スポック

  • (合格年度2000年、受験回数 短答1回、論文1回  受験勉強期間 1年3か月)
 私は、会社を辞め、公認会計士をめざすことになりました。勉強をはじめる前までは、簿記のボの字もしらず、もちろん、借方・貸方なども全くしりませんでした。
 私は、TAC1年本科で勉強してました。
ただし、商法上級だけはLECで勉強しました。理由?それは、TAC阿部講師についていけなかったからです。彼はとにかく「スパっと覚えてもらえばいいでしょう」と言うだけで、覚え方も理屈もほとんどいわず、あげくのはてには「商法はどれだけ覚えたかが勝負、それですべて決まる」と入門最後の講義で言っていたので、丸暗記ができない私はたいへん悩みました。そこで、LECの長瀬講師の噂をきき、無料の公開講座を受講したところ、たいへん良かったので秋から商法だけはLECに通いました。LECでは早朝の商法答練(森村講師)も受講しましたが、両方ともたいへんすばらしい講義&答練でした。短い期間で、凡人バルカンのスポックが合格できたのは、長瀬、森村両講師によるところがたいへん大きいです。この場で御礼申し上げます。
 予備校は究極的にはどこも同じということもよくきかれますが、私の体験では講師によって、その効率は全然違ってきます。

 さて私は1年で本気で合格しようと考えていましたので、勉強法も工夫する必要があると思いました。まず、考えたのは、実力カーブの構成の仕方です。たいていの受験生は「実力ピークを本試験手前にもってきて、本試験までそれを維持する」という方法を取ると思いました。ところが1年本科では、そんな時間はないし、無理にそれをすれば必ずどこかでゆがみがでてくると思いました。そこで、私は、「1年間右上がりで、論文本試験の当日に最初のピークをもってくる」という勉強法にしようと考えたのです。ま、たいへん抽象的ですし、結構、こう考える人もいるかもしれませんが、現行の予備校のシステムでは、これを実践するのは大変困難なのです。なぜならば、ついつい答練、全国模試など向けの勉強をしてしまい、「実力ピークを本試験手前にもってきて」しまう誘惑が、数多くあるからです。私の答練の成績が悪いのは、前に示したとおりですが、実際、こういう点をとっているとめげるもんなんですよ。だからついつい、答練でいい点を取ろうとしてしまうのです。答練を数多く受ける弊害はこんなところにもあるのです。
  • 科目別勉強法
    • 簿記
 簿記は答練では点のとれない科目でした。しかし、短答式では7点、論文はおそらく平均以上とれたと思います。私自身、予備校答練と本試験の違いを分析していましたから、予備校の答練で点がとれなくても、理屈の上では自信をもっていましたが、やはり答練で20点(100点満点)などという点をとると、やはり暗い気分になったものです。それでも自分の分析を信じて、簿記の勉強法は一風変わったこともしてました。それは、このHPの「簿記にだまされるな」の項目に書いた通りなのですが、簿記の理論をちゃんと勉強する、ということです。ちゃんとといっても、学者から見れば、子供だましですが・・・。そのきっかけをくれたのは、TAC簿記の講師でした。その講師自身は、暗記重視、習うより慣れろ、とことあるごとに言う方なのですが、口ではそう言っておきながら、ちゃんと理解のための説明をしてくれたり、効率的な覚え方をちゃんと教えてくれたり、と、中身は理解重視のたいへん私に合った講師でした。しかも、LECの戸原講師は習うより慣れろという指導方針を批判されていますが、実は、戸原講師がやるべき問題として提供する問題数よりも、その講師が提供する問題数の方がはるかに少なかったのです。その講師も人が悪いというか、プレゼンがちょっとへたというか、たいへん良い講師なのに、受講生もどんどん他の講師に流れて行きました。不幸なことです。2001年度向けのスケジュールにはその講師は載っておりませんでした。短期合格のためには、ほんとにいい講師だと思うのに・・・・。
 簿記の問題演習も問題数は少なかったです。少ない問題を何回も解きました。入門の間は、TAC問題集のみです。ただし基本書はつまみ読みしてました。1年本科の場合、簿記、原計の進度が間に合わなくて、1.5年本科や他の上級生に追いつくのはなんと受験の年の3月になるのです。だから、多くの1.5年や2年本科、論文落ち上級生が本格的に総合問題演習をやりはじめる10月中旬は、ようやく特商が終わったころで、まだ本支店や帳簿組織、もちろん連結などまったく手付かずの状態なのです。こんなんで、アクセス(早朝答練)なんて受けたって、できるはずもないし、受けたって無意味なのです。私が受講した講師も、「1年本科生は、アクセスをリアルタイムで受ける必要はない。問題だけもらっておいて、後で、余裕があったら解く程度でいい」と言っていました。ほんとにこの通りだと思います。それでも私はこの点は裏切って、アクセスも受講しました。やはり不安だったからです。結果的には、無意味でした。でも、この「不安」からの行動が、この簿記アクセス一点だけで、助かりました。受験生時代には、いっぱい「不安」があるのです。この「不安」に基づく行動をすると失敗します。「不安」に基づかず、「自分の信念」「合理的な考え方」に基づいて行動すれば、成功の可能性は高いと思います。
 簿記のインプットが終了したのは3月の初旬、ここでようやく上級生に追いつきました。しかし、ドクター(上級2時間答練)は、問題が渡されただけ。自分でやっとけってことです。私はやりませんでした。というかやる余裕もなかったです。私の本格的な総合問題演習は、ようやくここから始まったのです・・・。以下に入門から本試験までの問題演習を羅列しておきます。

 入門時 5月~    TAC問題集のみ
      8月~     TAC問題集+トレーニング簿記Ⅰ(TAC出版)
               (ただし、トレ簿Ⅰは各1回しかできなかった。)
      10月~   TAC問題集+アクセスリアルタイム
      正月     大原日商1級個別問題集
      1月~     TACマスター問題集+アクセスリアルタイム
      3月~     TACマスター問題集+アクセス一部復習+直前ドクターリアルタイム
               LEC早朝答練(基礎期の3問のみ)

 正直いって、10月~3月までが超ハードで復習もままならないし、ほとんど解きっぱなしでした。これは反省点です。この時点で問題数をもっと絞って、繰り返し解いていた方がはるかに身になったと思います。ああ「不安」が悔やまれる。
 TAC問題集は、合計で4回程度、苦手な問題については9回解いていました。入門Ⅲが、一番大事だと思ったので、なんと1月に入ってからも入門Ⅲの問題集をもう一度解いていました。これは効果的でしたねえ。
 3月以降、インプットが終了してからは、もっぱらTACマスター問題集Ⅰ、Ⅱを利用してました。これは本当にいい問題集だと思います。おそらくほとんどの受講生はドクターやアクセスみたいな難問を解いていたと思いますが、私はこの問題のみを最低3回、苦手な問題は7回解いていました。この2冊の問題集で問題数は約20問程度なのですが、全範囲をカバーしているし、本試験の120%程度の難易度の問題が多く、今でも最強の問題集だと思います。(パーセントは感覚の問題ですが、アクセスやドクターは本試験難易度の180%程度と感じる)もし、本気で短期合格を果たすなら、この問題集を完璧にこなせば十分にいけると思います。ま、ほんとの保険で、他の問題を解いてもいいとは思いますが・・・。(これが「不安」ね。だからいらないかも)。20問で全範囲って、すごいですよ。最小の問題数で最大の効果を謳うLEC簿記が早朝だけで60問ですよ!

 もちろんTACを全面的に賞賛するつもりはありません。LECをけなす気も毛頭ありません。
 私は、「不安」からLEC早朝簿記を通信で取り寄せてました。結局、やったのは3問だけでしたが・・・。本試験がおわって改めて問題をみて、何問か解いてみて解説を聞きました。TACアクセスより、はるかに、いいですね。ためになります。しかし、どちらも全体の問題量が多すぎます。

 多くのTAC講師は、このマスター問題集をバカにしてドクターやアクセスの問題を勧めます。だから上級生でもこの問題集をやっている人は少ないんじゃないかな。こうして、簿記を勉強した人ほどベテラン受験生になりやすいと思いました。

 今、短期合格を目指す人にアドバイスするとすれば、以下のとおりです。

TACマスター問題集を入手して進度に合わせて徹底的にやる。
簿記の基本書を読む。
過去問答練を自分でやる。
LEC早朝答練を通信で入手し、基礎期の中から、TACマスター問題集にないパターンの問題だけ抜き出し、あとから余裕があればやる。(おそらく5問~7問程度だろう)
個別論点の復習をはずかしがらず、基本テキスト、問題集でやりなおす。
あとの時間は、他の科目をやる。
    • 原計
 原計は、直前まで苦しみましたが、直前期で大きくのびて、結果はホームラン答案でした。
原計についてはアクセス(早朝答練)はまあまあ有効だったように思います。1年本科の原計は簿記同様、他のコースより進度が著しく遅いため、「不安」がでがちな科目だと思いますが、私の場合、もっとやっかいな問題があったのです。それは講師です。スケジュールの都合上、私はインプット講座については、関口講師しか受講できなかったのですが、彼は私とは全く合い入れない学習指導方針だったのです。
 かれの講義は、自分のサブノートを黒板に版書し、それをうつさせ、それを何度もみて覚えるように、というものでした。確かに、版書はまとまっているし、あれをすべて理解して覚えていれば、本試験レベルには達するかもしれません。しかし、彼は理解の助けになることはほとんど何も言わず、ただ版書したことを繰り返すだけでした。それでいて「理解が大事」と口癖のように言うので私は腹がたってました。だったら理解の助けになることを言え!と。
 しょうがなく、岡本先生の「原価計算」と桜井先生の「管理会計」、および巷の「原価計算がすぐにわかる本」みたいな実務ハウツー本を、とことん読んで理解につとめました。結果的にはこれが効いて、本試験の理論は、自分としてはパーフェクトだったと思います。怪我の功名ですね。
 関口講師には、ぜひとも、レジメを配り、理解に必要なことをしゃべることをお勧めしたい。もちろん、私のまわりには、関口講師がいいという人もいたので、結局は、合う合わないの問題なのでしょう。
 以下、余談である。関口講師は、私達がまだ基礎マスターを受講している頃の1999年10月にこんなことを言いました。「今年はベテランの人がたくさん合格した。うれしいですね。」「どうせみなさんは今年だめな方が多いのだから、来年を見越した勉強をした方がいい」。私はこの言葉を聞いて、怒りました。これが短期合格を目指す人間に言う言葉かと。
 アクセス原計の梅木講師にはお世話になりました。足りなかったインプットを補強するのに最適でした。他にもアクセス原計の講師はいましたが、梅木講師が一番わかりやすくてためになりました。何より、この問題だと、実際、このぐらいの点がとれればよいというのを、よく言ってくださるので助かりました。受講生のレベルがよくわかっている方です。他にもアンケート等をとってがんばってる女性講師(名は忘れてしまった)がいましたが、結局、人気とりだけの半人前に思えました。ま、若いからしょうがないけどね・・・。

 短答式の誤解を解いておこう。
 おそらくTAC講師はみな、「原価計算は試験委員の特色がよく出る科目で、短答式であっても試験委員論点が重要である。」と言うでしょう。
 ウソです。
 これも過去問答練をやればわかることなのですが、短答では、ほんとの基本論点の他は、「試験委員論点の論点が通説の処理で出ている」のです。確かに、年に1問程度は、試験委員論点の特殊な処理が出ることもあります。しかし、出ても1問です。また、試験委員論点はわかっていても難問が多いのです。だから試験委員論点の特殊処理を短答で意識する必要は全くありません。その1問は落としましょう。
 2000年の問題も「正味終価」という試験委員論点がでたから短答でも試験委員対策が必要とかいって、TACの本試験講評に載っていました。
 ぜったい必要ありません。
 でも、きっと2001年向け短答答練では試験委員論点バリバリの難問がたくさん登場し、多くの受験生を「不安」のどん底にたたき落とすことでしょう。
 必要なのは、試験委員論点、すなわち、試験委員が興味を持っている個所の「通説」処理をしっかりを確認しておくことです。これで、短答はぜったい大丈夫。

 では論文は?

 論文では、試験委員論点の特殊な処理がでることもあります。この点では、試験委員対策が必要と思われるかもしれませんが、私は、試験委員論点の特殊処理は、最後の最後、直前期にちょこっとやるだけでいいと思います。なぜなら、そのような論点が出題された場合、過去の例をみても難問であり、表面的な対策をやっていても、太刀打ちできないことが多いからです。
 では、太刀打ちするにはどうしたらよいでしょうか?
それは、通説をしっかりと「理論的」に、勉強することです。試験委員論点というのは、試験委員が通説に満足せず、「理論的につきつめれば、本当はこういう処理をするべきである」というものなのです。だから、通説の欠点を出発点にしているのです。だから通説を理論的に考えず、試験委員論点だけを覚えても絶対に太刀打ちできません。それより通説処理をしっかりと頭に入れ、その欠点を考えておくことが、一番なのです。本試験では、ひねりがかならず入ってますから予備校で教える試験委員論点特殊処理とは、また違った方法のことがありますし、問い方が違います。それに対処にするには、例え試験委員論点処理を知らなくても、通説の理論をしておけば、現場でなんとかなることが多いと思います。だから、基本書が必須だと考えるのです。

 さて、短期合格を目指す人へのアドバイスである。

岡本清「原価計算 六訂版」を読む。(六訂版になって格段にわかりやすくなった。原価企画等も充実。項目配列も歴史的順序になっているのはすばらしい)
アクセス、マスターの問題を解く。ただし、簿記と異なり、理解できているな、もういいな、という問題は、数多くやる必要はないと思う。できないものは、基本書やテキストで理論を確認し、理解しながらやるといいでしょう。その論点について理解さえしてしまえば、計算もできるものです。
原価計算基準をよくよむ。
なんかあんまりアドバイスになってないな・・・。
    • 財表
 自分では得意科目のつもりでした。しかし、本番ではちょっと勘違いした記述をしてしまいました。私は2000年の財表はかなり難度の高い問題と思います。表面的には簡単そうに見えるけど・・・。
 さて、財表は、入門、上級とも河村講師でした。この方のレジメはまとまっているし、講義もそれなりによいのだけれど、大きな欠点がありました。それは、全体像をうまく示せてしないということです。いわゆる体系ですね。その他の点は、文句なくよい講師と思うのですが・・・。しかし、幸いなことにこの欠点は、基本書を読むことで克服できます。10月に、飯野先生の「財務会計論」をまず、読みました。わかりやすい超良書です。その次に新井先生の「財務会計論」を読みました。結果的にこの順序がよかったです。資本概念の違いを皮切りに、資産、負債の概念の考え方の違いや、考え方を知ることができました。この2書はその後、何度も比較して読みました。お互いの同項目のページを見開いて比べながら読みました。飯野先生の資産とは、を読んだら、新井先生の資産とは、を読むという感じです。土地は費用とはならないのに、費用性資産なのか?なんて悩みもでてきたりもしました。
 財表の論点は、「現金主義と発生主義の違い」にほとんどすべてが集約されているように思います。人によっては「収支計算と利益計算の違い」とも言うようです。そして、認識と測定、評価をどうするのが理論的か、という点に結びつけて行けば、OKです。異論もあるでしょうが、この「現金主義と発生主義の違い」を実感として理解さえしてしまえば、財表の8割は押さえたようなものと感じます。すると、費用収益対応原則、費用配分の原則、収支額基準(取引額基準)、実現主義、発生主義のキーワードが有機的につながる様子が頭の中に構築できると思います。

 私はLEC野坂講師に興味があり、受験後、発表までの間に、通信でカセットとテキストを取り寄せました。まだ、最初の方しか聞いていませんが、野坂講師の理解の仕方は私と似ているような気がしました。もちろん、私と野坂講師を比べるのは失礼なのは承知しています。野坂講師の方がはるかに高度で緻密ですが、私は彼の講義を聞いて、ああ、自分の理解の仕方は大筋で間違っていなかったなと思いました。彼は、会計の2大目的である情報提供と利害調整のどちらを重視するかで、いろんな原則の位置付けが違うという考え方のようです。私は受験生時代は、こう明確に意識することはできませんでしたが、確かにその通りという気がします。閑話休題。

 TACテキストはほとんど読みませんでした。覚える部分は河村講師のレジメを利用しました。河村講師のよいところは、きちんとランク付けして、重要な項目を短答と論文で分けて提示してくれることでした。これにより、優先度の高いものから覚えていけました。ただし、丸暗記部分の弊害もありました。言葉をきちんと理解せず暗記してしまうと、それを答練上、必要ないのに書きたくなるのです。すると余事記載の分、解答用紙が足りなくなり、必要な部分が書けなくなってしまいます。そこで、役にたったのが、LEC商法の森村講師の言葉でした。それは「定義とは×××(森村講師に敬意を表して伏字です。)」さらに長瀬講師の自費出版の本の定義の覚え方も役に立ちました。このおふたりの言葉にそって定義を考えると、あら不思議、覚えるのも楽だし、答案上も過不足なく書けるようになりました。森村先生、長瀬先生に感謝です。

 財表はその他にも、「時価主義を考える」「会計学講義」を読みました。これも比べて読むとよい本と思います。

 短期合格のためには、財表の基本書を読むのが一番の早道と考えます。
    • 監査論
 上級中盤まで、大変困ったちゃんの科目でした。会計監査人の責任のがれの学問かよっ!って反発してました。しかし、脇田先生の「監査基準・準則の逐条解説」に出会って、考えが変わりました。監査論は大変困難な事を成し遂げようとする学問なのです。契約者から金をもらい、契約関係にない利害関係者の役に立つという、本来的には矛盾する監査という制度を、なんとか成り立たせよう四苦八苦する大変微妙な学問なのです。考えてみれば、監査が誰にでもできる簡単なものならば、それは学問として成り立つものではなく、ただのマニュアルで十分なわけです。マクドナルドのアルバイトマニュアルのように・・・。しかし、困難であるからこそ、学問としてなりたっているわけですね。
 さて、勉強法ですが、脇田先生の本に出会った後、監査基準の大切さがよくわかったので、準則も含めて、一字一句覚えました。マイクロカセットテープに自分で基準を吹き込んで毎日、学校の行きかえりに聞いていました。そして自分でも唱える間に、基準にからむ論点が頭の中に広がるように訓練しました。これで、監査論の論点の8割は押さえられると思います。確かに基準の暗記はつらいですが、効果は絶大でした。
 委員会報告書は、短答前に熟読しました。ただしただ読むのでなく、答練復習に合わせて読みこみました。やり方はこちら。これは短答対策とともに行いました。論文直前期は委員会報告書は、内部統制の部分を除き、ほとんど読みませんでした。短答前の勉強で大筋はつかんでいるし、細かいところはわすれているけど論文ではこまかい部分は問われないからです。ただし、過去問答練で内部統制だけは、細かい部分がでる可能性もあるなと思っていましたので、そこだけは何度も読みました。
 試験直前は、穴をなくすため、監査制度論や中間監査基準等を確認してました。中間は試験5分前にも読んでいましたのでばっちりでした。でも、あれだけ勉強した実施論はひとつもでなかったんだよなー。でも、他の受験生も事情は同じのようで、穴をなくす対策をしていた者の勝ちのようですね。
 監査論はとにかく1にも2にも監査基準・準則。あとは穴のないことが重要ではないかと。
    • 商法
 最終的には一番得意科目として自信をもっていた科目です。これはLEC長瀬、森村両講師のおかげに他なりません。入門はTAC阿部講師でした。
 商法は民法の特則という位置付けなので、民法の基礎の基礎を勉強しておくと楽だと思います。私は伊藤真「民法入門」を読みました。
 基本書については、当初、長瀬講師のテキストがよくできているため、読まないでおこうとも思っていました。しかし、なんと短答1か月前から、基本書を読み始めました。なぜならば、この時期何度か長瀬講師に質問するたびに、必ず基本書の何ページという答えがかえってきていました。あ、じゃあ自分でも基本書で調べられるんじゃん、と思ったわけです。
 読んでよかったのは、「会社法入門」(前田庸)、「株式会社法概論」(丸山秀平)でした。
 商法については、LEC講義、答練、早朝答練、TAC答練でした。平均的なTAC生の3倍の答練を受けた計算になります。商法については、これが良かったと思います。商法だけは、答練が楽しくて楽しくて・・・。決して点が取れたわけではないですが、受けるたびに理解が深まるのがよくわかり楽しかったです。切るとすれば、TAC答練でしょう。LEC答練、早朝答練だけでもよかったとは思います。この2つは絶品中の絶品です。
 商法は改正の経緯を歴史的に知っておく点と体系を理解するのに重点をおけば、暗記個所はものすごく少なくて済みます。長瀬講師のおかげで暗記個所が少なくなり負担が減ったので、商法を得意科目にした上に、余った時間を他の科目にまわすことができました。もし、上級もTAC阿部講師だったら、きっと商法も暗記に時間をとられ、合格は危なかったことでしょう。
 答練はすべて試験用条文(本屋で売っている)を使用して、本試験と同様の下書き用紙を書いてました。
 商法は試験会場で条文が貸与されます。そう、答えが配られるのです。その中からうまく選べばいいのです。だから、商法の勉強法も条文とお友達になることが大切です。どういう条文がどこにあるのか。それさえ短時間で引けるようになれば、5割OKです。問題なのは、条文にかいていない部分。いわゆる論点と判例です。判例はどこの予備校でも覚えるべきものは示されるでしょうから、それに基づけばいいでしょう。論点は、結局、条文にないか、あっても事例解決に不充分な部分ですから、条文を目にした時に、論点がさっと頭の中に浮かぶようになるようにすればもう9割OKです。残り1割は、制度横断説明問題に対応できるよう長瀬講師に従えば、もうOKでしょう。
 私は本試験で貸与条文が配られた時、やさしく手をおき、「よろしくな」と声を心の中でかけました。
    • 経済学
 最後の最後まで苦労した科目です。しかし、本試験の結果は場外ホームランでした。難問の4問目も数式部分は完答できたので、これが合格に大きく寄与したのは間違いないでしょう。
 入門期は鈴木講師でした。よかったと思います。ちょっと独特ですが、初学者にわかりやすく、ある意味くどく説明してくれます。しかしそれでも、結果的には私の能力がないせいで、経済学はよくわかりませんでした。代表的入門書「ミクロ経済学入門」もさっぱりわからず、立ち往生してしまいました。
 そこで基本書を濫読しました。結論は、すべて1冊でまかなう基本書はないってことでした。だから、多くの基本書を購入しました。基本書主義のコーナーで紹介していのはほんの一例です。
 上級は冨永講師でした。進度が大変遅く、延長講義が多く、また無駄な時間が多いため困りましたが、スケジュールの都合上、彼しか受講できなかったため余計に経済学には苦しみました。冨永講師の受講生想定レベルが低すぎます。なんで、微分の意味をあんなに何度も説明するねん!理解が大事といいつつ理解のための視点や実例を示さない点で、原計関口講師と似ています。ぜひともプレゼンテーションの基礎を学んで欲しいと思います。
 ただし、冨永講師が中心のアクセスは、大変役に立ちました。良問ぞろいです。私はアクセスを解きつつ、基本書を読んで理解を深めました。
 答練は鈴木講師で受講しました。彼は独特ですが、答練も問題も本試験に近く、解説も秀逸でした。
 直前期まで、アクセスと答練の苦手部分を繰り返し説きつつ、理解を深めました。あくまでパターンで押さえるのはやめるようにしました。とはいえ、理解不能部分は丸暗記したことも少ないけど事実です。
 経済学は難しいですね。でもおもしろいです。経済学は心理学を数式で表そうとする学問だ!と気づいたとたんに理解が深まりました。経済学は決して経済を直接的に分析するのでなく、その構成要素である人間の心理と企業の心理、経営者の心理を数式で説明しようとする大変、野心的な学問なのです。それを気づかせてくれたのが「日常生活を経済学する」「寓話で学ぶ経済学」「嘘ばっかりの経済常識」の3書でした。 
 また入門期にはTAC出版の「トレーニング経済学 初級編」を何度かやりました。理解のためよい問題集だと思います。

 
    • 経営
中略。またの機会に。