ハムスターさん、会計士補の2科目勝負体験記

05年2次試験合格 06年2科目(監査・租税)合格2次試験受験回数:2回年齢:29歳(前職あり)

一言なるべく記憶を美化せずに、事実ベースで振り返りたいと思います。

総論

 合格できるとは思っていなかったので、すべてが結果論になります。しかし、今回振り返ってみて、強いて挙げる勝因は、①結果として方針が正しかったこと②自分が持っていたリソース(2次試験の合格経験、環境など)を使いこなせた点に尽きたと思います。
 

概略

・10月租税法の勉強スタート
・入門基礎期はこの時点で一通り済ませていました。上級5回目までは講義だけ受講。
・11月中旬から一旦停止(開業登録、就職先の決定、引越しなどなど)12月~5月まで、まったく手付かず
・監査・リクルート準備・ベンチャー支援・採点講師・結婚式の準備(結納・式場探し、衣装探し、打ち合わせ等など・・・)で時間が作れず。
・6月再スタート 
・平日の夜及び、週末の少なくとも半分(残りは結婚式準備)は租税法に回す
・ 8月10日~22日追い込み(受験有給+夏休み) 一日1時間程度は監査論に回す。残りは租税法に投入。

 結局300時間~400時間ほど投資したと思います。比率でいうと租税9.5:監査0.5になります。

方針

 初年度で2科目一括合格をめざす。

常々、先輩から「改正初年度の年が周りの体制が整っていないから勝負時」と言われていました。周りの受験生(一般、士補)の状況を聞いていると、受験日が近づくにつれ租税法に対する諦めの声が聞こえてきたため「今年は勝負の年だ!」と確信を得ました。

 実際、受験当日も租税法は専門学校の予想に反する問題によって諦めて帰る人々をみて、周りが自ら進んで脱落してくれたのが追い風になったと思います。来年以降はもっと必死に勝負してくる受験生がいると思うと、手が抜けませんでした。

環境づくり

勉強時間を捻出する。

  平日の朝・夜の事務所を活用する。

 働きながらの場合には、休日は普通に勉強できるので、平日いかに時間の作れるかがポイントになりました。その点、自分は通勤時間が短い(15分)ため朝起きてから問題を1問解いたり、夜事務所に戻ってから仕事の勢いをそのままに勉強を始める(がんばって3時間くらい)、といった具合に、平日の朝夜にアドバンテージとなる時間を作りました。

追い込みの時期は外食で全てをまかなう。

 普段は自炊することもありましたが、追い込みの時期(直前2週間)は、貯蓄の持ち出し覚悟で予算を無視して、すべて外食として時間を確保しました。

サブノートの作成(法人税は上級含む、所得・消費は入門基礎期のみ)

租税法は論点が細切れになっているので、ちょっとした時間に見返せるサブノート(B6サイズ)を作成しました。大原ならポケットコンパスに相当するものになります。自作したので、時間がかかる反面、その過程で理解が深まるという効用もあったと思います。

集中できる環境を確保する

 事務所の自習スペースをフル活用

 幸いにして事務所にはセミナールームがあり、追い込みの時期は、一日中入り浸っていました。専門学校の自習室より一人当たりのスペースが広く、綺麗、静かで、飲食、独り言も自由、ネットも完備、事務所の同期、若手の先輩もいたのでディスカッションもすぐに出来て効率的な勉強を集中して出来ました。あるときは、一緒に勉強していた人の誕生日を祝って、買ってきたケーキを食べたりと、楽しい気分で勉強できました。

メンタル面の維持(意識(動機)付けなど)

いつかは詰めなきゃならないのだから・・・

1年目で仕事や生活環境が初めて尽くしの中でなかなか勉強のモチベーションが上がりませんでした。「今は言い訳できるよなぁ・・・」なんて誘惑もありました。そんな時は「いつかは時間を投資しなきゃいけないのだから、早くやっちゃおう」と考えることで、なんとか自分を奮い立たせていました。

事務所からのプレッシャーに打ち勝つ

  事あるごとに進捗を聞いてくる先輩・上司

 「前向きに勉強しています」と受け流していました(笑)。特に監査法人の先輩・上司は自分たちが働きながら3次試験を通しているだけに、冗談半分、本気半分でプレッシャーをかけてきます。そんなときに「余裕で合格ですよ!」という強気のコメントや、「絶対無理っス」などの弱気すぎるコメントはどちらにしても自分で自分の首を絞めるので、適当にお茶を濁していました。

 ちなみに強気すぎるコメントは、落ちたときにかっこ悪いし(自分のダメージが大きい、聞いた相手はネタに出来るから◎かもしれませんが)弱気すぎるコメントは、受験有給や仕事の量を配慮してくれている先輩や上司に失礼だったりします。たまに気分を害する人はいます。(配慮してくれない部署もあったみたいなのでなんとも言えませんが)

 余談ですが、受験が終わったあとは「どうだった?」という振りがよくありました。そのときは同様な理由により「もう遠い昔のことで覚えていません」と回避していました。まぁこれはこれで、消極的だったのですけどね。

イライラしたらスポーツクラブへ

1時間で泳ぐ、サウナに入る。

 活動の拠点としていた事務所の近くに法人契約をしているスポーツクラブがありました。おかげで勉強が煮詰まってイライラした心を、無心に体を動かして汗をかくことで、スッキリさせることができました。意識していませんでしたが、頭と体の疲れはバランスを取った方が、いい睡眠が取れるそうです。いい睡眠は頭をすっきりさせるので、そういう点でも効果があったかもしれません。

追い込み中も一日くらいはお休みを

一週間前に一日、休養を入れました。それ以外にも甲子園の決勝も見ちゃいました。息抜きは上手くとれたと思います。

体力的にきつくなった時。

 味の素の「aminoVITALforACTIVE」を常用していました。粉末状のアミノ酸サプリメントです。下手なドリンク剤だと、熱っぽくなってその後体調がおかしくなることがあったのですが、このサプリの場合は、すぅーっと元気が出る(がんばれる)感じになるのが良かったです。 いつも疲れている先輩に奨めたら、コレ無しでは生きられなくなった人もいます(笑)。30袋(一日1~3袋)で3000円くらい (ダイコクドラッグにて)と決して安くないですが直前期に追い込みたいときは、役に立つと思います。

専門学校・講座選び

 迷わずに古巣のTACへ申し込み理由は単純で05目標本科生の合格者は無料だったから・・・。受講したコースはDVD通信にしました。働いていると通えないですよ。積極的理由としては、自分のペースで受講が可能、及び倍速再生ができること、映像があること。

追加で申し込んだ租税法アクセス29回分

法人税は総合問題が必要だったので、追加で購入しました。単純に問題が必要という他に、どこまでやれば良いか、勉強量の目安になったという意味で、単なるアウトプット練習という以上の意味はあったと思います。ここまでやっときゃいいでしょと思えるのは、精神的に楽になりました。

具体的な勉強の内容

租税法

  倍速で聴いていた講義

 DVDで講義を受講するときは1.5倍速で回して、一日3コマくらい一気見をしていました。3時間が2時間になるので、ずいぶん時間を節約できたと思います。この1.5倍速受講を実現するために、ピッチ(音程)が高くならない(聞き取りづらくならない)専用のDVDプレーヤー(1万円程度)を買いました。修了試験(旧3次試験)でも使うだろうと思えば、高くない買い物だと思います。

最近はノートPCのDVD再生ソフトでも倍速再生が可能なものがあるので、それでも代用できるそうです。

  問題集の科目別の使い分け、間違えたらノートに記録

法人税、消費税は答練・アクセス中心、所得はテキスト問題集を中心に。総合問題も時間がかかるので、1回解いたら、問題文の右上にできなかった論点を書き、間違いノートへ何がどうできなかったのかを記録しました。そして、2回目以降は出来なかったところだけを解くという具合に段々と出来ないところを無くしていくという流れにしていました。租税法のコツはつかめていなかったので、オーソドックスな形で淡々と勉強していきました。

監査論

  講義はまったく聴かなかった

 結局監査論は講義はまったく聴きませんでした。テキストも2次試験時(05目標)のものを利用し、後は監査小六法で対応した次第です。一応、トピックな新基準は目を通していたので、品質管理の問題もそれなりに対応できました。後は、GCやら会計方針の変更など、近年ヤマ当てで出てくる論点を基準から復習しておきました。

その他に、監査基準が改訂されていたので新しくなったテクニカルタームは、言葉と内容をさらっておき、答案に反映できるようにしておきました。

  差をつけられない程度に目を通した答練

監査論はTACの答練のみを利用。とりあえず一般受験生に差をつけられない程度に、典型論点を思い出し、新ネタも一通り目を通しておきました。今年も、一部ド典型の問題が出題されましたが、一般受験生に書き負け(丁寧さ、正確さ、構成など)しないためには、予め思い出しておく必要があると考えたからです。

注意した点

 テキスト及び答案練習は一通り目を通す。問題を解く。

監査論でも書きましたが、一般受験生が相手であったので、いかに差をつけられないかという意味で、広くオープンになっている情報は一通り目を通しておきました。

 2回目以降はできなかったポイントだけ復習する。

とにかく、使える時間の割に租税法の範囲が広かったので、問題を解く→できなかったポイントのテキストに戻る→詰める(書く)→解きなおすという流れを崩しませんでした。こうプログラム化(勉強方法を固定に)することで、効率的になったと思います。

受験本番

 諦めない。

 一見してわからない問題も、記憶にある確実な知識に基づいてできるだけ空欄を残さないようにしました。租税法の理論に関して言えば、本当にお手上げだった問題1問2の事例問題以外は、何かしら記述しました。書かなければ、ゼロ点ですが、何かしら確実な知識に基づく論理的な論述であれば、ゼロ点以上ではあると考えていたからです。解答速報を見ると、かすっている部分があったので加点はあったと思います。一点(ちょっとの)差に泣いた人も多かったので、こういう粘りは侮れないなという感想です。

 箇条書きの問題以外は事前の構成を怠らない。

 論文式の基本です。2次試験で嫌というほど練習してきたので、頭で考えるより先に体が動いていました。特に今年の問題は「考える」問題が多かったので功を奏しました。事例、条文や基準の知識をベースに「考える」問題は今後もなくならないことを考えると、必須能力かなと思います。

2科目総合勝負であることを忘れない。

 両方受けきるということ。そもそも、方針が2科目一括合格狙いだったので、租税法とか途中で帰りたくとてしょうがなかったですが、時間一杯まで粘りました。

体制は万全に100%のパフォーマンスを出すために

空調が良い教室だったので結局は使わなかったのですが、寒さ対策、暑さ対策は怠りませんでした。寒さ対策は羽織るものを用意すること。暑さ対策は、保冷剤や冷えピタを持ってくること。一発勝負の受験だけに、環境にパフォーマンスが左右されるのだけは悲しいですからね。

最後に

論述した内容を覚えていた。

3ヶ月前に自分が書いた答案の内容を大体覚えていたことに驚きました。

金融庁の出題の趣旨を読んでいるときに、比較ができたのです。分からないなりに考えながら書いていたのだなと、その時は思ったものです。

2次試験の時も同様のことがあったのですが、最近思うのは、出来たところも出来なかったところも、記憶に残っているときは考えながら問題を解いた証拠であり、結果として、いい結果がついて来るものなのかなと。(できないところが多すぎたら別ですが)

最後まで適(切かつ妥)当に論述した上で3ヵ月後に答案を再現できるくらいの人は、おそらく合格しているのではないでしょうか。以上は合格体験記というところから逸脱しましたが、今後、結果が発表されるまでの間、不安が残る人の一助になれば幸いです。