならないわけですから、当然しっかりと正解を導き出していただきたいわけですが、できる限り計算に頼らずに図や言葉を用いて「これはこういうことをやりたくて、そしてその結果出てきた答えはこういう意味がある」と説明してほしいところです。もしくは説明できるよう努力してほしいのです。大体、説明できない場合にはその分野の基本的な理解が足りないと言うことが多いと思います。逆に言えば図や言葉で説明できたらもう完璧といってよいのではないでしょうか。それくらい難しいことですが、だからといってもやらなければ自分が理解していない部分についても気づきませんし、見たことのないような問題に出くわしたときも対応することができないものだと思います。別に難しい問題を解けというわけではありませんが、普段から単に計算するだけという解き方をしている人では見方を変えた基本的な問題ですら点が取れない恐れもあります。どんな基本的な問題であっても単に答えがあっていたからいいと終わらせないで、ゆっくりその意味について考える習慣をつけてほしいと思います。特に自分で理論でやっているように論述してみると効果的でしょう。その習慣は本試験前にはかなりに実力となって貢献してくれることと思います。

第7章 経営学
 この科目は極めて捉えどころのない科目です。特に戦略論・組織論においては試験委員によって見解が違ったり、そもそも学問として成立しているのかすら疑問に思うこともあります。費やす時間という点では他の科目に比べて格段に少なくて済みそういう意味で楽なのですが、自分の解答に対する出来がいつも分からず、得点がなかなか計算できない嫌な科目でした。

 ある程度基本書を読んで、苦手にならない程度に勉強をしておいたうえで短答後に頭の中を整理するという形で勉強するのが良いのではないかと思います。意外にこの経営学の知識、最近よく使います。特に財務論は企業価値評価の業務をやろうとすれば必須の知識だと思います。

第1節 基本書
 経営学は確かに捉えどころのない科目なのですが、実は基本を押さえておけば本試験においては対応できるというのが最近の傾向だと思います。私も含め経営学は分かりにくいというように感じがちであるのは一つにはTAC の教え方のまずさがあると思います。テキストはやらずにむしろ試験委員などが書いた基本書的なものを読んだほうがよっぽど理解は深まると思います。

 では、なぜこんなことが起きるのか?経営学が実務から形成された学問であることは周知の事実かと思います。それゆえ、本来説明をする際には実際の話に多くの重点が割かれなければ理解しにくいのです。しかし現在のテキストではあれもこれもと様々な概念を掲載するがゆえに、一つ一つの説明があまりに貧弱なものとなっています。これはなかなか気づきませんが、学者が書いた基本書を読むとその分かりやすさにびっくりとします。「プロセス型って何だよ、複雑適応系リーダーシップってなんだよ(もう試験委員じゃないけど)、いまいち実感できないぞ」という感じに私はいつも思っていましたが、実際にその著書に触れると「なるほど、そういうことだったのか」というようにようやく試験委員の問題意識を理解できるわけです。実際に試験委員特有の問題が出るかは分かりませんが、授業を聞いても分からないようでしたら、基本書というめんどくさそうで実は理解するのに近道といえるものが用意されていることを思い出してみてください。

第2節 財務論について
 財務論はこれといった対策があるわけではありませんが、基本的なところを押さえておけばそれで十分かと思います。具体的には、資本コスト、配当政策、CAPM などといったところでしょうか。財務論は実際に実務において活用されているものなので、どのような場面でどんな目的でこの概念が活用されるのかということを常に念頭において勉強すると理解が深まると思います。

 例えば、ある企業が別の企業の株式を買収しようとする際、市場において購入するのであれば市場価格で購入するのが最も合理的かと思いますが、実際に株式を公開していればいざ知らず公開していない会社では株式の価値はなかなか分かりません。監査法人ではその際に資本コスト、CAPM を駆使することによりその企業の株価を算定する業務を行っています。なぜCAPM が必要なのか?そういったことを考えながら勉強することが面倒ですが最終的には近道かと思います。

 デリバティブはいらないと思います。人に差をつけられないように最低限のことが分かっていれば良いのではないでしょうか。

第3節 論理的であることが求められているわけではない
 経営学では厳密に論証をすることよりも、数多くの事柄を記述することのほうが評価が高いようです。この点、財表や商法とは異なる部分です。このことは学者に直に聞いてみたので、多分採点者もそういう考えで採点をするのだと思います。なんで?と言われるとこちらも困るのですが、おそらくこういうことではないでしょうか。すなわち、経営学での問題意識はいかによい企業経営を行うかにあります。こういった問題意識においては、世間一般に言われている経営を行うのではなく、よりよい皆が気づいていない経営の仕方を模索していると言えます。このような場合、世間一般に言われるような経営という一面しか見られないのでは経営学が求める能力とは合わないでしょう。それゆえ物事を多面的にみる能力というのが求められる、つまり一つの物事に対して数多くの事柄を列挙できることが求められるのではないでしょうか。

第8章 民法
 私は民法選択ではないので、民法の勉強法については基本的に何も言えません。ただ前職で金融機関に勤めていたことから民法が実務でどのように活用されているかはよく分かります。もちろん会計士の業務でも知っていれば十分にプラスアルファが期待できるものだと思います。最近は企業再生がブームになっていますが、その世界では民法の基礎知識があるのとないのとでは大違いです。当然不動産登記簿を読みこなして抵当権者の権利関係を把握する、そしてどういった弁済を行っていくか、などということはまさに民法の世界でしょう。

 どうも民法は大変そうな印象を受けますが、その苦労に見合うだけの知識ではあるので大事に勉強していただきたいと思います。

第3部おわりに
 会計士を目指している方々はどうしても、財務諸表の作成~監査の過程が自分達の気持ちの中で大きなウエイトを占めてしまっているような気がします。ですから、会計士試験に合格した後は、監査法人に行こうと考え、または一部の人が一般企業の経理に行こうとするのでしょう。

 さて、世の中で会計をきちんと学びたいという人たちはかなりの人数に上ると思います。特にビジネスマンであれば誰だってきちんと会計を理解したいと思っているでしょう。では、その人たちというのはどうして会計を理解したいと思っているのでしょうか。財務諸表の作成がしたいのでしょうか、それとも監査がしたいのでしょうか。実は多くの人が、会計士を目指す方々とは違った視点から会計を理解したいと思っています。それは、財務諸表を利用するということなのです。投資家はもちろんのこと、経営者であれば自分の会社がどうなっているのかが一番よく分かるのが自分の会社の財務諸表なわけですし、営業をする人だって取引相手がどんな会社か分からないと危なくて仕方ありません。

 会計士試験で勉強する知識は、一般社会で役に立つものばかりです。多くの人が本当は欲しいと思っている知識を、今まさに皆さんは勉強しているわけです。しかし、それも学んでいる人の意識が単に財務諸表の作成~監査という段階までであればどうでしょうか。本当は幅広く使えるはずの知識を自分でその範囲を限定してしまっていることにならないでしょうか。結構、そういった方が多いように思います。もっと幅広く可能性のある知識だということをよく理解してほしいのです。そして多くの人が本当はきちんと会計を理解したいと思っていることを。

 どれだけ試験勉強に集中できるかは、そのモチベーションにかかっていると思います。少しでもその手助けになればと思い、最後にこのようなことを述べさせていただきました。

以上