不肖アナゴさん、これだけは言える

不肖アナゴの、これだけは言える会計士試験体験記(再現答案参加者)

・はじめに

はじめまして、アナゴと申します。昨年は再現答案の提出もさせていただきました。

私は恥ずかしながら受験回数が5回と長いため、短期合格のための学習法というよりは切磋琢磨の過程で効果の出た勉強スタンス、知っておいたほうがよい情報などにクローズアップしていきたいと思います。

くだらない独り言も混じってますが参考にして、いや、反面教師でも結構ですのでお役に立てば幸いです。
 

・プロフィール

年齢:29歳

2003:3月に大学卒業、大原会計士講座へ。短答不合格。
2004:短答合格、論文不合格。

 論文試験2日前の日曜日、テレビで洋画のアポロ13を見て宇宙飛行士が全員無事帰還したときは大いに感動したものですが、私自身は帰還できず。

2005:短答不合格。

 なんと試験3日前の木曜ロードショーでまたもアポロ13が放映されているのを偶然発見してしまう。またも帰還できず。旧試験制度が終わり相当悩むが、新試験一年目はまだスタートラインが同じであると踏んで続行。少しから元気。

2006:短答合格、

 論文不合格(監査B、租税D、会計学E、企業法C、経営学B)。
 しかしまさかの科目なし。こちらは再現答案にて去年開示させていただいております。より勉強に専念するためインターネットも辞める。余談ですが短答の2週間ほど前にまたアポロ13が、、、トムハンクスが好きなんですが、ここはさすがにスルーしました。

2007:ようやく論文合格

・各論(◎、○はおすすめ度です。)

◎簿記の答練1時間問題を1日2回こなす

 遅まきながら2007年でようやくできることになり、成果が出たことがあります。それは毎日簿記を2時間単位で、つまり1時間問題を2題解くことです。

 直前期までこれは継続するのはとても大変です。私が言うと、「おまえは長年やってるからできるんだろ!」との皆さんの突っ込みがあるでしょうが、実際簿記で早期に確固たる地位を築くことが何よりも大切です。

 特に他の科目にかける時間が少なくなるということでの反論があるかもしれませんが、むしろ逆で、これぐらいの量を常時こなすと直前期に他の科目に確実に時間をとることができるようになります。

 具体的には、基礎期(年末まで)はとにかく計算重視。この時期は1時間問題を2回などと言わず、最後までそれを可能とする土台を進めるためとにかく計算科目の比重を高めました。早朝から昼の16時~19時ごろまで簿記、管理、租税の計算を解いていました。暗くなったら理論、そんな毎日でした。

 上級生(勉強が一回転している方)であれば去年の応用期、直前期も交え、テキストの個別論点も漏れなく、考えながら解くことに留意するとよいと思います。部分的に苦手の論点があったら付箋などで印をつけ、次に何時見るのか書いておくと便利です。

 入門生など、基礎期の答練で60点を割ることがあれば、他科目の授業も忙しいでしょうが一両日中に同じ問題を解きなおすことをお勧めします。せっかく解説で理解できても忘れてしまえば後日結局解くための時間を食った上にまた間違えてしまうことになるからです。また年明けからは短答の勉強の比重が高まるため、この時期の計算力養成は更に重要性が高いと思います。

 応用期(年明け~4月)に入ると理論の比重が高まります。

 この時期から地獄の?1日1時間×2の生活スタートです。私の場合、問題の内訳は比較的簡単な答練+難しい応用期以降の答練のセットにしていました。

 簡単な答練から始めるのは本番も同様なので、簡単な問題から始め、それを解き終わったら本試験のごとく、即もう1問にとりかかります。

 解き終わって解答、確認作業、テキストの参照等含めて、長くとも3時間を超えないようにしました。また各々の答練の出来具合で次に何時その問題を解くのか予めメモしておきました。それを時間通りこなせていない場合は遅れが生じている可能性があり、それに気づくので便利です。

 遅れが出そうなこともありましたが5月に短答式試験免除のため授業に空白ができ、ここでほぼ完全に追いつくことができました。

 直前期(5月~)は授業が少ないため、試験直前にもかかわらず時間的余裕があるという錯覚に陥りそうになることがしばしばありました。ただ条件は短答免除であれば全て同じであるため、5月中旬の模試を本試験と仮定して理論も操業度120パーセントで飛ばしていました。この時期の勉強時間は朝7~9時から夜12時ごろまででした。

 あまり他の書籍に手を出すのは好きではありませんが、マーケティングが試験範囲に入るのがわかっているのにマーケティングのマの字も知りませんでしたので、マーケティング(恩蔵直人著・日経文庫)を読んで予習していました。ただわかりやすい点はよいのですが、やはり試験のことを考えると休憩代わりに読むぐらいに留めるべきかもしれません。

 6月、、本当に直前です。

 2006年までは短答式試験があったことも関係していますが、正直簿記を1日2題解くのは無理でした。去年は1日1題、それもぎりぎりでした。しかし、1題で苦しいということはそれだけ処理能力が遅いということです。だとすれば直前期の簿記の問題がうまく解けなければその解きなおしだけで簿記の時間が終わってしまい、やはりうまく回りません。それを避けるための基礎期、応用期の過ごし方は非常に重要だと実感しました。

 入門生、社会人受験生の方であれば出ないところ、難解な問題をスパッと切るという戦略もありますが、勉強専念の短答免除の方であれば時間的にも十分可能なはずです。

 応用期と同様に2時間余りを簿記に費やしますが、このように時間を決めて時間通りに終わらせると、今日は簿記をしっかり終わらせたというなんともいえない安心感が得られ、理論の勉強にも熱が入ります。

 更に某講師が解説していたことと被りますが、直前期なので朝10時半からの2時間、昼14時30分からの2時間などの時間にできるだけ解き、時間通り辞めるようにしました。租税、管理の計算も疎かにしてはいけませんので。直前期に計算全体にかける時間は約4~5時間、理論7~8時間ぐらいでした。

 簿記の1つのテーマについて勝手な持論にもかかわらず長文になってしまいましたが、去年簿記や管理の計算で大きく躓き、今年それを得意科目に持ってこれた(管理会計は未だ守りの科目ですが)一因に簿記を目標どおり回せたことにあると自分としては確信しています。勉強方法は千差万別ですが、短答免除の勉強専念受験生であれば参考にしていただければ幸いです。

 くどいようですが、忙しい試験直前まで1日1時間×2題をこなすには応用期、応用期をこなすためには基礎期が大事です。

○動きながらだと暗記しやすい

 来年から会計基準等が持ち込み可になるという可能性もあるようで、こちらは是非おすすめできるというわけではありませんが、私自身効果が出た勉強方法を紹介させていただきます。

 効率よく勉強する方法を謳う本などこの手の本にはよく書かれていますが、じっと座っているより体を動かしながら勉強したほうが良いとよく言われます。また暗唱しながら覚えるとより記憶が定着するそうです。

 実際やってみるとわかりますが、常時動いてると眠くなりにくく、暗記に対する飽きが来るのをやわらげることができます。私見では電車に乗っている間に暗記するというものも、座っていたとしても立っていたとしても30分~1時間ぐらいで飽きる前に覚えるという点でこれに通じるものがあると思います。

 応用期以降の理論は机に向かっている間は頭を使って考える作業に注力しました。答練で新たに出た暗記すべき論点はその日のうちにポケットコンパスにどんどん書き込み、それを帰りに覚えながら歩いて帰っていました。

 動きながら勉強するといっても一人でグルグルしながら覚えるのは辛いので、あくまで運動不足解消と帰宅ついでという名目を自分に言い聞かせてやっていました。

 ただ人が大勢いる時に一人でぶつぶつ言っているとやはり恥ずかしいので、酔っ払いにまぎれてできる23時頃が一番集中できました。

 効果が出ると自覚してからはついついエスカレートしてしまい、帰りに閑静な道や川沿いを1時間以上歩きながら暗記していました。

 夏の本試験一週間前は猛暑で頭が回らないので中止したり、冬はのどが痛くなったり、警官にも普通に顔を覚えられて総スルーされるという有様でしたが家へ帰宅するころには毎日物凄い暗記量になりました。ただやり始めると長時間机に向かうよりずっと苦痛はなかったです。恥ずかしいだけです。結構致命的ですが、、

覚える際に心がけたのは

・理論的な流れをフローに流してそれぞれのブロックの要旨を覚える。
・ぶつ切りの箇条書きの論点は語呂合わせで一言にまとめる。
・記憶が不十分でもとにかく自分で説明できる状態にあるか

等です。

語呂合わせに関しては、例えば経営学、マーケティングの分野で

サービスの特性が

・無形性
・品質の変動性
・不可分性
・消滅性
・需要の変動性

新製品開発のプロセスが

・アイディアの創造
・スクリーニング
・事業性の分析
・プロトタイプの開発
・テスト・マーケティング
・市場導入

7つのブランド要素が

ネーム、ロゴ、シンボル、パッケージ、スローガン、キャラクター、ジングル

ですが、これを

むひんふしょうじゅ
あいすくりーじぷろてすとし
ネロシパスキジ

と短縮し、この復活の呪文(古くてすいません)のような暗号を使い、むひんふしょうじゅのむは・・・・無形性、ひんは・・・・と覚えていました。

 横だけでなく縦に覚えることで試験時のド忘れを回避する狙いもありました。ちなみにこのわけのわからん呪文自体は呼び水にすぎないのでこれ自体を覚えようとしなくても自然に覚えられます。逆に重要度の低いネロシパスキジなどは全部出てこなくても致命傷にはならないことが推測されるのでネロシパスキジをまず先に覚えていました。

 自慢できるほどの勉強方法というわけではありませんし何よりドン引きされる可能性濃厚ゆえ控えようかとも思いましたが、2005年から始めて理論がうまく回るようになったので使える部分が少しでもございましたら幸いです。

○合格者アンケートに目を通す

 毎年春頃のJICPAニュースレターに合格者アンケートというものが掲載されます。これは昨年度の合格者に対して各科目各問の問題について難しすぎる、簡単すぎる、問題として不適当等のアンケートを実施した結果が掲載されたものです。これが結構詳細で、さらに特筆すべきはここで目立ってしまった科目はたいてい次の年に影響を受けるということです。

 2006年の試験結果のアンケートでは2006年短答企業法、なんと全問が簡単すぎる(他は数問だったと思います)との結果を受けて難しくなり、論文会計学簿記、経営学理論が難しい等の批判を受けて今年いずれも解きやすい問題になっていました。

 勉強の本質には全く関係ありませんが、入手できる機会があれば一読をおすすめします。

・最後に

 最後に少し堅苦しくなりますが生活面へ移らせていただきたいと思います。

 失礼ながら、中には私と同様に長く受験生活を続けていて苦しんでいる方もいらっしゃると思います。結果発表を受けて試験を辞めるか?という意思決定をする場合の決め手には、金銭的に難しい、いい年して親に迷惑かけるから、会計士合格だけが全てじゃない等様々なものがありますが、、、

 この答えはないと思います。

 経済的事情に左右されることはもちろんですが、早く社会に出て会計士という職を客観的に見つめなおしてみることも、不退転の決意を持って勉強に専念することも自分で決めた進路であればそれが正しいと思います。理由は自己責任で選んだ道であれば後悔しなくて済むからです。

 私自身は年内に日雇い派遣でアルバイトをし、年明け以降は勉強に専念しておりました。卒業後長く勉強を続けたのでフラフラしている自分に腹が立つことも度々ありましたが、それが勉強へのモチベーションにつながり勉強がはかどることもあり、何事もプラス思考で考えるようにしました。

 合格可能性を少しでも高め、且つ後で後悔しないようにするためには、日々サポートしてくれる親や友人への感謝の気持ちを忘れずに、中途半端な努力ではなく寿命が縮むほどの徹底的な受験生活を送り、日々改善していくことが不可欠ではないでしょうか。

 たかがペーパーテストを通過しただけで生意気言って申し訳ございません。また稚拙なメッセージで至らないところが多いにもかかわらず最後まで読んで頂きありがとうございました。

また近い将来、現場でお会いしましょう!